不倫裁判のイメージが中々湧かずに悩んでいませんか?
普通に暮らしている中では裁判に関わる機会はあまりないので、ドラマや映画のような雰囲気を想像してしまいますよね。
しかし、実際の不倫裁判は、皆さんがテレビで見るような裁判とは大きく異なっている点が多数あります。
例えば、裁判といっても、法廷で言い合いをするような形ではなく、主張や反論のほとんどは書面で行われます。
また、芸能人でもない限り、不倫裁判やその内容が社会一般に知られてしまうということも、あまりありません。
不倫裁判については、手続きの流れを正しく知っていただければ、過度におそれるようなものではないのです。
私が相談を受けている中でも、「裁判」という単語を聞き、不安そうな顔をする方も多くいるため、少しでも多くの方に不倫裁判のイメージをわかりやすく伝えられたらと思います。
とはいっても、不倫裁判にかかる期間や費用、労力を考えれば、裁判に発展する前に早期に解決するに越したことはありません。
そのため、不倫裁判のイメージを説明した後に、不倫裁判となってしまうケースや不倫裁判を回避する方法についてもお伝えしたいと思います。
今回は、不倫裁判とはどのようなものなのか、及び、これを回避する方法や勝率を上げる方法について解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、不倫裁判についてよくわかるはずです。
目次
1章 不倫裁判とは|不倫裁判の特徴や交渉との違い
不倫裁判とは、裁判所において不倫による慰謝料請求の可否や金額についての判決をくだすための審理を行うものです。
裁判所という司法機関による判断をとおして、紛争を解決して、法的にあるべき姿を実現するために行われます。
具体的には、不倫の裁判と交渉について、特徴を比較すると以下の相違点があります。
2章 不倫裁判の流れ・期間
不倫裁判は、以下のような流れで進んでいきます。
流れ1:訴訟提起
流れ2:口頭弁論・弁論準備
流れ3:証人尋問
流れ4:判決
流れ5:確定又は控訴
不倫裁判にかかる期間は、訴訟提起から判決までで、おおよそ8か月~1年4か月程度です。
それでは、各手続きについて順番に説明していきます。
2-1 流れ1:訴訟提起
不倫裁判の流れの1番目は、訴訟提起です。
不倫裁判は、裁判所に訴状が提出されることにより始まります。
民事訴訟法133条(訴え提起の方式)
1「訴えの提起は、訴状を裁判所に提出してしなければならない。」
訴訟提起をした後、問題がなければ1~2か月後に第1回期日が指定される傾向にあります。
例えば、以下のような期日呼出状と答弁書催告が被告に届くことになります。
ただし、訴状に訂正すべきところがあったり、被告から管轄についての意見が出されたりすると、第1回期日までもう少し時間がかかることもあります。
2-2 流れ2:口頭弁論・弁論準備
不倫裁判の流れの2番目は、口頭弁論・弁論準備期日です。
第1回目及び最初の数回は、口頭弁論期日が行われるのが通常です。
口頭弁論とは、公開の法廷で、当事者が準備書面に基づいて主張を述べて、それを裏付ける証拠などを取り調べる期日です。
弁論準備とは、非公開の手続きで、主張や証拠の整理をする手続きです。実際に行うこと自体は、弁論期日と大きくは変わりません。裁判所内にある個室のテーブルなどで行うことが多いため、弁論期日よりも話しやすい環境です。
通常、最初の数回の期日は弁論期日が行われ、その後、争点が明らかになってきた段階で弁論準備期日に移行することが多いです。
証人尋問の前に一度、和解についての意向を確認されるのが通常です。
各期日の間は1か月~2か月程度の間隔で、交互に準備書面の提出を繰り返していくのが通常の流れです。
これを半年から1年程度繰り返すことになります。
2-2-1 口頭弁論期日の例
(出頭したら法廷内に置いてある出席カードの自分の名前に○をつけます)
令和○年(ワ)第○○○号 原告○○○○ 被告○○○○ お入りください。
原告からは、第1準備書面が提出されていますが、陳述ということでよろしいですね。
はい。陳述します。
証拠については、甲1から甲9までが提出されていて、甲8だけ原本、後は写しということでいいですね。
はい。
それでは。取り調べを行いますので、原本を。
こちらになります。
(原本を見る)。被告も確認されますか?
