

不貞(不倫)慰謝料の減額要素について知りたいと悩んでいませんか?
多くの事実の中から減額要素として働く事実だけを探すのは大変ですよね。
不貞慰謝料の減額要素としては、例えば以下の9つがあります。

減額要素があれば慰謝料の相場も低くなるため、適正な金額になるよう減額交渉していくことが重要になります。
しかし、正しい方法で減額交渉しなければ、慰謝料が適正な金額にならないこともあります。
実は、慰謝料請求に焦って対応したことで、減額要素を活かしきれなかったということもあるのです。
この記事をとおして、減額要素を活かす交渉方法を知っていただければと思います。
今回は、不貞慰謝料の減額要素を説明した上で、減額要素を活かすための交渉方法を解説していきます。
具体的には、以下の流れで解説してきます。

この記事を読めば、不貞慰謝料の減額要素についてよくわかるはずです。
目次
1章 不貞慰謝料の減額要素9つ
慰謝料の減額交渉をするには、どの事実が減額要素として使えるのかを把握しておく必要があります。
不貞慰謝料の減額要素としては、例えば以下の9つがあります。
減額要素2:支払い能力がない
減額要素3:同居を継続している
減額要素4:婚姻期間が短い
減額要素5:不貞の期間が短い又は回数が少ない
減額要素6:反省・謝罪している
減額要素7:求償権の放棄を求められている
減額要素8:不貞行為に消極的だった
減額要素9:ダブル不倫だった
それでは、各要素について順番に解説していきます。
1-1 減額要素1:請求金額が相場より高い
不貞慰謝料の減額要素1つ目は、請求金額が相場よりも高い場合です。
なぜなら、相場よりも高い過剰な請求の場合、減額できる可能性が高いためです。
不貞慰謝料の相場は10万~300万円程度とされており、具体的には以下の相場表に近い金額になりやすいです。

そのため、請求金額が相場よりも高いことは、不貞慰謝料の減額要素になります。
過剰な慰謝料請求への対応方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
1-2 減額要素2:支払い能力がない
不貞慰謝料の減額要素2つ目は、支払い能力がない場合です。
なぜなら、支払い能力がなければ、裁判で勝訴しても慰謝料を回収できないためです。
この場合、支払えないことを理由に減額交渉するか、分割払いの交渉をすることになります。
慰謝料を払えない場合の対処法については、以下の記事で詳しく解説しています。
1-3 減額要素3:同居を継続している
不貞慰謝料の減額要素3つ目は、同居を継続している場合です。
なぜなら、不貞後も同居を継続している場合、不貞による夫婦関係への影響は離婚の場合と比較して小さいといえるためです。
そのため、同居を継続している場合には、慰謝料減額の可能性が高いのです。
1-4 減額要素4:婚姻期間が短い
不貞慰謝料の減額要素4つめは、婚姻期間が短い場合です。
なぜなら、婚姻期間が短ければ夫婦としての積み重ねも少なくなるので、不貞によって与える精神的苦痛が小さくなるためです。
一般的には、婚姻期間3年以下であれば短いと判断されやすいです。
1-5 減額要素5:不貞の期間が短い又は回数が少ない
不貞慰謝料の減額要素5つ目は、不貞の期間が短い又は回数が少ない場合です。
なぜなら、この場合には不貞行為の悪質性が低くなり、与える精神的苦痛が小さくなるためです。
不貞行為の期間は3か月程度であれば短く、不貞行為の回数は1~2回の場合に少ないと判断されやすいです。
不貞行為の期間と慰謝料の関係については、以下の記事で詳しく解説しています。
不貞行為の回数と慰謝料の関係については、以下の記事で詳しく解説しています。
1-6 減額要素6:反省・謝罪している
不貞慰謝料の減額要素6つ目は、反省・謝罪している場合です。
なぜなら、反省し謝罪もしている場合、まったく反省していない場合と比べて請求者が受ける精神的苦痛が少なくなるためです。
実際、反省していること減額要素として考慮している裁判例も多く、不倫が発覚したらまずは真摯に謝罪することが重要です。
1-7 減額要素7:求償権の放棄を求められている
不貞慰謝料の減額要素7つ目は、求償権の放棄を求められている場合です。
求償権とは、不倫相手から支払った慰謝料の一部を回収できる権利をいいます。
求償権が行使されると、既婚者側は「慰謝料を請求する」「慰謝料を支払う」といった同じ手続が繰り返されることになります。
【求償権とは】

