契約書の作り方が分からずに悩んでいませんか?
「あまり内容を見ずに契約書にサインしてしまう方」や「口約束で契約を進めてしまう方」も多いですよね。
しかし、取引を行う際に実態に即した契約書を作成することはトラブルを回避するうえで非常に重要となります。
トラブルとなった後に、契約書がなかったり、自分に不利な条項となっていたりすると、大きな損害を被ってしまうことがあります。
例えば、あなたが、ある役務を50万円で受注したとしましょう。数か月間かけてこれを達成し報酬を請求しようとしたら、相手から10万円しか払わないと言われてしまいました。
このような場合には、当初、あなたと相手方との間において、その役務の対価をいくらと合意したのかについて、あなた自身が証明しなければいけません。
実際、私が相談を受ける中でも、契約書さえ作っておけば紛争になっていないのではないかと感じる案件が後を絶ちません。
とはいっても、毎回、細かい字がびっしりと敷き詰められたような何十頁にもわたるような契約書を作成する必要はありません。
契約書を作成するに当たっては、押さえておきたい形式と基本的な条項があります。これらを理解することで個人でも簡単に契約書を作成することができます。
また、取引相手から契約書を示された場合であっても、要点が分かっていれば適切に修正・削除・加筆を求めることができるでしょう。
この記事では、契約書のテンプレートや例文を用いながら、契約書の形式や条項、作成手順をわかりやすく説明できればと思います。
今回は、個人でも簡単な契約書の作り方と基本条項9つを例文付きで紹介したうえで、契約書作成のポイント5つを解説します。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、基本的な契約書作成の方法がわかり、個人でも簡単に契約書が作れるようになるはずです。
目次
1章 なぜ契約書が必要か?契約書作成の目的2つ
契約書が必要な理由は、トラブルを未然に防止するためです。
契約自体は、契約書を作成せずとも、口頭だけで有効に成立します。
しかし、口頭ですと、どのようなやり取りがあったのかが不明確となり、立証も難しくなります。また、そもそも、口頭のやり取りのみで、網羅的に合意を形成することは困難です。
これに対して、契約書を作成しておくことで、紛争が発生することを予防することができ、仮に紛争が発生した場合でも解決に要するコスト抑えることに繋がります。
具体的には、契約書作成の目的については、以下の2つに細分化できます。
目的2:不測の事態に備える
それでは、各目的について順番に説明していきます。
1-1 合意の有無・内容を明確にする
契約書作成の目的の1つ目は、合意の有無・内容を明確にすることです。
契約書が作成されていないと、そもそも未だ契約の交渉段階であって、合意に至っていなかったと反論されてしまうことがあります。
また、契約書がないと、いつまでに履行するべきであったのか、履行できなかった場合の責任はどうするのか、報酬はいくらとするのか等、内容についても争いになります。
例えば、メールやチャット、LINE、議事録等、すべてのやり取りを整理して、どのような約束がされていたのかを莫大な時間と労力をかけて分析しなければならなくなります。
1-2 不測の事態に備える
契約書作成の目的の2つ目は、不測の事態に備えることです。
取引を行っていると、当初想定していなかったような状況となることがあります。
例えば、材料費の高騰、疫病の蔓延、資力不安、履行期の徒過、第三者からもクレーム、商品の欠陥等が生じる場合などです。
これらの事態にどのように対応すべきかを記載していない場合には、法律に従い、民法や商法等の法律の規定に沿って解決していくことになります。
しかし、法律の規定は、あなたの取引ではなく、広く一般的な取引を対象に制定されているものです。
そのため、あなたの取引の実情に即していないこともありますし、そもそも法律に明確な規定がないこともあります。
そこで、不測の事態に備えて、起こりうるトラブルに関して事前に合意をしておくのです。
見積書や発注書があるので、契約書は作成していないというお話を聞くことがあります。
しかし、上記のトラブルを未然に防止するという観点からは、見積書や発注書だけでは不十分です。
まず、見積書や発注書については、一方当事者が作成するものですので、他方当事者がこれに承諾するとの意思まで立証できないことがあります。
例えば、発注書に納期の記載があり、これに対して、他方当事者が納期については間に合わない可能性がある旨を回答しながら、納品準備に取り掛かるような場合です。
この場合には、間に合わなかった場合に、納期について合意が成立しているのか否かトラブルとなりかねません。
