大学生が不倫した場合に慰謝料を支払わなければならないのか知りたいと悩んでいませんか?
まだ就職もしていないのに、慰謝料請求をされたら支払えるかどうか不安ですよね。
結論としては、大学生が不倫に巻き込まれた場合でも慰謝料を支払う必要があります。
不倫があったといえるには肉体関係が必要となります。
そして、大学生が既婚者と肉体関係をもった場合も例外ではなく、不倫として不法行為にあたります。
ただし、大学生の場合だとほとんどの方は支払能力が十分とはいえないことが多いです。
そのため、大学生に慰謝料を請求したとしても全額支払わせることは難しいので、相手方から親の連絡先を教えるようと求められることもあります。
また、大学生が不倫をした場合、慰謝料の支払だけでなく大学に不倫の噂が広まってしまう可能性などもあります。
最悪の場合、自主退学を選ばなければならないような場合もあります。
不倫してしまった場合に起こり得るトラブルを知っておくことで、事前に対処法を検討することができようになります。
今回は、大学生が不倫をしてしまった場合について詳しく解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、大学生の不倫についてよくわかるはずです。
目次
1章 大学生と既婚者の不倫でも慰謝料は発生する!
大学生と既婚者が肉体関係をもってしまった場合でも、不倫として不法行為にあたるので、慰謝料を支払わなければなりません。
他にも、不倫をした場合には慰謝料の支払以外にも法的責任が生じることがあります。
そこで、以下の2つのケースに分けて法的責任について検討していきます。
ケース2:大学生側の法的責任
それでは各ケースについて順番に説明していきます。
1-1 ケース1:既婚者側の法的責任
大学生と不倫をした配偶者は、もう一方の配偶者から離婚せずに慰謝料を請求されることがあります。
これは、もう一方の配偶者が不倫されたという精神的苦痛を損害として、不法行為に基づいて請求がされるためです。
また、不倫は離婚事由にあたるので、離婚の請求がされることもあります(民法770条1項1号)。
そのため、離婚の請求に加えて、慰謝料の請求がされることもあります。
不倫慰謝料の相場については以下の記事で詳しく解説しています。
1-2 ケース2:大学生側の法的責任
大学生が不倫相手となってしまった場合、交際相手の配偶者から慰謝料を請求されることがあります。
特に精神上の障害があるなど責任能力に問題がない限り、大学生であっても不倫をした本人自身が不法行為責任を負うためです。
社会人とは違って一介の学生にすぎない人に法的な責任を負わせるのは可哀想という声もあるかもしれません。
しかし、大学は飛び級などを除いて18歳から入学することができるので、一般的には大学生であれば成年年齢に達しているでしょう。
そのため、大学生の場合であっても、社会人と同様、親の監督責任違反としてではなく、自分自身の不法行為として、慰謝料を請求されることになるのです。
不法行為における賠償責任を負わせるには責任能力が必要となります。
責任能力は、「自己の行為を弁識するに足りる知能」(民法712条)が備わっている必要があり、これは一般的に12歳程度で備わるとされています。
そのため、大学生であれば責任能力を備えていると考えておいた方がいいでしょう。
監督義務者とは法定の監督義務者をいい、具体的には親権者や後見人などを指します。
責任能力がない未成年者が不法行為をした場合、監督義務者は未成年者の代わりに損害賠償義務を負います(民法714条1項本文)。
未成年者に責任能力がある場合でも、判例は未成年者の不法行為と監督義務者の義務違反との間に因果関係がある場合は、民法709条によって監督義務者に不法行為が成立します(最判昭49.3.22)。
そのため、従前までは、20歳未満の大学生が不法行為をした場合、監督義務者である親が損害賠償義務を負うことがありました。
しかし、民法の改正によって成年年齢が引き下げられ、2022年4月1日から18歳以上は成年として扱われます(民法4条)。
成年に達すると父母の親権から離れることになるので(民法818条1項反対解釈)、親権者は原則として不法行為責任を負いません。
2章 男子大学生と主婦の不倫が多い
大学生と既婚者の不倫は、実は男子大学生と主婦の不倫が多いです。
大学生からすると、年上の主婦は自分の知らないことを知っている頼れる存在のように見えてしまうからです。
また、年上独自の包容力に惹かれてということもあるでしょう。
しかし、大学生が不倫に走ってしまう理由として、法的知識が不足しがちなことなどが挙げられます。
他方で、主婦の側は夫よりも若い男性にトキメキを感じてしまって、不倫にのめり込んでしまうといったことが考えられます。
3章 大学生との不倫慰謝料相場は10~300万円程度!
