突然、慰謝料を請求されてしまって悩んでいませんか?
ある日、150万円、300万円、500万円といった慰謝料を請求するとの書面が自分のもとに届いたらパニックになってしまいますよね。
きっと、このように思ってしまう方もいるはずです。
「無視すればいいのではないか?」
そのように考えてしまう気持ちはよくわかります。
しかし、結論から言うと、慰謝料請求された場合の対応として、無視はNGです。絶対にやめた方がいいです。
慰謝料請求を無視することにより、あなた自身にリスクが生じてくることになります。
1日でも早く平穏な日常を取り戻すには、無視するのではなく、慰謝料請求に対してしっかりと回答することが一番の近道です。
とはいえ、慰謝料として請求された金額をそのまま支払う必要はありません。
実は、慰謝料の金額はほとんどの場合、交渉により減額することができます。
実際に私が解決した事例にも、例えば、300万円から100万円まで減額した事案、150万円から25万円まで減額した事案等があります。
不倫慰謝料を300万円から100万円まで減額することに成功した事例 (libertybell-law.com)
不倫慰謝料を150万円から25万円まで減額することに成功した事例 (libertybell-law.com)
そのため、慰謝料を請求された場合には、正しい手順により対処していくことが重要なのです。
今回は、慰謝料請求を無視した場合のリスクと簡単な対処手順をわかりやすく解説していきます。
目次
1章 慰謝料請求の無視は禁物!
慰謝料請求をされた場合には、無視は禁物です。
慰謝料を請求された場合には、以下のような通知書が送られてくるのが通常です。
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※適切な通知書については事案により異なりますので、適宜ご修正下さい。ひな形の利用に伴い損害等が生じた場合でも、当サイトでは一切責任を負いかねますので、自己責任でお願いいたします。
※PDFの通知書については、精神的苦痛が大きい理由についての記載を省略しています。
多くの場合、「2週間以内にお振り込み、又は、誠実な対応をしていただけない場合には、法的手続きを進めます」などの記載がされています。
慰謝料請求の無視というのは、通常、この記載に反して、回答をしないような場合を指します。
実は、慰謝料を請求される際によく送られてくる内容証明郵便自体には、法的な効力はそれほどありません。
しかし、慰謝料請求を無視したという事実によって、あなた自身にとって第2章で説明するようなリスクが生じてきます。
一部の方は、慰謝料請求を無視したことにより、慰謝料を支払わずに済んだなどの成功談を聞いたことがある人もいるかもしれません。
確かに、無視したことにより請求がやむ可能性もないわけではありませんが、このような例はレアケースですので注意が必要です。
2章 慰謝料請求を無視したらどうなる?3つのリスク
慰謝料請求を無視したらあなた自身にとってリスクが生じることになります。
具体的には、慰謝料請求を無視した場合に生じるリスクは以下の3つです。
リスク2:慰謝料が増額するリスク
リスク3:感情的対立が深まるリスク
それではこれらの各リスクについて順番に説明していきます。
2-1 リスク1:裁判となり強制執行されるリスク
慰謝料請求を無視した場合のリスクの1つ目は、裁判となり強制執行されるリスクです。
慰謝料請求している側は、慰謝料請求を無視された場合には、通常、訴訟を提起します。
なぜなら、無視されてしまうと話し合いを行うことができず、示談により解決する余地がなくなりますので、判決を獲得して一方的に解決せざるを得ないためです。
具体的には、訴訟を提起されることにより、あなたの家に裁判所から訴状が届きます。
そして、訴状についても無視した場合には、相手方の請求内容を認めたものとして敗訴判決がくだされます。
この敗訴判決が確定すると、相手方は、あなたの承諾なく一方的にあなたの財産を差し押さえることができます。
例えば、あなたのお給料の一部が差し押さえられてしまったり、あなたの預金が差し押さえられてしまったり、あなたの家や土地が差し押さえられてしまうこともあります。
更には、あなたの家に来て、価値のある動産を差し押さえられてしまうこともあります。これをされてしまうと周りの家からも不審な目で見られてしまうことがあります。
2-2 リスク2:慰謝料が増額するリスク
慰謝料請求を無視した場合のリスクの2つ目は、慰謝料が増額するリスクです。
不倫慰謝料の相場は、30万円~300万円程度となっています。
