不倫慰謝料の時効は3年又は20年!期間経過後も消滅しない場合6つ

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弁護士 籾山 善臣

リバティ・ベル法律事務所|神奈川県弁護士会所属
取扱分野は、浮気・不倫問題、離婚問題、労働問題等。
敷居の低い弁護士を目指し、依頼者に寄り添った、クライアントファーストな弁護活動を心掛けている。持ち前のフットワークの軽さにより、スピーディーな対応が可能。

不倫慰謝料の時効は3年又は20年!期間経過後も消滅しない場合6つ

過去の不倫について、慰謝料の時効期間が何年か知りたいと悩んでいませんか?

数年経ってしまっていても、不倫が頭から離れず気になってしまうことがありますよね。

不倫慰謝料の時効は、不倫の事実及び不倫相手を知った時点から3年、又は、不倫行為があった時点から20年です。

ただし、配偶者に対しては、不倫慰謝料の時効期間経過後も、離婚後3年間は離婚慰謝料を請求することができます。

また、時効期間の経過後であっても、以下のようなケースでは慰謝料は消滅しません

ケース1:時効が援用されていない場合
ケース2:時効完成後に慰謝料の支払義務が承認された場合
ケース3:時効完成前に催告がされた場合
ケース4:時効完成前に裁判所をとおして請求された場合
ケース5:時効完成前に強制執行や仮差し押さえ等がされた場合
ケース6:時効完成前に協議を行う旨の合意をした場合

時効期間が間近に迫った場合には、不倫被害者も、不倫加害者も、不利な行動をしてしまわないように注意して対処していく必要あります

実際、時効制度についてよく知らなかったために「慰謝料が消滅してしまうケース」や「払わなくていい慰謝料を支払ってしまうケース」も存在するのです。

是非、不倫慰謝料の時効制度について正しく理解していただき、不倫トラブルについて後悔せずに解決していただければと思います。

今回は、不倫慰謝料の時効について、時効期間や期間経過後も慰謝料が消滅しないケース、時効間近に迫った場合の対処法をわかりやすく解説していきます。

具体的には、以下の流れで説明していきます。

この記事を読めば、不倫慰謝料の時効についてよくわかるはずです。

目次

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不倫慰謝料を請求したい方へ

1章 不倫慰謝料請求の時効とは

不倫慰謝料の時効のイメージ

不倫慰謝料請求の時効とは、不倫により発生した慰謝料請求権が一定期間の経過によって消滅することをいいます。

つまり、不倫慰謝料を請求する場合には、時効期間内に行わなければ、裁判でも認められない可能性があるのです。

不倫慰謝料請求の時効については、民法724条により定められています。

民法724条(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
「不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。」
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。

時効制度が定められている理由は、①長期間慰謝料が請求されなかったという事実状態への信頼を保護する必要がある点、②被害者にも長期間権利を行使しなかったという落ち度がある点、③長期間の経過により証拠が散逸してしまう点にあります。

例えば、XとAが婚姻関係にあり、AがYと不倫していたとしましょう。Xは、AとYの不倫を知りましたが、Aと婚姻関係を続けていくため、ことを荒立てたくないと、慰謝料の請求は行いませんでした。しかし、その後、不倫の事実を知ってから、5年が経過しても、XとAの夫婦関係にはしこりが残り続け結局離婚することとなりました。この場合には、既に、不倫慰謝料の時効期間は経過しているため、XがYに対して、慰謝料の請求をしても、時効により消滅しているとの反論を受けることになります。


2章 不倫慰謝料請求の時効は3年又は20年

不倫慰謝料の時効期間

不倫慰謝料の時効は、不倫の事実及び不倫相手を知った時点から3年、又は、不倫行為があった時点から20年です

いずれか早い時点が到来した時点で時効が完成することになります。

不倫相手を知った時点(「加害者知った時」)とは、不倫相手の住所・氏名を知った時点です(東京地判平成24年6月19日、最判昭和48年11月16日民集27巻10号1374頁)。

