
熟年不倫とは、一般に40代~60代以降の中高年・熟年世代における不倫を指します。
熟年になってから離婚する場合、老後の生活なども考えなければならず、慰謝料を請求するべきなのか、離婚するべきなのか判断に悩む方も少なくありません。
・熟年不倫を疑った場合には、証拠を集めたうえで、慰謝料請求や離婚、夫婦関係の修復などから今後の対応を検討することになります。
・熟年不倫を理由に離婚する場合には、財産分与や年金分割だけではなく、離婚手続き中の生活費を確保するため婚姻費用を請求しておきたい場面もあります。
この記事を読めば、熟年不倫が起きる原因や気づいたときの対処法だけでなく、離婚に必要な準備についてもよくわかるはずです。
目次
1章 熟年不倫とは|法律上の年齢区分ではない

熟年不倫とは、40代~60代以降の中高年・熟年世代における不倫を指します。
しかし、熟年不倫は法律用語ではなく、何歳から熟年という年齢区分が定められているわけではありません。
40代や60代以降の方が不倫しても、若年世代と法律上の扱いが変わるわけではないのです。
法律上は、実際に肉体関係に及んでいたのか、不倫された側が精神的苦痛を受けたのか等から、慰謝料請求の可否が判断されます。
また、熟年であることを理由に、慰謝料の金額が増減するわけではありません。
慰謝料の算定においては、不倫によって離婚や別居に至ったか、不倫の期間や回数等が考慮されることになります。
ただし、熟年不倫の場合、婚姻期間や不倫期間が長いケースも多く、長期に及んでいる場合には増額事情として考慮されやすくなります。
不倫の法律上の定義や慰謝料・離婚との関係については、以下の記事で詳しく解説しています。
2章 熟年不倫が起きる主な原因5つ
熟年不倫が起きる原因は、夫婦関係や家庭環境など夫婦によって様々です。
例えば、熟年不倫が起きる主な原因としては以下の5つがあります。
原因2:子どもの独立による寂しさ
原因3:定年退職や再就職による生活環境の変化
原因4:自由な時間が増えやすい
原因5:老後への不安が大きい

それでは、熟年不倫が起きる主な原因について順番に説明していきます。
2-1 原因1:夫婦関係がマンネリ化している
夫婦として過ごす時間が長くなると、一緒にいることが当たり前になり、生活の新鮮さが薄れやすくなります。
必要な連絡だけになったり、夫婦で出かける機会が減ったりすると、恋人同士だった頃のような刺激も少なくなっていきます。
マンネリ化は、夫婦仲が悪い場合だけに生じるものではなく、相手への関心が薄れていくことで起こる場合もあるのです。
夫婦関係への刺激が薄れることで、家庭外に刺激を求めるようになり、熟年不倫に繋がることがあります。
2-2 原因2:子どもの独立による寂しさ
子どもが独立すると、家の中が静かになり、寂しさを覚えることがあります。
特に、子育て中心の生活をしてきた場合には、自分の役割を失ったように感じることもあります。
子どもの独立をきっかけに寂しさを抱く状態は、「空の巣症候群」と呼ばれることがあります。
寂しさを埋めるために人との繋がりを求めてしまい、熟年不倫につながる場合があります。
2-3 原因3:定年退職や再就職による生活環境の変化
定年退職を迎えると、生活リズムや人間関係などの生活環境が変わることがあります。
職場で担っていた役割がなくなり、人との交流が減ることで、物足りなさを感じる方もいます。
定年後に再就職すると、新しい職場でこれまでとは異なる人間関係を築くこともできます。
生活環境の変化により新たな交友関係を築く機会があり、熟年不倫に繋がることがあるのです。
職場で不倫に至るきっかけや社内不倫の特徴については、以下の記事で詳しく解説しています。
2-4 原因4:自由な時間が増えやすい
熟年期になると、子育てが一段落したり仕事の負担が減ったりして、自分のために使える時間が増えることがあります。
自由な時間が増えると、趣味や外出などの活動範囲が広がり、家庭外の人と接する機会も増えていきます。
また、時間の制約が少なくなれば、配偶者以外の人と連絡を取る時間も作りやすくなります。
時間的な余裕が活動の範囲を広げ、熟年不倫のきっかけになることがあるのです。
2-5 原因5:老後への不安が大きい
熟年期になると、これからの人生や老後の生活を意識する機会が増えていきます。
定年後の収入や年金だけで生活できるのか、貯蓄は足りるのか、病気や介護にどの程度お金がかかるのかなど、意識していなかった問題が現実味を帯びてくるためです。
