ハグが不倫にあたるかどうか知りたいと悩んでいませんか?
不倫だと感じるボーダーラインは人によって異なりますし、どこまでの行為が不倫になるのか分かりにくいですよね。
結論から言うと、法律上は、ハグだけでは不倫ということにはなりません。
なぜなら、不倫(不貞)とは、既婚者が他の者と肉体関係をもつことをいうためです。
一般にも、ハグを浮気と捉えている方は少数派となっており、全体の33.5%程度です。
そのため、ハグを理由とした慰謝料の請求というのは認められないことが多いでしょう。
一方で、ハグをしているということ自体が親密な関係性を表す事実とはなり得るため、肉体関係があったかどうかが争いになる際に、間接的な事情となることはあり得ます。
また、ハグをしているということが不倫相手の配偶者に発覚した場合にはトラブルとなることが多く、万が一トラブルに巻き込まれた場合には冷静に対処していく必要があります。
実は、肉体関係をもっていないのに不貞行為をしたと言いがかりをつけられて、慰謝料を請求されたり、謝罪を求められたりするケースも少なくないのです。
この記事をとおして、ハグが不倫となるのかどうかについて理解していただき、トラブルに巻き込まれた場合にはどのように対処すればいいのかを知っていただければ幸いです。
今回は、ハグだけでは不倫(浮気)にならないことを説明したうえで、不倫とハグに関する裁判例や慰謝料を請求された場合の対処法を解説していきます。
具体的には以下の流れで解説していきます。
この記事を読めば、ハグを理由に不倫慰謝料を請求された場合にどうすればいいのかがよくわかるはずです。
目次
1章 ハグは法律上不倫になるの?不倫の境界線
法律上は、ハグだけでは不倫ということにはなりません。
違法となり得る不倫とは、配偶者以外の他人と肉体関係を持つことを指し不貞行為と呼ばれることもあります。
つまり、法律上は、配偶者以外と肉体関係を持ってはならないという貞操義務に違反した場合に不倫をしたと判断されるのです。
そのため、ハグだけでは不倫として扱われることはありません。
ただし、不貞行為とはならなくても、社会通念上許容される限度を逸脱した交際として、少額の慰謝料が認められてしまう可能性も0ではありません。
肉体関係になくても、キスやハグを伴うデートを繰り返したことで、婚姻関係が破綻してしまう場合もあるためです。
不貞行為の定義及び境界線については、以下の記事で詳しく解説しています。
ハグ以外にも、不倫となるかどうか境界線につき質問が多い行為としては、以下のものがあります。
・キス
・2人で食事
・LINEのなどのやり取り
・宿泊
結論として、いずれの行為についても、それ自体が法律上の不倫に該当するものではありません。
なぜなら、法律上の不倫かどうかに関しては、肉体関係があったかどうかにより判断されるためです。
ただし、LINEと宿泊に関しては注意が必要です。
LINEでのやり取りについては、「気持ちよかったよ」や、「あのラブホテルは良かったね」など、肉体関係を匂わせるようなやり取りをしている場合は、不倫の証拠として扱われます。
また、宿泊に関しては、宿泊場所、滞在時間、一緒に入ったのかなどによっては、不貞行為があったものと推認されることがあります。
キス、食事に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
2章 一般にハグが浮気と考えている方は33.5%程度
一般にハグが浮気であると考えているのは、33.5%程度です。
少数派ではありますが、決して少なくはない数字になっています。
(データの出典:パートナー以外とハグはあり? 浮気とまでは思わない…でも嫉妬 – fumumu)
また、調査を行っているいずれの年代層でも、男性に比べて女性の方がハグを浮気だと考えている割合は多く、男女間でも認識の差がみられます。
感じ方は個人個人で千差万別ですし、自分は大丈夫だろうと思っても配偶者は不倫であると感じる可能性もあります。
ハグだけなら慰謝料請求は難しいとは言っても、それが原因で不仲になったり、離婚の原因になったりする可能性はあるので注意は必要です。
3章 ハグの写真は不倫の証拠としては不十分|2人の親密な関係を推認する証拠にはなり得る
ハグの写真は、それ単体では不倫の証拠としては不十分なものです。
なぜなら、先程も説明したとおり不倫(不貞)とは肉体関係があって、初めて認められるものだからです。
ハグの写真を見たところで、それだけでは肉体関係がある関係性かまでは、第三者には分かりませんよね。
そのため、ハグの写真では不倫の証拠として不十分なのです。
ただし、他に複数の証拠がある場合や、自白している録音などがあると話が変わってきます。
例えば、貴方と不倫相手がビジネスホテルに一緒に入っている写真が別途存在したとしましょう。
