不貞慰謝料の請求書の書き方を知りたいと悩んでいませんか?
配偶者の不貞行為により大きな精神的苦痛を受けたら、不貞相手に対して慰謝料を支払ってもらいたいと考えるのは当然の気持ちですよね。
不貞慰謝料の請求書自体は、テンプレートを用いることで誰でも簡単に作成することができます。
不貞慰謝料の請求書を送る場合には、内容証明郵便により送るのがいいでしょう。
自宅や勤務先に送ることが多いですが、いずれの場合にせよ、名誉を毀損することがないように配慮をしておかなければ、相手方から思わぬ反撃を受けることになります。
また、不貞慰謝料の請求書自体は誰でも簡単に作ることができますが、請求書を送っても、素直に請求金額を振り込んでくる相手方はほとんどいません。
不貞慰謝料を請求するに当たって、本当に難しいのは、その後の「交渉」であることを知っておく必要があります。
一度、不貞慰謝料の請求書を送ってしまうと後から撤回することはできませんので、不貞慰謝料の請求書を作成する段階において、その後の交渉の見通しや流れを踏まえて方針を策定しておくことが大切です。
私のもとにも、自分自身又は他士業の方が作った不貞慰謝料の請求書を送付してみたものの、相手方が支払いに応じないとの相談が多く寄せられます。
しかし、請求書の内容を見てみると、交渉の妨げになってしまうような記載がされていることが多々あります。
このような経験をするたびに、不貞慰謝料の請求書を作成する段階から相談いただきたかったと感じることが多いため、この記事をとおして正しい不貞慰謝料請求書の書き方を知っていただければと思います。
今回は、不貞慰謝料請求書の書き方について、テンプレートや例文を用いながら、誰でもわかるように簡単に説明していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば不貞慰謝料請求書を自分で書けるようになるはずです。
目次
1章 不貞慰謝料請求書の書き方【テンプレート(雛型)・サンプル付き】
よくある不貞慰謝料請求書のテンプレートは、以下のようなものとなります。
WORDファイルのひな形ダウンロードはこちら
PDFファイルのひな形ダウンロードはこちら
※適切な通知書については事案により異なりますので、適宜ご修正下さい。ひな形の利用に伴い損害等が生じた場合でも、当サイトでは一切責任を負いかねますので、自己責任でお願いいたします。
※PDFの通知書については、精神的苦痛が大きい理由についての記載を省略しています。
この不貞慰謝料請求書を基本として、事案に応じて、加筆、修正していくといいでしょう。
もっとも、テンプレートを見るだけでは、どの部分が必須で、どこをどのように修正していけばいいのかも、わからないですよね。
そのため、第1章では、以下の10個のポイントごとに、不貞慰謝料請求書の書き方について、例文を示しながら説明していきます。
ポイント2:不貞の事実
ポイント3:精神的苦痛が大きい理由
ポイント4:精神的苦痛を金銭に評価した金額
ポイント5:その他調査費用や弁護士費用の請求
ポイント6:今後接触等しないようにとの警告
ポイント7:回答期限又は振込期限
ポイント8:書類を作成した日付
ポイント9:請求をする方の名前(通知人)
ポイント10:請求の相手方の名前(被通知人)
1-1 ポイント1:書類のタイトル
不貞慰謝料請求書のポイントの1個目は、書類のタイトルをつけることです。
書類のタイトルをつけておくことで、今後の交渉の中で、どの書類に書かれていたことを指しているのか示しやすくなります。
例えば、不貞慰謝料請求書の書類のタイトルとして目にすることがあるのは、以下の4種類です。
例文1か2がほとんどであり、一番メジャーなのは例文1でしょう。
決まりはありませんが、最初に送る書面は「通知書」、これに対する返事は「回答書」、それ以降のやり取りは「ご連絡」というタイトルを使うことが多いように感じます。
