突然、高額の慰謝料を請求されて驚いていませんか?
正当な慰謝料であれば支払うつもりがあっても、何百万円も請求されてしまうと対応に困ってしまいますよね。
実際、慰謝料の減額交渉をできることを知らずに請求されたとおりの金額を振り込んでしまったというケースが後を絶ちません。
慰謝料減額交渉を行うには、請求の内容を分析したうえで、具体的な理由を指摘して、その事案において適正な金額になるように回答する必要があります。
とはいっても、具体的にどのようなやり取りをすればいいのか中々イメージが湧きませんよね。
そこで、この記事では、慰謝料の減額交渉を行う際の回答書のひな型を用いながら、誰でも簡単に実践できるように説明していきたいと思います。
ただし、慰謝料の減額交渉については、自分でも可能ではありますが、その労力や時間、減額できる金額を考えれば、最初から弁護士に任せてしまう方がオススメです。
なぜなら、慰謝料の金額には、交渉力の格差が大きく影響することになりますが、事案に応じた裁判例や見通しについては一朝一夕で理解できるものではないためです。
この記事では、どうしても着手金を支払うことが難しく弁護士に依頼することができない方などを想定して、交渉をするにあたり最低限必要な能力と知識が身につくように工夫して説明していければと思います。
今回は、不倫慰謝料の減額交渉の方法について、誰でもわかるように簡単に回答書の書き方や交渉手順・期間を解説していきます。
具体的には、以下の流れで解説していきます。
この記事を読めば不倫慰謝料の減額交渉の方法がよくわかるはずです。
目次
1章 自分で慰謝料の減額を交渉する場合の書き方【ひな型付き】
慰謝料の請求をされると、以下のような文書が自分のもとに届くことになります。
WORDファイルのひな形ダウンロードはこちら
PDFファイルのひな形ダウンロードはこちら
※適切な通知書については事案により異なりますので、適宜ご修正下さい。ひな形の利用に伴い損害等が生じた場合でも、当サイトでは一切責任を負いかねますので、自己責任でお願いいたします。
※PDFの通知書については、精神的苦痛が大きい理由についての記載を省略しています。
減額交渉を行っていく場合には、これに対して回答をしていくことになります。
回答については、事案により異なりますが、以下のポイントを踏まえて記載していくといいでしょう。
ポイント2:悪質性を緩和する事情があること
ポイント3:資力が乏しいこと
ポイント4:求償権があること
例えば、回答書のひな型は以下のとおりです。
WORDファイルのひな形ダウンロードはこちら
PDFファイルのひな形ダウンロードはこちら
※適切な回答書については事案により異なりますので、適宜ご修正下さい。ひな形の利用に伴い損害等が生じた場合でも、当サイトでは一切責任を負いかねますので、自己責任でお願いいたします。
それでは、各要素について順番に説明していきます。
1-1 ポイント1:謝罪の意思があること
減額交渉の際に書くべき事項の1つ目は、謝罪の意思があることです。
減額交渉する場合であっても、不倫が悪いことであり、不倫相手の配偶者に不快な思いをさせてしまったことは事実であるためです。
真摯な態度で対応することが交渉の出発点となります。
真摯な態度で対応することにより、相手方も譲歩しやすくなり、また裁判になった場合に慰謝料の減額要素にもなります。
そのため、回答書には、例えば、以下のような書き方をします。
1-2 ポイント2:悪質性を緩和する事情があること
減額交渉の際に書くべき事項の2つ目は、悪質性を緩和する事情があることです。
不倫慰謝料の金額を判断する際の悪質性については、以下のような事情が考慮されます。
・婚姻期間
・不倫の期間や回数
・未成熟子の有無
そのため、上記要素のうち、悪質性を緩和するような事情があるのであれば、積極的に指摘していくことになります。
不倫慰謝料の相場については、以下の記事で詳しく解説しています。
1-3 ポイント3:資力が乏しいこと
減額交渉の際に書くべき事項の3つ目は、資力が乏しいことです。
なぜなら、民事訴訟は、差し押さえ等の方法を用いて、強制的に財産から慰謝料を回収する目的で行われます。
しかし、財産を何も持っていない人からは、勝訴判決を得たとしても、慰謝料を回収することはできません。
そして、十分な資力がないことを説明することにより、執行をしても財産を回収することが困難であることを示すことができます。
そのため、請求する側も、強制的に回収するのが難しいなら、任意に支払ってもらいたいと考えることになりますので、一定程度譲歩してでも示談に応じるのです。