不倫行為が複数回行われた場合には、不倫行為ごとに個別に時効が進行することになります(大判昭和15年12月14日民集19巻2325頁)。

これに対して、配偶者に対しては、不倫慰謝料の時効期間経過後も、離婚後3年間は離婚慰謝料を請求することができます

離婚慰謝料とは、配偶者による有責行為から離婚までの連続する一連の経緯のすべてを一つの不法行為と捉えて、慰謝料を請求するものです。

不倫行為自体を不法行為と捉える不倫慰謝料とは異なる請求となります。

離婚慰謝料 不倫慰謝料

~不倫相手への離婚慰謝料の請求は原則認められない~

不倫相手に対しては、原則として、離婚慰謝料の請求は認められません

なぜなら、離婚による婚姻の解消は、本来、当該夫婦の間で決められるべき事柄であると考えられているためです。

不倫慰謝料の時効期間が経過した後に、不倫相手に対して離婚慰謝料を請求した事案において、判例は、「夫婦の一方と不貞行為に及んだ第三者は、これにより当該夫婦の婚姻関係が破綻して離婚するに至ったとしても、当該夫婦の他方に対し、不貞行為を理由とする不法行為責任を負うべき場合があることはともかくとして、直ちに、当該夫婦を離婚させたことを理由とする不法行為責任を負うことはないと解される。第三者がそのことを理由とする不法行為責任を負うのは、当該第三者が、単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず、当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られるというべきである。」として、請求を認めませんでした(最判平31年2月19日判タ1461号28頁)。

不倫慰謝料の時効と離婚慰謝料の時効

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不倫慰謝料を請求したい方へ

3章 時効期間経過後でも不倫慰謝料が消滅しないケース6つ

時効期間経過後でも、不倫慰謝料が消滅しない場合があります。

例えば、以下の6つのケースです。

ケース1:時効が援用されていない場合
ケース2:時効完成後に慰謝料の支払義務が承認された場合
ケース3:時効完成前に催告がされた場合
ケース4:時効完成前に裁判所をとおして請求された場合
ケース5:時効完成前に強制執行や仮差し押さえ等がされた場合
ケース6:時効完成前に協議を行う旨の合意をした場合

時効消滅しないケース6つ

それでは順番に説明していきます。

3-1 ケース1:時効が援用されていない場合【時効援用書面テンプレ付き】

時効期間経過後でも不倫慰謝料が消滅しないケースの1つ目は、時効が援用されていない場合です。

時効期間が経過した場合であっても、時効が援用されなければ、不倫慰謝料請求権は消滅しません

時効の援用とは、時効の利益を受ける旨の意思を表示することを言います。

民法145条(時効の援用)
時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

例えば、時効の援用をする場合には、以下のような書面を送ります。

時効援用書面【テンプレート(雛型)・サンプル】
回答書(時効の援用)

WORDファイルのひな形ダウンロードはこちら

PDFファイルのひな形ダウンロードはこちら

※適切な回答書については事案により異なりますので、適宜ご修正下さい。ひな形の利用に伴い損害等が生じた場合でも、当サイトでは一切責任を負いかねますので、自己責任でお願いいたします。

不倫相手がこのような時効の援用しない場合には、時効期間が経過した場合でも慰謝料は消滅しません。

3-2 ケース2:慰謝料の支払義務が承認された場合

時効期間経過後でも不倫慰謝料が消滅しないケースの2つ目は、慰謝料の支払い義務が承認された場合です。

慰謝料支払い義務の承認については、「時効完成前に承認された場合」と「時効完成後に承認された場合」で意味が異なりますので、それぞれについて説明します。

3-2-1 時効完成前に承認された場合

不倫慰謝料が時効完成前に承認された場合には、時効の更新事由となり、時効期間のカウントが一度リセットされ、新たに承認した時点から進行が開始することになります

民法152条(承認による時効の更新)
1「時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。」
2「前項の承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていないこと又は権限があることを要しない。」