1-2 ポイント2:不貞の事実
不貞慰謝料請求書のポイントの2個目は、不貞の事実です。
あなたの配偶者と被通知人との間で、不貞関係があったことを記載します。
例えば、以下のように記載します。
不貞慰謝料請求書の段階では、あまり不貞事実を具体的に記載しすぎる必要はありません。
あなたが不貞関係の内容を全て把握しているとは限りません。
不貞の事実を具体的に記載しすぎると、あなたがどの程度、不貞の事実を把握しているのか、被通知人が予測しやすくなってしまいます。
例えば、不貞期間について、「令和2年3月~令和3年5月までの間」と具体的に記載すると、被通知人は令和2年3月以前から不貞関係があった場合でも、その事実を明らかにしない可能性があります。
そのため、不貞慰謝料請求書に対する相手方の回答を踏まえて、交渉の中で徐々に不貞の内容を具体的にしていくことが多いのです。
不貞とは何かについては以下の記事で詳しく解説しています。
1-3 ポイント3:精神的苦痛が大きい理由
不貞慰謝料請求書のポイントの3個目は、精神的苦痛が大きい理由です。
これは必ずしも記載をしなければいけないものではありませんが、有利な事情がある場合には、これを記載することにより、慰謝料の増額交渉を行いやすくなります。
例えば、以下のように記載します。
1-4 ポイント4:精神的苦痛を金銭に評価した金額
不貞慰謝料請求書のポイントの4個目は、精神的苦痛を金銭に評価した金額です。
いくらの慰謝料を請求するかを記載しましょう。
例えば、以下のように記載します。
不貞慰謝料請求書に記載した金額については、事実上、交渉における慰謝料の上限金額として機能していくことになりますので、低すぎる金額は記載しない方がいいでしょう。
不貞慰謝料請求書では150万円・300万円・500万円の慰謝料を請求していくものをよく見ますが、特に多いのは300万円の慰謝料を請求するものです。
不貞慰謝料の相場については以下の記事で詳しく解説しています
1-5 ポイント5:その他調査費用や弁護士費用の請求
不貞慰謝料請求書のポイントの5個目は、その他調査費用や弁護士費用の請求です。
調査費用についても、必要な範囲で、被通知人に請求することができます。
例えば以下のとおり記載します。
また、弁護士に依頼する場合には、弁護士費用についても、損害金額の10%の範囲で請求することができます。
1-6 ポイント6:今後接触等しないようにとの警告
不貞慰謝料請求書のポイントの6個目は、今後接触等しないようにとの警告です。
不貞関係が発覚した後も、配偶者と被通知人が接触を続けているような場合には、今後接触等しないようにと警告することがあります。
婚姻関係が破綻していることを前提に慰謝料を請求する場合には、接触を制限することにつき矛盾するのではないかと反論されることもあるため、制限する理由を付記しておくことが考えられます。
1-7 ポイント7:回答期限又は振込期限
不貞慰謝料請求書のポイントの7個目は、回答期限又は振込期限です。
期限については、法的拘束力はありませんが、手続きを進めていくうえでの目安となります。
通常は、2週間程度を記載することが一般的です。
回答期限にするか、振込期限にするかについては、いずれでも問題ありません。
ただし、振込期限を記載したからといって、期限内にこれに従った振り込みがされることはほとんどありません。
いずれの記載をしたとしても、通常は、支払い拒絶、又は、減額を求める趣旨の回答が届きます。
上記期間内にご返答なき場合、又は、何らの誠意あるご対応をいただけなかった場合には、やむなく法的手続を進めさせていただきます。
つきましては、本書面到達後2週間以内に、同金額を下記の銀行口座までお振り込みいただきますようお願いいたします。
●●銀行 ●●支店
普通 ●●●●●●●
● ● ● ●
上記期間内にお振り込みいただけなかった場合、又は、何らの誠意あるご対応をいただけなかった場合には、やむなく法的手続を進めさせていただきます。