これにハグしていた証拠も加われば、ハグをするような親密な関係にある男女がビジネスホテルに入ったということになりますので、肉体関係の推認力がより強まることになります。
そのため、ハグの写真については、親密な関係にあることを推認し、他の証拠を補強する証拠となり得るのです。
4章 ハグと不倫慰謝料に関する判例3つ
ハグと不倫慰謝料請求に関する裁判例としては、例えば以下の3つがあります。
判例2:ハグの写真とLINEでのやり取りが証拠として提出された事例
判例3:手を繋いだりハグをしたりしてもハグがあったと認めることはできないとした事例
それでは順番に説明していきます。
4-1 判例1:ハグをした以外に不貞行為を伺わせる証拠がなかった事例
被告が原告の配偶者と不貞行為に及び、その結果、原告と配偶者が離婚せざるを得なくなったとして、慰謝料500万円を請求した事例です。
裁判所は、ハグ等の交際に関して否定していないことやメールのやり取りの内容から、親密な仲であったことは認めたものの、具体的に性的関係を持ったと直接裏付けるメールや写真等は提出されておらず、不貞行為が為されたことを認めるに足る証拠はないとして、請求を棄却しました。
「いずれもそれらのことから直ちに被告とAとの不貞行為の存在を推認することができないものといえ、他に、被告とAとの間で不貞行為がなされたことを認めるに足りる証拠はない……被告とAとの間で不貞行為がなされたとは認められないことから、その余の争点について検討するまでもなく、原告の請求には理由がないことになる。
よって、原告の請求を棄却することとし、訴訟費用の負担について民訴法61条を適用し、主文のとおり判決する。」
4-2 判例2:ハグの写真とLINEでのやり取りが証拠として提出された事例
被告が原告の妻と不貞関係があったとして、原告が被告に対し、慰謝料等として550万円を請求した事例です。
裁判所は、被告と原告の妻がLINEにおいて、性交渉を持ったかどうかを明記したものはないが、「癒された」「幸せだった」「大好き」「えっちなことを思い出して余計に」「一緒に寝たい」などといったやり取りをしていたことを認め、それと併せて外でハグしている写真などの情報を総合して考慮すると、複数回性交渉があったと推認できるとしています。
最終的に90万円の慰謝料と9万円の弁護士費用の合計99万円の損害賠償が認容されました。
「被告とAのラインでのやり取りは、単に妄想で下ネタのやり取りをしていたにしては詳細かつ具体的であり、実体験に裏付けられていると考えられる内容も多く、現実の出来事に対応したと思われる流れとなっている。……また、○○町で撮影された写真についても、職場の同僚が相手の相談に乗り、慰めていた様子には到底見えず、恋愛関係にある男女の所作としか見えず、この点についての被告の弁解も信用できない。……以上からすれば、被告とAには複数回性交渉があったことが認められ、これはAと婚姻している原告に対する不貞となり、不法行為を構成する。……、被告とAの不貞関係について、原告の苦痛等を慰謝するには90万円の慰謝料が相当であり、弁護士費用の1割を加えた99万円が、原告の損害と認められる。」
4-3 判例3:手を繋いだりハグをしたりしても不貞行為があったと認めることはできないとした事例
原告が、被告に対して、恋人同士のようなやり取り、及び、少なくとも体が触れ合う行為があったとして、330万円損害賠償(慰謝料300万円、弁護士費用30万円)の請求をした事例です。
裁判所は、本件で認めることができるのは、被告らが手をつないで歩いたことや、せいぜい ハグをしたといったものであり、このことのみをもって直ちに婚姻生活の平穏を害するものとして不法行為となると評価することはできないとし、被告らに不貞行為があったと認めることはできないとしました。
そのため、裁判所は、上記請求を認めませんでした。
「不貞行為として損害賠償請求の原因となるのは肉体関係にとどまらないと主張するが、本件で認めることができるのは、被告らが手をつないで歩いたことや、せいぜいハグをしたといったもの……したがって、被告らに不貞行為があったと認めることはできない。……
被告Y1は、本件誓約書に署名押印することをもって、原告に対して、794万4000円を支払う旨誓約したものと認めることができる。……被告Y1に本件合意のとおりの支払意思がなかったということはできない。……第1の1に係る原告の被告らに対する請求は理由がないから棄却すべきである。一方、第1の2に係る原告の被告Y1に対する請求は、主文第1項の限度で理由があるから認容すべき……」
5章 ハグを理由に不倫慰謝料を請求された場合の対処法4つ
ハグだけを理由に慰謝料請求された場合は、冷静に対処しましょう。
