「離婚前にすることは何がある?」
「離婚の準備はどうやって進めればいい?」
「自分のケースでしておくべきことは何だろう?」
離婚したいけど何から始めればいいのかがよく分からないと悩んでいませんか?
今の生活が変わってしまうことが不安で、中々行動に移すことができないという方も多いですよね。
結論としては、離婚前の準備については以下の流れでおこなっていただくことがおすすめです。
また、専業主婦の離婚や子連れ離婚、熟年離婚、モラハラ夫との離婚、不倫による離婚など、離婚にも様々なケースがありますので、それぞれのケースにあった準備を行うことが大切です。
離婚については、計画的に準備をしている方と十分な準備をせずに離婚をした方では、その結果が大きく異なってきます。
特に、女性は男性に比べて経済的に弱い立場にあることが多いので、十分に準備をすることなく離婚をしてしまうと、その後の生活で大変な苦労をすることになってしまうでしょう。
実際、私は、これまで離婚事件について多くの相談を受けてきましたが、中には既に離婚届を出してしまった女性からの相談を受けることがあります。
勿論、離婚届を出した後であってもできることはあるのですが、離婚の準備から十分なサポートをしていれば、もっといい結果になったのではないかと感じ、悔しい思いをしたことがあります。
そのため、この記事をとおして少しでも多くの方に離婚の準備の大切さを知っていただければと思います。
今回は、離婚前にするべき7つの準備をわかりやすく説明したうえで、ケース別の注意点や、やってはいけないことについて解説していきます。
具体的には、以下の流れで解説していきます。
この記事を読めば、後悔しない離婚のために何を準備すればいいのかがよくわかるはずです。
目次
1章 離婚前にすること|時系列で分かる準備すべきこと
離婚前にどのようなことをすべきか、時系列にすると以下の通りになります。
1-1 離婚を切り出す前にすること
離婚を切り出す前にするべき準備は、以下の3つです。
準備2:証拠収集をする
準備3:未練を断ち切る
以下で順番に確認していきましょう。
1-1-1 準備1:財産調査
離婚を切り出す前に行う準備の1つ目は、財産調査です。
なぜなら、離婚を行う場合、財産分与について取り決めを行うことが一般的だからです。
そして、離婚を切り出した後だと、財産を隠されてしまうリスクがあります。
また、財産分与は、別居日時点の財産が基準になりますので、別居する前にどのような財産があったのかを把握しておく必要があります。
例えば、以下の財産については調査しておくといいでしょう。
1-1-2 準備2:証拠収集
別居前に財産に関する証拠を集めるようにしましょう。
別居をしてしまうと、配偶者がどのような財産を有しているのか確認することは難しくなります。
上記の財産は財産分与の対象になりうるため、離婚前に確認し、必要に応じて資料のコピーを取る等するようにしましょう。
また、配偶者が不貞行為をしている場合には、メール・line履歴・不貞相手との写真やそのデータ等の不貞の証拠が自宅に存在する可能性があります。
別居前にこれらの証拠が存在しないか確認し、存在する場合には写真を撮影する等して形に残すようにしましょう。
なお、写真を撮影する場合、日付を確認可能なものは日付も写るようにしましょう。
さらに、配偶者に暴言・暴力といった問題行為がある場合には、別居前に録画・録音をすることや、場合によっては警察に相談して調書を残すことを忘れないようにしましょう。
1-1-3 準備3:未練を断ち切る
配偶者に対して離婚を持ち掛ける前に、本当に離婚をしてもいいのかよく考えるようにしましょう。
離婚を決意し、そのことを配偶者に告げた場合、離婚をしたくないと思いなおしても元の関係性に戻ることが難しくなってしまう場合もあります。
配偶者に離婚を持ち掛ける際には、本当に離婚をしたいのか・離婚をしても生活をすることができるのかについて十分に検討し、離婚をしても後悔がないといえる状況になってから離婚について伝えるようにしましょう。
