不貞裁判で敗訴した場合の末路3つ!敗訴のケースと対策を簡単に解説

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弁護士 籾山 善臣

リバティ・ベル法律事務所|神奈川県弁護士会所属
取扱分野は、浮気・不倫問題、離婚問題、労働問題等。
敷居の低い弁護士を目指し、依頼者に寄り添った、クライアントファーストな弁護活動を心掛けている。持ち前のフットワークの軽さにより、スピーディーな対応が可能。

不貞裁判で敗訴した場合にどうなるのか知りたいと悩んでいませんか

敗訴した場合にどのようなリスクがあるのか分からないと不安ですよね。

結論としては、慰謝料の支払に加えて、相手方の訴訟費用(印紙代等)と弁護士費用(慰謝料金額の10%程度)を負担することになります

不貞行為(不倫)の裁判は、通常は、慰謝料に関する話し合いがまとまらなかったり、慰謝料請求を無視したりした場合に提起されます。

認容される不貞慰謝料の相場は30万円から300万円程度です。

そして、判決で命じられた慰謝料などを支払わない場合、財産が差し押さえられるおそれがあります。

つまり、不貞裁判で敗訴してしまった場合には、判決を無視して支払いを怠っていると痛い目に合うことになるのです。

そのため、不貞裁判については、そもそも敗訴する前に和解により協議を行ったり、敗訴してしまった場合でも支払い方法の協議をしたりといった状況に応じた対応を行うことが必要となります

今回は、不貞裁判で敗訴した場合にどうなるのか説明したうえで、その対策を分かりやすく説明していきます。

具体的には、以下の流れで解説していきます。

この記事を読めば、不貞裁判で敗訴した場合についてよくわかるはずです。

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1章 不貞裁判における「敗訴」とは

不貞裁判で「敗訴」というのは、一般的には、慰謝料の請求金額からほとんど減額できなかったことをいいます。

また、慰謝料の請求が全額そのまま認められてしまったような場合にも、「敗訴」と言うことがあるでしょう。

つまり、不貞裁判で負けるというのは、慰謝料をほとんど減額できず又は慰謝料が全額認められてしまったような場合を指して言われるのが、通常です。

~不貞裁判で敗訴した場合の判決文の例~
裁判で300万円の慰謝料が請求された場合を想定します。
負けの例1:減額30万円 「被告は、原告に対して、金270万円を支払え
負けの例2:減額0 「被告は、原告に対して、金300万円を支払え

