不倫(浮気)が犯罪にあたるのか知りたいと悩んでいませんか?
犯罪にあたると警察に逮捕されてしまい、自由な生活を送れなくなるのではないか不安になりますよね。
結論として、不倫(浮気)は、犯罪ではありません。
というのも、昔の日本では姦通罪がありましたが刑法の改正によって削除されたためです。
そのため、不倫自体を直接の原因として逮捕されることもありません。
ただし、不倫に関連して、不倫した側も不倫された側も、犯罪となりえる態様があり、別の理由で逮捕されてしまうケースもあります。
また、不倫は、犯罪ではありませんが、民事上の慰謝料請求の対象になることがあります。
実は、不倫は犯罪ではないからといって、安易に行ってしまうと、民事上で手痛い制裁を受けてしまうこともあるのです。
この記事を読んで不倫の法的位置づけについて知っていただければと思います。
今回は、不倫が犯罪にあたるのかを説明したうえで、不倫を理由として慰謝料請求された場合の対処法について解説していきます。
具体的には以下の流れで解説していきます。
この記事を読めば、不倫(浮気)が犯罪にあたるのかよくわかるはずです。
目次
1章 不倫(浮気)は犯罪ではない!姦通罪は廃止された
不倫(浮気)は犯罪にはあたりません。
というのも、1947年頃までは姦通罪という犯罪がありましたが、男女平等原則に反することを理由として廃止されたためです。
当時の姦通罪の具体的な内容は以下のとおりです。
1 夫のある女子が姦通したときは2年以下の懲役に処す。その女子と相姦した者も同じ刑に処する。
2 前項の罪は夫の告訴がなければ公訴を提起することができない。ただし、夫自ら姦通を認めていた時は、告訴は効力を有しない。
姦通罪は、妻のみが処罰の対象となっており、夫が不倫をしても処罰されることはありません。
処罰の内容も2年以下の懲役としており、罰金や拘留がないため刑罰の中でも重い部類に入るものでした。
このように妻とは対照的に夫が自由に不倫できるのは不平等であり、憲法制定をきっかけに姦通罪は廃止されることになりました。
そのため、現在では夫婦の一方が不倫をしたとしても、犯罪にあたることはないのです。
日本では姦通罪は廃止されていますが、他の国では姦通罪に近い規定が存在している国もあります。
例えば、フィリピンやベトナムなど様々な国が姦通罪を規定しています。
中には姦通罪よりも厳しい刑罰を課している国もあります。
マレーシア等では、不倫をした者を土に埋めて石を投げつける石打ちの刑を規定しています。
2章 不倫(浮気)に関連した犯罪と逮捕されるケース6つ
姦通罪が廃止されたことにより、不倫(浮気)によって逮捕されることはありません。
しかし、不倫に関連した行為が犯罪にあたる場合には、その行為によって逮捕されることもあります。
不倫に関連した犯罪によって逮捕されるケースは以下のとおりです。
ケース2:不倫した側:重婚罪
ケース3:不倫された側:名誉棄損罪
ケース4:不倫された側:住居侵入罪
ケース5:不倫された側:不正アクセス禁止法
ケース6:不倫された側:ストーカー規制法
それでは各ケースについて順番に解説していきます。
2-1 ケース1:不倫した側:不同意性交罪
不倫(浮気)に関連した犯罪と逮捕されるケース1個目は、不同意性交罪です。
今までは強制性交罪が規定されていましたが、2023年の刑法改正によって不同意性交罪が規定されました。
暴行脅迫の要件が、暴行脅迫がなくても抵抗が困難だという性交罪の実体に沿わないとされていたためです。
そのため、同意のない者又は16歳未満の者と不倫をした場合、不同意性交罪にあたることがあります。
不同意性交罪の具体的な内容は以下のとおりです。
1 前条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第179条第2項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、5年以上の有期拘禁刑に処する。
2 (略)
3 16歳未満の者に対し、性交等をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第1項と同様とする。
不同意性交罪の刑罰は5年以上の有期拘禁であり、刑の下限が定められている非常に重いものです。
また、相手が未成年者の場合は条例にも違反することがあります。
東京都の青少年育成条例は以下のように定めています。
何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行ってはならない。
第18条の6の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 青少年 18歳未満の者をいう。
(2)~(4) (略)
18歳未満の者と不倫した場合には、条例違反として2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されることがあります。
ただし、条例の内容は各自治体によって異なるので、条例の内容を知りたい場合には居住している自治体の条例を調べることが重要となります。
2-2 ケース2:不倫した側:重婚罪
不倫(浮気)に関連した犯罪と逮捕されるケース2個目は、不倫した側の重婚罪です。
配偶者のある者が不倫に際して重ねて結婚した場合、重婚罪にあたることがあります。
配偶者のある者が重ねて婚姻をしたときは、2年以下の懲役に処する。その相手方となって婚姻をした者も、同様とする。
重婚罪が成立する場合、2年以下の懲役が科されることになります。
2-3 ケース3:不倫された側:名誉棄損罪
不倫(浮気)に関連した犯罪と逮捕されるケース3個目は、名誉棄損罪です。
1 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
2 (略)
以下のような行為は、不倫相手の社会的評価を低下させるものとして名誉棄損罪にあたることがあります。
・不倫相手の親族に不倫の事実をバラす
・SNSで不倫の事実を拡散する等…
これらに限らず、不特定多数に不倫の事実を広めることは名誉棄損罪にあたることがあります。
名誉棄損罪が成立する場合、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金が科されることになります。
適切な制裁の方法については以下の記事で詳しく解説しています。
2-4 ケース4:不倫された側:住居侵入罪
不倫(浮気)に関連した犯罪と逮捕されるケース4個目は、住居侵入罪です。
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
不倫の証拠として不倫相手の行動や発言が重要になることもあります。