不倫慰謝料相場について、簡単に早見表にまとめると以下のとおりです。
とくに、慰謝料請求の無視との関連で見ていただきたいのは、「反省の度合い」の要素です。
反省の度合いが強いほど慰謝料の金額は低くなりますし、反省の度合いが弱ければ慰謝料金額も高くなります。
例えば、裁判例にも、謝罪の意思が示されていないことを慰謝料の増額要素としたものが数多く存在します(東京地方裁判所平成20年10月8日、東京地方裁判所平成22年3月4日、東京地方裁判所平成23年3月17日等)。
裁判を欠席した場合には、法的には、主要事実について自白をしたものとみなされることになります(民事訴訟法159条1項、3項)。
しかし、原告の請求金額を認諾したとの効果までが直ちに生じるわけではありません。
そのため、裁判に欠席した場合であっても、原告の請求金額よりも認定された慰謝料金額は低くなる可能性はあります。
例えば、原告が500万円の慰謝料を請求している事案では、500万円も慰謝料が認められるのは相当に悪質性が高いケースとなりますので、原告の主張している主要事実が全て認められた場合でも、慰謝料は500万円未満となることがあるのです。
ただし、原告が主張している主要事実については全て認められることになってしまいますので、認定される慰謝料金額については高額なものになっている例がほとんどです。
2-3 リスク3:感情的対立が深まるリスク
慰謝料請求を無視した場合のリスクの3つ目は、感情的対立が深まるリスクです。
一般に、人の通常の感情として、無視された場合には、憤りを覚えます。
これまで生活してきた中で、無視されて不快に感じた経験がない人はいないはずです。
不倫慰謝料を請求する側は、慰謝料を請求する時点で既に大きな憤りを覚えているような状況です。
そのような状況において、慰謝料の請求を無視されれば、益々、対立が深まることは容易に想像できますよね。
具体的には、感情的な対立が深まると、人は経済的に不合理な行動であっても、これを行う可能性が増します。
例えば、訴訟を提起して、「絶対に慰謝料金額を譲歩しない」、「絶対に任意の和解には応じない」、「遅延損害金まで請求する」、「上訴して何年でもかけて最高裁まで争う」、「動産執行をして困らせる」などの対応をしてくることがあります。
これらの行動は、慰謝料を請求する側にとっても、大きな労力と費用がかかりますが、慰謝料請求を無視されることにより、労力と費用をかけてでも争ってやりたいとの気持ちにしてしまうのです。
3章 種類別!慰謝料請求を無視した場合の危険度
慰謝料請求については、その請求の種類が何であるにせよ、これを無視することは適切ではありません。
もっとも、その請求の種類により、無視した場合の危険度にも差があります。
以下では、次の順序で請求方法ごとの危険度を説明していきます。
3-1 メールやLINE【危険度:★☆☆☆】
メールやLINEを無視した場合の危険度は、★☆☆☆です。
メールやLINEを無視してしまうと、後日、弁護士から正式な通知書が送られてくるリスクがあります。
対等に交渉するためには、自分も弁護士に依頼する必要が生じてしまいます。
他方で、メールやLINEで請求されている段階では、誠実に対応することにより、早期に解決できる可能性があります。
可能な限り、真摯に対応しましょう。
3-2 普通郵便【危険度:★★☆☆】
普通郵便を無視した場合の危険度は、★★☆☆です。
普通郵便については、メールやLINEの場合と比べて、請求者が不倫慰謝料の相場や考えた方を調査して、弁護士などに相談したうえで行っている可能性が高いです。
そのため、これを無視した場合には、後日、弁護士から正式な通知書が送られてくるリスクがより高いと言えます。
3-3 内容証明郵便【危険度:★★★☆】
内容証明郵便を無視した場合の危険度は、★★★☆です。
内容証明郵便とは、その書面の内容を証拠に残すことを目的とした郵送方法です。
つまり、裁判まで念頭に置いた方法となります。
そのため、内容証明郵便が届いたら、早期に解決できる最後の機会となりますので、すぐに弁護士に相談しましょう。
3-4 訴訟提起【危険度:★★★★】
訴訟提起を無視した場合の危険度は、★★★★です。
訴状が自宅に届いたのに、これを無視してしまうと、原告の請求に係る主要事実を認めたことになってしまいますので敗訴することになります。
そして、敗訴判決が確定すると強制執行が可能となりますで、一方的に給与や預金、不動産、動産が差し押さえられることになります。
訴状が自宅に届いたら絶対に無視してはいけません。