1-8 ポイント8:書類を作成した日付
不貞慰謝料請求書のポイントの8個目は、書類を作成した日付です。
何月何日付の書面なのかを明確にすることにより、交渉の中で送付した書面を指摘しやすくなりますし、事実関係も整理しやすくなります。
ただし、作成した日付と被通知人に届いた日付けが離れすぎていると混乱するため、発送する日を記載しておくといいでしょう。
例えば、以下のとおり記載します。
1-9 ポイント9:請求をする方の名前(通知人)
不貞慰謝料請求書のポイントの9個目は、請求する方の名前です。
誰が請求しているのか分かるように、自分の住所と名前を書いておきましょう。
例えば、以下のように記載します。
●●●-●●●
●●●●●●●●●●●●
● ● ● ●
1-10 ポイント10:請求の相手方の名前(被通知人)
不貞慰謝料請求書のポイントの10個目は、請求の相手方の名前です。
誰に対して送った文書なのかを明確にしておきましょう。
例えば、以下のように記載します。
●●●-●●●
●●●●●●●●●●●●
● ● ● ● 殿
請求の相手方のことを「被通知人」と呼びます。
通知書では、請求の相手方の敬称については、「様」ではなく、「殿」としているものが多いです。
1-11 まとめ|チェック表
不貞慰謝料請求書のチェック事項をまとめましたので、記載漏れがないか確認してみてください。
不貞慰謝料請求書の記載事項チェック表
□ 書類のタイトル(必須)
□ 不貞の事実(必須)
□ 精神的苦痛が大きい理由(任意)
□ 精神的苦痛を金銭に評価した金額(必須)
□ その他調査費用や弁護士費用の請求(任意)
□ 今後接触等しないようにとの警告(任意)
□ 回答期限又は振込期限(必須)
□ 書類を作成した日付(必須)
□ 請求をする方の名前(必須)
□ 請求の相手方の名前(必須)
不貞慰謝料請求書には、「脅す言葉」や「虚偽」について記載してはいけません。
このような記載をしてしまうと、あなた自身が相手方から思わぬ反撃をされてしまうことになります。
例えば、慰謝料を支払わない場合には不貞の事実を会社や家族に言い触らすとの記載などはしてはいけません。
例えば、離婚していないにもかかわらず既に離婚したなどの記載をすることもしてはいけません。
2章 不貞慰謝料請求書の送り方|良い例・悪い例
不貞慰謝料請求書の送り方については、様々な方法があり、弁護士であっても、事案によりどの方法により送るべきか悩む場合があります。
送付方法ごとに特徴があり、その方法によってはリスクを伴うことになるためです。
例えば、不定慰謝料請求書の送り方としては、以下のとおり、良い例としては4つ、悪い例としては3つあります。
良い例1:内容証明郵便【おすすめ度★★★★】
良い例2:書留+配達証明【おすすめ度★★★☆】
良い例3:特定記録郵便【おすすめ度★★☆☆】
良い例4:メールやLINE【おすすめ度★☆☆☆】
【悪い例】
悪い例1:普通郵便【危険度★☆☆】
悪い例2:手渡し【危険度★★☆】
悪い例3:FAX【危険度★★★】
それでは、各方法について順番に説明していきます。
2-1 良い例1:内容証明郵便【おすすめ度★★★★】
不貞慰謝料請求書の送り方の良い例の1つ目は、「内容証明郵便+配達証明」です。
内容証明郵便とは、一般書留郵便物の内容文書について証明するサービスです。いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって郵便局が証明してもらうことができます。
配達証明とは、一般書留とした郵便物や荷物について、配達したという事実を証明するサービスです。
内容証明郵便は、配達員が対面で手渡しすることにより交付されます。
そのため、この方法では、不貞慰謝料請求の内容と不貞慰謝料請求書が配達されたことを証明できますので、不貞慰謝料請求書を送付する場合の原則的な送付方法となります。