また、見積書や発注書については、起こりうるトラブルに関して事前に網羅的に記載するものではないので、この面でも不測の事態が生じた場合のリスクが大きくなります。
そのため、契約をする際には、見積書や発注書だけでは不十分であり、契約書を作成することが望ましいのです。
2章 契約書作成における形式|入れておきたい6つの項目
契約書を作成するに当たっては、形式面をさえておくことが肝要です。
とくに、以下の6つの項目については、入れておくといいでしょう。
項目2:前文
項目3:条項
項目4:後文
項目5:日付
項目6:署名押印
それでは、各項目について順番に解説します。
2-1 項目1:タイトル
契約書に入れておきたい項目の1つ目は、タイトルです。
冒頭に契約書の名称を記載します。冒頭に契約書の名称を記載することにより、一見してどのような契約なのかが分かりやすくなります。
例えば、契約書に以下のような名称を付します。
・取引基本契約書
・賃貸借契約書
・請負契約書
・雇用契約書
・業務委託契約書
・秘密保持契約書
ただし、契約書の名称から、当然にその契約の性質が決まるわけではありません。
例えば、「業務委託契約書」という名称の契約書を締結して業務を行っている場合であっても、実態次第では雇用契約であると認定されることもあります。
そのため、契約の名称を付することは重要ではありますが、実態が伴ったもの必要があることに注意しましょう。
2-2 項目2:前文
契約書に入れておきたい項目の2つ目は、前文です。
契約書の前文では、誰と誰がどのような契約を結んだかなどを記載します。
例えば、以下のように記載します。
記載例
「●●(以下甲という)と●●(以下乙という)とは、以下のとおり●●契約を締結した。」
通常、前文において、甲、乙などの契約書上の呼称を記載しておきます。
2-3 項目3:条項
契約書に入れておきたい項目の3つ目は、条項です。
契約書のメインとなる部分であり、合意する内容を記載します。
例えば、以下のように記載します。
記載例
第●条(●●●●)
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
2 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
3 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
条文番号の横にその条項の内容を簡潔に示すワードを記載しておきます。
また、第1項の横には番号を付しないことが多く、第2項以降については、「2」「3」などと番号を付しておきます。
2-4 項目4:後文
契約書に入れておきたい項目の4つ目は、後文です。
後文には、契約書を何通作成したかを記載します。
例えば、以下のように記載します。
記載例
「本契約の成立を証するため本書2通を作成し、各自記名押印の上、各1通を保有する。」
2-5 項目5:日付
契約書に入れておきたい項目の5つ目は、日付です。
契約書を作成した日付を記載します。
トラブルとなることを防ぐため、日付を遡って記載することなどはやめた方がいいでしょう。
2-6 項目6:署名押印
契約書に入れておきたい項目の6つ目は、署名押印です。
契約に合意したことを示すために署名と押印を行います。
押印については、三文判などで押すことも有効です。
ただし、本当にその人自身の印鑑で押印されているのか争いになることもありますので、重要な契約の場合には実印で押すこともあります。
3章 契約書作成における基本的な条項9つの例文
契約書を作成するに当たっては、いくつかの基本的な条項があります。
まずは核となるこれらの条項をおさえておくことで、契約書を作成しやすくなります。
具体的には、契約書作成における基本的な条項は以下の9つです。
条項2:目的物の引き渡し・役務の提供条項
条項3:支払条項
条項4:損害賠償条項
条項5:解除条項
条項6:反社会的勢力の排除条項
条項7:秘密保持条項
条項8:契約期間条項
条項9:管轄条項
それでは、各条項について、例文とともに順番に説明していきます。
3-1 条項1:目的条項
契約書作成における基本的条項の1つ目は、目的条項です。
目的条項とは、文字通り、その契約の目的を記載した条項です。
例えば、以下のとおり、その契約の核となる事項を記載しておくことが通常です。
記載例
第1条(目的)
甲は、乙に対し次条に定める業務を委託し、乙はこれを受託した。
契約の目的は債務不履行責任にも関わってきますので、場合によっては取引に至る経緯や動機、製品の用途などについても、必要な範囲で記載しておきます。
3-2 条項2:目的物の引き渡し・役務の提供条項
