慰謝料の過剰請求に対する対応方法を知りたいと悩んでいませんか?
慰謝料が高額だとどう対応すればいいかわからず不安ですよね。
慰謝料が過剰な場合、すぐに支払う必要はありません。
しかし、慰謝料の過剰請求では、請求を無視せず誠実に減額交渉していくことが重要となります。
慰謝料請求を無視すると、相手方と交渉することが難しくなりトラブルが拡大するおそれがあります。
最悪の場合、相手方が交渉には絶対に応じないとの姿勢を取ることもあり、そのまま訴訟に移行するということもあります。
また、請求金額が相場とかけ離れている場合、全額支払ってしまうと過大な負担となってしまいます。
負担を軽くするためにも、過剰な金額を適切な金額へと近づけていく必要があるのです。
今回は、慰謝料の過剰請求について解説していきます。
具体的には以下の流れで解説していきます。
この記事を読めば、慰謝料の過剰請求に対する対応方法についてよくわかるはずです。
目次
1章 慰謝料の過剰請求とは?過剰請求の意味
慰謝料の過剰請求とは、相場よりも高い金額で慰謝料請求することをいいます。
慰謝料の相場は10万~300万円程度とされており、離婚の有無が金額に大きな影響を与えます。
例えば、不倫があっても別居に至らなかった場合の相場は100万円程度と考えられるので、この場合に慰謝料300万円を請求することは過剰請求にあたります。
通知書を見て、相場よりも大きな金額が書いてあったら、驚いてしまいますよね。
しかし、実は、当初の請求につき相場よりも大きな金額が記載されていること珍しいことではありません。
なぜなら、不倫慰謝料の金額については、多くの場合、交渉により決まることになります。
交渉では、請求する側は、当初請求した金額が事実上の上限となり、そこから減額をしていくことになります。
他方で、請求される側も当初提案した金額が事実上の下限となり、そこから増額していく事になります。
そして、一度、言った金額を伝えると、相手に対して大きな心理的影響を与えてしまうので、その金額を撤回することは容易なことではありません。
例えば、当初の通知書に請求金額100万円と記載されていたのに、やっぱり300万円支払ってほしいといわれても、納得できませんよね。
当初送られてくる通知書には相場よりも高い金額が記載されているのはこのような理由です。
もっとも、当初請求された金額をそのまま支払う必要はありませんので、落ち着いて対応しましょう。
2章 慰謝料の金額はどうやって決まる?慰謝料の相場観
慰謝料の金額は、離婚の有無だけでなく他の細かい事情を総合的に見て判断されることになります。
具体的には、以下のような事情が考慮されます。
・婚姻期間
・不倫期間
・不倫回数
・反省の有無
・子どもの有無
慰謝料は、相手方の精神的苦痛を金額へと換算したものなので、精神的苦痛の程度によって金額が変動します。
上述の考慮要素は精神的苦痛に影響を与えやすく、慰謝料算定の際に考慮されることが多いのです。
例えば、婚姻期間が長いほど、不倫によって円満な夫婦生活を破壊された場合の精神的苦痛は大きくなります。
そのため、慰謝料の相場を確認する場合には、精神的苦痛への影響の程度を分けているものを見ることが望ましいです。
精神的苦痛の程度を踏まえた相場表は以下のようになります。
慰謝料を裁判上請求することは権利なので、適正な金額を超えて請求をしたからと言って直ちに違法になるわけではありません。
しかし、威圧や嫌がらせを目的として、法的根拠を欠くことが明らかであるにもかかわらず、法外な慰謝料を請求するようなケースでは、スラップ訴訟として、それ自体が不法行為となることがあります。。
例えば、報復や恫喝を目的として、不倫につき1億円など法外な慰謝料を請求するような行為は、違法となる可能性があります。
そのため、このような不当な態様で慰謝料を請求された場合であっても、毅然とした態度で対応しましょう。
3章 慰謝料の過剰請求をしても認められる金額に変化はない
慰謝料の金額が決定する手続として以下のものが挙げられます。
手続2:裁判
それでは各手続について順番に説明していきます。
3-1 手続1:示談
慰謝料の金額が決定する手続の1つ目は、示談です。
示談は、交渉を経た後に双方が合意した内容で示談が成立し、その内容に従って金額が決まります。
裏を返せば、慰謝料の金額が過剰な場合にはこちらが合意しなければ、示談は成立しないことになります。
示談が成立しなければ、法的に支払うべき慰謝料の金額も決まりません。