内閣府の調査でも、60歳以上が抱える経済面の不安として、物価上昇や貯蓄の不足、医療・介護費などが挙げられています。
※出典:第1章 高齢化の状況(第3節 2)|内閣府
老後への不安が強くなると、「残りの人生を誰と過ごすべきか」など、夫婦関係そのものを考え直すこともあるのです。
3章 熟年不倫を疑う主な兆候5つ
熟年不倫の兆候は、日常生活の中に現れることがあります。
例えば、熟年不倫を疑う主な兆候としては以下の5つがあります。
兆候2:スマートフォンのロック機能を有効にした
兆候3:身だしなみに気を使うようになった
兆候4:現金の引出しやカード利用など不明な支出が増える
兆候5:夫婦の会話・態度・性生活が変化する

それでは、熟年不倫を疑う主な兆候について順番に説明していきます。
3-1 兆候1:外出が増えた
自宅で過ごすことが多い配偶者の外出が増えた場合には、熟年不倫を疑うきっかけになります。
不倫相手と会うためには、メッセージのやり取りでは足りず、外出する時間を作る必要があるためです。
例えば、休日に一人で出かけるようになった、帰宅時間が遅くなった、外出先や一緒にいる相手を曖昧に説明するようになったという変化が見られることもあります。
また、毎週同じ曜日や決まった時間帯に外出するようになった場合には、特定の相手と会っている可能性も考えられます。
3-2 兆候2:スマートフォンのロック機能を有効にした
スマートフォンにロックをしていなかった配偶者が、突然スマートフォンにパスコード等のロック機能を設定した場合、熟年不倫を疑うきっかけになります。
不倫相手と連絡を取っている場合、メッセージや通話履歴などを配偶者に見られないよう、スマートフォンの扱いに変化が生じやすいためです。
ロック機能だけでなく、スマートフォンを肌身離さなくなったり、通知が見えないよう画面を伏せて置くようになったりすることもあります。
スマートフォンを見られることを警戒するようになった場合、不倫相手とやり取りをしている可能性があります。
スマートフォンやSNSの利用から不倫を疑う場面については、以下の記事で詳しく解説しています。
3-3 兆候3:身だしなみに気を使うようになった
服装や髪型に無頓着だった配偶者が、身だしなみを気にするようになった場合、熟年不倫を疑うきっかけになります。
不倫相手によく見られたいという気持ちから、今まで選ばなかった服を買ったり、髪型を変えたりするなど、外見への意識が変わりやすいためです。
また、香水を使い始めたり、化粧に時間をかけるようになるなど、服装以外に変化が現れることもあります。
特に熟年夫婦では、長年一緒に生活しているため、配偶者が好む服装や普段の身だしなみを把握していることも多く、身だしなみの変化に気付きやすいでしょう。
3-4 兆候4:現金の引出しやカード利用など不明な支出が増える
現金の引出しやクレジットカードの利用が増えた場合、熟年不倫を疑うきっかけになります。
不倫相手と会うようになると、飲食代や交通費、プレゼント代、宿泊費など、これまでの生活にはなかった支出が生じるためです。
例えば、ATMから現金を引き出す回数が増えたり、カード明細に見慣れない飲食店や宿泊施設の利用履歴が現れたりすることがあります。
特に、毎月の生活費に大きな変化がないにもかかわらず、使途の分からない支出が継続して増えている場合には、配偶者に知られたくない出費をしている可能性があります。
3-5 兆候5:夫婦の会話・態度・性生活が変化する
夫婦の会話や接し方、性生活が以前と変わった場合も、熟年不倫を疑うきっかけになります。
不倫相手への気持ちが強くなると、配偶者間のコミュニケーションを避けやすくなるためです。
また、不倫への罪悪感などから、急に優しくなるなど生活態度に変化が見られることもあります。
長年一緒に生活している分、普段の様子を把握していることも多く、小さな変化にも気づきやすいでしょう。
4章 熟年不倫に気づいたときの対処法5つ
熟年不倫に気づいたときは、すぐに離婚や慰謝料請求を決める必要はありません。
長年連れ添っているほど、すぐに結論を出すことは難しく、今後どのような生活を送りたいのかを踏まえ対応を検討する必要があります。
例えば、熟年不倫に気づいたときの対処法としては以下の5つがあります。
対処法2:不倫慰謝料を請求する
対処法3:離婚を請求する
対処法4:夫婦関係を修復する
対処法5:弁護士に相談する

それでは、熟年不倫に気づいたときの対処法について順番に説明していきます。