弁護士に依頼をする方の中には、配偶者に離婚を希望していることを言わずに離婚に向けて準備を進めているという方も多くいらっしゃいます。
離婚をしたいと告げると、多くの場合には配偶者との間に感情的な対立ができてしまい、離婚の準備をすることも難しくなってしまいます。
配偶者に対して、いつ、離婚をしたいと考えていることを伝えるかは慎重に判断した方がよいでしょう。
1-2 別居する前にすること
離婚を切り出す前にするべき準備は、以下の2つです。
準備5:住民票の異動と転送届
具体的な内容について以下で説明します。
1-2-1 準備4:別居後の住居を探す
別居する前に別居後に住む場所を必ず確保するようにしましょう。
別居後の住居を事前に決めておくことで、別居後にどの程度の資金が必要になるのかを見通しを立てることができます。
仮に離婚について合意ができず裁判になった場合、長期化する可能性がありますので、長期間生計を維持できるかも検討して住居を探しましょう。
例えば、賃料や光熱費等の負担を考えて、実家に戻るという選択肢をとる方も多くいます。
ただし、知り合いの異性の家に一時的に泊まらせてもらうというのは止めた方が良いでしょう。
配偶者から不倫や浮気などと反論されることが多いためです。
1-2-2 準備5:住民票の異動と転送届け
別居に伴い転居した場合、住民票を異動させる必要があります。
配偶者に別居後の住所を知られたくないような場合には、必要に応じて住民票の閲覧制限をかけるようにしましょう。
住民票の写しは、原則であれば同一世帯であれば自由に取り寄せることが可能です。
しかし、閲覧制限のための手続きを行うことで、配偶者が住民票の写しの取得ができなくなり、住民票から住所が発覚することはなくなります。
配偶者からの暴力・ストーカーがある場合に利用可能な制度であるため、そのような場合には利用をするようにしましょう。
また、自宅に届く郵送物の転送設定をかけた場合、郵送物を送付した後に取り戻し請求をすることで住所が明らかになってしまうこともあります。
そのため、自分の住所を知られたくない場合には、転送設定をかけないようにしましょう。
転送設定をかけずに郵送物を受け取る場合、配偶者が実家の住所をすでに知っている場合には実家で受け取るといった方法や郵便局留めにする方法があります。
1-3 離婚届を出す前にすること
離婚を切り出す前にするべき準備は、以下の2つです。
準備7:離婚協議書・公正証書を作成する
これらの手順が不十分だと、離婚後のトラブルに繋がる可能性が出てきます。
以下では、これらの準備について、具体的に説明していきます。
1-3-1 準備6:離婚条件を話し合う
離婚届けを出す前に必ず離婚条件を話し合うようにしましょう。
なぜなら、離婚届を出した後ですと、男性側が婚姻費用の負担する義務がなくなってしまうことから、話し合いに協力してもらえないケースが多いためです。
具体的には、以下の事項については最低限決めておくべきす。
1-3-2 準備7:離婚協議書又は公正証書
上記の離婚条件を取り決めた場合、どのような離婚条件を定めたのか後で争いになることがないように離婚協議書もしくは公正証書を作成するようにしましょう。
離婚協議書とは、夫婦の間で合意した内容を記載した書面のことをいいます。
夫婦の間で作成するもので、内容や形式について決まったものはありません。
合意内容と合意した日付、夫婦の署名押印をするものが多いです。
作成のハードルは低いものの、あくまで夫婦間で作成した書面です。
そのため、養育費の支払い等、金銭の支払いに関する合意に従わなかった場合に財産を差し押さえるには、別に裁判をして判決をとるなどの手続きが必要になります。
離婚公正証書とは、公証役場で公証人によって作成される書面のことをいいます。
離婚公正証書は、公証役場で作成するものであり、作成の際には数万円の費用が必要です。