こうした手続の繰り返しを防ぐため、求償権の放棄を求められることがあります。
そのため、求償権を放棄する代わりに、求償できた分について慰謝料を減額できないか交渉することができるのです。
求償権が問題となった場合の対処法については、以下の記事で詳しく解説しています。
1-8 減額要素8:不貞行為に消極的だった
不貞慰謝料の減額要素8つ目は、不貞行為に消極的だった場合です。
なぜなら、不貞行為に消極的な場合、主導的な役割を果たしたとはいえず、行為の悪質性が低くなるためです。
例えば、既婚者だから不貞行為を拒否したものの、強く迫られたことからやむを得ず不貞行為に及んだ場合、消極的だったと判断される可能性があります。
1-9 減額要素9:ダブル不倫だった
不貞慰謝料の減額要素9つ目は、ダブル不倫だった場合です。
ダブル不倫とは、既婚者同士の不倫をいいます。
ダブル不倫では、双方が同程度の慰謝料を請求できるため、全体としてみれば獲得金額が0になることもあります。
こうした事態を避けるため、ダブル不倫では双方が慰謝料請求しない又は大きく減額するといった方法が採られることもあります。
ダブル不倫における慰謝料相場と最適な対処法については、以下の記事で詳しく解説しています。
~慰謝料を支払う必要がないケース~
慰謝料請求では減額交渉が重要になりますが、中には慰謝料を支払う必要がないというケースも存在します。
慰謝料を支払う必要がないケースとしては、例えば以下の5つのケースがあります。
ケース2:請求者が未婚である
ケース3:既婚者だと知らず、知らないことに過失もない
ケース4:婚姻関係が破綻している
ケース5:時効により消滅している
これらのケースに当たる場合、交渉の方針が大きく変わることもあるため、減額交渉の前に慰謝料を支払う必要があるのか確認しておくといいでしょう。
2章 不貞慰謝料の減額要素を考慮した判例2つ
不貞慰謝料の減額要素がどのように考慮されるのか、一緒に確認していきましょう。
不貞慰謝料の減額要素を考慮した判例として、例えば以下の2つがあります。
判例2:620万円減額された事例
それでは、各判例について順番に解説していきます。
2-1 判例1:350万円減額された事例
原告が、原告の配偶者と不貞相手とが不貞行為をしていたことから、不貞相手に対し慰謝料500万円を請求した事案について、
裁判所は、不貞相手らは新婚旅行と称して不貞に及んでいたものの、同居を継続していることや不倫の主導者が配偶者側であることから、慰謝料は150万円が妥当としています。
この判例における主な考慮要素は以下のとおりです。

判例は以下のように説明しています。
「被告は…5年余りにわたってAと不貞関係を継続していたものである。他方…Aは、被告に対し、「新婚旅行」と称して被告との旅行に出かけ、結婚指輪と称して指輪を贈るなどしており、主導的に被告との交際を継続し、被告もこれに応じる態様でAと交際していたものと認めることができる。また…原告は、平成25年10月6日、Aの携帯電話を確認したことを契機にAと被告との間柄を認識したものの、その後もAと別居等することなくAを看病し、婚姻関係を継続していたものと認めることができる。
このような被告とAとの交際期間、交際の態様、原告とAとの婚姻関係に与えた影響のほか、本件に現れた一切の事情を総合考慮すると、被告が原告に対して賠償するべき慰謝料は150万円をもって相当というべきである。」
2-2 判例2:620万円減額された事例
原告が、原告の配偶者と不貞相手が不貞行為をしていたことから、不貞相手に対して慰謝料800万円を請求した事案について、
裁判所は、不貞相手が謝罪していることから、慰謝料は180万円が妥当と判断しています。
この判例における主な考慮要素は以下のとおりです。