4-1 対処法1:不倫の証拠を集める
熟年不倫に気づいたら、まずは不倫の証拠を集めておきましょう。
慰謝料請求や離婚請求、夫婦関係の修復のいずれを選択するとしても、不倫の事実があったことを客観的な証拠から説明しなければならないためです。
例えば、不倫の証拠としては以下のものが挙げられます。
・LINEやメールのやり取り
・不倫を認めた会話の録音
・ホテルなどの領収書・利用記録
・クレジットカードの利用明細や預金口座の取引履歴
・不倫相手と撮影した写真やSNSへの投稿
・探偵が作成した調査報告書
肉体関係が直接わかる証拠がなくても、複数の証拠を組み合わせることで不倫があったと認定されることもあります。
不倫の証拠は時間が経つにつれて集めるのが難しくなるため、熟年不倫に気づいた段階で集め始めるとよいでしょう。
不倫の証拠の種類や具体的な集め方については、以下の記事で詳しく解説しています。
4-2 対処法2:不倫慰謝料を請求する
配偶者の不倫によって精神的苦痛を受けた場合、配偶者や不倫相手に慰謝料を請求できることがあります。
不倫慰謝料を請求するには、配偶者が他人と肉体関係に及んでいたことが必要になります。
不倫慰謝料の相場は、50万円~300万円程度とされています。
具体的な金額は、不倫によって別居・離婚に至ったか、婚姻期間や不倫の期間など、個別の事情によって変動します。
熟年不倫では婚姻期間や不倫期間が長いケースが多く、期間が長いほど精神的苦痛も大きくなりやすく、慰謝料の増額事情として考慮されることがあります。
なお、肉体関係に及んでいたことが分からない場合でも、親密な交際をしていた場合等には慰謝料が認められることはありますが、相場は数十万円程度と低額になる傾向があります。
熟年離婚における慰謝料相場や慰謝料金額を左右する事情については、以下の記事で詳しく解説しています。
4-3 対処法3:離婚を請求する
配偶者の不倫によって夫婦関係を続けることが難しいと考えた場合、離婚を請求することができます。
夫婦が合意していれば協議によって離婚できますが、相手が拒否している場合には、家庭裁判所の離婚調停を利用することになります。
離婚調停とは、裁判官や調停委員が間に入り、夫婦双方の話を聞きながら離婚条件等について話し合う手続きです。
調停は合意による解決を目指す手続であり、調停でも合意できなければ、離婚訴訟を提起することになります。
熟年離婚では長年築いてきた財産や老後の生活も関係してくるため、事前に離婚条件まで見据えておくことが大切です。
協議で離婚できない場合の裁判離婚や離婚が認められる事情については、以下の記事で詳しく解説しています。
4-4 対処法4:夫婦関係を修復する
熟年不倫があったとしても、離婚を望まない場合には、夫婦関係の修復を目指すこともできます。
関係を修復する場合には、不倫の再発を防止するため誓約書を作成しておきましょう。
誓約書には、例えば以下のような内容を定めます。
・不倫相手との関係を解消し、連絡先を削除すること
・不倫相手と電話・メール・SNSなどを含めて接触しないこと
・今後、不倫相手やその他の相手と不倫をしないこと
・不倫について慰謝料を支払う場合の金額や支払方法
・第三者に口外しないこと
・条項に違反した場合の違約金など
口頭の約束では、内容が曖昧になりやすく、後から認識が食い違うこともあります。
夫婦関係を修復する場合には、約束した内容を書面にして明確にしておきましょう。
不倫後に作成する誓約書の書き方や定めておきたい内容については、以下の記事で詳しく解説しています。
4-5 対処法5:弁護士に相談する
熟年不倫への対応に不安がある場合、弁護士への相談がおすすめです。
弁護士に相談すれば、集めた証拠から不倫慰謝料を請求できるのか、慰謝料請求の見通し等について助言を受けることができます。
また、離婚を考えている場合には、不倫慰謝料だけでなく、財産分与や年金分割なども含めて検討する必要があります。
特に熟年離婚では、長年の婚姻生活で形成した財産が多くなりやすく、預貯金や不動産など、保有している財産の調査が必要になる場合もあります。
離婚問題にも対応している弁護士であれば、不倫慰謝料請求のほか、離婚手続きについてもまとめて相談することができ、負担を減らすことができます。
弁護士に依頼した場合には、配偶者や不倫相手との示談交渉のほか、離婚調停や離婚訴訟の対応も任せることができます。
交渉や手続きの進行に負担を感じる場合、弁護士への相談も検討しましょう。