作成のハードルはあるものの、公正証書で養育費・慰謝料の支払いを合意した場合には、相手が合意内容に従わなかった場合であっても、強制執行(裁判所を利用し、支払い回収する手続き)をすることが可能です。
メリット | デメリット | |
離婚協議書 | ①簡単に作れる ②費用がかからない |
配偶者が約束したお金を払ってくれない場合に差し押さえをするには裁判所の判決等が必要 |
離婚公正証書【おすすめ】 | 配偶者が約束したお金を払ってくれない場合に差し押さえをできる | ①公証役場を利用して作成する必要がある ②数万円程度の費用がかかる |
離婚条件の取り決めに金銭の支払いが含まれる場合には、必ず離婚公正証書にするべきです。
なぜなら、離婚公正証書にしておくことで、金銭の不払いがあった場合に裁判をせずに差し押さえをすることができ、労力や費用を大きく節約できるためです。
そのため、作成する費用はかかりますが、リスクを回避するメリットを考えれば、離婚公正証書にしておくべきなのです。
配偶者と日常生活を送る中で、衝動的に離婚をしたくなる場面もあるかもしれません。
しかし、弁護士に相談に来る方の中には、相談に来る前に、すでに離婚のための計画を立てている方も多くいらっしゃいます。
本当に離婚をしたいのか、どのような条件で離婚をしたいのか、離婚をした後の生活設計をどうするのかといったことについて十分に考えてから弁護士に相談することで、現状に合ったアドバイスを得やすくなります。
後悔のない離婚のためには、離婚後を見据えた計画を立てるようにしましょう。
1-4 まとめ|これで離婚の準備は完璧チェックリスト
以上から、離婚の準備のチェックリストを作ると以下のようになります。
離婚の準備をする際の参考にしてください。
2章 ケース別!離婚準備の注意点
離婚には、様々なケースが存在します。
そして、それぞれのケースごとに注意していただきたいポイントがあります。
例えば、以下の5つケースです。
ケース2:子連れの離婚
ケース3:熟年離婚
ケース4:モラハラ夫との離婚
ケース5:不倫による離婚
それでは、これらのケースについて1つずつ順番に説明していきます。
2-1 ケース1:専業主婦の離婚
専業主婦の離婚の特徴は、生活費の確保が特に大切になるという点です。
専業主婦の場合、別居後の生活費の確保を特に優先する必要があります。
夫婦が婚姻している状況で、かつ別居をしている場合、別居中の生活費(婚姻費用)の請求が可能です。
毎月の婚姻費用は、双方の収入から、裁判所の作成した婚姻費用算定表を用いて計算します。
例えば、0~14歳の子どもが一人、相手方配偶者の給与所得が600万円、自分の給与所得が100万円の事例では、1か月あたり11万円前後の婚姻費用を請求をすることができます。
婚姻費用の支払いについて双方で合意が可能であれば、公正証書を作成し、離婚をするまでの間支払いを受けることも考えられますが、実際には支払いについて合意することは困難でしょう。
多くの場合は、裁判所に婚姻費用分担調停を申し立て、適正な婚姻費用の取り決めを行います。
なお、婚姻費用分担調停で婚姻費用を取り決めた場合、婚姻費用の支払ってもらえるのは、通常、調停を申し立てた月からです。
つまり、別居しても離婚調停を申し立てずにいると、その期間の婚姻費用を支払ってもらうことができずに、損をしてしまう可能性があるのです。
そのため、別居開始月から婚姻費用の支払いが受けられるよう、別居のタイミングに合わせて調停を申し立てるようにしましょう。
2-2 ケース2:子連れ離婚のケース
子連れ離婚の特徴は、親権が争われる可能性があるという点です。
親権が争われる場面に備え、子どもの世話はできるかぎり自分で行うようにしましょう。
また、子どもと一緒に過ごしている姿や、作った料理等、適宜写真を撮影するなどして別居前に監護実績が存在していたことを示す資料を残しておくといいでしょう。
別居先の住居を選ぶ際は、保育園や学校の利用に不自由がないかという点も確認することが大切です。
2-3 ケース3:熟年離婚のケース
