熟年離婚とは何か知りたいと悩んでいませんか?
言葉からは高齢者同士の離婚もイメージできるため、本当の意味が気になりますよね。
熟年離婚とは、高齢者同士の離婚ではなく「20年以上の結婚生活の後に離婚すること」をいいます。
長年連れ添った夫婦の離婚には様々な理由がありますが、離婚することによるメリットやデメリットも存在します。
例えば、熟年離婚によるメリット等については以下の4つずつが挙げられます。
【熟年離婚のメリット/デメリット】
特に、熟年離婚の場合には経済面の不安が大きく、その後の生活に不安を感じる方も少なくありません。
しかし、熟年離婚の際には財産分与がされて、夫婦の財産は原則として2分の1の割合で分配されます。
実は、離婚の前に財産調査をするなど適切に対処していくことで、後悔のない離婚をすることもできるのです。
この記事をとおして、適正な条件で熟年離婚するための対処法について知っていただければと思います。
今回は、熟年離婚とは何かを説明した上で、後悔しないための対処法について解説していきます。
具体的には以下の流れで解説していきます。
この記事を読めば、熟年離婚についてよくわかるはずです。
目次
1章 熟年離婚とは|熟年離婚の定義
熟年離婚とは、20年以上の結婚生活の後に離婚することをいいます。
言葉からは高齢者同士の離婚と勘違いされやすいですが、結婚が20年以上継続していれば年齢を問わず熟年離婚にあたります。
例えば、18歳で結婚した夫婦が40歳の時点で離婚すると熟年離婚にあたります。
2章 熟年離婚の原因6つ
長年連れ添った夫婦の離婚には様々な理由があります。
例えば、熟年離婚の原因には以下の6つがあります。
原因2:精神的身体的DV
原因3:不倫
原因4:子供が自立した
原因5:退職により一緒にいる時間が増えた
原因6:介護が難しい
それでは各原因について順番に説明していきます。
2-1 原因1:性格の不一致
熟年離婚の原因1つ目は、性格の不一致です。
人の性格が異なるのは当然のことであり、結婚当初は離婚にまで至ることは少ないかと思います。
例えば、お金の使い方や家事の分担のほか、私生活の過ごし方など些細な違いからストレスが生じることもあります。
しかし、こうした違いが長年蓄積することにより不満が爆発し、熟年離婚へと踏み出すきっかけとなってしまうのです。
2-2 原因2:精神的身体的DV
熟年離婚の原因2つ目は、精神的身体的DVです。
DVを受けている場合でも、すぐには離婚できないケースがあります。
例えば、子供がいる場合や経済的に配偶者に依存している場合が挙げられます。
これらのケースではやむを得ずDVを我慢してしまうケースも少なくありません。
しかし、我慢する理由がなくなった場合、具体的には子供が自立した場合等には熟年離婚へと至る原因となるのです。
2-3 原因3:不倫
熟年離婚の原因3つ目は、不倫です。
恋愛は何歳でも可能なため、結婚後20経過してから不倫をしたということがあります。
また、夫婦は信頼関係の上に成り立っているため、不倫に気付くことが難しいこともあります。
その結果、20年以上経過した後に不倫が発覚し、信頼関係の崩壊により熟年離婚へと至ることがあるのです。
2-4 原因4:子供が自立した
熟年離婚の原因4つめは、子供が自立したことです。
子供がいる場合、離婚したくても子供の将来のために我慢するということがあります。
しかし、この場合には子供の自立後は夫婦関係を維持する必要はありません。
そのため、子供の自立をきっかけとして熟年離婚へと至ることがあります。
2-5 原因5:退職により一緒にいる時間が増えた
熟年離婚の原因5つ目は、退職により一緒にいる時間が増えたことです。
定年退職等により一緒にいる時間が増えると、新たに受け入れられない部分が明らかになり不満を感じてしまうこともあります。
例えば、退職しているのに一切家事を分担しないといったことが考えられます。
こうした不満が溜まることで熟年離婚へと至るおそれがあるのです。
2-6 原因6:介護が難しい
熟年離婚の原因6つ目は、介護が難しいことです。