慰謝料金額の相場は、10万円~300万円程度となっており、事情によって金額の増減があります。
これは、慰謝料の算定には様々な事情が考慮されているからです。
一般的に考慮される事情としては、以下のとおりです。
表以外の算定要素として、当事者の職業が慰謝料の額に関係してくることもあります。
例えば、裁判例では、職業に触れたものとして、精神科医が担当している既婚者の患者と不倫をしたことから、患者の配偶者が精神科医に対して1000万円の慰謝料を請求した事案について、
裁判所は、精神科医が患者の症状が改善されていたとしても、患者に対する治療を継続し続けることで医師としての立場を利用していたことや、訴訟態度を考慮して400万円を限度に請求を認めています。
このように、判例は精神科医であることを慰謝料の増額事由とも読めるような事情の拾い方をしています。
そのため、収入が多い精神科医と比較して、収入の少ない大学生の場合は減額事由として考慮される余地があるかもしれません。
判例は以下のように説明しています。
「本件の本質は、配偶者の不貞相手の相手方に対する損害賠償請求事件なのではなく、心を病む配偶者の治療を託した精神科医に、常識外の裏切られ方をした患者の親族による慰謝料請求事件なのである。」
「Yは…自分の精神科医としての責任とは無関係である旨主張しているが、Aの症状が改善されていたとしても、現にAに対する治療を継続していたのであって、Yの主張はあまりに自己に都合の良い身勝手な理屈というほかなく、到底採用できるものではない。」
「Yが、精神科医というある意味で人の心の専門家でありながら…自己の医師としての資質とは無関係なことと言い切るその態度は、きわめて遺憾であるというほかない。」
4章 大学生が不倫をした場合のリスク3つ
大学性が不倫をしてしまった場合のリスクは大きいです。
不倫が一時的な満足感しか得られないのに対して、不倫によってあなたの将来にまで悪い影響が及んでしまう可能性があります。
そのため、あらかじめリスクを知っておくことで、冷静に対処できるようにしておきましょう。
リスク2:退学の可能性
リスク3:内定に影響するおそれ
それでは各リスクについて順番に説明していきます。
4-1 リスク1:家族に知られる可能性
大学生が不倫した場合のリスクの1つ目は、家族に知られる可能性があることです。
大学生(昼間部)の平均年収は36万円程度となっており、慰謝料の相場からすれば全額を払いきることは難しいように感じます(参考:令和2年度学生生活調査結果 )。
大学生が全額を支払えない場合、相手方は親に慰謝料の支払を求めることがあるので、その際に不倫を親に知られてしまうかもしれません。
しかし、慰謝料を支払う義務のない親に慰謝料の請求をすることは、その態様次第では違法となるおそれがあります。
不倫に対する制裁の方法については以下の記事で詳しく解説しています。
4-2 リスク2:退学の可能性
大学生が不倫した場合のリスクの2つ目は、退学の可能性があることです。
不倫の事実を大学に知らせることは態様次第では違法となるおそれがあるので、普通はあまり知らされないでしょう。
もっとも、感情的になってしまって不倫の事実を大学に告げてしまうケースもあります。
不倫の事実が大学に知られ又は大学中に噂として広まってしまった場合、大学側から自主退学を勧められることもあるかもしれません。
しかし、この場合でも退学するかどうかは本人自身が判断すべきです。
4-3 リスク3:内定に影響するおそれ
大学生が不倫した場合のリスクの3つ目は、内定に影響するおそれがあることです。
内定先に不倫の事実を告発することは違法となるおそれがあります。
また、内定を取消させる目的で内定先に不倫の事実を告げることは、大学生側の将来を奪うもので大学生にとってあまりにも酷です。
例えば、既婚者に内定先を伝えていたり、内定先の情報がSNSのやりとりに残っていたりすると、既婚者に内定先を知られてしまうことがあります。
通常は内定先にまで告発されるということはありませんが、激情に駆られて告発するということがあり得ないとまではいえません。
不倫をしてしまった場合、このようなリスクがあることは知っておいてください。
5章 大学生が慰謝料請求された場合の支払方法3つ
自分で高額の慰謝料を支払えないと感じた場合の支払方法には、例えば以下の3つあります。
方法2:分割払い
方法3:借金をする
それでは各方法について順番に説明していきます。
5-1 方法1:親に支払ってもらう
慰謝料の支払方法1つ目は、親に支払ってもらうことです。
慰謝料の相場からすれば、大学生が慰謝料全額を支払うことは難しいでしょう。
そこで、あなたが親にお願いをして慰謝料を支払ってもらうことが考えられます。
あなたの将来を心配して、親が代わりに慰謝料を支払ってくれるかもしれません。
ただし、親が不倫をしたわけではないので、成人した子が不倫をした場合に親が不法行為責任を負うことはありません。
そのため、親が慰謝料を支払う義務を負っているわけではないので、必ずしも慰謝料を支払ってくれるとは限らないことに注意が必要です。
5-2 方法2:分割払い