ただし、内容証明郵便では書式や枚数が決まっているという制約があります。
内容証明郵便の送り方や書式については、以下の日本郵便のサイトをご参照ください。
e内容証明(電子内容証明)操作説明書・文書ファイル雛形 – 日本郵便 (japanpost.jp)
2-2 良い例2:書留+配達証明【おすすめ度★★★☆】
不貞慰謝料請求書の送り方の良い例の2つ目は、「書留+配達証明」です。
書留とは、引受けから配達までの郵便物等の送達過程を記録し、万一、郵便物等(ゆうパックを除きます。)が壊れたり、届かなかった場合に、原則として差出しの際お申し出のあった損害要償額の範囲内で、実損額を賠償するものです。
書留郵便には、配達証明を付することができますので、配達されたことを証明することができます。
書留郵便は、配達員が対面で手渡しすることにより交付されます。
ただし、文書の内容について郵便局に証明してもらうことができませんので、どのような文書が配達されたのかまでは証明することはできません。書留郵便で送る場合には、自分でコピーを控えておく必要があります。
これに対して、書留郵便では、書式や枚数が決まっていないため、内容証明郵便と違い、制約が少なくて済みます。
そのため、文書量が多い場合(6頁以上)、資料を添付する場合などには、書留郵便により送ることを検討することになります。
2-3 良い例3:特定記録郵便【おすすめ度★★☆☆】
不貞慰謝料請求書の送り方の良い例の3つ目は、「特定記録郵便」です。
特定記録郵便とは、郵便物やゆうメールの引受けを記録するサービスです。
ただし、配達証明をつけることはできず、あくまでも番号から配達状況を確認できるにとどまります。
日本郵便の以下サイトに個別番号を入力することにより、配達状況を確認できますので、配達状況画面を印刷することにより証拠になります。
郵便追跡サービス – 日本郵便 (japanpost.jp)
例えば、以下のような表示がされます。
特定記録郵便については、対面による交付ではなく、郵便受けに投函される方法により配達されます。
そのため、居留守や受領拒否をされている場合には、特定記録郵便により送付してみることがあります。
2-4 良い例4:メールやLINE【おすすめ度★☆☆☆】
不貞慰謝料請求書の送り方の良い例の4つ目は、「メールやLINE」です。
メールであれば、送信ボックスに送信した内容や日時、送付先アドレス等が残るため、これを印刷又はスクリーンショットすることにより証拠にします。
LINEであれば、トークルームに投稿と日時、既読の有無等が残りますので、これをスクリーンショットするか、分量が多い場合にはテキストデータにすることにより証拠にします。
LINEのやり取りをテキストデータにして保存する方法は以下のとおりです。
手順1:「トーク」タブを押して、保存したい「友達」とのトークを選択する
2-5 悪い例1:普通郵便【危険度★☆☆】
不貞慰謝料請求書の送り方の悪い例の1つ目は、「普通郵便」です。
普通郵便では、送付先に配達されたのかどうか、配達状況を確認することができません。
相手方から届いていないと言われた場合に、それまでになってしまう可能性があります。
そのため、普通郵便により送付する方法はおすすめできません。
2-6 悪い例2:手渡し【危険度★★☆】
不貞慰謝料請求書の送り方の悪い例の2つ目は、「手渡し」です。
手渡しについては、自分自身が直接相手方と対面することになるためトラブルとなる可能性があります。
例えば、書面を交付する際にお互い感情的になってしまい、口論等になってしまう可能性があります。
また、相手方の家や会社に直接赴けば、不貞トラブルを抱えていることが周知の事実となり、名誉を棄損されたとの反論を招く可能性があります。
そのため、相手方に直接手渡しにより交付する方法は危険です。
2-7 悪い例3:FAX【危険度★★★】
