熟年離婚の慰謝料相場がいくらか知りたいと悩んでいませんか?
慰謝料の金額次第では、その後の生活に不安を覚えてしまう方も少なくないかと思います。
熟年離婚における慰謝料の相場は0円~300万円程度とされています。
このように金額の幅があるのは、様々な要素から判断されるためです。
例えば、熟年離婚における慰謝料の算定要素には以下の5つがあります。
要素2:婚姻期間
要素3:配偶者の年収や社会的地位
要素4:子どもの有無
要素5:配偶者の行為が夫婦の婚姻関係に影響を与えた度合い
そのため、慰謝料請求できる場合であっても、個別事情によって獲得金額が大きく変わることもあるのです。
しかし、慰謝料請求には期限があり、離婚したときから3年以内に請求しなければいけません。
実は、離婚の財産分与が落ち着いてから請求しようと考えていたために、請求期限を過ぎていたというケースが少なくないのです。
この記事をとおして、慰謝料請求する際の注意点についても知っていただければと思います。
今回は、熟年離婚の慰謝料相場と慰謝料請求ができるケースを説明した上で、請求する際の注意点について解説していきます。
具体的には以下の流れで解説していきます。
この記事を読めば、熟年離婚における慰謝料請求についてよくわかるはずです。
目次
1章 熟年離婚の慰謝料相場はいくら?5つの算定要素
熟年離婚の慰謝料相場は0円~300万円程度とされています。
相場について法律が定めているわけではありませんが、裁判官はいくつかの算定要素と相場を照らし合わせて判断することになるためです。
具体的には、以下の5つの算定要素を考慮することになります。
要素2:婚姻期間
要素3:配偶者の年収や社会的地位
要素4:子どもの有無
要素5:配偶者の行為が夫婦の婚姻関係に影響を与えた度合い
特に、熟年離婚の慰謝料請求においては「離婚理由」によって金額が大きく変動しやすいです。
例えば、離婚理由毎の慰謝料相場は以下のとおりとなります。
ただし、これらはあくまでも相場であるため、個別事情によって金額が変動することに注意が必要です。
2章 熟年離婚で慰謝料請求できるケース4つ
熟年離婚した場合でも、当然に慰謝料請求できるわけではありません。
慰謝料を請求するには、法律上の条件を満たす必要があるのです。
例えば、熟年離婚で慰謝料請求できるケースとしては以下の4つがあります。
ケース2:暴力や暴言がある場合
ケース3:生活費を入れない場合
ケース4:セックスレスの場合
それでは各ケースについて順番に説明していきます。
2-1 ケース1:配偶者が不倫した場合
熟年離婚で慰謝料請求できるケース1つ目は、配偶者が不倫した場合です。
結婚した夫婦は互いに貞操義務を負っており、配偶者以外と性的関係を持つことはできません。
貞操義務に違反して不倫をした場合、不法行為として配偶者に損害賠償請求することができます。
なお、不倫相手に対して、不貞慰謝料ではなく、離婚慰謝料を請求することは、原則としてできないとされています。
しかし、不倫相手が夫婦を離婚させるために不当な干渉をした場合には、例外的に慰謝料請求できる場合があります。
2-2 ケース2:暴力や暴言がある場合
熟年離婚で慰謝料請求できるケース2つ目は、暴力や暴言がある場合です。
暴言や暴力などのいわゆるDVについても、慰謝料請求の対象となります。
なぜなら、配偶者の言動によって肉体的・精神的苦痛を受けたことになるためです。
DVには以下の6つのような種類があります。
2-3 ケース3:生活費を入れない場合
熟年離婚で慰謝料請求できるケース3つ目は、生活費を入れない場合です。
夫婦は互いに扶助義務を負っており、助け合いながら生活しなければいけません。
しかし、この義務に違反したときは慰謝料請求できることがあります。
例えば、専業主婦等の収入がない配偶者に無断で別居して、生活費も入れないといった場合には悪意の遺棄として離婚事由となるほか慰謝料請求の対象となります。
2-4 ケース4:セックスレスの場合
熟年離婚で慰謝料請求できるケース4つめは、セックスレスの場合です。
セックスレスとは、法律上に明確な定義はないものの、配偶者と性交渉のない期間が1か月を超える場合をいうとされています。
セックスレスが慰謝料請求の対象となる場合として、例えば以下の3つの場合が挙げられます。
・配偶者が不倫している場合
・性的DVによる場合
3章 熟年離婚で慰謝料請求できないケース4つ