以上を踏まえて、私としては、貴殿に対して、合計●●万円を12分割して毎月●万円ずつ支払うことによる解決を提案させていただきます。
1-4 ポイント4:求償権があること
減額交渉の際に書くべき事項の4つ目は、求償権があることです。
求償権とは、慰謝料を支払った後に、責任の割合に応じて、不倫相手に対しても、その一部を負担するように請求することができる権利のことです。
不倫相手とその配偶者が別居も離婚もしない場合には、経済的に一体となっていることが多いので、求償権を行使されてしまうと、結果的には慰謝料が減額されたのと同じになることがあります。
この場合には、慰謝料を減額する代わりに、求償権を放棄するという交渉を行うことがあります。
2章 ケース別!慰謝料の減額交渉金額の目安
不倫慰謝料の相場は、30万円~300万円程度となります。
ただし、慰謝料の金額はケースごとに異なりますので、慰謝料の減額交渉をするに当たっては、より具体的な相場を知っておく必要があります。
以下では、次の3つのケースに分けて減額交渉金額の目安を見ていきましょう。
ケース1:別居に至らなかったケース
ケース2:別居に至ったケース
ケース3:離婚に至ったケース
2-1 ケース1:別居に至らなかったケース
別居に至らなかったケースの場合には、慰謝料金額の相場は30万円~100万円程度となります。
婚姻期間が3年以下の場合には30万円~50万円、婚姻期間が3年~15年の場合には50万円~75万円、婚姻期間が15年以上の場合には75万円~100万円程度が目安です。
求償権を放棄する場合には、負担する割合にもよりますが、おおよそ上記金額の半額程度になります。
2-2 ケース2:別居に至ったケース
別居に至ったケースの場合には、慰謝料金額の相場は50万円~200万円程度となります。
婚姻期間が3年以下の場合には50万円~100万円程度、婚姻期間が3年~15年の場合には100万円~150万円、婚姻期間が15年以上の場合には150万円~200万円程度となります。
求償権を放棄する場合には、負担する割合にもよりますが、おおよそ上記金額の半額程度になります。
2-3 ケース3:離婚に至ったケース
離婚に至ったケースの場合には、慰謝料金額の相場は150万円~300万円程度となります。
婚姻期間が3年以下の場合には150万円~200万円程度、婚姻期間が3年~15年の場合には200万円~250万円、婚姻期間が15年以上の場合には250万円~300万円程度となります。
求償権を放棄する場合には、負担する割合にもよりますが、おおよそ上記金額の半額程度になります。
3章 慰謝料の減額交渉の手順と期間の目安
慰謝料を請求される場合には、通常、通知書には相場よりも大きい金額が記載されています。
よく見る金額が150万円・300万円・500万円などです。
慰謝料を適正な金額にするためには、減額の交渉をしていく必要があります。黙って払ってしまったら、通常よりも高額の慰謝料の支払いをしてしまうことになりかねません。
慰謝料の減額を交渉する手順は、以下のとおりです。
手順2:回答書の送付
手順3:交渉|話し合いがまとまれば示談
手順4:裁判
期間の目安としては、手順1+手順2で2週間程度、手順3で1か月~4か月程度、手順4で1年程度となります。
つまり、交渉で解決する場合には、通知書が届いてから1か月~5カ月程度で解決する傾向にありますが、訴訟になった場合には通知書が届いてから1年~1年半程度の時間がかかります。
それでは、各手順について順番に説明していきます。
3-1 手順1:慰謝料の「請求金額」と「妥当な金額」を確認
慰謝料の減額交渉の手順の1つ目は、「請求金額」と「妥当な金額」を確認することです。
相手方から届いた通知書には、通常、請求する慰謝料の金額(請求金額)が書いてありますので、まずはこれを確認しましょう。
そのうえで、第2章の慰謝料の減額交渉金額の目安で説明した金額(妥当な金額)を確認します。
そうすると、相手方の請求金額がどの程度相場よりも高いのかが明らかになります。
3-2 手順2:回答書の送付
慰謝料の減額交渉の手順の2つ目は、回答書を送付することです。
第1章で説明した4つのポイントを踏まえて回答書を作成しましょう。
通常、請求者から届いた通知書には、2週間程度の回答期限が設けられています。
回答期限には法的拘束力はありませんが、一応、回答する時期の目安にはなります。
そのため、なるべく通知書が届いてから2週間程度で回答をするようにしておくといいでしょう。
回答書の簡単な書き方は以下の記事で詳しく解説しています。