4章 会話で見る具体例!慰謝料請求を無視したAさんのケース
それでは、慰謝料請求を無視した場合には、どのような末論になるのかについて、会話形式で見ていきましょう。
既婚者の女性(B子さん)と不倫をしていたAさんは、ある日、突然、B子さんの夫(B男さん)の弁護士から慰謝料を請求する旨の通知書(内容証明郵便)が届きました。このような事案で無視するとどのように進んでいくのかを見ていきましょう。
B子さんは、B男さんに不倫がバレてしまったと言っていたけど、その後、音沙汰ないし、どうなったのかなぁ。
:(ピンポーン)
はい。
●●郵便局で―す。配達証明となりますので、こちらにサインをお願いします。
(なんだろ?)わかりました。
ありがとうございまーす。
:(通知書を見る)
なんだこれは!!300万円の慰謝料を請求するなんて書いてある。そんなお金払えるわけないじゃないか。どうしよう…
:(サイト検索中)
色々調べたら、「無視はいけない」って書いてあるけど、こっちのブログでは「無視したら請求が来なくなった」って書いてあるな。弁護士に依頼するとお金がかかるし、ひとまず無視しとこう。
:(1か月後)
●●郵便局でーす。あなたはAさんでしょうか?
そうですけど。
●●地方裁判所からAさん宛てに特別送達となりますので、こちらにサインをお願いします。
(え、裁判所?)
:(封筒の中身を見る)
訴状って書いてあるけど、よく意味が分からないな。原告がB男さんになっているけど…。呼出状っていうのに期日の日程が書いてあるな。何これ、裁判所にいくの?自分が?
:(2か月後)
結局、訴状も無視したけど、何も起きないじゃないか!やっぱり無視しても大丈夫じゃないか。
:(ピンポーン)
はい。
執行官です。●●地方裁判所から執行手続きできました。こちらが債務名義となります。ドアをあけてください。
え、急に来られても困りますよ。帰って下さい。
執行手続きとなりますので、開けていただけない場合には、こちらで開錠することになります。
(なんだ?なんだ?)すいません開けます。
それでは、動産執行を開始させていただきます。こちらの戸棚を開けていただいてよろしいですか。
(なんなんだ…)
:(1か月後)
執行官です。●●地方裁判所から執行手続きできました。こちらが債務名義となります。ドアをあけてください。
え、この前も来たじゃないですか。
開けていただけなければ、こちらで開けさせていただきます。
開けます。(こんなの何回もされたら、近所でうわさになっちゃうじゃないか…)
:(1か月後)
なんか裁判所から差し押さえの書面が届いているみたいなんだけど、どういうことか説明してもらってもいいか?
えぇ…
以上のように、慰謝料請求を無視し続けた場合には、その末路はとても悲惨なものとなります。
5章 慰謝料請求への正しい対処手順
慰謝料請求をされた場合には、これに適切に対処していく必要があります。
無視をせずに対応した場合であっても、その対処方法が誤ってしまうと、適正金額を超える慰謝料を支払うことになったり、紛争が拡大したりする可能性があります。
具体的には、慰謝料を請求された場合には、以下の手順に従い対処していくことがおすすめです。
手順1:慰謝料の「請求金額」と「妥当な金額」を確認
手順2:回答書の送付
手順3:交渉|話し合いがまとまれば示談
手順4:裁判
それでは各手順について順番に説明していきます。
5-1 手順1:慰謝料の「請求金額」と「妥当な金額」を確認
慰謝料を請求された場合の手順の1つ目は、慰謝料の「請求金額」と「妥当な金額」を確認することです。
なぜなら、ほとんどの場合、最初に請求される慰謝料の金額は妥当な金額よりも高い金額となっているためです。
例えば、あなたのもとに300万円の慰謝料を請求するとの通知書が届いたとしましょう。
しかし、請求者は、不倫相手とは別居しておらず、婚姻期間も1年だったとします。
この場合の妥当な慰謝料金額は30万円~50万円とされる傾向にありますので、慰謝料につき250万円~270万円程度減額の余地があることになります。
このように「減額交渉の余地」や「減額の見通し」を確認したうえで方針を立てるために、まずは慰謝料の「請求金額」と「妥当な金額」を確認しましょう。
5-2 手順2:回答書の送付
慰謝料を請求された場合の手順の2つ目は、回答書の送付です。
慰謝料請求を拒否するのか、支払いの余地があるのか(場合によってはあなたが妥当と考えている金額)などを記載して回答します。
また、もしも請求相手の主張する事実関係が真実と合致しているのであれば、真摯に謝罪の気持ちも伝えておいた方が良いでしょう。