不倫慰謝料について相談する弁護士の選び方については、以下の記事で詳しく解説しています。
5章 熟年不倫による離婚のメリット3つ/デメリット3つ
熟年不倫をきっかけに離婚を考える場合、離婚した後の生活まで見据えて判断する必要があります。
離婚してから後悔しないためにも、どのようなメリットとデメリットがあるのか事前に把握しておきましょう。
例えば、熟年不倫による離婚のメリット・デメリットとしては以下の6つがあります。
メリット2:財産分与や年金分割をしたうえで生活を再設計できる
メリット3:配偶者への不信感に悩まずに済む
デメリット1:財産分与を巡り対立のおそれ
デメリット2:生活費や老後資金が不足するおそれ
デメリット3:新たなパートナーとの出会いが難しい

それでは、熟年不倫による離婚のメリット・デメリットについて順番に説明していきます。
5-1 メリット1:自分らしい生活を始められる
熟年離婚をすると、配偶者に生活を合わせる必要がなくなり、自分らしい生活を始めることができます。
結婚生活では、休日の過ごし方や家事の分担など、様々な場面で配偶者との調整が必要になります。
離婚後は、自分の時間を趣味や友人との交流に使うなど、今までできなかったことにも取り組みやすくなります。
子どもが独立している場合には、子育てによる制約も少ないため、希望に沿った生活がしやすくなるでしょう。
熟年離婚の割合や原因、離婚後の生活については、以下の記事で詳しく解説しています。
5-2 メリット2:財産分与や年金分割をしたうえで生活を再設計できる
熟年離婚では、財産分与や年金分割によって、今後の生活を再設計することができます。
長年夫婦で生活していると、預貯金や毎月の生活費など、経済面での配偶者との結び付きが強くなっています。
離婚によって財産を分け合うことで、手元に残る資産や将来の収入に基づいて、転居するのか、仕事をいつまで続けるのかなど自由に決めやすくなるのです。
特に熟年期は、労働収入を得られる期間も限られてくるため、離婚後に必要となる生活費と老後資金を具体的に把握しておく必要があります。
財産分与や年金分割は、離婚後の暮らしを組み立て直すための経済的な基盤になるのです。
熟年離婚における財産分与の金額や対象となる財産については、以下の記事で詳しく解説しています。
5-3 メリット3:配偶者への不信感に悩まずに済む
熟年離婚をすると、配偶者への不信感に悩む必要はなくなります。
一度不倫されると「また不倫されるのではないか」と疑いやすくなりますが、離婚すれば疑う必要もなくなるためです。
裏切られたことへの不信感が残り、同居を続けること自体を負担に感じる場合もあります。
不信感を抱え続ける生活に負担を感じている場合、離婚によって疑い続ける生活から離れることができるのです。
夫婦関係を続けるか離婚するか判断する際の考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。
5-4 デメリット1:財産分与を巡り対立のおそれ
熟年離婚では、財産分与を巡って夫婦間で対立が生じることがあります。
「自分の収入で家計を支えてきた」「家事や育児を担ってきた」など、財産形成について異なる認識を持っていることがあるためです。
また、不倫をきっかけに離婚する場合には、これまで抱えていた不満も表面化しやすく「不倫した側に財産を渡したくない」と感情的な対立に発展することもあります。
自宅や預貯金など高額な財産が絡むほど、話し合いが長引きやすくなります。
財産分与の割合や2分の1ずつにならない場合については、以下の記事で詳しく解説しています。
5-5 デメリット2:生活費や老後資金が不足するおそれ
熟年離婚では、離婚後の生活費や老後資金が不足することがあります。
結婚生活中は生活費などを世帯単位で負担できますが、離婚後一人で毎月の支出を賄うことになるためです。
また、熟年期は定年退職が近かったり、すでに年金生活に入っていたりして、離婚後に収入を増やすことが難しい場面も少なくありません。
総務省の家計調査でも、65歳以上の単身無職世帯では、平均的な可処分所得を消費支出が上回っているとされています。
※出典:家計調査報告[家計収支編]2025年(令和7年)平均結果の概要|総務省
さらに、医療費や介護費など、年齢とともに備えておきたい支出もあります。
離婚後の収入と支出を確認せずに離婚すると、想定していたよりも生活が苦しくなるおそれがあります。