契約書作成における基本的条項の2つ目は、目的物や役務条項です。
多くの契約書では、当事者の一方は、「商品等の引き渡しを行う義務」や「役務を提供する義務」を負うことになります。
目的物の引渡条項とは、いつ、どこで、何を引き渡す義務を負うのかを記載した条項です。
役務を提供条項とは、どのような役務を提供するのか記載した条項です。
例えば、以下のような規定をおくことになります。
記載例
【目的物の引渡条項】
第2条(引渡し)
1 乙は、甲に対し、令和○年○月○日、○○にて、本件商品を引き渡す。
2 甲又は乙は、相手方の承諾を得て、引渡日若しくは引渡し場所を変更することができる。ただし、変更により費用が増加した場合、増加分は変更を申し出た者の負担とする。
【役務の提供条項】
第2条(業務内容)
乙は、甲に対して、下記の業務(以下、「本件業務」という。)を行う。
記
1.●●●●●●
2.●●●●●●
3.●●●●●●
以上
3-3 条項3:支払条項
契約書作成における基本的条項の3つ目は、支払条項です。
支払条項とは、対価としていくら支払うのか、いつまでに支払うのか、どのようにして支払うのかなどを記載した条項です。
例えば、以下のような規定をおくことになります。
記載例
第3条(報酬の支払い)
甲は、前条の業務の対価として、乙に対し、令和●年●月●日限り、金●●●万●●●●円(消費税込み)を銀行口座[●●銀行●●支店普通(●●●●●●●)●●●●]に振り込み送金する方法により支払う。ただし、振込手数料は甲の負担とする。
3-4 条項4:損害賠償条項
契約書作成における基本的条項の4つ目は、損害賠償条項です。
損害賠償条項とは、当事者に契約違反があった場合における損害賠償に関する取り扱いを記載した条項です。
例えば、以下のような規定を置くことになります。
記載例
第4条(損害賠償)
甲または乙は、本契約に違反して相手方に損害を与えたときは、相手方に生じた損害を賠償する責任を負う。
そして、場合によっては、損害の範囲について以下のように明確化しておきます。
・相手方に生じた一切の損害を賠償する責任を負う(民法より広い)
・通常損害と予見可能な特別損害についてのみ賠償責任を負う(民法と同様)
・通常損害についてのみ賠償責任を負う(民法より狭い)
また、場合によっては、故意過失の有無について以下のように明確化しておきます。
・故意過失の有無を問わず、相手方に生じた損害を賠償する責任を負う(民法より広い)
・故意過失がある場合に限り、相手方に生じた損害を賠償する責任を負う(民法と同じ)
・故意又は重大な過失がある場合限り、相手方に生じた損害を賠償する責任を負う(民法より狭い)
・故意がある場合に限り、相手方に生じた損害を賠償する責任を負う(民法より狭い)
3-5 条項5:解除条項
契約書作成における基本的条項の5つ目は、解除条項です。
解除条項とは、一定の事由が生じた場合に契約を終了させることができる条項です。
一定の状況に陥った場合には、そのまま契約上の義務を負担し続けることがリスクとなってしまうことがあります。
例えば、取引相手が無資力となってしまい、あなたが義務を履行したとしても、取引相手から代金を回収できる可能性が乏しいような場合には、あなたも義務を履行せず取引を終了したいと考えるはずです。
例えば、以下のような規定を置いておくことになります。
記載例
第5条(解除)
甲および乙は、相手方が次の各号のいずれか一つに該当する場合には、通知を要せず、直ちに本契約を解除することができる。なお、この解除は、解除した当事者による相手方に対する損害賠償の請求を妨げない。
(1) 本契約に違反したとき
(2) 監督官庁より営業の許可の取消し等の処分を受けたとき
(3) 支払停止もしくは支払不能の状態に陥ったとき
(4) 差押え、仮差押え、仮処分若しくは競売の申立てを受けたとき
(5) 破産手続、民事再生手続、会社更生手続、特別清算手続開始の申立てを受け、又は自ら申立てを行ったとき
(6) 事業の全部または重要な一部を譲渡、会社合併、分割または解散の決議をしたとき
(7) その他、前各号に準じる事由が生じたとき
3-6 条項6:反社会的勢力の排除条項
契約書作成における基本的条項の6つ目は、反社会的勢力の排除条項です。
反社会的勢力の排除条項とは、反社会的勢力ではないことや暴力的な要求行為をしないことなどを保証する条項です。
コンプライアンスを徹底するためにも、入れておくべき条項です。
例えば、以下のような規定をおいておきます。
記載例
第6条(反社会的勢力の排除)
甲および乙は、次の各号の事項を確約し、これに違反した場合、何らの催告を要さずに本契約を解除することができる。