判例は以下のように説明しています。
「弁論の全趣旨によれば、原告と原告夫の本件口頭弁論終結時までの婚姻期間は約10年5か月に及ぶこと、被告と原告夫との本件不貞行為の期間は平成24年3月頃から約4年8か月にわたり、被告も原告夫も別れるつもりはないと述べていること、被告は交際当初から原告が原告夫の妻であることを認識していたこと…被告は、本件訴訟に至り本件不貞行為が原告と原告夫との婚姻関係を破綻に導いた一因であることを認め、原告に対する一応の謝罪の言葉を述べ、原告夫に頼らず自らの貯金から慰謝料として200万円を原告へ支払う意向を示したことがそれぞれ認められる。」
「上記認定事実その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、本件不貞行為により原告は相当程度の精神的苦痛を受けたものといえ、原告が被った精神的苦痛に対する慰謝料額は180万円と認めるのが相当である。」
3章 不貞慰謝料の減額要素を活かす交渉方法3つ
不貞慰謝料の減額要素があるとしても、適正な金額に近づけるには正しい交渉方法を押さえておくことが重要になります。
不貞慰謝料の減額要素を活かす交渉方法は以下の3つです。
方法2:適正な慰謝料金額を検討する
方法3:示談書を作成する

それでは、各方法について順番に解説していきます。
3-1 方法1:真摯に謝罪する
不貞慰謝料の減額要素を活かす交渉方法1つ目は、真摯に謝罪することです。
なぜなら、交渉を円滑に進める上で、お互いが十分に話し合える環境を整えることが重要なためです。
そのため、慰謝料請求の内容が事実と合致する場合、反省し素直に謝罪することになります。
ただし、請求内容が事実と異なる場合には、その旨を明確に伝えましょう。
適切な謝罪方法と謝罪文の書き方は、以下の記事で詳しく解説しています。
3-2 方法2:適正な慰謝料金額を検討する
不貞慰謝料の減額要素を活かす交渉方法2つ目は、適正な慰謝料金額を検討することです。
慰謝料の金額は種々の要素を考慮して決定されるので、減額要素があるとしても具体的な金額は事案によって異なります。
しかし、法外な請求が認められるわけではないため、適正な慰謝料金額を検討して減額交渉していく必要があります。
とくに、不貞行為によって別居又は離婚したか、婚姻期間はどの程度か、求償権の放棄を求めるのか等については確認しておくといいでしょう。
3-3 方法3:示談書を作成する
不貞慰謝料の減額要素を活かす交渉方法3つ目は、示談書を作成することです。
なぜなら、示談書を作成しておくと証拠として残り、後のトラブルを防ぐことができるためです。
例えば、合意した金額を支払った後に、「離婚することになったから追加で慰謝料を支払え」といった主張が難しくなるのです。
そのため、減額要素を考慮して決定した金額が覆されないよう、示談書を作成しておくといいでしょう。
4章 慰謝料の減額交渉はリバティ・ベル法律事務所にお任せ
慰謝料の減額交渉については、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。
慰謝料の減額交渉については、交渉力の格差が獲得金額に大きく影響してきます。
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5章 まとめ
今回は、不貞慰謝料の減額要素を説明した上で、減額要素を活かすための交渉方法を解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
“まとめ”
・不貞慰謝料の減額要素は以下の9つです。
減額要素1:請求金額が相場より高い
減額要素2:支払い能力がない
減額要素3:同居を継続している
減額要素4:婚姻期間が短い
減額要素5:不貞の期間が短い又は回数が少ない
減額要素6:反省・謝罪している
減額要素7:求償権の放棄を求められている
減額要素8:不貞行為に消極的だった
減額要素9:ダブル不倫だった
・不貞慰謝料の減額要素を活かす交渉方法は以下の3つです。
方法1:真摯に謝罪する
方法2:適正な慰謝料金額を検討する
方法3:示談書を作成する
この記事が、不貞慰謝料の減額要素について知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。













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