慰謝料請求は法律上の条件を満たさなければすることができません。
熟年離婚で慰謝料請求できないケースには以下の4つがあります。
ケース2:重度の精神障害の場合
ケース3:双方に離婚原因がある場合
ケース4:宗教性の違いによる場合
それでは各ケースについて順番に説明していきます。
3-1 ケース1:性格の不一致の場合
熟年離婚で慰謝料請求できないケース1つ目は、性格の不一致の場合です。
性格の不一致による熟年離婚の場合には、慰謝料請求が認められないのが一般的とされています。
なぜなら、性格の不一致は夫婦の相性に過ぎないと考えられているためです。
3-2 ケース2:重度の精神障害の場合
熟年離婚で慰謝料請求できないケース2つ目は、重度の精神障害の場合です。
重度の精神障害は法律上の離婚理由にあたりますが、慰謝料請求は認められないのが一般的です。
なぜなら、自ら精神障害になろうとする人はいないと考えられるためです。
3-3 ケース3:双方に離婚原因がある場合
熟年離婚で慰謝料請求できないケース3つ目は、双方に離婚原因がある場合です。
双方に同程度の離婚原因がある場合には、お互い様であり慰謝料は請求しないことが多いです。
なぜなら、過失相殺によって慰謝料の金額が少なくなってしまうためです。
しかし、一方の配偶者の非が大きい場合には慰謝料を十分に回収できることがあります。
例えば、一方は暴力などのDVをしていたのに対し、もう一方は不倫を1回したにすぎない場合にお互い様というのは難しいでしょう。
そのため、双方に離婚原因がある場合には慰謝料を請求しないことが多いですが、一方の非が大きい場合には慰謝料を請求すべきケースもあります。
3-4 ケース4:宗教性の違いによる場合
熟年離婚で慰謝料請求できないケース4つめは、宗教性の違いによる場合です。
宗教性の違いを理由とする熟年離婚では、慰謝料を請求することは難しいとされています。
なぜなら、どんな宗教を信仰するかは個人の自由とされているためです。
しかし、結婚前から宗教に入信していることを隠していた場合等には慰謝料を請求できるケースもあります。
4章 熟年離婚で慰謝料を請求する手順3つ
熟年離婚の慰謝料を請求するためには必要な手続があります。
熟年離婚で慰謝料を請求する手順は以下の3つです。
手順2:相手方との交渉
手順3:離婚調停や訴訟
それでは各手順について順番に説明していきます。
4-1 手順1:離婚慰謝料の請求
熟年離婚で慰謝料を請求する手順1つ目は、離婚慰謝料を請求することです。
離婚慰謝料を請求したい場合には、まずは配偶者に請求の意思を伝えることになります。
例えば、証拠として残る内容証明郵便やSNS、手紙等で請求することが考えられます。
ここで請求した慰謝料の金額は、今後の交渉でベースとなる金額のため十分な金額を提案するようにしましょう。
4-2 手順2:相手方との交渉
熟年離婚で慰謝料を請求する手順2つ目は、相手方との交渉です。
配偶者が離婚慰謝料請求自体を争わない場合には、交渉をすることになります。
交渉では以下の事項を話し合うといいでしょう。
・支払時期
・支払方法(支払場所、振込先等)
これらの事項につき合意ができれば、後の争いを防ぐために公正証書を作成するようにしましょう。
4-3 手順3:離婚調停や訴訟
熟年離婚で慰謝料を請求する手順3つ目は、離婚調停や訴訟です。
離婚調停とは、家庭裁判所で調停員のサポートを受けながら離婚慰謝料を含む離婚の条件について夫婦が話し合う手続をいいます。
交渉で話し合いがまとまらなければ、まずは家庭裁判所に離婚調停を申し立てることを検討しましょう。
調停で合意できれば、調停調書が作成されて夫婦はその内容に従うことになります。
他方で、合意ができなければ訴訟を提起することになり、裁判官が慰謝料請求の可否やその金額を判断することになります。
5章 熟年離婚で慰謝料請求する場合の注意点3つ
熟年離婚で慰謝料を請求しようと考えている場合、注意していただきたい点がいくつかあります。
熟年離婚で慰謝料請求する場合の注意点は以下の3つです。
注意点2:慰謝料請求には期限がある
注意点3:課税対象となることがある
5-1 注意点1:証拠を集めておく
熟年離婚で慰謝料請求する場合の注意点1つ目は、証拠を集めておくことです。
慰謝料請求をする場合には証拠が重要となります。
なぜなら、証拠の有無で記載した請求金額の説得力も変わってくるためです。