(1) 暴力団、暴力団構成員、暴力団関係企業、総会屋若しくはこれらに準ずる者(以下総称して「反社会的勢力」という)ではないこと
(2) 役員(取締役、執行役、執行役員、監査役又はこれらに準ずる者をいう)が反社会的勢力ではないこと
(3) 反社会的勢力に対して資金を提供し、又は便宜を供与しないこと
(4) 反社会的勢力と社会的に非難される関係を有していないこと
(5) その他、業務内容が公序良俗に違反すると認められるときる行為
2 前項の解除は、解除した当事者による相手方に対する損害賠償を妨げない。ただし、解除された者は、相手方に対し一切の請求を行わない。
反社会的勢力の排除条項については、以下の記事で詳しく解説しています。
3-7 条項7:秘密保持条項
契約書作成における基本的条項の7つ目は、秘密保持条項です。
秘密保持条項とは、その取引から得た相手方の情報に関して、守秘義務を課す条項です。
自社の秘密情報を守るために入れておきたい条項です。
例えば、以下のような規定をおきます。
記載例
第7条(秘密保持)
1 甲および乙は、本契約に係る取引を通じて知り得た相手方の機密情報を秘密として保持する。保持している秘密は、相手方の事前の同意なく、第三者に開示又は漏洩してはならない。
2 第1項に定める義務は、本契約終了後○年間は継続するものとする。
3-8 条項8:契約期間条項
契約書作成における基本的条項の8つ目は、契約期間条項です。
契約期間条項とは、その契約の効力がいつからいつまで生じるのかを記載した条項です。
無期限に義務を負い続けることを防ぐために入れておきたい条項です。
例えば、以下のような規定をおきます。
記載例
第8条(契約期間)
本件業務に係る契約期間は、本契約の締結日から1年間とする。
3-9 条項9:管轄条項
契約書作成における基本的条項の9つ目は、管轄条項です。
管轄条項とは、紛争になった場合にどの裁判所で解決するかを記載しておく条項です。
例えば、以下のような規定をおいておきます。
記載例
第9条(管轄)
本契約に関連する訴訟については、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
管轄条項については、以下の記事で詳しく解説しています。
4章 ダウンロード可能!簡易契約書のテンプレート
本記事では、簡易契約書のテンプレートがダウンロード可能(登録不要・無料)となっております。
以下の種類の簡易契約書のテンプレートを用意しました。
テンプレート2:売買契約書
テンプレート3:秘密保持契約書
今後も随時テンプレートを追加予定です。
4-1 取引基本契約書
取引基本契約書とは、同じ相手と反復して契約を締結する場合に、あらかじめ共通した内容を定めておく契約書です。
取引基本契約書については以下の記事で詳しく解説しています。
4-2 売買契約書
売買契約書とは、一方があるものを売り渡し、他方がこれに対して代金を支払う契約書です。
売買契約書については、以下の記事で詳しく解説しています。
4-3 秘密保持契約書
秘密保持契約書とは、取引において知りえた情報を第三者に開示しないことを約する契約書です。
秘密保持契約書については以下の記事で詳しく解説しています。
5章 個人でも簡単!契約書の作り方|契約書作成手順
契約書の作り方には手順があり、その流れを理解することで、個人でも簡単に契約書を作成することができます。
具体的には、契約書作成の手順は以下のとおりです。
手順2:一方が契約書のドラフトを作成する
手順3:他方が契約書のドラフトに修正・削除・加筆する
手順4:調印手続きを行う
それでは、各手順について順番に解説していきます。
5-1 手順1:話し合いで認識の共有を図る
契約書作成の手順1は、話し合いで認識の共有化を図ることです。
おおよそどのような取引をするのかメールやチャット、電話、オンライン、対面等ですり合わせをします。
「何をいくらで売るのか、納期はいつまでなのか」、「何を委託し、報酬はいくらで、いつまでに履行するのか」等の核となる部分を決めておきましょう。
5-2 手順2:一方が契約書のドラフトを作成する
契約書作成の手順2は、一方が契約書のドラフトを作成することです。
概ねどのような取引を行うかを決めたら、一方が契約書のドラフト(第1案)を作成しましょう。
契約書のドラフト(第1案)を作成する際には、テンプレートなどを参考にしながら、適宜その事案にあった契約となるように修正・加筆・削除していきます。
同一の取引を多数の相手方と行うような場合には、事前に自社のひな型を作っておくこともあります。
5-3 手順3:他方が契約書のドラフトに修正・削除・加筆する
契約書作成の手順3は、他方が契約書のドラフトに修正・削除・加筆することです。
取引の相手方から契約書が送られてきた場合には、その内容を精査します。