熟年離婚する場合、年齢からすれば両親の介護が必要になることも多いと思います。
配偶者の両親について介護の義務はありませんが、善意から介護を行うケースもあります。
しかし、介護は肉体的精神的に重い負担となるため、継続的な介護が難しくなることもあります。
例えば、配偶者の両親と不仲である場合等には精神が疲弊するケースも少なくありません。
そのため、介護によって溜まった不満から熟年離婚へと至ることがあるのです。
3章 熟年離婚しやすい夫婦の特徴3つ
熟年離婚の原因は様々ですが、熟年離婚しやすい夫婦には共通の特徴があります。
例えば、熟年離婚しやすい夫婦の特徴には以下の3つがあります。
特徴2:家事や育児を分担しない
特徴3:経済的に自立している
それでは各特徴について説明していきます。
3-1 特徴1:夫婦の会話が少ない
熟年離婚しやすい夫婦の特徴1つ目は、夫婦の会話が少ないことです。
相手に何かを伝える場合、状況に応じて言葉を尽くすべき場面があります。
しかし、言葉が足りなければ誤解を生じ、この誤解が大きな不満へと発展することもあります。
友人等との会話でも「上手く伝えられなかった」「誤解されてしまった」という経験がある方もいるかと思います。
特に、夫婦の場合には一緒にいる時間が長いため、友人等と比べてすれ違いが生じやすくなっているのです。
そのため、夫婦の会話が少ないことは、熟年離婚しやすい夫婦の特徴といえます。
3-2 特徴2:家事や育児を分担しない
熟年離婚しやすい夫婦の特徴2つ目は、家事や育児を分担しないことです。
家事や育児をまったく分担しない場合、一方の配偶者に過度な負担を強いることがあります。
男女平等が浸透してきている以上、このような不平等な状態に不満を感じる方も少なからずいるでしょう。
そのため、家事や育児をまったく分担しないことは、熟年離婚しやすい夫婦の特徴といえます。
3-3 特徴3:経済的に自立している
熟年離婚しやすい夫婦の特徴3つ目は、経済的に自立していることです。
熟年離婚の大きなデメリットとして、離婚後の経済面に不安があることが挙げられます。
しかし、経済的に自立している場合には離婚後の経済面に不安を覚えることもないため、熟年離婚を決断しやすい状況にあるのです。
そのため、経済的に自立していることは熟年離婚しやすい夫婦の特徴といえます。
4章 熟年離婚のメリット4つ
熟年離婚には様々なメリットがあります。
例えば、熟年離婚のメリットには以下の4つがあります。
メリット2:自分のために時間を使える
メリット3:介護する必要がなくなる
メリット4:新たな出会いを探せる
それでは各メリットについて説明していきます。
4-1 メリット1:夫婦・親族関係からの解放
熟年離婚のメリット1つ目は、夫婦・親族関係からの解放です。
婚姻中は配偶者とその両親等との間に親族関係があるため、人付き合いに悩まされることもあります。
しかし、離婚すると配偶者等との親族関係も終了し、その後も付き合いを継続するかは自由に判断することができます。
そのため、離婚後は配偶者のことで悩むこともなくなり、自由な生活を送ることができるでしょう。
4-2 メリット2:自分のために時間を使える
熟年離婚のメリット2つ目は、自分のために時間を使えることです。
婚姻している場合、夫婦は互いに助け合う必要があります。
例えば、家事であれば2人分行う必要があり、1人の場合よりも多く時間を使うことになります。
しかし、離婚すれば自分の分だけをこなせばいいため時間的な余裕が生じます。
そのため、離婚後は時間的余裕があり自分のために時間を使うことができるでしょう。
4-3 メリット3:介護する必要がなくなる
熟年離婚のメリット3つ目は、介護する必要がなくなることです。
婚姻中は配偶者と協力して生活しなければならず、介護の必要が生じたときは配偶者等に介護義務が生じます。
しかし、離婚すれば配偶者との婚姻関係が終了するため介護する必要はありません。
ただし、現に介護が必要な場合は、親族への引継ぎなどをしなければ離婚が認められないこともあるため注意が必要です。
4-4 メリット4:新たな出会いを探せる