特に、熟年離婚後も同居しているケースは少なく、離婚後の証拠収集は困難なケースが少なくありません。
そのため、慰謝料請求をしたいと考えている場合には、離婚前から以下のような証拠を集めておくといいでしょう。
5-2 注意点2:慰謝料請求には期限がある
熟年離婚で慰謝料請求する場合の注意点2つ目は、慰謝料請求には期限があることです。
離婚慰謝料は以下の期間を経過すると、請求することができなくなります。
注意が必要なのが、不倫相手に対する慰謝料請求についてです。
不倫相手に対する慰謝料請求は、不倫慰謝料の請求期限を過ぎてしまうと例外的事情がない限り請求できなくなってしいます。
なぜなら、離婚慰謝料としての不倫相手への請求は原則として認められず、請求できるのは「婚姻関係に対する不当な干渉」があった場合に限られるためです。
そのため、不倫相手への慰謝料請求を考えている場合には、離婚慰謝料と不倫慰謝料の違いを意識しておくことが重要です。
5-3 注意点3:課税対象となることがある
熟年離婚で慰謝料請求する場合の注意点3つ目は、課税対象となることがあることです。
離婚慰謝料は、損害賠償金にあたるため原則として非課税とされています。
しかし、慰謝料が高額にすぎるなど社会通念上相当な金額を超えた場合には、課税対象となることがあります。
例えば、慰謝料支払いの代わりとして1000万円の自動車を渡した場合、実質的な贈与として課税されることがあります。
6章 熟年離婚における慰謝料請求と財産分与の関係
離婚慰謝料と財産分与請求は、異なる権利のため同時に請求することができます。
しかし、財産分与は慰謝料的要素を含むことがあり、実質的に離婚慰謝料が支払われていることもあります。
財産分与で離婚慰謝料が全額支払われている場合、慰謝料の二重取りはできないため財産分与とは別に離婚慰謝料は請求できないため注意が必要です。
そのため、協議中等の生活費に不安のある方は、離婚慰謝料とは別に以下の請求をしていくことになります。
・養育費の請求
7章 離婚慰謝料を含む熟年離婚の相談はリバティ・ベル法律事務所にお任せ
離婚慰謝料を含む熟年離婚の相談は、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。
熟年離婚における慰謝料については、交渉力や知識の格差が金額に大きく影響する分野です。
リバティ・ベル法律事務所は、離婚問題に注力しており、この分野に圧倒的な知識とノウハウを持っています。
少数精鋭でご依頼を受けた一つ一つの案件について、離婚問題に強い弁護士が丁寧に向き合っているところが弊所の強みです。
離婚慰謝料については、ご依頼者様の負担を軽減するために初回相談無料にて対応しておりますのでお気軽にお問い合わせください。
8章 まとめ
今回は、熟年離婚の慰謝料相場と慰謝料請求ができるケースを説明した上で、請求する際の注意点について解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
・熟年離婚の慰謝料相場は0円~300万円程度とされており、以下の5つの要素が考慮されます。
要素1:離婚理由
要素2:婚姻期間
要素3:配偶者の年収や社会的地位
要素4:子どもの有無
要素5:配偶者の行為が夫婦の婚姻関係に影響を与えた度合い
・熟年離婚で慰謝料請求できるケースは以下の4つです。
ケース1:配偶者が不倫した場合
ケース2:暴力や暴言がある場合
ケース3:生活費を入れない場合
ケース4:セックスレスの場合
・熟年離婚で慰謝料請求できないケースは以下の4つです。
ケース1:性格の不一致の場合
ケース2:重度の精神障害の場合
ケース3:双方に離婚原因がある場合
ケース4:宗教性の違いによる場合
・熟年離婚で慰謝料を請求する手順は以下の3つです。
手順1:離婚慰謝料の請求
手順2:相手方との交渉
手順3:離婚調停や訴訟
・熟年離婚で慰謝料請求する場合の注意点は以下の3つです。
注意点1:証拠を集めておく
注意点2:慰謝料請求には期限がある
注意点3:課税対象となることがある
・財産分与で慰謝料が支払われている場合には、慰謝料の二重取りを防ぐため別個に請求することはできません。
この記事が熟年離婚における慰謝料請求について知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
コメント