慰謝料の減額を拒否されたらどうすればいいの?適切な対処法3つを解説

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弁護士 籾山 善臣

リバティ・ベル法律事務所|神奈川県弁護士会所属
取扱分野は、浮気・不倫問題、離婚問題、労働問題等。
敷居の低い弁護士を目指し、依頼者に寄り添った、クライアントファーストな弁護活動を心掛けている。持ち前のフットワークの軽さにより、スピーディーな対応が可能。

慰謝料の減額を拒否されたらどうすればいいの?適切な対処法3つを解説

悩み

慰謝料の減額を拒否されたどうすればいいのか知りたいと悩んでいませんか

減額を拒否されるとどのように対応すべきかわからず不安になりますよね。

慰謝料の減額を拒否されても、請求された金額をそのまま支払うことはおすすめしません

というのも、最初の請求金額は相場よりも高いことが多く、そのまま支払うと大きな負担になってしまうためです。

そのため、慰謝料が適正な金額に近づくよう必要な行動を取る必要があります。

例えば、慰謝料の減額を拒否された場合、以下のように対応することをおすすめします。

・相手の様子を見て再び減額交渉をする
・裁判に備えて証拠を集める
・弁護士に相談する

しかし、そもそも慰謝料を支払う必要がない場合には、減額交渉だけでなく支払いが不要なことを証明するための準備をしなければなりません。

実は、減額できるケースと慰謝料が発生しないケースを区別せずに交渉してしまい、必要以上に慰謝料を払うことになってしまったという方も少なからずいるのです

この記事を読んで、慰謝料の減額を拒否された場合における適切な対処法について知っていただければと思います。

今回は、慰謝料の減額を拒否された場合における適切な対処法を説明したうえで、慰謝料が減額できるケースと慰謝料が発生しないケースのそれぞれについて解説していきます。

具体的には、以下の流れで解説していきます。

この記事で分かること

この記事を読めば、不倫の倦怠期についてよくわかるはずです。

目次

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1章 慰謝料の減額を拒否された場合におけるNG行動3つ

慰謝料の減額を拒否されたときにその後の対応を間違えると、大きなリスクになることがあります

慰謝料の減額を拒否された場合におけるNG行動は以下のとおりです。

NG行動1:請求を無視する
NG行動2:逆上する
NG行動3:請求された金額をそのまま支払う

それでは各NG行動について順番に解説していきます。

1-1 NG行動1:請求を無視する

慰謝料の減額を拒否された場合におけるNG行動1つ目は、請求を無視することです。

慰謝料請求ではまず話し合いが行われることもあり、早い段階で事件が解決することもあります。

しかし、請求を無視してしまうと話し合いでの解決ができなくなり、様々なリスクが生じます

慰謝料請求を無視すると以下のようなリスクを生じるおそれがあります。

・裁判となり強制執行されるリスク
・慰謝料が増額するリスク
・感情的対立が深まるリスク

これらは話し合いの場合と比べてどれも大きな負担になることから、できれば避けたいものです。

そのため、慰謝料の減額を拒否された場合でも、請求を無視することは絶対にしてはいけません。

慰謝料請求への正しい対処法については以下の記事で詳しく解説しています。

1-2 NG行動2:逆上する

慰謝料の減額を拒否された場合におけるNG行動2つ目は、逆上することです。

慰謝料請求は話し合いでの解決することもあり、裁判にまで至ることがそこまで多いわけではありません。

しかし、話し合いの段階で逆上してしまうと、冷静な話し合いができなくなってしまいます

さらに、逆上によって感情的な対立が深まってしまうと、穏便な解決は困難となり裁判になるリスクが高まります

裁判になると多大な労力や費用が必要となり、大きな負担になってしまいます。

そのため、慰謝料の減額を拒否されても逆上せず、冷静に話し合いができる状況を保つことが望ましいです。

1-3 NG行動3:請求された金額をそのまま支払う