なぜなら、本来支払う必要がない場合でも、一度、支払いに応じてしまうと、後から支払ったお金を返してもらうことは難しいためです。
とくに、ハグだけしかしていないのであれば、慰謝料が認められない可能性も高いです。
具体的には、以下のような対処をしていきましょう。
対処法2:慰謝料は発生しないことを説明する
対処法3:今後誤解を招くような行動はしないことを約束する
対処法4:請求が止まらない場合は弁護士から通知書を送ってもらう
それでは順番に解説していきます。
5-1 対処法1:ハグの状況と肉体関係がないことを説明する
ハグを理由に慰謝料請求された際の対処法の1つ目は、ハグの状況と肉体関係がないことを説明することです。
先程も説明したとおり、そもそもハグだけでは不貞行為には当たらないためです。
そのため、状況を正直に話して、肉体関係がないことをしっかりと説明しましょう。
もちろん虚偽の説明を行うことは良くありません。
もしも虚偽の自白をしていた場合、他の証拠と併せて法的措置を行われると、その虚偽の自白によって自分の他の証言の信頼性が低下します。
加えて、裁判官の心証にも悪影響を及ぼすため、虚偽の自白は決しておすすめできません。
そのため、本当にハグだけしかしていない場合には正直に説明し、それ以外にも何かある場合には安易な嘘は吐かないように気を付けましょう。
5-2 対処法2:慰謝料は発生しないことを説明する
ハグを理由に慰謝料請求された際の対処法の2つ目は、慰謝料は発生しないことを説明することです。
ハグまでしか行っていない所謂プラトニック不倫でも、状況によっては慰謝料が認められるのは事実ですが、そのハードルは高いものです。
そのため、状況の説明などをしても納得してもらえない場合は、肉体関係を伴っていないため法的な不倫にはあたらず、慰謝料が発生しないことを説明しましょう。
説明して引き下がってもらえなくても、この事実があれば考え直してくれるかもしれません。
5―3 対処法3:今後誤解を招くような行動はしないことを約束する
ハグを理由に慰謝料請求された際の対処法の3つ目は、今後誤解を招くような行動をしないことを約束することです。
不倫とまではいかなくても、配偶者はあなたが他の異性にハグをしたことで、衝撃を受けています。
だからこそ慰謝料請求という話が出てくるのです。
そのため、状況を丁寧に説明した上で誠心誠意謝罪し、今後誤解を招くような行動はしないことを約束しましょう。
5-4 対処法4:請求が止まらない場合は弁護士から通知書を送ってもらう
ハグを理由に慰謝料請求された際の対処法の4つ目は、請求が止まらない場合は弁護士から通知書を送ってもらうことです。
ここまでの手段を行っても請求が止まらなければ、弁護士に相談しましょう。
弁護士は法律の専門家です。
その際の状況や、相手との関係性なども踏まえて判断し、慰謝料請求が妥当かどうかを判断してもらうこともできますし、その後の対応を依頼することもできます。
そのため、どうにもならなければ早期に弁護士に相談しましょう。
6章 慰謝料の減額交渉はリバティ・ベル法律事務所におまかせ
慰謝料の減額交渉については、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。
慰謝料の減額交渉については、交渉力の格差が解決金額に大きく影響してきます。
リバティ・ベル法律事務所では、慰謝料の減額交渉について圧倒的な知識とノウハウを蓄積しておりますので、あなたの最善の解決をサポートします。
リバティ・ベル法律事務所では、慰謝料の減額交渉に関して、「初回相談無料」を採用していますので、少ない負担で気軽にご相談できる環境を整えています。
慰謝料の減額交渉に悩んでいる方は、一人で抱え込まずにお気軽にご相談ください。
7章 まとめ
今回は、ハグだけでは不倫(浮気)にならないことを説明したうえで、不倫とハグに関する裁判例や慰謝料を請求された場合の対処法を解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下の通りです。
・法律上は、ハグだけでは不倫ということにはなりません。
・一般にハグが浮気であると考えているのは、33.5%程度です。
・ハグの写真は、それ単体では不倫の証拠としては不十分なものです。
・ハグを理由に不倫慰謝料を請求された場合は、以下の方法により対処しましょう。
対処法1:ハグの状況と肉体関係がないことを説明する
対処法2:慰謝料は発生しないことを説明する
対処法3:今後誤解を招くような行動はしないことを約束する
対処法4:請求が止まらない場合は弁護士から通知書を送ってもらう
この記事が、ハグが不倫に当たるのか知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
コメント