承認については、特別の様式を要しないとされており、明示される必要もありません。

例えば、利息の支払い(大判昭和3年3月24日新聞2873号13頁)、債務の一部弁済は(大判大正8年12月26日民録25輯2429頁)、不倫慰謝料の権利を認識していたと示す行為は全て承認になります。

3-2-2 時効完成後に承認された場合

不倫慰謝料が時効完成後に承認された場合には、信義則上、時効援用権を行使することができなくなります(最大判昭和41年4月20日民集20巻4号702頁)。

時効を援用する行為と債務を承認する行為は矛盾した態度であり、被害者も時効を援用されることがないと信用するためです。

加害者が時効の完成を知っていることは不要と考えられているため、時効の完成を知らずに不倫慰謝料を承認した場合にも、時効を援用することはできなくなります。

3-3 ケース3:時効完成前に催告がされた場合

時効期間経過後でも不倫慰謝料が消滅しないケースの3つ目は、時効完成前に催告された場合です。

催告については、時効の完成猶予事由とされていますので、催告をした日から6か月間時効の完成しないことになります

民法150条(催告による時効の完成猶予)
1 催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
2 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。

催告とは、権利者が義務者に対して義務の履行を求める意思の通知をいいます。

催告の方法に決まりはありませんが、証拠に残すために内容証明郵便に配達証明を付して行うのが通常です。

例えば、以下のような通知書を相手方に対して送付します。

不貞慰謝料請求書【テンプレート(雛型)・サンプル】
通知書【テンプレート】

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※適切な通知書については事案により異なりますので、適宜ご修正下さい。ひな形の利用に伴い損害等が生じた場合でも、当サイトでは一切責任を負いかねますので、自己責任でお願いいたします。

※PDFの通知書については、精神的苦痛が大きい理由についての記載を省略しています。

催告については、あくまでも時効の完成を6か月間猶予するものにすぎませんので、この期間に別の方策を講じる必要があります。

不倫慰謝料請求書の作成方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

3-4 ケース4:時効完成前に裁判所をとおして請求された場合

時効期間経過後でも不倫慰謝料が消滅しないケースの4つ目は、時効完成前に裁判所をとおして請求された場合です。

裁判所をとおして請求が行われると、時効の更新事由となり、時効期間のカウントが一度リセットされ、同手続が終了した時点から進行が開始することになります

具体的には、時効の更新事由となる裁判所をとおした請求の代表例は、民事訴訟における訴えの提起や民事調停の申し立てです

民法147条(裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新)
1 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
一 裁判上の請求
二 支払督促
三 民事訴訟法第二百七十五条第一項の和解又は民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)若しくは家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)による調停
四 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加

3-5 ケース5:時効完成前に差押えや仮差押え等がされた場合

時効期間経過後でも不倫慰謝料が消滅しないケースの5つ目は、時効完成前に差押えや仮差押え等がされた場合です。

差押えや仮差押え等は、時効の更新事由となり、時効期間のカウントが一度リセットされ、同手続が終了した時点から進行が開始することになります

差押えとは、強制執行手続きにおける最初の段階として、執行機関が債務者の財産の処分を禁止し、その財産を確保する行為です。

仮差押えとは、将来の強制執行による債権の実現を保全するために、その財産の処分を暫定的に禁じる措置を講じる手続きです。

民法148条(強制執行等による時効の完成猶予及び更新)
1 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
一 強制執行
二 担保権の実行
三 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百九十五条に規定する担保権の実行としての競売の例による競売
四 民事執行法第百九十六条に規定する財産開示手続又は同法第二百四条に規定する第三者からの情報取得手続
2 前項の場合には、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。ただし、申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合は、この限りでない。

民法149条(仮差押え等による時効の完成猶予)
次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了した時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
一 仮差押え
二 仮処分