不貞慰謝料請求書の送り方の悪い例の3つ目は、「FAX」です。
FAXについては、相手方の家や会社に送る場合には、印字された書面がそのまま印刷されて、むき出しのまま誰でも見ることができる状態で放置される可能性があります。
そのため、不貞のトラブルを抱えていることが周知の事実になる可能性が、特に大きく名誉を棄損されたとの反論を招くリスクも高いのです。
そのため、FAXにより送付する方法は危険が大きいです。
3章 不貞慰謝料請求書の送り先
不貞慰謝料請求書の送り先についてもいくつか候補があり、やはり弁護士であっても悩ましい問題です。
不貞慰謝料請求については、特に他人には知られたくない内容を記載することになるため、あなた自身が反撃されないようにするためにも、送り先は慎重に決定する必要があります。
例えば、不定慰謝料請求書の送り先としては、以下のようなものがあります。
送り先2:勤務先
送り先3:局留め又は私書箱
それでは順番に説明していきます。
3-1 送り先1:住所
不貞慰謝料請求書の送り先の1つ目は、被通知人の住所です。
訴状なども、住所等に送達されるのが原則とされており(民事訴訟法103条1項)、住所等が知れない場合や住所等への送達に支障がある場合に例外的に就業場所に送達されます(民事訴訟法104条2項)。
民事訴訟法103条(送達場所)
1「送達は、送達を受けるべき者の住所、居所、営業所又は事務所(以下この節において「住所等」という。)においてする。ただし、法定代理人に対する送達は、本人の営業所又は事務所においてもすることができる。」
2「前項に定める場所が知れないとき、又はその場所において送達をするのに支障があるときは、送達は、送達を受けるべき者が雇用、委任その他の法律上の行為に基づき就業する他人の住所等(以下「就業場所」という。)においてすることができる。送達を受けるべき者(次条第一項に規定する者を除く。)が就業場所において送達を受ける旨の申述をしたときも、同様とする。」
例えば、被通知人が、①独身の場合、②配偶者と別居している場合、③同居している配偶者が不貞の事実を知っている場合には、原則どおり、被通知人の住所に送るのが通常です。
そのため、不貞慰謝料請求書を送るときは、まず最初に住所地に送るべきかを検討することになります。
3-2 送り先2:勤務先
不貞慰謝料請求書の送り先の2つ目は、勤務先です。
勤務先への送達については、原則的な送達方法と異なりますので、これにより不貞慰謝料通知書が会社関係者の方に見られてしまった場合には、名誉毀損となるリスクも高くなります。
例えば、勤務先への送達を検討するのは、①同一住居に配偶者がおり、かつ、配偶者が不貞の事実を知らない場合、②住所がわからない場合等ですが、住所へ送る場合に比べて、より一層慎重に行う必要があります。
慎重に行う具体的な方法は、この章の最後のコラム「~送り先によるリスクを減らすための工夫~」で詳しく説明します。
3-3 送り先3:局留め又は私書箱
不貞慰謝料請求書の送り先の3つ目は、局留又は私書箱です。
局留とは、「郵便局留」のことで、被通知人が郵便局の窓口に行き郵便物等を受け取る方法です。
私書箱とは、被通知人が郵便局に設置されている郵便私書箱を無料貸し出しサービスを用いている場合に、その私書箱に郵送する方法です。
局留、私書箱宛にする場合には、以下のように宛先を記載します。
ただし、局留の場合には、郵便局から被通知人に連絡がいくわけではないので、事前に通知人が送付した旨を知らせておく必要があります。
また、私書箱についても、被通知人の私書箱の番号が分からないと送ることができません。
そのため、いずれについても、事前に被通知人との意思疎通を行うことが必要となります。
郵便局留と私書箱については、日本郵便の以下のサイトが参考になります。
郵便局留・郵便私書箱 | 日本郵便株式会社 (japanpost.jp)