相手方が過剰な金額のまま譲歩しない場合、合意せず適正な金額になるまで交渉を続けることが考えられます。
そのため、示談について正しい知識をもっていれば、認められる慰謝料の金額に変化はないといえます。
ただし、双方ともに譲歩しなければ訴訟になるおそれがあることには注意が必要です。
3-2 手続2:裁判
慰謝料の金額が決定する手続の2つ目は、裁判です。
裁判の場合、中立的な裁判官が客観的に判断するので、過剰請求の場合でも相場に近い適切な金額になります。
当初の請求金額を大きくしたからと言って、慰謝料の金額が変わるわけではないのです。
ただし、裁判は原告が申し立てた金額の範囲でしか下すことはできません。
例えば、適正な慰謝料金額が300万円の場合において、原告が100万円しか請求していなければ、最高でも100万円しか認められないのです。
そのため、過剰な請求は慰謝料金額に影響しませんが、過小な請求をした場合にはその範囲でしか請求は認められなくなります。
4章 過剰請求でも無視は禁物!過剰な慰謝料請求への対応方法3つ
慰謝料の過剰請求をされた場合、適切な対応を取る必要があります。
対応を間違えてしまうと過大な負担になるおそれがあるので、そうならないためにも適切な対応方法を一緒に確認していきましょう。
過剰な慰謝料請求への対応方法は以下のとおりです。
対応2:減額交渉する
対応3:弁護士に相談する
それでは各対応について順番に説明していきます。
4-1 対応1:すぐに慰謝料を支払わない/慰謝料が過剰だと回答する
過剰な慰謝料請求への対応方法1つ目は、すぐに慰謝料を支払わない/慰謝料が過剰だと回答することです。
過剰請求の場合、慰謝料金額を相場に近づけるために減額交渉する必要があります。
しかし、慰謝料をすぐに支払ってしまうと、返してもらうことは難しく交渉の機会を逃すおそれがあります。
交渉の機会確保のためにも、慰謝料を請求されてもすぐには支払わないことが望ましいです。
しかし、慰謝料請求に対して何も対応しなければ、請求を無視しているのと同じ結果になってしまいます。
そのため、無視にならないためにも、慰謝料金額が過剰だから支払えない旨の回答書を相手方に出すことが考えられます。
回答書の作成方法については以下の記事で詳しく解説しています。
4-2 対応2:減額交渉する
過剰な慰謝料請求への対応方法2つ目は、減額交渉することです。
過剰請求の場合に、請求金額をそのまま支払ってしまうと過大な負担となるおそれがあります。
過大な負担となるのを避けるためにも、適切な金額に近づくよう減額交渉をしていく必要があります。
減額交渉の方法としては、直接の面談や書面で行う方法が挙げられます。
しかし、不倫発覚当初は感情的になりやすいことから、直接の面談は避けて書面でやり取りすることが望ましいでしょう。
減額交渉の方法については以下の記事で詳しく解説しています。
4―3 対応3:弁護士に相談する
過剰な慰謝料請求への対応方法3つ目は、弁護士に相談することです。
過剰な慰謝料請求をされた場合、弁護士に相談することをおすすめします。
過剰請求の場合、減額交渉の重要度が高いですが、上手く交渉するには専門的知識や経験が必要になります。
間違った発言をすると取り返しがつかないこともあるので、慎重に言葉を選ばなければなりません。
また、当事者が直接交渉することが適切でない場合もあり、場合によっては感情的な対立から訴訟に至ることもあります。
そのため、紛争の拡大を防ぐためにも、法律の専門家である弁護士に相談したり、代理人として弁護士を立てることが望ましい場合もあるのです。
弁護士を選ぶポイントについては以下の記事で詳しく解説しています。
5章 慰謝料が過剰で大幅に減額された判例3つ
ここでは、慰謝料を過剰請求したものの、大幅に減額されてしまった事案について解説していきます。
判例2:1000万円の減額をみとめた判例
判例3:1150万円の減額を認めた判例
それでは各判例について順番に説明していきます。
5-1 判例1:350万円の減額を認めた判例
原告が、被告が原告の配偶者と不倫をしたことから、被告に対して500万円の慰謝料を請求した事案について、
裁判所は、新婚旅行と称して旅行に出かけていたものの、別居していないことや不倫が原告の配偶者が主導であったことから、慰謝料は150万円が相当としています。
上記判例における主な考慮要素は以下のとおりです。
判例は以下のように説明しています。