3-3 手順3:交渉|話し合いがまとまれば示談
慰謝料の減額交渉の手順の3つ目は、交渉することです。
回答書を送付すると、相手方から回答に対して、再回答がなされます。
通常は、当初の請求金額よりも一定程度低い金額による再提案等が行われます。
このようなやり取りを繰り返していき、相場の金額に近づき、双方が納得した場合には示談が成立します。
書面のやり取りは、通常2週間~1ヶ月程度おきに行われますので、交渉には1か月~4か月程度を要します。
電話でのやり取りであれば、もう少し早く交渉が進んでいくことが多いです。
減額交渉の方法については以下の記事で詳しく解説しています。
3-4 手順4:裁判
慰謝料の減額交渉の手順の4つ目は、裁判です。
話し合いによっても、適正な金額にならない場合には、示談により解決できないことがあります。
このような場合には、通常、慰謝料を請求している側が訴訟を提起します。(ただし、慰謝料を請求されている側から、慰謝料の不存在の確認をする訴訟を提起することもできます)
訴訟になると、期日は、通常1ヶ月程度おきに入ることになり、双方の主張立証が出尽くすまで続くことになりますので、1年程度かかります。
不倫慰謝料の裁判については、以下の記事で詳しく解説しています。
4章 慰謝料の減額を交渉する場合の注意点
慰謝料の減額を交渉する場合には、いくつかの注意点があります。
これらの注意点をおさえておかないと、紛争が拡大してしまって、適正な範囲を超える慰謝料を支払うことになりかねません。
具体的には、慰謝料の減額を交渉する場合の注意点は以下のとおりです。
注意点2:慰謝料請求者と直接会うのは避ける
注意点3:謝罪の意思を示す
注意点4:示談書を作成してから支払う
それでは各注意点について順番に説明していきます。
4-1 すぐに慰謝料の振り込みをしない
慰謝料の減額を交渉する場合の注意点の1つ目は、すぐに慰謝料の振り込みをしないことです。
なぜなら、最初に通知書に記載してある慰謝料の金額は、適正な金額よりも高額であることが多く、一度支払いをしてしまうと返してもらうことは難しいためです。
例えば、適正な慰謝料金額が50万円の事案であっても、通知書には300万円の慰謝料を請求すると記載してある場合があります。
すぐに慰謝料の振り込みをしてしまうと、支払う必要のなかった250万円についても、返ってこない可能性が高いのです。
そのため、慰謝料については振り込みをする前、必ず適正な金額を確認するようにしましょう。
4-2 慰謝料請求者と直接会うのは避ける
慰謝料の減額を交渉する場合の注意点の2つ目は、慰謝料請求者と直接会うのは避けることです。
なぜなら、慰謝料請求者と直接会ってしまうと、その場で請求者に有利な合意書を渡されて、これにサインするまでは帰さないなどと言われることがあるためです。
例えば、慰謝料請求者の方に謝罪しようとして、相手方の家に行ったら、その場で合意書にサインをさせられてしまい、合意書には300万円の慰謝料を支払うと記載してあったなどといった事案が後を絶ちません。
4-3 謝罪の意思を示す
慰謝料の減額を交渉する場合の注意点の3つ目は、謝罪の意思を示すことです。
慰謝料の減額を交渉する際には、まずは謝罪意思をしっかり示しておきましょう。
請求されている慰謝料の金額が高額である場合であっても、不倫をしてしまったこと自体については、あなたに落ち度があり真摯に対応するべきだからです。
ただし、謝罪することと、慰謝料の支払いは別の問題ですので、適正な金額を超える慰謝料の支払いに応じる必要は全くありません。
謝罪を示すことにより慰謝料の減額事由にもなり得ますし、相手方も感情を逆撫ですることも防ぐことができます。
4-4 示談書を作成してから支払う
慰謝料の減額を交渉する場合の注意点の4つ目は、示談書を作成してから支払うことです。
なぜなら、示談書を作成せずに支払いをしてしまうと、後から、追加で慰謝料を請求されたり、不倫の事実を口外されてしまったりして、紛争が再燃することがあるためです。
例えば、不倫慰謝料の示談書については、以下のように作成します。
WORDファイルのひな形ダウンロードはこちら
PDFファイルのひな形ダウンロードはこちら
※適切な示談書については事案により異なりますので、適宜ご修正下さい。ひな形の利用に伴い損害等が生じた場合でも、当サイトでは一切責任を負いかねますので、自己責任でお願いいたします。
不倫慰謝料の示談書の作成方法については、以下の記事で詳しく解説していますので読んでみてください。
5章 慰謝料の減額交渉は弁護士に任せるのがおすすめ!