不貞慰謝料請求書を送る場合には、被通知人の「住所」に送る場合でも、「勤務先」に送る場合でも、いずれについても名誉を毀損してしまうリスクがあります。
住所では配偶者などの家族に知られるリスクが、勤務先では会社関係者に知られるリスクがあるためです。
そのため、可能な限り、名誉を毀損したと反撃されることを予防するためには、いくつかの工夫を施しておくべきです。
これらの工夫をしておくことで、万が一、被通知人の名誉を毀損してしまった場合でも、過失がなかったとされる可能性が格段に高まります。
例えば、一般的によく行われるのは以下の3つです。
工夫1:親展と記載する
親展とは、手紙を名宛人(被通知人)自身が開封するように要求する場合に記載するものです。
以下のように封筒に記載しておきます。赤字で目立つように記載しておくといいでしょう。
工夫2:送り先の検討過程を記載する
通知書の文面の中に送り先を検討した過程を記載しておきます。
つまり、なぜ住所ではなく、勤務先に送ったのかについて、その理由を説明するのです。
例えば、以下のような記載などを付記しておくことで、慎重に検討した結果、勤務先に送付することを選んだことを書面に残すことができます。
「また、通知人としては、本書面につき貴殿の住所に送付することも考えました。しかし、貴殿の配偶者が本書面を目にした場合には夫婦関係が破綻するおそれがあり、通知人としても、それは望むところではありません。そのため、慎重に検討した結果、本書面については、親展により貴殿の勤務先に送付することとさせていただきました。」
工夫3:相手方に希望の送り先を聞く
もし、相手方とメールやLINE、電話により連絡をすることができる状況である場合には、送り先に悩んだら、相手方に希望を聞いてみるのも一つの手です。
相手方が指定した方法により郵送したのであれば、仮にそれにより名誉が毀損されることがあったとしても、責任を負わずに済む可能が高まります。
4章 不貞慰謝料の交渉をしたら示談書を作成【テンプレート(雛型)・サンプル付き】
不貞慰謝料の交渉をした後は、必ず合意した内容を示談書にしておきましょう。
後から「言った言わない」になってしまったり、相手方の合意に反して支払わなかったりした場合に、示談書があればスムーズに解決できることになります。
例えば、示談書については、以下のように作成します。
WORDファイルのひな形ダウンロードはこちら
PDFファイルのひな形ダウンロードはこちら
※適切な示談書については事案により異なりますので、適宜ご修正下さい。ひな形の利用に伴い損害等が生じた場合でも、当サイトでは一切責任を負いかねますので、自己責任でお願いいたします。
不貞慰謝料の示談書の作成方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
5章 不貞慰謝料請求書のよくあるQ&A
不貞慰謝料請求書についてよくある質問としては、以下のようなものがあります。
Q2 不貞慰謝料請求書を無視されたらどうなるの?
Q3 不貞慰謝料の請求書は行政書士に作成を依頼できる?
Q4 請求書に押印をする必要はある?
Q5 請求書を送らずに訴訟を提起することはできる?
これらの悩みについて、順番に解消していきましょう。
1 不貞慰謝料請求書は手書きでもいい?
2 不貞慰謝料請求書を無視されたらどうなるの?
これに対して、不貞慰謝料請求書を受領してもらえない場合には、特定記録郵便による送付やメール、LINEによる送付を検討します。
3 不貞慰謝料の請求書は行政書士に作成を依頼できる?
4 不貞慰謝料請求書に押印をする必要はある?
書留郵便や特定記録郵便、普通郵便については、必須ではありませんが、自分の名前の横に押印をして、自らの意思により作成した文書であることを明らかにするのが一般的です。実印以外の三文判でも構いませんが、押印した印鑑はなくさないようにしましょう。
5 不貞慰謝料請求書を送らずに訴訟を提起することはできる?