3-6 ケース6:時効完成前に協議を行う旨の合意をした場合

時効期間経過後でも不倫慰謝料が消滅しないケースの6つ目は、時効完成前に裁判所をとおして請求された場合です。

相手方と協議を行う旨の合意をした場合には、一定期間時効の完成が猶予されることになります

民法151条(協議を行う旨の合意による時効の完成猶予)
1 権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、次に掲げる時のいずれか早い時までの間は、時効は、完成しない。
一 その合意があった時から一年を経過した時
二 その合意において当事者が協議を行う期間(一年に満たないものに限る。)を定めたときは、その期間を経過した時
三 当事者の一方から相手方に対して協議の続行を拒絶する旨の通知が書面でされたときは、その通知の時から六箇月を経過した時
2 前項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた再度の同項の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有する。ただし、その効力は、時効の完成が猶予されなかったとすれば時効が完成すべき時から通じて五年を超えることができない。
3 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた第一項の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。同項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた催告についても、同様とする。
4 第一項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前三項の規定を適用する。
5 前項の規定は、第一項第三号の通知について準用する。

時効の完成が猶予されている間に示談の協議を行うことになります。


4章 不倫(不貞)・浮気慰謝料の時効間近の場合の対処法

不倫(不貞)・浮気慰謝料の時効間近の場合については、被害者側と加害者側でそれぞれ対処法が異なります。

それぞれ順番に説明していきます。

4-1 被害者側

被害者側は、時効が間近に迫った場合には、以下の対処法を上から順番に行いましょう。

対処法1:内容証明郵便を送る
対処法2:6か月の間に交渉をする
対処法3:早めに訴訟を提起する

時効間近の場合の対処法(被害者)

4-1-1 対処法1:内容証明郵便を送る

被害者側の対処法の1つ目は、不倫慰謝料を請求する旨を記載した内容証明郵便を送ることです。必ず配達証明証をつけて送りましょう。

これにより不倫慰謝料の催告として、時効の完成が6か月間猶予されます。

もっとも、催告の効力が生じるのは、内容証明郵便が加害者に到達した時点です。つまり、内容証明郵便を発送しただけでは催告の効力は生じていません。

内容証明郵便が配達されるには、通常、発送日の翌日以降となりますので注意しましょう。

4-1-2 対処法2:6か月の間に交渉をする

被害者側の対処法2つ目は、6か月間の間に交渉をすることです。

示談が成立した場合には、示談書に解決金の支払い義務を記載して署名押印することにより時効期間の進行はリセットされ、時効の完成は解決金の支払日から5年後となります。

4-1-3 対処法3:早めに訴訟を提起する

被害者側の対処法3つ目は、早めに訴訟提起をすることです。

示談が難しい場合には早めに訴訟提起をしましょう。6か月ギリギリで訴訟提起をするのはリスクが大きいのでおすすめしません

時効が問題となる可能性がある事案においては、訴訟提起をする際に、訴状の正本と副本の他に、写しを1部持っていき受領印を押してもらうといいでしょう。

郵送の場合には、正本、副本の他に、写しと切手を貼った返信用封筒を同封して、受領印を押して返送してほしい旨を頭紙や付箋に記載しておきます。

受領印を押してもらうことにより簡単に申立日を立証することができます。

4-2 加害者側

加害者側は、時効が間近に迫った場合には、以下のように対処しましょう。

対処法1:被害者側を刺激しない
対処法2:債務を承認しない
対処法3:時効の援用は請求された後にする

時効間近の場合の対処法(加害者)