不倫慰謝料請求の減額交渉は弁護士に任せることがおすすめです。
不倫慰謝料の減額交渉において、適正な金額にするためには、事案に応じた交渉方針の策定したうえで、裁判例の傾向や法的な権利を踏まえて、説得的に交渉していく必要があります。
とくに、不倫慰謝料の減額交渉は、知識や経験の格差が金額に大きな影響を与える分野です。
慰謝料の減額交渉については、通常、書面を一回出しただけでは終わらず、複数回書面をやり取りすることになりますし、状況に応じて電話などで直接話した方が適切な場合もあります。
どの事実があなたにとって有利で、どのタイミングでそれを主張するかなどは、裁判を経験したことがないとイメージしにくい部分です。
そのため、不倫慰謝料については、交渉方針の策定や書面の作成、交渉、訴訟について、全て弁護士に任せてしまうことがおすすめなのです。
6章 不倫慰謝料の減額交渉はリバティ・ベル法律事務所にお任せ|解決実績
不倫慰謝料を請求されたら、是非、リバティ・ベル法律事務所にご相談ください。
リバティ・ベル法律事務所は、不倫慰謝料問題に注力しており、この分野に圧倒的な知識とノウハウを持っています。
少数精鋭でご依頼を受けた一つ一つの案件について、不倫慰謝料問題に強い弁護士が丁寧に向き合っているところが弊所の強みです。
不倫慰謝料の拒否又は減額については、ご依頼者様の負担を軽減するために初回相談無料にて対応しておりますのでお気軽にお問い合わせください。
例えば、リバティ・ベル法律事務所の不倫慰謝料事件の解決実績は、以下のとおりです。
不倫慰謝料を300万円から100万円まで減額することに成功した事例 (libertybell-law.com)
不倫慰謝料を150万円から25万円まで減額することに成功した事例 (libertybell-law.com)
7章 まとめ
今回は、不倫慰謝料の減額交渉の方法について、誰でもわかるように簡単に回答書の書き方や交渉手順・期間を解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
・回答については、以下のポイントを踏まえて記載していくといいでしょう。
ポイント1:謝罪の意思があること
ポイント2:悪質性を緩和する事情があること
ポイント3:資力が乏しいこと
ポイント4:求償権があること
・減額交渉金額の目安は、以下のとおりです。
別居に至らなかったケース:30万円~100万円
別居に至ったケース:50万円~200万円
離婚に至ったケース:150万円~300万円
・慰謝料の減額を交渉する手順は、以下のとおりです。
手順1:慰謝料の「請求金額」と「妥当な金額」を確認
手順2:回答書の送付
手順3:交渉|話し合いがまとまれば示談
手順4:裁判
・慰謝料の減額を交渉する場合の注意点は以下のとおりです。
注意点1:すぐに慰謝料の振り込みをしない
注意点2:慰謝料請求者と直接会うのは避ける
注意点3:謝罪の意思を示す
注意点4:示談書を作成してから支払う
この記事が突然不倫慰謝料を請求されて悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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