それでは。
:
被告の方で何かありますか。
次回期日までに反論の書面を提出させていただければと考えております。
期間はどのくらい必要ですか?
通常どおり提出まで1か月程度いただきたく思います。
わかりました。それでは、次回期日は●月●日●時でいかがですか。
その日は差支えです。
それでは、▲月▲日▲時からはどうですか。
お受けできます。
お受けできます。
それでは、次回期日は、令和▲年▲月▲日▲時から弁論期日となりますので、今回と同じ第●号法廷にお越しください。被告は反論の書面を期日の1週間前までにご提出ください。以上となります。
2-2-2 弁論準備手続き期日の例-争点整理
(出頭したら書記官室に行き置いてある出席カードの自分の名前に○をつけます)
●●さんですね。それでは時間になりましたらお呼びいたしますので、第●待合室でおまちください。
:
それでは、●●さん、お入りください。
では、弁論準備手続きをはじめます。原告からは第3準備書面が提出されています。陳述ということでよろしいですね。
はい。
証拠は甲12から甲13までで、いずれも写しですね。
はい。
被告からは、答弁書で婚姻関係が破綻していたとの反論がされていますが、被告は●●氏と原告が婚姻していること自体は認識していたという理解でよろしいですか。
はい。婚姻自体の認識はありました。
婚姻自体は認識していたが、婚姻関係が破綻しているものと考えていたと。原告から提出された第3準備書面で不貞行為の時期も具体的に特定されましたので、被告からも、もう少し具体的に、どの時点で婚姻関係が破綻していたと主張するものなのか、また、いつ、どのような経緯で、婚姻関係が破綻したと認識したのかを特定していただきたいと考えております。
はい。わかりました。
原告から提出された甲12のLINEのスクリーンショットですが、今後の主張の便宜上、各スクリーンショットごとに枝番を振っていただいてもよろしいでしょうか。おそらく次回の被告の反論ともかかわってくるところかと思いますので。
わかりました。
それでは、原告は甲12の差し替えはいつ頃までにできそうですか。
1週間程いただければ提出可能です。
被告は、反論の書面提出までどのくらい必要ですか。
原告から甲12の差し替えの書面が届いてから1か月ほどいただけますでしょうか。
甲12の内容自体は今提出されているものと変わらないはずですので、差し替えの書面が届いてからでなくてもいいのではないですか。
わかりました。
それでは、次回期日は、●月●日●時からはいかがですか。
問題ありません。
問題ありません。
それでは、原告は■月■日までに甲12の差し替えを直送してください。被告は、期日の1週間前までに準備書面の提出をお願いします。以上となります。
2-2-3 弁論準備手続き期日の例-和解協議
(出頭したら書記官室に行き置いてある出席カードの自分の名前に○をつけます)
●●さんですね。それでは時間になりましたらお呼びいたしますので、第●待合室でおまちください。
:
それでは、●●さん、お入りください。
では、弁論準備手続きをはじめます。被告からは準備書面5が提出されています。陳述ということでよろしいですね。
はい。
原告は反論や立証のご予定などはありますか。
新しい事実や証拠が提出されているわけでもないので、現状では準備書面の提出は予定しておらず、後は人証による立証を考えております。
わかりました。それではここで一度、双方に解決についての意向を聞かせていただければと思います。原告は、一度待合室で待っていてもらってもよろしいでしょうか。
はい。
:
今回の件について、現時点の書証を見る限り、婚姻関係の破綻を認定するのは難しいのではないかと感じております。被告としては、一定の解決金をお支払いしての解決ということは考えていますでしょうか。
裁判所からそのようなお話があった以上は、一定の支払い自体には応じたいと考えております。ただ、実際の問題として、何百万円もの支払いをすることは資力的に苦しい部分があります。
どのくらいなら支払うことができそうなのですか。
50万円程度であれば用意できると思いますけど…。住宅ローンの支払いや子どもの学費もあり、それ以上の支払いは苦しいです。
50万円だと少し難しいと思いますけどね。判決になっても、もう少し大きい金額が出てしまうと思いますけど。それ以上の金額は絶対に出せないという状況でしょうか。