熟年離婚の特徴は、財産分与の対象となる財産が多い点です。
熟年離婚の場合、婚姻期間が長期に渡ることが多く、夫婦共有財産に関する資料も多く存在することが想定されます。
別居前に、双方の財産にどのようなものが存在しているのかできる限り整理するようにしましょう。
また、配偶者の退職金が存在するかどうかを忘れずに確認するようにしましょう。
2-4 ケース4:モラハラ夫との離婚のケース
モラハラ夫との離婚の特徴は、慰謝料について争いになる点です。
配偶者からモラハラがあると感じた場合には、別居前に、モラハラが存在していたことを示す資料とするために配偶者の発言等を録音・録画しておきましょう。
また、メールやline履歴についても証拠となります。
もしも、これらの証拠の獲得が難しい場合には、自分で日記をつけて、具体的な発言の日時や発言内容を記録しておくことでも証拠となります。
なお、モラハラ夫との離婚については、個人間で離婚の話し合いをすることは困難なことが見込まれます。
そのため、弁護士に対してそれらの証拠があることを伝えたうえで、相談するようにしましょう。
2-5 ケース5:不倫による離婚のケース
不倫による離婚の特徴は、慰謝料の請求について争いになる点です。
配偶者との同居中、配偶者に不貞行為が存在した場合、別居前に不貞行為を示す資料をできる限り収集しておきましょう。
配偶者が不倫を否定した場合に不貞行為の存在を立証するためには、配偶者と不倫相手との間に肉体関係が存在していたことを示す資料が必要です。
肉体関係が存在していたことを示すメール・line履歴・画像データ・2人で同室していたことを示す写真等、できるだけ多くの資料を集めるようにしましょう。
3章 離婚する前にやるべきでないこと3つ
ここでは、離婚する前にやるべきでないこと3つを解説します。
以下の行為をすることで別居中の生活費(婚姻費用)の支払いが認められなくなったり、裁判で離婚が認められなくなったりしてしまうリスクがあります。
やるべきではないこと2:証拠を集める前に相手の不貞行為について問い詰める
やるべきではないこと3:多額の財産の持ち出しを行う
3-1 やるべきではないこと1:不貞行為をする
離婚する前に、浮気・不倫(不貞行為)をしてはいけません。
不貞行為をした場合、別居中の生活費(婚姻費用)の支払いが受けられなくなってしまう可能性があります。
さらに、「有責配偶者」(夫婦関係の破綻の原因を作った配偶者)に該当すると判断され、離婚請求そのものが認められなくなってしまう可能性があります。
3―2 やるべきではないこと2:証拠を集める前に相手の不貞行為について問い詰める
配偶者に不倫・浮気があったことに気が付いた時、証拠を集める前に相手の不貞行為について問い詰めてはいけません。
たしかに、配偶者に対する怒りや困惑、事実を確かめたい気持ちから、配偶者に不貞行為について問い詰めたい気持ちになることもあるでしょう。
しかし、十分な証拠を集める前に配偶者に不貞行為について問い詰めると、配偶者は不貞行為を示す資料を削除・破棄してしまう可能性があります。
将来的に不貞行為について争おうとした時に配偶者が不貞行為を否定するリスクもあるため、十分な証拠を集めるまでは不貞行為があることを知らないふりをすることが望ましいです。
3―3 やるべきではないこと3:多額の財産の持ち出しを行う
別居前に生活への不安から多額の財産の持ち出しを行わないようにしましょう。
なぜなら、多額の財産を持ち出したとしても、財産分与の際には持ち出した財産を戻すように言われてしまうためです。
裁判所の印象もよくないですし、配偶者との感情的な対立が深まってしまいます。
例えば、預金通帳から1日で100万円以上の財産の引き出しや振替を行っている場合などに、よくトラブルとなります。
4章 離婚前の準備でよくある4つの疑問を解消
離婚前の準備でよくある疑問として以下の4つがあります。
Q2:離婚前にどのくらいの貯金を準備すればいい?