慰謝料の減額を拒否された場合におけるNG行動3つ目は、請求された金額をそのまま支払うことです。

慰謝料請求が届いた段階では、提示されている金額は相場よりも高く設定されているものがほとんどです

相場よりも高い慰謝料は、減額交渉をすれば適正な金額にまで減額されることも少なくありません。

しかし、請求された金額をそのまま支払うと、後から余分な金額を返してもらうことは難しくなります

つまり、請求された金額をそのまま支払うと、減額交渉の機会が失われてしまい、大きな負担をすることになるのです。

そのため、慰謝料の減額を拒否されても、請求された金額をそのまま支払わずに減額交渉することが望ましいです。


2章 慰謝料の減額を拒否された場合の適切な対処法3つ

慰謝料の減額を拒否されても、適切に対処することで慰謝料は相場に近い金額になりやすくなります

慰謝料の減額を拒否された場合の適切な対処法は以下のとおりです。

対処法1:相手の様子を見て再び減額交渉をする
対処法2:裁判に備えて証拠を集める
対処法3:弁護士に相談する

それでは各対処法について順番に解説していきます。

2-1 対処法1:相手の様子を見て再び減額交渉をする

慰謝料の減額を拒否された場合の適切な対処法1つ目は、相手の様子を見て再び減額交渉することです。

慰謝料の減額を拒否されても、法外な慰謝料の請求が許されるわけではありません。

そのため、請求された金額が適正な金額よりも高ければ、減額交渉を続けていくことが必要になります

しかし、相手方が慰謝料減額する気がない場合に減額交渉を続けることは、かえって感情的な対立を深め交渉が難しくなります

こうした場合には、裁判の準備をしたり弁護士に相談するなど、減額交渉以外の手段を取ることが望ましい場面もあります。

2-2 対処法2:裁判に備えて証拠を集める

慰謝料の減額を拒否された場合の適切な対処法2つ目は、裁判に備えて証拠を集めることです。

裁判になった場合、慰謝料の減額をするには被告側が減額事由を主張することになります。

しかし、裁判の前に有利な証拠を集めておかなければ、減額事由を認めてもらうことは難しくなってしまいます

そのため、慰謝料の減額を拒否された場合には、裁判に備えて証拠を集めておくことが望ましいです。

例えば、裁判の前には以下のような証拠を集めておくといいでしょう。

どのような証拠が裁判に使えるのか判断に迷ったときは、弁護士に相談することをおすすめします。

2-3 対処法3:弁護士に相談する

慰謝料の減額を拒否された場合の適切な対処法3つ目は、弁護士に相談することです。

慰謝料請求で提示される金額は相場よりも高いことが多く、減額交渉の必要性が高い状況にあります。

しかし、不倫のケースでは感情的な対立から減額を拒否することもあり、直接の交渉が裏目に出てしまうこともあります

こうした場合には、穏便に話し合いをするために第三者を介入させることが望ましい場面もあります

また、減額を拒否された場合には、積極的に減額に必要な事実や証拠を集めていく必要があります。

しかし、どのような事実や証拠が自分にとって有利に働くのか判断するには、知識だけでなく実際の交渉経験が重要になることもあります

そのため、慰謝料の減額を拒否された場合、慰謝料の減額交渉を専門としている弁護士に相談することをおすすめします。

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3章 慰謝料の減額を拒否されても減額し得るケース8つ

慰謝料の適正な金額は、請求者の意思ではなく客観的な事実によって決まります

その結果、請求金額よりも高くなる場合もあれば逆に低くなる場合もあるため、減額を拒否されても減額可能性があるケースでは減額交渉を続けていくことが重要になります。

慰謝料の減額を拒否されても減額し得るケースは以下のとおりです。

ケース1:請求金額が高すぎる
ケース2:支払能力がない
ケース3:別居や離婚に至っていない
ケース4:婚姻期間が短い
ケース5:不倫の期間が短い又は回数が少ない
ケース6:真摯に反省している
ケース7:不倫に消極的だった
ケース8:ダブル不倫だった