6章 不貞慰謝料請求書の作成は簡単でも交渉が難しい
これまで説明したとおり、不貞慰謝料の請求書については、自分で作成して、送付すること自体は、そこまで難しいことではありません。
テンプレートや雛型を用いれば、誰でも行うことができます。
しかし、不貞慰謝料請求書を送付したとしても、それに従い素直に請求金額を振り込んでくれる被通知人はほとんどいません。
2週間程度した後に、「慰謝料を支払わない旨の回答」や「慰謝料を減額してほしいとの趣旨の回答」が行われることが多いのです。
不貞慰謝料請求書自体は、あなたの主張を明確にして、これに対する相手方の回答を通じて、争点を明らかにすることにより、交渉の端緒とするために送られることが通常です。
つまり、不貞慰謝料請求において重要なのは、どのように交渉して適正な金額を獲得するかということであり、最初に送る不貞慰謝料請求書についてもこのような交渉の流れの一部を担うにすぎないのです。
そのため、不貞慰謝料請求書については、今後の交渉方針等を立てたうえで、それと矛盾しないように送付することが大切となります。
例えば、不貞慰謝料請求書を送ってみたが、相手方から支払いを拒否されてしまったという相談を受けることが多いですが、既に送った不貞慰謝料請求書の記載により、その後の交渉方法が大きく制限されてしまうこともよくあります。
したがって、不貞慰謝料請求書を送付する前に、一度、交渉方針について弁護士に相談しておくことをおすすめします。
7章 不貞慰謝料請求は自分でするべき?専門家に依頼すべき?
不貞慰謝料請求書については、「自分で作成する方法」「行政書士に依頼する方法」「弁護士に依頼する方法」などがあります。
これらの各方法について比較すると以下のとおりとなります。
弁護士や行政書士に不貞慰謝料請求書の作成のみを依頼する場合には、1万~5万円程度が費用の相場となります。
ただし、書面の作成のみでは解決しないことがほとんどであるため、不貞慰謝料請求事件については、不貞慰謝料請求通知書の作成のみの取り扱いはしていない法律事務所が多いです。
書面の作成のみの依頼をして、それでも紛争が解決しない場合には、その後に更に着手金や報酬金が必要となってしまう可能性があります。
専門家に依頼する場合には、最初から交渉の代理も含めて弁護士に任せてしまうことがおすすめです。
弁護士費用については以下の記事で詳しく解説しています。
8章 不貞慰謝料の交渉はリバティ・ベル法律事務所にお任せ
不貞慰謝料の交渉は、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。
不貞慰謝料については、交渉力や知識の格差が金額に大きく影響する分野です。
リバティ・ベル法律事務所は、不貞慰謝料問題や離婚問題に注力しており、この分野に圧倒的な知識とノウハウを持っています。
少数精鋭でご依頼を受けた一つ一つの案件について、不貞慰謝料問題に強い弁護士が丁寧に向き合っているところが弊所の強みです。
不貞慰謝料については、ご依頼者様の負担を軽減するために初回相談無料にて対応しておりますのでお気軽にお問い合わせください。
9章 まとめ
以上のとおり、今回は、不貞慰謝料請求書の書き方について、テンプレートや例文を用いながら、誰でもわかるように簡単に説明しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
・不貞慰謝料請求書については、記載漏れがないか以下のチェック表で確認してみてください。
不貞慰謝料請求書の記載事項チェック表
□ 書類のタイトル(必須)
□ 不貞の事実(必須)
□ 精神的苦痛が大きい理由(任意)
□ 精神的苦痛を金銭に評価した金額(必須)
□ その他調査費用や弁護士費用の請求(任意)
□ 今後接触等しないようにとの警告(任意)
□ 回答期限又は振込期限(必須)
□ 書類を作成した日付(必須)
□ 請求をする方の名前(必須)
□ 請求の相手方の名前(必須)
・不定慰謝料請求書の送り方としては、以下のとおり、良い例としては4つ、悪い例としては3つあります。
・不定慰謝料請求書の送り先としては、以下のようなものがあります。
この記事が不貞慰謝料請求書の書き方に悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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