他方で、事実関係と合致しない部分があるのであれば、事実とは異なる旨を伝えることになります。
回答の方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
5-3 手順3:交渉|話し合いがまとまれば示談
慰謝料を請求された場合の手順の3つ目は、交渉です。
慰謝料請求に回答すると争点が明確になりますので、双方折り合いをつけることが可能かについて交渉します。
交渉の方法は、電話や書面、面談などがありますが、相手方が興奮しているような場合には面談は避けた方が良いでしょう。
話合いがまとまった場合には、合意内容を明確にするために示談書を2通作成して、それぞれ保管します。
不倫の示談書の作成方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
5-4 手順4:裁判
慰謝料を請求された場合の手順の4つ目は、裁判です。
話し合いでの解決が難しい場合には裁判により解決することになります。
通常は、交渉が決裂すると請求する側から訴訟を提起していきますので、それに対して反論をしていくことになります。
不倫の裁判については以下の記事で詳しく解説しています。
6章 わざとじゃない!無視とされがちなケース2つと簡単な対処法
慰謝料請求について、無視して誠実に対応しようとしていても、無視したと言われてしまうことがあります。
例えば、よくあるのは以下の2つのケースです。
ケース1:回答期限を徒過してしまうケース
ケース2:何度も書面が送られてくるケース
これらのケースでは、それぞれ簡単な対処をしておくことで、無視したと言われることを避けることができます。
それでは、各ケースについて順番に説明していきます。
6-1 ケース1:回答期限を徒過してしまうケース|検討中である旨を回答しておく
無視とされがちなケースの1つ目は、回答期限を徒過してしまうケースです。
通知書などでは、よく文末に、「2週間以内に回答ください」などの記載がされています。
しかし、2週間というのは、不倫慰謝料についての知識を調べたり、弁護士へ相談したりしていると、案外すぐに過ぎてしまいます。
そのため、回答期限までに間に合わなそうな場合には、以下のような書面を送付しておきましょう。
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6-2 ケース2:何度も書面が送られてくるケース|以後従前の書面をもって回答とする
無視とされがちなケースの2つ目は、何度も書面が送られてくるケースです。
慰謝料請求に対して回答した場合でも、その後、何度も書面が送られてきて、折り合いがつかずに平行線となってしまうことがあります。
そのため、何度か回答して、同じようなやり取りが繰り返されたり、話し合いが進展しなくなったりした場合には、端的に「以後は従前の書面をもって回答とさせていただく」等の返答をしておきます。
例えば、以下のような書面を送付しておきます。
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7章 不倫慰謝料を請求されたらリバティ・ベル法律事務所にお任せ
不倫慰謝料を請求されたら、是非リバティ・ベル法律事務所にご相談ください。
不倫慰謝料の拒否又は減額については、交渉力や知識の格差が金額に大きく影響する分野です。
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8章 まとめ
以上のとおり、今回は、慰謝料請求を無視した場合のリスクと簡単な対処手順をわかりやすく解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下の通りです。
・慰謝料請求をされた場合には、無視は禁物です。
・慰謝料請求を無視した場合に生じるリスクは以下の3つです。
リスク1:裁判となり強制執行されるリスク
リスク2:慰謝料が増額するリスク
リスク3:感情的対立が深まるリスク
・慰謝料請求を無視した場合の危険度は以下の通りです。
・慰謝料を請求された場合には、以下の手順に従い対処していくことがおすすめです。
手順1:慰謝料の「請求金額」と「妥当な金額」を確認
手順2:回答書の送付
手順3:交渉|話し合いがまとまれば示談
手順4:裁判
この記事が慰謝料を請求をされて悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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