熟年離婚後に必要となる生活費や生活費を確保する方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
5-6 デメリット3:新たなパートナーが見つかるとは限らない
熟年離婚をした後、新たなパートナーが欲しいと感じても見つかるとは限りません。
年齢が上がるにつれて再婚率は低くなる傾向にあり、再婚を前提に離婚後の生活を考えるのは難しいためです。
また、熟年期の再婚では、本人同士の気持ちだけでなく、成人した子どもとの関係や親の介護なども考えることになります。
離婚して新しい相手を探したいと考えていても、その後一人で生活を続けることも想定しておく必要があります。
50代で離婚した後の生活や離婚前にしておきたい準備については、以下の記事で詳しく解説しています。
6章 熟年不倫を理由とした離婚の事前準備3つ
熟年不倫を理由に離婚を考えている場合には、離婚後の生活を見据え早い段階から準備を進めておくことが大切です。
例えば、熟年不倫を理由に離婚する際の事前準備としては以下の3つがあります。
準備2:年金分割
準備3:婚姻費用

それでは、熟年不倫を理由とした離婚の事前準備について順番に説明していきます。
6-1 準備1:財産分与
熟年不倫を理由に離婚する場合には、離婚前に財産分与の対象となる財産を確認しておきましょう。
財産分与では、婚姻中に夫婦で築いた財産を分けることになるため、婚姻期間が長いほど対象財産は多くなる傾向があります。
例えば、以下のような財産が財産分与の対象になることがあります。
・自宅などの不動産
・株式や投資信託などの有価証券
・生命保険の解約返戻金
・自動車
・退職金
・住宅ローンなど
特に熟年離婚では、退職時期が近く、将来受け取る退職金が財産分与の対象になるか確認しておきたい場面もあります。
また、相続した財産や婚姻前の財産など財産分与の対象にならない特有財産が、夫婦の財産と混在していることもあるため、取得時期なども確認しておくとよいでしょう。
離婚後の生活設計にも関わるため、離婚を決める前に夫婦の財産を把握し、財産分与でどの程度取得できるのか確認しておきましょう。
婚姻前から保有していた財産や相続財産など、財産分与の対象にならない特有財産については、以下の記事で詳しく解説しています。
6-2 準備2:年金分割
熟年不倫を理由に離婚する場合には、年金分割によって将来受け取れる年金額についても確認しておきましょう。
年金分割は、婚姻期間中の厚生年金記録を夫婦で分け、分割後の記録を将来の厚生年金額に反映させる制度です。
相手が受け取る年金そのものを半分受け取れる制度ではありません。
離婚前でも、年金事務所に「年金分割のための情報提供請求書」を提出すれば、分割の対象となる期間や按分割合の範囲などを確認することができます。
また、50歳以上で一定の条件を満たす場合には、年金分割をした場合の老齢厚生年金の見込額も確認できるため、熟年離婚後の生活費を考える際の参考になります。
熟年期は年金が離婚後の収入の中心になりやすいため、事前に見込額を確認しておくとよいでしょう。
なお、2026年4月1日に年金分割の請求期限が延長され、原則として離婚等をした日の翌日から5年以内とされています。
年金分割を含め、定年後に離婚する際に準備しておきたいことについては、以下の記事で詳しく解説しています。
6-3 準備3:婚姻費用
離婚するまでに別居する場合、離婚が成立するまでの生活費として婚姻費用を請求することができます。
婚姻費用とは、夫婦や子どもが婚姻生活を維持するために必要となる生活費をいい、別居していても婚姻関係が続いている間は夫婦で分担することになります。
婚姻費用の金額は、夫婦双方の収入や子どもの人数・年齢などを踏まえて判断され、家庭裁判所では算定表が公開されています。
平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について | 裁判所
別居前に、源泉徴収票や給与明細など収入が分かる資料を確認し、毎月どの程度の婚姻費用を受け取れるのか把握しておくとよいでしょう。
婚姻費用の意味や金額、請求方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
7章 熟年不倫についてよくある疑問3つ
熟年不倫についてよくある疑問としては以下の3つがあります。
Q2:長年夫婦関係が冷え切っていた場合でも不倫慰謝料を請求できる?