2章 不貞裁判で敗訴する3つのケース

不貞裁判で負けるケースとして、よくある例には以下の3つがあります。

ケース1:肉体関係が立証された
ケース2:婚姻関係が破綻していなかった
ケース3:既婚者と知っていた又は知らないことに過失があった

それでは各ケースについて順番に見ていきましょう。

2-1 ケース1:肉体関係が立証された

不貞裁判で敗訴するケースの1つ目は、肉体関係が立証されたケースです。

慰謝料の請求が認められるには、肉体関係が立証される必要があります。

慰謝料の請求が認められるには不貞行為が認められる必要があり、不貞行為が認められるには、肉体関係が立証される必要があるからです。

例えば、あなたが慰謝料を請求された場合、写真や録音などによって肉体関係を立証されると、慰謝料請求が認められてしまうおそれがあるのです。

しかし、不貞行為の証拠は写真や録音だけに限られません

例えば、SNSに不倫に関する投稿をしている場合、不貞行為を推認する事情として用いられることがあります。

そのため、不貞行為の証拠を残すことは、敗訴するおそれのある非常に危険な行為といえます。

2-2 ケース2:婚姻関係が破綻していなかった

不貞裁判で敗訴するケースの2つ目は、婚姻関係が破綻していなかったケースです。

慰謝料の請求が認められるには、不貞行為の時点において婚姻関係が破綻していなかったといえる必要があります。

不貞慰謝料の請求は、民法上の不法行為としての性質を有するので、被害者に損害が生じたといえる必要があります。

しかし、婚姻関係が破綻している場合には、不貞行為によっても婚姻関係の平穏は侵害されず、損害は生じません

例えば、長期間別居していた場合など、婚姻関係が破綻していたことを推認させる事情がある場合、慰謝料の請求は認められ難いでしょう。

これに対して、婚姻関係が破綻していなかった場合には、不貞行為によって損害が生じてしまい、結果的に敗訴してしまうおそれがあるのです。

2-3 ケース3:既婚者と知っていた又は知らないことに過失があった

不貞裁判で敗訴するケースの3つ目は、既婚者と知っていた又は知らないことに過失があったケースです。

慰謝料の請求が認められるには、あなたに故意または過失があったといえる必要があります。

不貞慰謝料の請求は、民法上の不法行為としての性質を有するので、あなたに故意過失があったといえる必要があるためです。

しかし、故意過失がない場合には慰謝料の請求は認められません。

例えば、あなたが既婚者か尋ねたら、相手は結婚していないと発言していたような場合には、故意過失は認められにくいでしょう。

そのため、あなたが既婚者と知っていた場合や知らないことに過失がある場合には、不貞裁判で敗訴してしまうおそれがあるのです。

既婚者だと知らなかった場合の対処法については以下の記事で詳しく解説しています。

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3章 不貞裁判に敗訴した場合の末路3つ

慰謝料を請求された方は、敗訴した場合の状況について不安を感じているかともいると思います。

以下では、不貞裁判で敗訴した場合の末路を詳しく解説していきます。

末路1:差し押さえ
末路2:訴訟費用と弁護士費用の負担
末路3:控訴する場合には控訴費用の負担

それでは各末路について順番に説明していきます。

3-1 末路1:差し押さえ

不貞裁判に敗訴した場合の末路1つ目は、差し押さえをされるおそれがあることです。

不貞裁判で判決が確定すると、強制執行の申立てに必要な債務名義が被害者に与えられます。

被害者は、債務名義に基づき裁判所に対して強制執行の申立てを行い、これが認められるとあなたの財産は差し押さえられてしまうでしょう。

申立てが認められた後は、おおよそ1か月以内に差し押さえが始まってしまいます。

差し押さえの対象としては、以下のようなものが挙げられます。

・給与・預金等
・不動産
・動産
・保険の解約返戻金

なお、給与を差し押さえられてしまった場合に、解雇などの紛争が生じることがあります

給与の差し押さえによる解雇については以下の記事で詳しく解説しています。

3-2 末路2:訴訟費用と弁護士費用の負担

不貞裁判に敗訴した場合の末路2つ目は、訴訟費用と弁護士費用の負担する必要があることです。

裁判で敗訴した場合、勝訴者から訴訟費用を請求されることがあります。

また、一般的には、敗訴した場合でも相手方から弁護士費用を請求されることはありません。

しかし、不貞裁判で敗訴した場合には、相手方から弁護士費用を請求されることがあります

これは、不貞裁判における被害者としての側面を強調し、例外的に弁護士費用を損害に含めているためです。

ただし、弁護士費用といっても、相手方が弁護士に支払った金額全額を負担することになるわけではありません。

認容される場合であっても、損害賠償として認容される金額の10%程度となります

そのため、不貞裁判で敗訴した場合には、訴訟費用と弁護士費用の両方を請求されることもあるでしょう。

3-3 末路3:控訴する場合には控訴費用の負担

不貞裁判に敗訴した場合の末路3つ目は、控訴する場合には控訴費用を負担する必要があることです。

判決に不服がある場合は、控訴してさらに争うことがあります。

この場合、控訴費用に加えて追加の弁護士費用を負担することになってしまうでしょう。

例えば、控訴するために必要な収入印紙の金額は以下のとおりとされています。

また、控訴した場合、事件の解決までにかかる時間も伸びてしまいます

そのため、控訴してまで争うかどうかは、事件の状況やあなたの意思に照らして慎重に判断する必要があるのです。


4章 不貞裁判で敗訴した判例3つ

ここでは、不貞裁判で敗訴してしまった場合の判例についてご紹介します。

判例1:200万円の慰謝料が認容された事案
判例2:200万円の慰謝料が認容された事案
判例3:100万円の慰謝料が認容された事案

それでは順番に説明していきます。

4-1 判例1:200万円の慰謝料が認容された事案

原告が、被告と原告の夫が不貞行為をしたことから、被告に対して200万円の慰謝料を請求した事案について、

裁判所は、被告が原告の夫が既婚者であることを知りつつ、堂々と不貞行為に及んでいたことを理由に、慰謝料は200万円が妥当と判断しています

判例は以下のように説明してします。

東京地判平成26年11月13日D1-Law.com判例体系〔29043408〕
「Aは、被告と性的関係を持つことにより不貞行為を行ったこと、被告は、Aが既婚者であることを知りながらその相手方となったことが認められるから、被告の行為は違法というべきであり、被告は、原告に対して不法行為責任を負う。
そして、原告は、被告の不法行為により精神的苦痛を被ったと認められるところ、被告の行為態様、殊に、被告が、原告とAの別居後には他人の目をはばかることなくAと夫婦同然の振る舞いを続けていることなど本件に顕れた前記認定の諸事情を考慮すると、原告の被った精神的苦痛に対する慰謝料は200万円が相当である。」

4-2 判例2:200万円の慰謝料が認容された事案

原告が、被告と原告の夫が不貞行為をしたことから、被告に対して慰謝料300万円を請求した事案について、

裁判所は、原告とその夫との婚姻関係の平穏は、被告の不貞行為によって破綻させられたものとして、慰謝料は200万円が妥当と判断しています

判例は以下のように説明しています。

東京地判平成25年10月4日D1-Law.com判例体系〔29030685〕
「原告とA(原告の夫)は、同年11月1日に離婚したが、証拠によれば、その原因は、Aと被告との上記1認定にかかる不貞行為であると認めるのが相当であり、他にこの認定を左右する証拠はない。
そうすると、原告とAの婚姻関係は、Aと被告の不貞行為により破綻したことになるから、被告は、原告に対して、不法行為責任を負うというべきである。そして、上記1認定の事実のほか、本件弁論に顕れた一切の事情を考慮し、慰謝料の金額は200万円をもって相当と認める。」