絶対というわけではありませんけど…。検討はしてみます。
わかりました。ひとまず原告にも意向を聞いてみましょう。50万円という金額は原告に伝えてもいいですね。
はい。
それでは、原告と交代してください。
:
今、被告からお話を聞いてみたんですけど、話し合いによる解決自体には協力的なようです。原告としてはどのような解決を考えていますか。
こちらとしては、立証は十分かと思いますので、譲歩できるとしても請求金額である300万円から数十万円程度です。
なるほど。ただ、さすがに300万円とかそこまで高額の慰謝料となるケースではないと思うのですが…。
ただ、今回の件で、妻とも離婚の協議をしている状況でして…。
ええ。甲3でも離婚調停申立書が出されていましたね。
はい。
今どのような状況なのですか。
次回で第3回目の期日が行われる状況で、離婚自体は双方異議がないところですが、離婚条件でもめています。
わかりました。被告は、支払いの意思自体はあるようですが、資力的な問題があるようです。被告の話を聞く限りでは50万円程度であれば支払えそうとのことです。
50万円ではさすがに…。
ええ。被告もこれ以上は絶対に支払いに応じないというわけではなさそうなのですが…。
はい。
わかりました。それではもう一度被告と交代してもらえますか。
:
原告から意向を確認してみましたけど、金額にかなり乖離があるようです。
原告はいくらといっていたのですか。
譲歩できても数十万円程度とのことです。
数十万円…。
さすがに、原告もそれ以上絶対に譲歩しないというわけではないと思いますが、50万円では難しいと思います。次回期日までにどの程度の金額であれば支払えるのか再度検討してきていただいてもよろしいでしょうか。
はい。
それでは原告を呼んできます。
:
両者にご意向を確認させていただきましたが、金額に乖離がある状況です。次回期日までに両者金額について再度検討してきてください。期間はどのくらい必要ですか。
2週間程度いただければ。
原告もそれでいいですね
はい。
それでは、次回期日は、●月●日●時からはいかがですか。
問題ありません。
問題ありません
2-3 流れ3:証人尋問
不倫裁判の流れの3番目は、証人尋問です。
和解協議が功を奏しなかった場合には、証人尋問が行われることになります。
証人尋問は、証人に対して、原告と被告が交互に質問を行い、その質問に対する承認の回答を証拠とするものです。
証人の申請が行われると、証人尋問期日を設けられて、法廷に証人を呼び出して、尋問を行うことになります。
証人尋問が終了すると、通常、1~2か月程度で判決となります。
場合によっては、証人尋問を踏まえて、最終準備書面として主張の補充が行われます。
2-4 流れ4:判決
不倫裁判の流れの4番目は、判決です。
裁判所が不倫慰謝料の請求を認容するか、棄却するか、及びその理由を言い渡します。
判決は法廷で読まれますが、民事事件の判決では当事者は出席しないことがほとんどです。
判決期日が終わった後に、裁判所に電話すれば判決結果を教えてもらうことができ、後日判決文が郵送されてきます。
2-5 流れ5:確定又は控訴
不倫裁判の流れの5番目は、確定又は控訴です。
判決に不満がある場合には、判決の送達を受けた日から2週間以内に控訴をすることができます。
当事者のいずれも控訴を行わない場合には、判決は確定することになります。
3章 不倫裁判にかかる費用の相場
不倫裁判にかかる費用は、原告の場合にはおおよそ44万1000円~78万6000円程度、被告の場合にはおおよそ41万5000円~78万円程度です。
不倫裁判にかかる費用の内訳については、以下のようなものがあります。
それでは順番に説明していきます。
3-1 印紙代の相場
不倫裁判における印紙代の相場は、2万~3万円程度です。原告が訴訟提起時に納めることになります。
印紙代というのは、訴訟を提起する際に裁判所に納める手数料です。
具体的には、訴額が1000万円までの訴状の印紙代は、以下のとおりです。
不倫裁判では、訴額は300万円から500万円程度とされることが多いでしょうから、印紙代の相場は2万~3万円程度となります。
原告は勝訴した場合には、被告に対して、訴訟費用として印紙代を請求することができます。
3-2 予納郵券代の相場
不倫裁判の予納郵券代の相場は、6000円程度です。