熟年離婚のメリット4つ目は、新たな出会いを探せることです。
日本では配偶者以外と肉体関係を持つことは違法とされています。
しかし、婚姻中又はそれに近しい関係(婚約、内縁等)に限った話であるため、離婚後は自由に恋愛することができるのです。
そのため、熟年離婚の後は新たな出会いを探せるというメリットがあります。
5章 熟年離婚のデメリット4つ
熟年離婚にはメリットだけでなくデメリットもあります。
例えば、熟年離婚のデメリットには以下の4つがあります。
デメリット2:離婚後の孤独感
デメリット3:家事の分担ができない
デメリット4:財産分与等による離婚トラブルのおそれ
それでは各デメリットについて説明していきます。
5-1 デメリット1:経済面の不安
熟年離婚のデメリット1つ目は、経済面の不安です。
最近では共働きも増えてきましたが、配偶者の収入に依存しているという方もいるのではないでしょうか。
特に、専業主婦の場合にはアルバイト等をしている方でも稼ぎを扶養の範囲に抑えている方が多いかと思います。
この場合に熟年離婚すると、配偶者からの収入がなくなり経済的に不安定になってしまいます。
そのため、経済面の不安を克服するには、財産分与や慰謝料請求などである程度の財産を確保しておくことが重要となります。
5-2 デメリット2:離婚後の孤独感
熟年離婚のデメリット2つ目は、離婚後の孤独感です。
熟年離婚の場合、20年以上連れ添っていたため離婚すると孤独感に襲われてしまうこともあるでしょう。
5-3 デメリット3:家事の分担ができない
熟年離婚のデメリット3つ目は、家事の分担ができないことです。
熟年離婚後も配偶者と同居していることは少なく、配偶者と家事の分担をすることは難しいと考えておいた方がいいでしょう。
5-4 デメリット4:財産分与等による離婚トラブルのおそれ
熟年離婚のデメリット4つ目は、財産分与等による離婚トラブルのおそれがあることです。
離婚をする場合、財産分与によって夫婦が築いてきた財産を平等に分配することになります。
しかし、財産分与を巡ってはトラブルとなるケースも多く、円満な解決が難しいこともあります。
特に、熟年離婚では夫婦の共有財産が多いため、財産調査に漏れがあると後になって紛争が再燃してしまうこともあります。
こうしたトラブルを避けるには、弁護士に相談するなど適切な財産調査が重要になってきます。
6章 熟年離婚で後悔しないための対処法6つ
後悔のない熟年離婚をするためには、離婚前から準備しておくことが重要になります。
熟年離婚で後悔しないための対処法は以下の6つです。
対処法2:財産分与
対処法3:生活費
対処法4:慰謝料請求
対処法5:年金分割
対処法6:未成年の子供の親権
それでは各対処法について順番に説明していきます。
6-1 対処法1:離婚請求
熟年離婚で後悔しないための対処法1つ目は、離婚請求です。
熟年離婚を考える場合、まず離婚できるのかを確認する必要があります。
離婚の方法には協議離婚と離婚裁判があります。
【離婚の種類】
合意することができる場合には協議離婚になりますが、合意ができなければ離婚裁判を提起することになります。
離婚裁判では、以下の離婚事由がある場合に限り離婚することができます。
・悪意の遺棄(理由のない同居拒否、家事育児への不協力等)
・3年以上の生死不明
・強度の精神病にかかり回復の見込みが立たない場合
・その他婚姻を継続し難い重大な事由(暴力、浪費癖等)
6-2 対処法2:財産分与
熟年離婚で後悔しないための対処法2つ目は、財産分与です。
財産分与とは、婚姻中に得た夫婦の共有財産を分配することをいいます。
財産分与については「離婚後2年以内」という期限があるため、離婚交渉で話し合っていないときは期間内に請求するようにしましょう。
財産分与の対象となる財産としては、例えば以下の5つの財産があります。
・動産
・預貯金
・退職金
・保険等
分与の割合は2分の1が原則ですが、以下の3つの例外が存在します。
例外2:特有財産がある場合
例外3:夫婦の一方に浪費癖がある場合
例外ケースについては以下の記事で詳しく解説しています。