4-2-1 対処法1:被害者側を刺激しない

加害者側の対処法の1つ目は、被害者側を刺激しないことです。

被害者の配偶者に合うことや被害者と接触することは控えた方がいいでしょう。

被害者を刺激することにより、慰謝料の請求がされる可能性が高まることになります。

4-2-2 対処法2:債務を承認しない

加害者側の対処法の2つ目は、債務を承認しないことです。

例えば、安易に慰謝料は支払うから少し待ってほしいなどと言ってしまうと、債務を承認したものとして、時効がリセットされてしまう可能性があります。

そのため、慰謝料の支払い義務を認めるような発言はしないように注意が必要です。

4-2-3 対処法3:時効の援用は請求された後にする

加害者側の対処法の3つ目は、時効の援用は請求された後にすることです。

時効が完成した場合にはすぐにでも、時効の援用の通知を送りたくなってしまう方もいるかもしれません。

しかし、時効の援用については、相手方から請求の通知が来た後に行えば十分です。

時効の完成時期についてはその起算点などが争いとなる可能性がありますので、自分は時効が完成したと思っていても、実はまだ事項が完成していなかったとの判断になることもあります

まだ時効が完成していないのに時効援用の意思表示をすると、相手方が慌てて対策を講じてくるリスクがあります。

そのため、時効の援用は、相手方が実際に慰謝料を請求してきた後にするのがいいでしょう。

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5章 不倫(不貞)・浮気に関する慰謝料以外の時効

不倫(不貞)・浮気に関して、慰謝料以外の権利等についても、時効があるかどうか気になる方はいますよね。

例えば、慰謝料以外の権利に関する時効ですと、よく以下のような事項につきお悩みの方がいます。

・求償権の時効
・離婚の時効
・証拠の時効

それでは順番に説明していきます。

5-1 求償権の時効は損害賠償支払いから5年

求償権の時効は、損害賠償の支払いから5年になります

求償権とは、求償権というのは、あなたが浮気相手の奥さんに支払った慰謝料の一部について、浮気相手に請求することができる権利です。

浮気は、共同不法行為と呼ばれ2人で責任を負うものであるため、その責任の割合に応じて、浮気相手も慰謝料を支払う義務を負っているのです。

しかし、この求償権にも時効があり、損害賠償の支払いから5年が経過してしまうと、請求ができなくなってしまうので注意が必要です

5-2 不倫を原因とする離婚に時効はない

不倫を原因として離婚すること自体には、時効はありません

例えば、10年前の不倫であっても、それを原因として別居をし続けているような場合であれば、婚姻関係が破綻している者として離婚が認められる可能性があります。

しかし、10年前の不倫について、一度許してその後婚姻関係を長期間継続してきたような場合には、婚姻関係が破綻していないものとして離婚が認められない可能性がございます。これは時効とは別の問題となります

5-3 浮気の証拠に時効はない

浮気の証拠について、時効はありません

例えば、10年前の探偵の調査報告書であっても、証拠として使用することができます。

しかし、証人尋問において、10年前の不倫の出来事について話してもらうような場合には、記憶が劣化している可能性があり、信用性が低いものとされる可能性があります。これは時効とは別の問題となります


6章 不倫の時効についてよくあるQ&A

不倫の時効についてよくある質問として以下の3つがあります。

Q1:時効期間経過後に慰謝料を請求するのは違法?
Q2:不倫慰謝料請求書の受け取りを拒否すれば時効は止まらない?
Q3:不倫慰謝料を認める判決が出された後の時効はどうなる?

それでは順番にこれらの疑問を解消していきましょう。

1:時効期間経過後に慰謝料を請求するのは違法?

時効期間経過後に慰謝料を請求することも違法ではありません
時効については援用されて初めて効力が生じますので、時効期間が経過していたとしても、時効が援用されるまでは慰謝料の請求権は存在していることになります。

2:不倫慰謝料請求書の受け取りを拒否すれば時効は止まらない?

加害者が不倫慰謝料請求書の受け取りを拒否した場合であっても、意思表示は到達したものと認定されます(東京地裁判決平成10年12月25日金融法務事情1560号41頁、東京地裁判決平成5年5月21日判例タイムズ859号195頁、大阪高裁判決昭和53年11月7日判例タイムズ375号90頁、大審院昭和11年2月14日判決・民集15巻158頁)。
そのため、不倫慰謝料請求書の受け取りを拒否しても、時効は止まることになります。

3:不倫慰謝料を認める判決が出された後の時効はどうなる?