予納郵券代というのは、裁判所から事件当時者等に郵便物を送付するための郵便料です。
横浜地方裁判所では、通常訴訟の場合6000円とされています。
具体的には、以下のとおりとされています。
※詳しくは以下のサイトを参考にしてください。
裁判所:郵便料の納付について
原告は勝訴した場合には、被告に対して、郵券代を請求することができます。
3-3 印刷代・郵送費の相場
不倫裁判の印刷代・郵送費の相場は、1万~3万円程度です。
原告、被告いずれにおいても、不倫裁判を行う際には、主張や証拠を書面に印刷する必要がありますので、印刷代がかかります。
例えば、訴状や答弁書、準備書面、甲号証、乙号証の印刷を行う際に枚数等に応じて費用がかかります。
また、準備書面や証拠を提出する際には、裁判所や被告に郵送することとなりますので、郵送費もかかることになります。
おおよそ1万~3万円程度は必要となると考えておいた方がいいでしょう。
3-4 交通費の相場
不倫裁判の交通費の相場は、原告は5000円~2万円程度、被告は5000円~5万円程度です。
裁判の期日は、原則として、法廷に出頭して行います。
当事者が遠方に住んでいる場合には、通常、原告の所在地を管轄する地方裁判所に裁判が申し立てられるため、交通費は被告の方が高額化する傾向にあります。
例えば、単身赴任中の配偶者が赴任先に住む人と不倫をしたような場合には、原告が地元の裁判所に訴訟を提起すると、被告の交通費が高額化することになります。
ただし、遠方の場合には電話会議などが認められることもあり、裁判所に出頭する回数自体は1~2回程度に抑えることができます。
3-5 弁護士費用の相場
不倫裁判の弁護士費用の相場は、40万円~70万円程度です。
着手金は20万~30万円程度、報酬金は獲得金額又は減額金額の16%~20%程度、出頭日当は0~3万円程度(1期日)とされていることが多い傾向にあります。
不倫裁判の場合には、訴訟外の交渉で解決する場合に比べて、弁護士費用も高額となります。
弁護士費用の相場については以下の記事で詳しく解説しています。
4章 不倫裁判となる4つのケース
不倫裁判となるケースについては、いくつかの特徴があります。
「慰謝料を請求する側」も「慰謝料を請求される側」も、まずは話し合いによる解決を目指して交渉を行うのが通常です。
しかし、例えば以下の4つのケースでは、話し合いによる解決が難しく、裁判となってしまうのです。
ケース1:感情的な対立が強い
ケース2:交渉態度が不誠実である
ケース3:話し合いの前提となる共通認識を構築できない
ケース4:妥当な慰謝料金額の認識に乖離がある
4-1 ケース1:感情的な対立が強い
不倫裁判となってしまうケースの1つ目は、感情的な対立が強い場合です。
不倫裁判となってしまうと、長い期間と多大な労力がかかってしまうため、通常、「慰謝料を請求する側」「慰謝料を請求される側」双方にとって、経済的には不合理となります。
しかし、感情的な対立が強い場合には、多大な労力や費用をかけてでも、裁判で自分の主張について判断してもらいたいとの気持ちが上回ることになります。
そのため、感情的な対立が強い場合には、裁判となりがちなのです。
4-2 ケース2:交渉態度が不誠実である
不倫裁判となってしまうケースの2つ目は、交渉態度が不誠実である場合です。
相手方の交渉態度が不誠実である場合には、話し合いを行うこと自体が困難となりますし、相手方と直接やり取りをすること自体を避けた方がいいこともあります。
例えば、「慰謝料を請求されている者が通知書を無視して返事をしない場合」、「慰謝料を請求している者が会社や親族に言い触らすなどの脅迫をしている場合」などです。
これらのケースでは、まともな交渉はできませんので、裁判となりがちです。
4-3 ケース3:話し合いの前提となる共通認識を構築できない
不倫裁判となってしまうケースの3つ目は、話し合いの前提となる共通認識を構築できない場合です。
話し合いをするためには、適正な慰謝料金額などを判断するための事実関係について、双方において最低限の認識を共有する必要があります。
例えば、慰謝料を請求されている側が不倫はしていないと主張しているようなケースでは、そもそも慰謝料の支払い自体できないとの対応となるでしょう。
そうすると、慰謝料金額の話にもなりませんので、交渉により解決することはできず、裁判となりがちです。