6-3 対処法3:生活費
熟年離婚で後悔しないための対処法3つ目は、生活費です。
生活費は、婚姻費用として分担を請求できることがあります。
婚姻費用とは、夫婦の共同生活を維持するために必要な一切の費用をいいます。
例えば、水道光熱費等の生活費だけでなく、子供の養育費なども含まれることもあります。
婚姻費用は原則的に収入の高い方が負うとされており、離婚又は同居に戻る日までの生活費等の請求をすることができます。
ただし、婚姻費用は「離婚するまでの費用」であるため、離婚後に請求することはできないので注意が必要です。
婚姻費用がもらえるケースとそうでないケースについては以下の記事で詳しく解説しています。
6-4 対処法4:慰謝料請求
熟年離婚で後悔しないための対処法4つ目は、慰謝料請求です。
離婚だけで慰謝料請求できるわけではありませんが、権利や利益の侵害がある場合には慰謝料請求できるケースがあります。
例えば、慰謝料請求できるケースには以下の3つがあります。
・生活費の不支給
・DVやモラハラ等
慰謝料の金額は婚姻期間など複数の事情を考慮するため、婚姻期間の長い熟年離婚の場合には高額になるケースもあります。
離婚慰謝料の相場については以下の記事で詳しく解説しています。
6-5 対処法5:年金分割
熟年離婚で後悔しないための対処法5つ目は、年金分割です。
年金分割は、婚姻中に収めた年金保険料等を分割することをいいます。
分割された金額は、将来年金を受け取る際に加算されるため離婚後の重要な財産となります。
ただし、年金分割の請求は「離婚した日の翌日から2年以内」であるため注意が必要です。
具体的な年金分割の方法については法務省が公開しています。
法務省:年金分割 (moj.go.jp)
6-6 対処法6:未成年の子供の親権
熟年離婚で後悔しないための対処法6つ目は、未成年の子供の親権です。
未成年の子供がいる場合、夫婦の一方を親権者と定める必要があります。
親権について合意が成立すればその内容により、合意できなければ裁判所が判断することになります。
裁判所が判断する際の考慮要素には、例えば以下の5つがあります。
・兄弟姉妹の有無
・主要な育児担当者はどちらだったか
・親権者になろうとする者の健康状況
・経済状況や生活環境
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8章 まとめ
今回は、熟年離婚とは何かを説明した上で、熟年離婚のメリット等に加えて必要な準備を解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
・熟年離婚とは、高齢者同士の離婚ではなく「20年以上の結婚生活の後に離婚すること」をいいます。
・熟年離婚の原因には以下の6つがあります。
原因1:性格の不一致
原因2:精神的身体的DV
原因3:不倫
原因4:子供が自立した
原因5:退職により一緒にいる時間が増えた
原因6:介護が難しい
・熟年離婚しやすい夫婦の特徴には以下の3つがあります。
特徴1:夫婦の会話が少ない
特徴2:家事や育児を分担しない
特徴3:経済的に自立している
・熟年離婚のメリットは以下の4つがあります。
メリット1:夫婦・親族関係からの解放
メリット2:自分のために時間を使える
メリット3:介護する必要がなくなる
メリット4:新たな出会いを探せる
・熟年離婚のデメリットには以下の4つがあります。
デメリット1:経済面の不安
デメリット2:離婚後の孤独感
デメリット3:家事の分担ができない
デメリット4:財産分与等による離婚トラブルのおそれ
・熟年離婚で後悔しないための対処法は以下の6つです。
対処法1:離婚請求
対処法2:財産分与
対処法3:生活費
対処法4:慰謝料請求
対処法5:年金分割
対処法6:未成年の子供の親権
この記事が熟年離婚とは何か知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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