不倫慰謝料の支払い義務を認める判決が確定した場合には、時効期間は判決が確定した時点から10年となります(民法169条)。
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7章 長期間の経過による不倫慰謝料への時効以外の影響

不倫から長期間経過している場合の影響は、時効だけではありません

例えば、不倫から長期間が経過してしまっているために以下のような問題が生じることがあります。

影響1:権利濫用
影響2:慰謝料減額
影響3:立証不能

それでは順番に説明していきます。

7-1 影響1:権利濫用

長期間の経過による影響の1つ目は、権利の濫用とされる場合があることです。

つまり、時効期間が経過していない場合であっても、不倫から数年経った後に慰謝料を請求することについて、権利の濫用として許されないとされることがあるのです

裁判例は、配偶者が死亡した後、2年以上経って、配偶者の不倫相手に対して、慰謝料請求訴訟を提起した事案において、権利濫用としています(大阪高等裁判所昭和53年9月29日)。

7-2 影響2:慰謝料減額

長期間の経過による影響の2つ目は、慰謝料が減額される場合があることです。

つまり、時効期間が経過していない場合であっても、不倫に関するトラブルが一度鎮静化して数年たった後に慰謝料が請求されるような場合には、認容される慰謝料が減額されることがあるのです

裁判例は、配偶者の不倫相手に対して慰謝料を請求した事案において、配偶者と裁判上の和解による離婚をしてから約2年が経過していること、提訴の動機が長女との面接交渉が実施されないことへの不満であることなどを考慮して、慰謝料を減額しています(東京地方裁判所平成21年6月4日)。

7-3 影響3:立証不能

長期間の経過による影響の3つ目は、立証ができなくなってしまう可能性があることです。

不倫から長期間が経過してしまうと、人の記憶は薄れてしまい、また証拠も散逸してしまうので、立証が難しくなってしまいます

そのため、裁判所に不倫があったと認定してもらえない場合があります。


8章 不倫慰謝料の交渉はリバティ・ベル法律事務所へ

不倫慰謝料の相談は、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。

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少数精鋭でご依頼を受けた一つ一つの案件について、不倫慰謝料問題に強い弁護士が丁寧に向き合っているところが弊所の強みです。

不倫慰謝料については、ご依頼者様の負担を軽減するために初回相談無料にて対応しておりますのでお気軽にお問い合わせください。

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9章 まとめ

以上のとおり、今回は、不倫慰謝料の時効について、時効期間や期間経過後も慰謝料が消滅しないケース、時効間近に迫った場合の対処法をわかりやすく解説しました。

この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。

まとめ

・不倫慰謝料請求の時効とは、不倫により発生した慰謝料請求権が一定期間の経過によって消滅することをいいます。

・不倫慰謝料の時効は、不倫の事実及び不倫相手を知った時点から3年、又は、不倫行為があった時点から20年です。

・時効期間経過後でも、不倫慰謝料が消滅しないのは以下の6つのケースです。
ケース1:時効が援用されていない場合
ケース2:時効完成後に慰謝料の支払義務が承認された場合
ケース3:時効完成前に催告がされた場合
ケース4:時効完成前に裁判所をとおして請求された場合
ケース5:時効完成前に強制執行や仮差し押さえ等がされた場合
ケース6:時効完成前に協議を行う旨の合意をした場合

・被害者側は、時効が間近に迫った場合には、以下の対処法を上から順番に行いましょう。
対処法1:内容証明郵便を送る
対処法2:6か月の間に交渉をする
対処法3:早めに訴訟を提起する

・加害者側は、時効が間近に迫った場合には、以下のように対処しましょう。
対処法1:被害者側を刺激しない
対処法2:債務を承認しない
対処法3:時効の援用は請求された後にする

この記事が不倫慰謝料の時効に悩んでいる方の助けになれば幸いです。

以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。

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