Q3:不倫した配偶者からの離婚請求を拒否できる?

それでは、これらの疑問を解消していきましょう。
7-1 Q1:10年以上前の不倫に慰謝料を請求できる?
A.10年以上前の不倫であっても、慰謝料を請求できる場合があります。
不倫慰謝料には時効があり、原則として、「不倫の事実と相手を知った時から3年」「不倫の時から20年」が経過すると時効が完成します。
不倫が10年以上前でも、最近になって知った、20年経過前であれば慰謝料を請求できる場合があります。
なお、婚姻中に配偶者へ慰謝料請求することは難しいため、配偶者への慰謝料請求権については「婚姻が解消してから6か月を経過するまで」は時効が完成しません。
また、不倫が原因で離婚した場合には、不倫慰謝料を受け取っていない場合には、別に離婚慰謝料として請求できる場合があります。
離婚慰謝料は、原則として離婚成立から3年以内に請求する必要があります。
不倫慰謝料の時効や期間が経過した場合の扱いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
7-2 Q2:長年夫婦関係が冷え切っていた場合でも不倫慰謝料を請求できる?
A.長年夫婦関係が冷え切っていたとしても、不倫慰謝料を請求できる場合があります。
問題となるのは、夫婦仲が悪かったかではなく、不倫が始まった時点で婚姻関係が破綻していたかです。
婚姻関係が破綻していた場合、不倫から守るべき法的利益がないため慰謝料を請求できないのです。
しかし、会話が少なかった、夫婦仲が悪かったというだけでは、婚姻関係が破綻していたとはいえません。
別居の有無や期間、夫婦間の交流の程度、離婚に向けた話し合いの状況などから、不倫が始まった時点で夫婦関係が破綻していたかを判断することになります。
夫婦仲が悪かったから慰謝料は請求できないと考えず、不倫開始時の夫婦関係がどのような状況であったか確認しましょう。
夫婦関係が破綻していた場合の不倫慰謝料や別居との関係については、以下の記事で詳しく解説しています。
7-3 Q3:不倫した配偶者からの離婚請求を拒否できる?
A.不倫した配偶者から離婚を求められても、拒否することができます。
不倫した配偶者は「有責配偶者」とされ、有責配偶者からの離婚請求は簡単には認められないためです。
ただし、有責配偶者からの離婚請求が認められないわけではありません。
具体的には、以下の条件を満たす場合には、有責配偶者からの離婚請求が認められる場合があります。
・未成熟の子どもがいないこと
・相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれないこと
もっとも、「別居が何年続けば離婚できる」という一律の基準はなく、婚姻期間や不倫に至った経緯、離婚後の生活状況なども踏まえて判断されます。
8章 慰謝料の減額交渉はリバティ・ベル法律事務所にお任せ
慰謝料の減額交渉については、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。
慰謝料の減額交渉については、交渉力の格差が減額金額に大きく影響してきます。
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慰謝料の減額交渉に悩んでいる方は、一人で抱え込まずにお気軽にご相談ください。
9章 まとめ
以上のとおり、今回は、熟年不倫の法律上の扱いや熟年不倫に至る原因を説明したうえで、気づいたときの対処法や離婚前の準備について解説しました。
この記事が、熟年不倫について知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。






















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