慰謝料の減額を拒否されても減額し得るケース8つ

それでは各ケースについて順番に解説していきます。

3-1 ケース1:請求金額が高すぎる

慰謝料の減額を拒否されても減額し得るケース1つ目は、請求金額が高すぎる場合です。

不倫慰謝料の相場は、10~300万円程度とされています。

具体的には、以下の相場表に近い金額になりやすいです。

相場表

しかし、実際の請求金額は300万円に設定されることが多く、減額できる可能性が高いといえます

例えば、別居に至らなかった場合であれば、慰謝料が300万円認められることは多くなく、減額できる可能性があります。

不倫慰謝料の相場については、以下の記事で詳しく解説しています。

3-2 ケース2:支払能力がない

慰謝料の減額を拒否されても減額し得るケース2つ目は、支払能力がない場合です。

被告から任意の支払がない場合に請求者が支払を受けるためには、裁判で判決を得て財産を差し押さえる必要があります。

しかし、支払能力がなければ差し押さえる財産がなく、請求者は支払いを受けられなくなります

こうした事態を避けるために、請求者は任意の支払が期待できる金額にまで慰謝料を減額することがあります。

そのため、支払能力がない場合には、慰謝料を減額できる可能性があるのです。

3-3 ケース3:別居や離婚に至っていない

慰謝料の減額を拒否されても減額し得るケース3つ目は、別居や離婚に至っていない場合です。

不倫慰謝料の金額は、別居や離婚にまで至った場合に高くなりやすい傾向にあります。

そのため、別居にすら至っていない場合には慰謝料が低くなりやすいため、慰謝料を減額できる可能性があります。

3-4 ケース4:婚姻期間が短い

慰謝料の減額を拒否されても減額し得るケース4つ目は、婚姻期間が短い場合です。

婚姻期間は、長いほど精神的ダメージが大きいとして、慰謝料が高くなりやすい傾向にあります。

そのため、婚姻期間が短い場合には精神的ダメージも少なくなり、慰謝料を減額できる可能性があります。

3-5 ケース5:不倫の期間が短い又は回数が少ない

慰謝料の減額を拒否されても減額し得るケース5つ目は、不倫の期間が短い又は回数が少ない場合です。

不倫の期間が長く回数が多い場合、不倫の悪質性が高いとして慰謝料も高くなりやすいです。

そのため、不倫の期間が短く回数も少なければ、不倫の悪質性も低くなり慰謝料を減額できる可能性があります。

浮気の期間が慰謝料に与える影響については、以下の記事で詳しく解説しています。

3―6 ケース6:真摯に反省している

慰謝料の減額を拒否されても減額し得るケース6つ目は、真摯に反省している場合です。

裁判例では、不倫した後の態度を慰謝料の減額事由として考慮しているものがあります。

そのため、謝罪をして真摯に反省していることを示せば、慰謝料を減額できる可能性があります。

適切な謝罪の方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

3-7 ケース7:不倫に消極的だった

慰謝料の減額を拒否されても減額し得るケース7つ目は、不倫に消極的だった場合です。

慰謝料の金額を判断する場合、不倫の主導者がどちらであったか考慮されることがあります。

そのため、相手からの誘いがあった場合にだけ不倫していたなど、不倫に消極的な場合には慰謝料を減額できる可能性があります。

不倫の主導者を減額事由として考慮している裁判例は、以下の記事で紹介しています。

3-8 ケース8:ダブル不倫だった

慰謝料の減額を拒否されても減額し得るケース8つ目は、ダブル不倫だった場合です。

ダブル不倫とは、既婚者同士の不倫をいいます。

既婚者同士の不倫では、双方の配偶者が慰謝料を請求することができます。

この場合、慰謝料を獲得できたとしても、相手方に対して同程度の慰謝料を支払うことになり、手間がかかってしまいます。

こうした事態を避けるため、双方ともに慰謝料を請求しないことで合意したり、慰謝料を減額したりすることがあります

そのため、ダブル不倫のケースでは、慰謝料を減額できる可能性があります。

ダブル不倫については以下の記事で詳しく解説しています。


4章 慰謝料の減額を拒否されても実は慰謝料が発生していないケース5つ

慰謝料が発生するためには、法律上の条件を満たしている必要があります

つまり、条件を満たしていない場合には慰謝料は発生しないのです。

慰謝料の減額を拒否されても実は慰謝料が発生していないケース以下のとおりです。

ケース1:肉体関係がない
ケース2:請求者が未婚である
ケース3:既婚者だと知らず、知らないことに過失もない
ケース4:婚姻関係が破綻している
ケース5:消滅時効が完成している