契約書のドラフトについては、多くの場合、作成者側に有利な条項が多く含まれています。
内容を読まずに署名押印するようなことは危険ですのでやめましょう。
修正・削除・加筆をして、必要に応じてその理由を記載したうえで、相手方に回答することになります。
5-4 手順4:調印手続きを行う
契約書作成の手順4は、調印手続を行うことです。
契約書のドラフトに双方が納得したら、最後に調印手続きを行うことになります。
郵送、対面、電子などやり方は複数あります。
郵送については、一方が署名押印済みの契約書を2部郵送し、他方がこれに署名押印をし、日付を記入した後、一部のみを返送する方法です。
対面については、同席の場で双方が契約書に署名押印をし、日付を記入し、一部ずつ持ち帰る方法です。
電子については、一方が電子契約を提供しているオンラインサービスに登録しているような場合に、そのサービスを利用して他方のメールアドレス等に契約書のPDFデータを送り電子署名を交わす方法です。
契約書を作成してほしいと、どのように切り出していいのか分からない方も多いでしょう。
例えば、以下のようなメールを送り契約書作成を促すことがあります。
6章 契約書作成のポイント(注意点)5つ
契約書作成にあたっては、いくつか押さえておいていただきたいポイントがあります。
契約書作成をするにあたっては、マナーないしはルールのようなものが存在するためです。
具体的には、契約書作成のポイント(注意点)を5つ厳選すると以下のとおりです。
・ポイント2:危険な条項がないか確認する
・ポイント3:言葉は統一し省略しない
・ポイント4:優先度を意識してレビューを行う
・ポイント5:修正等をする場合にはその旨を告げる
それでは、各ポイントについて順番に説明していきます。
6-1 ポイント1:実態に即した契約書にする
契約書作成のポイントの1つ目は、実態に即した契約書にすることです。
よくあるのがテンプレートをそのまま使用してしまい、実際の取引では機能しない条項ばかりが規定されたものになってしまっているケースです。
その取引がどのような流れで進んでいくのかを分析したうえで、契約書の各条項についてもその流れに沿ったものにする必要があります。
6-2 ポイント2:危険な条項がないか確認する
契約書作成のポイントの2つ目は、危険な条項がないか確認することです。
契約書を見ていると一方にとって大きなリスクとなる規定が存在していることがあります。
例えば、以下のような条項です。
・当該契約違反により生じた一切の損害を負担するとの条項
・当該契約により損害が生じた場合でも一切責任を負わないとの条項
このような条項がある場合には、削除、修正を求めましょう。
6-3 ポイント3:言葉は統一し省略しない
契約書作成のポイントの3つ目は、言葉は統一し省略しないことです。
まず、同一の契約書内では、同じ意味の単語については、言葉を統一しましょう。
例えば、商品、製品、目的物など、同じ意味のつもりで、異なる言葉を使ってしまうと、解釈の余地が生まれてしまい、契約書が不明確になってしまいます。
また、契約書内では、言葉は省略せずに正式名称で記載しましょう。
例えば、「東京地方裁判所」を「東京地裁」などと省略して記載するのはやめましょう。
6-4 ポイント4:優先度を意識してレビューを行う
契約書作成のポイントの4つ目は、優先度を意識してレビューを行うことです。
契約書のドラフトを精査する際に、細かい表現などについてすべて指摘しようとすると、契約交渉に膨大な時間がかかってしまいます。
また、契約を締結する際には、それぞれの交渉力に差があることが多いので、修正をお願いしたからと言って、直ちにこれに応じてもらえるとも限りません。
必要に応じて、修正の理由を説明して、相手方から対案が示されるなどのプロセスが生じる場合もあります。
そのため、契約書のレビューをする際には、気になる事項すべての修正を求めるのではなく、交渉力に応じて、とくにリスクの高い部分を優先して、修正するよう求めていきましょう。
6-5 ポイント5:修正等をする場合にはその旨を告げる
契約書作成のポイントの5つ目は、修正等をする場合にはその旨を告げることです。
契約交渉については信頼関係のもとで成り立っていますので、修正等をする部分については明示しましょう。
例えば、調印の手続き前に、相手方に伝えずに条項を修正して、相手方が気付かずに押印をしてしまったようなケースでは、その後、トラブルに発展しかねません。
信用を失ってしまい、今後取引をしてもらえなくなってしまう可能性もあります。
7章 契約書作成のよくある疑問5個
契約書作成のよくある疑問としては、以下の5つがあります。
Q1:契約書はどちらが作成する?