「被告は…5年余りにわたってAと不貞関係を継続していたものである。他方…Aは、被告に対し、「新婚旅行」と称して被告との旅行に出かけ、結婚指輪と称して指輪を贈るなどしており、主導的に被告との交際を継続し、被告もこれに応じる態様でAと交際していたものと認めることができる。また…原告は、平成25年10月6日、Aの携帯電話を確認したことを契機にAと被告との間柄を認識したものの、その後もAと別居等することなくAを看病し、婚姻関係を継続していたものと認めることができる。
このような被告とAとの交際期間、交際の態様、原告とAとの婚姻関係に与えた影響のほか、本件に現れた一切の事情を総合考慮すると、被告が原告に対して賠償するべき慰謝料は150万円をもって相当というべきである。」
5-2 判例2:950万円の減額を認めた判例
原告が、被告(Y2)が原告の配偶者(Y1)と不倫をしていたことから、両者に対して慰謝料1000万円を請求した事案について、
裁判所は、被告らの行為によって原告とY1の婚姻関係が破綻したものの、その原因の一部は原告の言動によるものとして、慰謝料は50万円が相当と判断しています。
上記判例における考慮要素は以下のとおりです。
判例は以下のように説明しています。
「原告と被告Y1の婚姻関係が決定的に破綻するに至った直接的な原因は、被告Y1が被告Y2及びEと肉体関係を持ったことにあったというべきであり、被告Y1及び被告Y2の行為は、原告に対する共同不法行為を構成すると認められる。」
「原告の精神的苦痛に対する慰謝料の額については、原告と被告Y1の婚姻関係が決定的に破綻するに至った直接的な原因は被告らにあると認められるものの、それ以前に、原告の言動などにより、原告と被告Y1の夫婦としての亀裂が決定的なものとなっていたことなどにみられるように、婚姻関係が破綻した責任の一端は原告にもあることなど本件に関する一切の事情を総合考慮すると、50万円とするのが相当である。」
5-3 判例3:1000万円の減額を認めた判例
原告が、被告と原告の配偶者が不倫をしていたことから、被告に対して慰謝料1100万円を請求した事案について、
裁判所は、不倫の主導者が原告の配偶者であったことや、原告と配偶者の別れが離婚ではなく死別であったことを理由に、慰謝料は100万円が相当と認めています。
上記判例における主な考慮要素は以下のとおりです。
判例は以下のように説明しています。
「基本的には、本件備忘録等から明らかなように、亡Aが被告に対して好意を抱き、主導的に被告を誘った結果、不貞関係に発展したものと認められること…被告としては、少なくとも不貞関係の開始当初から亡Aに妻がいたことを知っていたわけではないようであること…被告は、亡Aと不貞関係にあった当時、交際相手こそいた時期があったものの未婚であったこと…原告と亡Aとの別れが…亡Aの病気を原因とするものであったことなど、慰謝料額を制限する方向にはたらく要素とみるべき事情も認めることができる。
以上の諸事情を総合考慮するとともに、不貞行為が被告と亡Aとの共同不法行為であることを併せ考えると、原告の精神的苦痛に対する慰謝料は、100万円をもって相当と認める。」
6章 慰謝料の減額交渉はリバティ・ベル法律事務所にお任せ
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7章 まとめ
今回は、慰謝料の過剰請求ついて解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
・慰謝料の過剰請求とは、相場よりも高い金額による慰謝料請求をいいます。
・慰謝料の金額は種々の事情を考慮し個別の事案に即して決定される。
・慰謝料の過剰請求をしても認められる金額に変化はない
・過剰請求でも無視は禁物!過剰な慰謝料請求への対応方法は以下の3つです。
対応1:すぐに慰謝料を支払わない/慰謝料が過剰だと回答する
対応2:減額交渉する
対応3:弁護士に相談する
・慰謝料が過剰で大幅に減額された事案は以下の3つです。
判例1:350万円の減額を認めた判例
判例2:950万円の減額をみとめた判例
判例3:1000万円の減額を認めた判例
この記事が、慰謝料の過剰請求について知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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