4-4 ケース4:妥当な慰謝料金額の認識に乖離がある
不倫裁判となってしまうケースの4つ目は、妥当な慰謝料金額の認識に乖離がある場合です。
「慰謝料を請求している側」と「慰謝料を請求されている側」の考えている妥当な慰謝料金額が離れすぎていると双方が歩み寄ったところで、双方が納得する金額になりません。
例えば、「慰謝料を請求している側」が適正な慰謝料金額は300万円と主張して譲らず、「慰謝料を請求されている側」も適正な慰謝料金額は50万円と主張して譲らない場合には、双方が歩み寄っても、両者が納得することは難しいでしょう。
そのため、妥当な慰謝料金額の認識に乖離がある場合には裁判となりがちなのです。
5章 不倫裁判を回避する3つの方法
第4章の不倫裁判となるケースを踏まえると、不倫裁判を回避する方法としては以下の3つがあります。
方法2:正確な見通しを立てる
方法3:交渉の方法を知る
それでは各方法について順番に説明していきます。
5-1 方法1:誠実に対応する
不倫裁判を回避する方法の1つ目は、誠実に対応することです。
交渉態度が不誠実であると話し合いを行うこと自体が難しくなってしまいます。
例えば、不倫慰謝料を請求されている方は、決して通知書を無視してはいけません。また、不倫慰謝料を請求している方の感情を逆撫でするような発言なども控えた方が良いでしょう。
また、不倫慰謝料を請求している方も、不倫をされて感情的になってしまうのは当然のことですが、暴言を吐いたり、脅迫をしたり、名誉を毀損したりしてしまうと、反撃されてしまい紛争が拡大していくことになります。
そのため、不倫慰謝料の交渉については誠実に対応するようにしましょう。
5-2 方法2:不倫裁判の慰謝料金額につき正確な見通しを立てる
不倫裁判を回避する方法の2つ目は、不倫裁判の慰謝料金額につき正確な見通しを立てることです。
不倫裁判の慰謝料相場は、30万円~300万円程度です。
しかし、これでは幅がありすぎますので、事案に応じてより正確に見通しを立てる必要があります。
具体的には、以下の不倫慰謝料金額の早見表をご参照ください。
不倫慰謝料の相場については、以下の記事の第1章で詳しく解説しています。
浮気・不倫(不貞)の慰謝料相場はいくら?5つの視点と厳選重要判例【簡単早見表付き】 1章 浮気・不倫(不貞)の慰謝料相場は10万円~300万円【早見表付き】
5-3 方法3:交渉の方法を知る
不倫裁判を回避する方法の3つ目は、交渉の方法を知ることです。
不倫慰謝料には、増額・減額、いずれについても交渉方法があります。
やみくもに自分が妥当と感じる金額を述べるだけでなく、なぜその金額が適正なのかを説明しなければ相手方を説得することはできません。
不倫慰謝料を増額する方法と減額する方法については以下の記事で詳しく解説しています。
浮気・不倫(不貞)の慰謝料相場はいくら?5つの視点と厳選重要判例【簡単早見表付き】 6章 浮気・不倫(不貞)慰謝料を増額する方法と減額する方法
また、不倫慰謝料の金額が決まった後についても、示談書の条項を決めるにあたっては条項ごとに交渉方法があります。
条項のどの部分を修正・変更することができるのか、一般的にはどのような条項をなぜ入れるのかを知らなければ、適切な示談書を作成することも困難です。
示談書の作成・交渉方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
6章 不倫裁判の勝率を上げる4つの方法
不倫裁判を回避しようと話し合いを試みたものの功を奏しなかった場合には、やむを得ません。
その場合には、裁判所をとおして解決していくことになりますので、可能な限り勝率を上げるための手段を尽くしていくことになります。
例えば、不倫裁判の勝率を上げる方法としては、以下の4つがあります。
方法2:事実は具体的に整理する
方法3:不倫裁判の証拠を集める
方法4:弁護士に依頼する
それでは、どのようにすれば勝率を上げることできるのかについて、順番に説明していきます。
6-1 方法1:争点について有利な判例を調べる
不倫裁判の勝率を上げる方法の1つ目は、争点について有利な判例を調べることです。
有利な判例といっても、すごい高額な慰謝料を認めた判例などのイレギュラーな判例を探すという意味ではありません。
あなたの事案と類似する事実関係のもとにおいて、同様の争点についてあなたに有利な判断となっている判例を探すのです。