Q2:契約書は何通作成するべき?
Q3:契約書の割印と契印って何?
Q4:契約書は製本化(袋とじ)すべき?
Q5:いくらの収入印紙を貼付すればいい?
それではこれらの疑問について一つずつ解消していきます。
7-1 Q1:契約書はどちらが作成する?
通常は、交渉力の強い企業の方が同取引に関して自社の雛型などを持っていることがあり、それをドラフトとして修正、削除していくことになります。
7-2 Q2:契約書は何通作成するべき?
通常は、1対1で契約を行いますので、それぞれが1通ずつ保有するものとして合計2部を作成します。
7-3 Q3:契約書の割印と契印って何?
契約書の契印とは、契約書が2枚以上にわたる際に1つの連続し他文書であることを示すために、両ページにまたがってハンコを押すことです。
なお、A3用紙を用いて、2ページを1枚に印刷する「2in1印刷」を用いて、両面印刷を行う方法により4頁までであれば1枚の紙に印刷することができますので、契印を押さずに済ますことも可能です。
7-4 Q4:契約書は製本化(袋とじ)すべき?
すべてのページに契印を押す方法であっても、複数枚にわたる契約書が一つの連続したものであることを示せるためです。
しかし、すべてのページに契印を押すことは煩雑なので、数十枚にわたるなど量が多い場合には製本化(袋とじ)を行うこともあります。
7-5 Q5:いくらの収入印紙を貼付すればいい?
文書の種類ごとに印紙税額を定めた印紙税額一覧表は以下のとおりです。
出典:国税庁ホームページ 印紙税額一覧表(第1号文書から第20号文書まで)令和4年4月1日現在
8章 契約書作成に必要な資格は?弁護士の契約書作成費用の相場
契約書作成やチェックについては、自社で用いる契約書を従業員である法務部員が担当するようなケースでは、資格は不要となります。
ただし、外部の者が報酬を得る目的で仕事として契約書の作成やチェックに携わる場合には資格が必要となります。
契約書の作成やレビューを行う際の主な資格は弁護士や行政書士です。
契約書の作成やチェックを依頼する際には、実際に取引に関する紛争に携わった経験のある弁護士に依頼することがおすすめです。
どのような点が争いになり裁判所からどのような判断をされるかを熟知していることにより、紛争の予防に関しても具体的な助言を得ることができるためです。
契約書チェックの弁護士費用の相場は、1ページ1万円~2万円程度です。
契約書作成の弁護士費用の相場は、10万円~20万円程度です。
ただし、顧問契約を結んでいる場合には割引を受けられることもあります。
また、専門性の高い内容である場合、複雑な場合、外国語の場合などには、上記よりも高額になる傾向にあります。
9章 契約書の相談はリバティ・ベル法律事務所にお任せ|サポート内容のご案内
契約書の相談は、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。
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10章 まとめ
以上のとおり、今回は、個人でも簡単な契約書の作り方と基本条項9つを例文付きで紹介したうえで、契約書作成のポイント5つについて解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
・契約書が必要な理由はトラブルを未然に防止するためであり、具体的には合意の有無・内容を明確にすること、不測の事態に備えることが目的です。
・契約書を作成する際には、以下の6つの項目については、入れておくといいでしょう。
項目1:タイトル
項目2:前文
項目3:条項
項目4:後文
項目5:日付
項目6:署名押印
・契約書作成の手順は以下のとおりです。
手順1:話し合いで認識の共有を図る
手順2:一方が契約書のドラフトを作成する
手順3:他方が契約書のドラフトに修正・削除・加筆する
手順4:調印手続きを行う
・契約書作成のポイント(注意点)を5つ厳選すると以下のとおりです。
ポイント1:実態に即した契約書にする
ポイント2:危険な条項がないか確認する
ポイント3:言葉は統一し省略しない
ポイント4:優先度を意識してレビューを行う
ポイント5:修正等をする場合にはその旨を告げる
・契約書の作成やチェックは取引に関する紛争に携わった経験のある弁護士に依頼するのがおすすめです。費用の相場は以下のとおりです。
契約書チェックの弁護士費用の相場:1ページ1万円~2万円程度
契約書作成の弁護士費用の相場:10万円~20万円程度
この記事が契約書の作成方法がわからずに悩んでいる方の助けになれば幸いです。
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