4-3 判例3:100万円の慰謝料が認容された事案

原告が、被告と原告の妻が不貞行為をしたことから、被告に対して慰謝料140万円を請求した事案について

裁判所は、不貞行為によって婚姻関係が破綻し、婚姻期間が9年と長いことや、未成年の子どもが2人いること、職を失ったことを考慮すると、慰謝料は100万円が妥当と判断しています

判例は以下のように説明しています。

東京簡判平成24年6月5日D1-Law.com判例体系〔28250901〕
「原告と被告の婚姻関係は、被告がA(原告の妻)と上記関係を有するに至ったことによって破綻したとみることができるから、被告は、原告との婚姻関係を破壊し、原告の妻としての人格的権利を侵害したことにつき、損害賠償責任を負うと判断するのが相当である。
そこで、原告の慰謝料額について検討すると、被告の不貞行為により原告が精神的苦痛を受けたことは、前記認定のとおり明らかであるというべきところ、婚姻届出から破綻までの期間は約9年に及ぶこと、両者の間には未成年の子供が2人いること、破綻の直接の原因がAとの不貞行為にあったこと、原告は被告との婚姻関係が破綻したことで、コンビニエンスストアの経営ができなくなり、結果的に仕事を失ったこと、その他本件に顕れた諸事情を斟酌すると、原告の慰謝料は100万円をもって相当と認める。」
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5章 不貞裁判で敗訴する確率を減らすための対策3つ

不貞裁判で敗訴する確率を減らすためには的確な対策を講じる必要があります。

ここでは、不貞裁判で敗訴する確率を減らすための対策を簡単に解説していきます。

対策1:弁護士に依頼する
対策2:交渉で解決する
対策3:証拠を集める

それでは各対策について順番に説明していきます。

5-1 対策1:弁護士に依頼する

不貞裁判で敗訴する確率を減らすための対策1つ目は、弁護士に依頼することです。

不貞慰謝料の請求または減額交渉をする場合、あなたの主張を説得的に説明する必要があります。

説得的な説明をするには、法的な知識や交渉の経験が重要となってくるのです。

実際に交渉をしたことがなければ、どの事情があなたにとって有利な事情なのかを判断することは難しいでしょう。

しかし、法律の専門家である弁護士であれば、必要な知識と経験を備えているので、迅速かつ適切な対応を期待できます。

そのため、不貞裁判で敗訴する確率を減らすには、法律の専門家に任せてしまうことがおすすめなのです。

最高の弁護士を選ぶポイントについては以下の記事で詳しく解説しています。

5-2 対策2:交渉で解決する

不貞裁判で敗訴する確率を減らすための対策2つ目は、交渉で解決することです。

交渉で話しがまとまらなかったり、慰謝料の請求を殊更に無視しているような場合には、裁判に発展してしまうことがあります。

しかし、敗訴する確率を減らすためには、交渉での解決をおすすめします。

裁判に至ってしまうと、裁判官によって客観的に適切な慰謝料の金額が判断されることとなるでしょう。

他方で、交渉であれば双方が納得できる落としどころを模索することができます

あなたの意思を結果に反映させることができるのです。

上手な減額交渉の方法については以下の記事で詳しく解説しています。


5-3 対策3:証拠を集める

不貞裁判で敗訴する確率を減らすための対策3つ目は、証拠を集めることです。

不貞裁判で肉体関係の有無や婚姻関係の破綻の有無、既婚者であることについての認識等が争いになった場合には、証拠により判断されることになります。

例えば、以下の証拠を集めましょう。

・SNSの投稿
・LINEのやり取りの履歴
・手紙
・手帳又はスケジュール帳

そのため、できる限り多くの証拠を集めるようにすることが、不貞裁判で敗訴する確率を減らすことになるでしょう。

不貞裁判の証拠については以下の記事で詳しく説明しています。

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6章 慰謝料の減額交渉はリバティ・ベル法律事務所にお任せ

慰謝料の減額交渉については、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください

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7章 まとめ

今回は、不貞裁判における敗訴と敗訴をの確立を減らすための対策について解説しました。

この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。

まとめ

・不貞裁判における「敗訴」とは、慰謝料をほとんど減額できず又は慰謝料が全額認められてしまったような場合を指して言われます。

・不貞裁判で敗訴する3つのケースは以下のとおりです。
ケース1:肉体関係が立証された
ケース2:婚姻関係が破綻していなかった
ケース3:既婚者と知っていた又は知らないことに過失があった

・不貞裁判に敗訴した場合の末路は以下の3つです。
末路1:差し押さえされるおそれ
末路2:訴訟費用と弁護士費用の負担するおそれ
末路3:控訴する場合には控訴費用の負担がある

・不貞裁判で敗訴する確率を減らすための対策は以下の3つです。
対策1:弁護士に依頼する
対策2:交渉で解決する
対策3:証拠を集める

この記事が、不貞裁判で敗訴した場合にどうなるのか知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。

以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。

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