Q3:離婚の準備を始める時期はいつから?
Q4:配偶者に貸しているお金がある場合にしておくことはある?
それでは、これらの疑問について順番に解消していきます。
4-1 Q1:男性の離婚準備と女性の離婚準備の違いは?
女性の方が男性と比べて収入が低い傾向にあり、女性から男性に対して財産分与や別居中の生活費(婚姻費用)の請求をすることが多いです。
そのため、女性としては、これらの請求を行うために十分な準備をしておく必要があります。
例えば、以下のような準備が大切となります。
・財産に関する資料のコピーを用意
・双方の収入について大まかに把握したうえで、裁判所の婚姻費用算定表でどの程度の婚姻費用が得られそうかの確認
4-2 Q2:離婚前にどのくらいの貯金を準備すればいい?
別居後にすぐ婚姻費用分担調停の申し立てを行ったとしても、すぐに別居中の生活費(婚姻費用)の支払いを受けられるわけではありません。
調停の申し立てを行った後に初回の期日が取り決められるため、申し立てから初回の調停までの間に1か月以上開くこともあります。
また、その後婚姻費用について取り決めを行うまで、1か月から1か月半に1回のペースで調停を重ねていくことが一般的です。
家計調査年報によると、2020年の単身世帯の平均的な消費支出は1か月平均15万506円とされています。
また、同年の2人以上の世帯の平均的な消費支出は1か月平均23万3568円とされています。
仮に別居後すぐに婚姻費用分担調停を申し立てて、3回目の期日で婚姻費用が決まり、婚姻費用が支払われるまで別居後から4か月が経過しているような場合の生活費を想定すると、
単身世帯の場合には60万2024円程度
2人以上の世帯の場合には93万4272円程度
を用意しておく必要がありそうです。
ただし、上記の金額には娯楽費等も含まれており、生活水準等により実際の金額は異なる場合がありますのでご注意ください。
(出典:家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)家計の概要:家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 <品目分類>1世帯当たり年間の支出金額,購入数量及び平均価格 4-2 年間収入階級別 二人以上の世帯・勤労者世帯 年次 2020年 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口 (e-stat.go.jp))
なお、別居先がどこになるかによっても必要な費用が異なってきます。
賃貸をした場合には敷金・礼金・賃料が必要になりますが、実家に戻った場合にはこれらの費用が不要になります。
さらに、ご自身に収入がある場合には、収入が存在することを前提に考えることができます。
生活費は家庭によって大きく異なるため、別居前に、ご自身や子どもが月にどの程度の出費をしているのか、どの程度の収入が期待できるのかを確認するようにしましょう。
4-3 Q3:離婚の準備を始める時期はいつから?
離婚を思い立った時から準備を始めることが良いでしょう。
なぜなら、資料の収集には時間が必要になることが多いためです。
具体的には、配偶者が持っている財産に関する資料のコピーをとったり、不倫がある場合には不倫があったことを示す資料を集めたりする必要があります。
そのため、離婚の準備の開始時期は早ければ早いに越したことはありません。
4-4 Q4:配偶者に貸しているお金がある場合にしておくことはある?