これにより、先例では、類似事案のどのような事実関係に着目して、有利な判断になっているのかを把握することができます。
つまり、どのような事実を強調して、どのような証拠を集めればいいのかが分かりますので、訴訟の方針を立てることができるのです。
また、その判例を主張正面に引用することにより、裁判所や被告とも実務傾向につき共通認識を構築することができますので、あなたの主張の意図を理解してもらいやすくなり、審理もスムーズに進みます。
そのため、不倫裁判で勝率を上げるためには、徹底的な判例のリサーチがとても重要です。
6-2 方法2:事実は具体的に整理する
不倫裁判の勝率を上げる方法の2つ目は、事実は具体的に主張することです。
例えば、不貞行為があったことを立証したいのであれば、誰が、いつ、どこで、誰と、何をしたのかを具体的に示す必要があります。
不貞行為という性質上、具体的に特定するのが困難な場合がありますが、可能な限りこれらを明確にしないと、裁判所からも立証不十分とされてしまうでしょう。
そのため、事実関係について、誰が、いつ、どこで、誰と、何をしたのかを時系列に沿って、第三者が聞いても具体的に分かるように整理しておく必要があるのです。
6-3 方法3:不倫裁判の証拠を集める
不倫裁判の勝率を上げる方法の3つ目は、不倫裁判の証拠を集めることです。
裁判においては、争いとなっている事実関係については証拠をもとに判断がされることになります。
つまり、証拠がない場合には、仮にそれが真実であったとしても、そのような事実があったと認めてもらうことができないのです。
不倫裁判の証拠として集めていただきたい証拠としては、以下の19個があります。
不倫慰謝料の証拠については、以下の記事で詳しく解説しています。
6-4 方法4:弁護士に依頼する
不倫裁判の勝率を上げる方法の4つ目は、弁護士に依頼することです。
不倫慰謝料については法的な問題であり、更に裁判ともなると法的な手続きを知っている必要があります。
例えば、裁判では弁論主義の建前のもと、有利な主張についても当事者が主張しなければ裁判官に審理してもらうことができません。
弁護士は法律の専門家ですから、裁判手続きを熟知しており、安心して不倫裁判を任せることができます。
特に、不倫慰謝料問題を多く扱っている弁護士であれば、不倫慰謝料の判例や実務傾向についても詳しいでしょうから、あなたに有利な判決を獲得できるように尽力してもらうことができます。
不倫慰謝料の弁護士の選び方については、以下の記事で詳しく解説しています。
7章 不倫裁判についてよくあるQ&A
不倫裁判についてよくある質問としては、以下の9つがあります。
Q1 不倫裁判は家族や知り合いにバレる?
Q2 不倫裁判に傍聴人はいる?
Q3 不倫裁判はどこで行われる?
Q4 代理人がいる場合に本人の出頭は必要?
Q5 第1回期日に相手方が欠席するのはなぜ?
Q6 不倫裁判の服装はどのようなものがいい?
Q7 不倫裁判でも和解はできる?
Q8 W不倫の裁判はどうなる?
Q9 不倫相手への訴訟告知はするべき?
それではこれらの疑問について順番に解消していきましょう。
1 不倫裁判は家族や知り合いにバレる?
不倫裁判がバレてしまうのは、以下のような場合です。
① 訴状が家に配達された際に家族に見られてしまった
② 不倫被害者や不倫相手、友達から噂が広まってしまった
③ 期日を傍聴されてしまった
2 不倫裁判に傍聴人はいる?
ただし、一般の方の民事裁判について、たくさんの人が傍聴に来るということは通常はないので、傍聴席に誰も座っていないことや数人程度まばらに座っている程度のことがほとんどです。
稀に社会科見学などで学生の方が傍聴席に座っていることはありますが、どちらかというと刑事裁判を見学していることの方が多い印象です。
知り合いが自分の裁判を偶然傍聴しているということは、あまりありません。
3 不倫裁判はどこで行われる?
・被告の住所地を管轄する地方裁判所(民事訴訟法4条第1項)
・原告の住所地を管轄する地方裁判所(民事訴訟法5条第1号)
・不倫行為が行われた場所を管轄する地方裁判所(民事訴訟法5条第9号)
4 代理人がいる場合に本人の出頭は必要?
ただし、証人尋問の際には、ご本人の出頭も必要となります。
5 第1回期日に被告が欠席するのはなぜ?