慰謝料の減額を拒否されても実は慰謝料が発生していないケース5つ

それでは各ケースについて順番に解説していきます。

4-1 ケース1:肉体関係がない

慰謝料の減額を拒否されても実は慰謝料が発生していないケース1つ目は、肉体関係がない場合です。

慰謝料請求が認められるには、不倫があったといえる必要があります。

ここでいう不倫とは、既婚者が他の者と肉体関係をもつことをいいます

つまり、肉体関係がない場合には不倫あったとはいえないため、慰謝料請求が認められなくなります。

そのため、慰謝料の減額を拒否されても、実は肉体関係がない場合には慰謝料が発生していないことがあるのです

ただし、裁判例は肉体関係がない場合でも慰謝料を認めることがあります

例えば、親密な関係がわかるメール等がある事案では、金額は少ないものの慰謝料を認めているものがあります。

不倫の定義については以下の記事で詳しく解説しています。

4-2 ケース2:請求者が未婚である

慰謝料の減額を拒否されても実は慰謝料が発生していないケース2つ目は、請求者が未婚であることです。

慰謝料請求が認められるには、請求者が既婚の場合のほか、婚約や内縁の関係にあるといえる必要があります。

このように特別な関係が要求されるのは、法的な保護を与えるために条件を課したためです。

しかし、請求者が未婚であれば条件を満たさないことになります。

そのため、慰謝料の減額を拒否されても、実は請求者が未婚の場合には慰謝料が発生していないのです。

4-3 ケース3:既婚者だと知らず、知らないことに過失もない

慰謝料の減額を拒否されても実は慰謝料が発生していないケース3つ目は、既婚者だと知らず、知らないことに過失もない場合です。

慰謝料請求が認められるには、不倫した側に故意または過失が認められる必要があります。

例えば、交際相手が既婚者であったことを知っていたといえる場合に、故意または過失が認められるのです。

しかし、既婚者だと知らず知らないことに過失もないケースでは、不倫した側に故意または過失があったとはいえません

そのため、慰謝料の減額が拒否されても、実は既婚者だと知らず知らないことに過失もない場合には慰謝料は発生しないのです。

既婚者だと知らなかった場合の対処法については、以下の記事で詳しく解説しています。

4-4 ケース4:婚姻関係が破綻している

慰謝料の減額を拒否されても実は慰謝料が発生していないケース4つ目は、婚姻関係が破綻している場合です。

慰謝料請求が認められるには、婚姻関係が円満といえる必要があります。

というのも、円満な婚姻関係が不倫によって破綻することで、損害が発生するためです。

しかし、すでに婚姻関係が破綻していた場合には、不倫によって婚姻関係が破綻したとはいえず、損害が発生しないのです

そのため、慰謝料の減額を拒否されても、実は婚姻関係が破綻している場合には慰謝料は発生していないのです。

4-5 ケース5:消滅時効が完成している

慰謝料の減額を拒否されても実は慰謝料が発生していないケース5つ目は、消滅時効が完成している場合です。

消滅時効が完成している場合、慰謝料を請求しても認められません。

というのも、消滅時効によって慰謝料請求の根拠となる債権が消滅するためです。

具体的には、不倫の事実と不倫相手を知った時から3年、不倫が始まった時から20年で消滅時効が完成します

そのため、慰謝料の減額を拒否されても、実は消滅時効が完成している場合には慰謝料は発生していないのです。

消滅時効については以下の記事で詳しく解説しています。

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6章 まとめ

今回は、慰謝料の減額を拒否された場合における適切な対処法を説明したうえで、慰謝料が減額できるケースと慰謝料が発生しないケースのそれぞれについて解説しました。

この記事の要点をまとめると、以下の通りです。

まとめ

・慰謝料の減額を拒否された場合におけるNG行動は以下の3つです。
NG行動1:請求を無視する
NG行動2:逆上する
NG行動3:請求された金額をそのまま支払う

・慰謝料の減額を拒否された場合の適切な対処法は以下の3つです。
対処法1:相手の様子を見て再び減額交渉をする
対処法2:裁判に備えて証拠を集める
対処法3:弁護士に相談する

・慰謝料の減額を拒否されても減額し得るケースは以下の7つです。
ケース1:請求金額が高すぎる
ケース2:支払能力がない
ケース3:別居や離婚に至っていない
ケース4:婚姻期間が短い
ケース5:不倫の期間が短い又は回数が少ない
ケース6:真摯に反省している
ケース7:不倫に消極的だった
ケース8:ダブル不倫だった

・慰謝料の減額を拒否されても実は慰謝料が発生していないケースは以下の5つです。
ケース1:肉体関係がない
ケース2:請求者が未婚である
ケース3:既婚者だと知らず、知らないことに過失もない
ケース4:婚姻関係が破綻している
ケース5:消滅時効が完成している

この記事が、慰謝料の減額を拒否されたどうすればいいのか知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。

以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。

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