同居中から配偶者にどの程度の金額をいつ貸したのかということについて資料を残しておくようにしましょう。
配偶者に貸しているお金があり、返還を求めた場合、貸したお金と夫婦の財産との区別が難しいことや、お金を貸したのではなくあげたのだと反論されることがあります。
そのため、同居中から配偶者にどの程度の金額をいつ貸したのかということについて資料を残しておくようにしましょう。
具体的には、お金を貸したことについて契約書を残しておくことや、メールやlineでお金を貸したことについて確認しておくこと等が考えられます。
ただし、民法には「夫婦間で契約をしたときは、その契約は、婚姻中、何時でも夫婦の一方からこれを取り消すことができる。」という規定が存在します(754条)。
同条の「婚姻中」は実質的にも婚姻が継続されていることをいうとされています。
そのため、婚姻関係はあっても、夫婦関係が破綻している場合には取り消しが認められなくなります。
したがって、離婚をしたいと考えていることを書面や離婚調停の申し立てを行うことで明確に示した後に支払いを求めるといった対応が考えられます。
5章 離婚の準備は弁護士に相談しながら進めるのがおすすめ
離婚の準備は、弁護士に相談しながら進めることがおすすめです。
その理由は以下の4つです。
理由2:証拠の集め方を教えてもらえる
理由3:離婚手続にかかる負担を軽減できる
理由4:実は委任時期が早くても弁護士費用は変わらない
それでは順番に説明していきます。
5-1 理由1:心理的な支えになる
弁護士に依頼することで、他人に相談しにくい離婚に関することを気軽に相談できる相手ができます。
弁護士には守秘義務があるため、相談したことが第三者に知られてしまうこともありません。
離婚は精神的に辛いものではありますが、相談相手がいることで精神的な負担は軽減するでしょう。
5-2 理由2:証拠の集め方を教えてもらえる
事案によって必要な証拠や、証拠の集め方が異なります。
自分だけではどのような資料を集めたらいいのか、どうやって集めたらいいのか迷ってしまうこともあるでしょう。
そのような場合でも、弁護士に依頼することで、どのような証拠が必要になるかということだけではなく、その証拠をどのように集めるかということまで分かりやすく説明してもらうことができます。
5-3 理由3:離婚手続きにかかる負担を軽減できる
弁護士に依頼すると、裁判所に対して提出する離婚調停や婚姻費用分担調停の申し立てに関する書面を弁護士が作成します。
実際、ご本人で離婚手続きをされている方もいますが一般の方が法的な書面を作成するのには大きな労力がかかります。
弁護士に依頼することで書面の作成は勿論、相手方配偶者とのやり取りやあなたに有利な判例の調査なども任せることができますので、負担が大きく軽減されます。
5-4 理由4:実は委任時期が早くても弁護士費用は変わらない
調停を申し立てる段階で弁護士に委任しても、調停や裁判の途中で弁護士に委任しても、弁護士費用はほとんど変わらないことが多いです。
十分な知識がない状態で手続きを進めた場合には、自分にとって不利なことを主張してしまったり、有利な主張をできなかったりすることもあります。
このような場合、本来得られるべき利益を得られない形の離婚になってしまうリスクがあるのです。
このようなリスクを防ぐためにも、弁護士には早い段階で相談するようにしましょう。
6章 離婚準備の相談はリバティ・ベル法律事務所へ
離婚前にすることについて不安があるという方は、ぜひ、リバティ・ベル法律事務所にご相談ください。
別居前に収集しておくべき資料や別居の進め方等について、予め弁護士に相談しておくと安心です。
リバティ・ベル法律事務所では、離婚分野に注力しており、離婚の手続きの進め方や、別居の進め方といった内容について十分なノウハウを有しております。
初回相談は無料なので、お気軽にご相談ください。
7章 まとめ
以上のとおり、今回は、離婚前にするべき7つの準備をわかりやすく説明したうえで、ケース別の注意点や、やってはいけないことについて解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
・離婚前にするべき準備については以下のとおりです。
・離婚前にやるべきではない行為としては以下の3つがあります。
やるべきではないこと2:証拠を集める前に相手の不貞行為について問い詰める
やるべきではないこと3:多額の財産の持ち出しを行う
・離婚の準備は、弁護士に相談しながら進めるようにしましょう。
この記事が離婚前にどのような準備をすればいいのか悩んでいる方の助けになれば幸いです。