慰謝料の支払方法2つ目は、分割払いをすることです。
大学生が慰謝料の全額を支払えない場合、分割払いにすることがあります。
これは、債権者である慰謝料請求者が、債務者であるあなたに期限の利益を与えて慰謝料の全額を回収しようとするものです。
分割払いになった場合、慰謝料の総額にもよりますが月々数万円程度の支払となることが多いように感じます。
ただし、分割払いとされる場合、期限の利益喪失条項が付されていることが多いです。
そのため、分割払いを一度でも滞納すると、ただちに一括で支払う必要が生じたりすることもあるので注意が必要です。
5-3 方法3: 借金をする
慰謝料の支払方法3つ目は、借金をすることです。
大学生が借金をする場合、年収が少ないことから借りられる金額にも限度があります。
そのため、慰謝料の金額が少額の場合には借金をする方もいます。
ただし、本来、不倫の被害者であっても、加害者に対して借金をするように強要することはできません。
返すことのできない借金をしてしまうと、その後の学生生活にも影響してしまう可能性がありますので、借金をしてまで慰謝料を支払うということはおすすめできません。
6章 大学生が不倫してしまった場合の慰謝料請求への対処法2つ
これまで見てきたように慰謝料の金額は決して安くなく、親に頼んだり借金をしたりというのはしたくないですよね。
以下では、大学生が慰謝料請求された場合の対処法を2つ挙げるので、対処する際の参考にしてみてください。
対処法2:自分で交渉する
それでは各対処法について順番に説明していきます。
6-1 弁護士に交渉を依頼する
不倫慰謝料請求への対処法1つ目は、弁護士に交渉を依頼することです。
不倫慰謝料の請求は、訴訟戦略として相場よりも高い金額が設定されがちなので、慰謝料金額を減額できることが多いのです。
また、不倫慰謝料の請求では当事者が感情的になりやすいので、第三者である弁護士を挟むことで交渉をしやすくなることがあります。
さらに、弁護士に依頼をすると、不倫の事実を言い触らさないように警告してもらうことができますし、示談書にもこれらの行為を防ぐような条項を入れるように交渉してもらうことができます。
そのため、可能であれば弁護士に依頼することをおすすめします。
最高の弁護士を選ぶポイントについては以下の記事で詳しく解説しています。
6-2 自分で交渉する
不倫慰謝料請求への対処法2つ目は、自分で交渉することです。
自分で交渉をすれば、弁護士費用などが掛からないので費用を安く抑えることができます。
しかし、自分での交渉はあまりおすすめできません。
当事者同士での話し合いは感情的になりがちなので、対応を一歩間違えれば紛争が拡大して裁判にまで発展してしまうケースもあります。
また、どの事実があなたにとって有利かは、裁判を経験していないとイメージしにくいと思います。
そのため、解決までの労力や弁護士費用などを踏まえると、弁護士に任せてしまう方が良い結果となることが多いです。
自分で交渉した場合と弁護士に依頼した場合の比較は以下のとおりです。
弁護士なしで慰謝料請求に対応するリスクについては以下の記事で解説しています。
7章 慰謝料の減額交渉はリバティ・ベル法律事務所にお任せ
慰謝料の減額交渉については、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。
慰謝料の減額交渉については、複数の事情がある中から適切に取捨選択をして主張していく必要があります。
また、慰謝料の減額交渉については、交渉力の格差が獲得金額に大きく影響してきます。
リバティ・ベル法律事務所では、慰謝料の減額交渉について圧倒的な知識とノウハウを蓄積しておりますので、あなたの最善の解決をサポートします。
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8章 まとめ
今回は、大学生の不倫で慰謝料が発生するかどうか、慰謝料の相場、不倫のリスク、慰謝料の支払方法や慰謝料請求への対処法などを解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
・大学生との不倫でも慰謝料は発生する!
ケース1:既婚者側の法的責任
ケース2:大学生側の法的責任
・男子大学生と主婦の不倫が多いです。
・大学生との不倫の慰謝料相場は10~300万円程度です。
・大学生が不倫をした場合のリスクは以下の3つです。
リスク1:家族に知られる可能性
リスク2:退学の可能性がある
リスク3:内定に影響するおそれ
・大学生が慰謝料を請求された場合の支払方法は以下の3つです。
方法1:親に支払ってもらう
方法2:分割払いをする
方法3:借金をする
・大学生が不倫してしまった場合の慰謝料請求への対処法2つ
対処法1:弁護士に交渉を依頼する
対処法2:自分で交渉する
この記事が、大学生の不倫について知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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