これに対して、原告側は、第1回期日も出席するのが通常です。原告、被告のいずれも欠席した場合には、弁論が休止されてしまい、1か月経過すると訴えが取り下げられたものとみなされてしまうためです。
民事訴訟法158条(訴状等の陳述の擬制)
「原告又は被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は、その者が提出した訴状又は答弁書その他の準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができる。」民事訴訟法263条(訴えの取下げの擬制)
「当事者双方が、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をした場合において、一月以内に期日指定の申立てをしないときは、訴えの取下げがあったものとみなす。当事者双方が、連続して二回、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をしたときも、同様とする。」
6 不倫裁判の服装はどのようなものがいい?
7 不倫裁判でも和解はできる?
訴訟上の和解では確定判決と同一の効力がありますので、和解に反して解決金が支払われなかったような場合には、差し押さえ等の強制執行をすることができます。
民事訴訟法第267条(和解調書等の効力)
「和解又は請求の放棄若しくは認諾を調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。」
8 W不倫の裁判はどうなる?
もっとも、不倫相手の配偶者から、別途、第1訴訟の原告の配偶者を被告とする慰謝料請求の訴訟が提起されることがあります(第2訴訟)。
この場合には、第1訴訟と第2訴訟は併合されて、一緒に審理される傾向にあります。
9 不倫相手への訴訟告知はするべき?
訴訟告知をせずに敗訴してしまった場合に、不倫相手に対して求償権を行使しても、不倫相手には敗訴した裁判の効力が及んでいないため、再度、裁判で同様の争点につき争うこととなります。
これに対して、不倫相手が訴訟告知を受けても訴訟に参加しなかった場合、訴訟告知を受けて訴訟に参加した場合には、あなたが敗訴をしたとしても、不倫相手にもその裁判の効力が及ぶことになります(民事訴訟法46条)。
民事訴訟法53条(訴訟告知)
1「当事者は、訴訟の係属中、参加することができる第三者にその訴訟の告知をすることができる。」
2「訴訟告知を受けた者は、更に訴訟告知をすることができる。」
3「訴訟告知は、その理由及び訴訟の程度を記載した書面を裁判所に提出してしなければならない。」
4「訴訟告知を受けた者が参加しなかった場合においても、第四十六条の規定の適用については、参加することができた時に参加したものとみなす。」民事訴訟法46条(補助参加人に対する裁判の効力)
「補助参加に係る訴訟の裁判は、次に掲げる場合を除き、補助参加人に対してもその効力を有する。」
一「前条第一項ただし書の規定により補助参加人が訴訟行為をすることができなかったとき。」
二「前条第二項の規定により補助参加人の訴訟行為が効力を有しなかったとき。」
三「被参加人が補助参加人の訴訟行為を妨げたとき。」
四「被参加人が補助参加人のすることができない訴訟行為を故意又は過失によってしなかったとき。」
8章 不倫裁判についてはリバティ・ベル法律事務所にお任せ
不倫裁判については、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。
不倫慰謝料については、交渉力や知識の格差が金額に大きく影響する分野です。
リバティ・ベル法律事務所は、不倫慰謝料問題や離婚問題に注力しており、この分野に圧倒的な知識とノウハウを持っています。
少数精鋭でご依頼を受けた一つ一つの案件について、不倫慰謝料問題に強い弁護士が丁寧に向き合っているところが弊所の強みです。
不倫慰謝料については、ご依頼者様の負担を軽減するために初回相談無料にて対応しておりますのでお気軽にお問い合わせください。
9章 まとめ
以上のとおり、今回は、不倫裁判について説明したうえで、これを回避する方法や勝率を上げる方法について解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
・不倫裁判とは、裁判所において不倫による慰謝料請求の可否や金額についての判決を求めに対して審理を行うものです。
・不倫裁判は、以下のような流れで進んでいきます。
流れ1:訴訟提起
流れ2:口頭弁論・弁論準備
流れ3:証人尋問
流れ4:判決
流れ5:確定又は控訴
・不倫裁判にかかる期間は、訴訟提起から判決までで、おおよそ8か月~1年4か月程度です。
・不倫裁判にかかる費用は、原告の場合にはおおよそ44万1000円~78万6000円程度、被告の場合にはおおよそ41万5000円~78万円程度です。
・不倫裁判を回避する方法としては以下の3つがあります。
方法1:誠実に対応する
方法2:正確な見通しを立てる
方法3:交渉の方法を知る
・不倫裁判の勝率を上げる方法としては、以下の4つがあります。
方法1:争点について有利な判例を調べる
方法2:事実は具体的に整理する
方法3:不倫裁判の証拠を集める
方法4:弁護士に依頼する
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