しかし、無許可で家に立ち入るなど不倫調査の方法が行き過ぎると住居侵入罪にあたるおそれがあります。
例えば以下のような行為は住居侵入罪にあたることがあります。
・別居中の配偶者の家や車に侵入する
・不倫相手または別居中の配偶者の実家に侵入する等…
住居侵入罪が成立する場合、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されることになります。
2-5 ケース5:不倫された側:不正アクセス禁止法違反
不倫(浮気)に関連した犯罪と逮捕されるケース5個目は、不正アクセス禁止法に違反する場合です。
不倫をされた場合、不倫の証拠を集めるためスマホやパソコンを調べようとすることがあると思います。
しかし、行き過ぎた調査は不正アクセス禁止法に違反することがあります。
何人も、不正アクセス行為をしてはならない。
第3条の規定に違反した者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
ここでいう「不正アクセス」には様々な意味がありますが、不倫調査の場面でいえばインターネットを通して他人のスマホをハッキングすることをいいます。
例えば、インターネットから他人のスマホのロックを解除して証拠を集めるような場合、不正アクセスにあたるおそれがあります。
他にも、以下のような行為は不正アクセス禁止法に違反するおそれがあります。
・監視に用いるためのアプリをインストールする
・不正なプログラムのインストール等…
不正アクセス禁止法に違反して不正アクセスした場合、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されることになります。
2-6 ケース6:不倫された側:ストーカー規制法違反
不倫(浮気)に関連した犯罪と逮捕されるケース6個目は、ストーカー規制法に違反する場合です。
不倫調査のため不倫相手を尾行する場合、ストーカー規制法に違反することがあります。
1 この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
(1) つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
(2)~(8) (略)
2 (略)
3 (略)
4 この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等又は位置情報無承諾取得等を反復してすることをいう。
ストーカー行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
ストーカー規制法に違反する場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に科されることになります、
3章 不倫(浮気)は民事上の不法行為として慰謝料請求の対象になる!
不倫は犯罪にあたりませんが、不倫によって民事上の不法行為が成立することがあります。
というのも、刑法と民法は別途に適用されるので、刑法上の犯罪にあたらなくても民法上の不法行為にあたることがあるためです。
不法行為とは、他人の権利を侵害する行為について損害賠償義務を定めるものです。
例えば、不倫の場合でいえば、不倫によって婚姻共同生活の維持という法的利益が侵害されることから損害賠償義務が発生します。
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
不倫によって発生するのは精神的損害ですが、民法ではこのような精神的損害も損害賠償の対象としています。
他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
そのため、犯罪にあたらない場合でも、権利侵害によって生じた精神的損害について慰謝料請求されることがあるのです。
4章 不倫(浮気)による慰謝料請求に関する判例
夫が、妻が不倫をしていたことから不倫相手に対して慰謝料を請求した複数の事案について、
裁判所は、妻は貞操義務を負っており不倫をしたことは夫権を侵害したものとして、夫権の侵害に基づく損害賠償請求は認められるとしています。
判例は以下のように説明しています。
大審院明治36年10月1日
およそ夫は妻に対して貞操を守らせる権利があることから、YがXの妻と姦通したことはすなわち本件夫たるXの夫権を侵害したものといわざるを得ず、したがって原院が夫権の侵害に対する賠償を許容したことは違法ではない。
大審院明治40年5月28日
不法行為によって生じた損害は金銭で見積もることができるか否かを問わず、等しくこれを賠償する責任を有することは同法第710に規定するところであり、姦通のために夫権を侵害しこれによって夫が精神上被った苦痛はいわゆる無形の損害としてこれを賠償しなければならない。
※原文は混交文
慰謝料請求に関する歴史的な経過は以下の記事で詳しく解説しています。
5章 不倫(浮気)で慰謝料請求された場合の対処法3つ
不倫(浮気)で慰謝料請求された場合、その後の対応が慰謝料の金額を大きく左右することもあります。
不倫で慰謝料請求された場合の対処法は以下のとおりです。
対処法2:減額交渉をする
対処法3:弁護士に相談する(おすすめ!)
それでは各対処法について順番に解説していきます。
5-1 対処法1:慰謝料請求の内容を確認する
不倫(浮気)で慰謝料請求された場合の対処法1個目は、慰謝料請求の内容を確認することです。
慰謝料請求は内容証明郵便などの書面で届くことが多いです。
内容証明が届いた場合、相手方に回答しなければならないので請求の内容を確認する必要があります。
確認する事項としては以下のものが挙げられます。
・請求金額
・妥当な慰謝料金額
・回答期限
これらの事項は交渉の方針や見通しを検討するうえでも非常に重要なので、内容証明が届いたら最初に確認しておくことが望ましいです。
回答書の書き方については以下の記事で詳しく解説しています。
5-2 対処法2:減額交渉をする
不倫(浮気)で慰謝料請求された場合の対処法2個目は、減額交渉をすることです。
適正な慰謝料金額にするには減額交渉をすることが重要な意味をもちます。
というのも、不倫は非難されるべき行為ですが、適正な金額よりも高い慰謝料を負担すべき義務はないためです。
例えば、300万円の慰謝料を請求された事例で適正な慰謝料が100万円の場合、減額交渉せずに300万円を支払ってしまうと大きな負担になります。
そのため、慰謝料の金額が適正な金額よりも高いと感じたら、減額交渉をすることが負担を軽減することにも繋がります。
減額交渉の方法については以下の記事で詳しく解説しています。
5-3 対処法3:弁護士に相談する(おすすめ!)
不倫(浮気)で慰謝料請求された場合の対処法3個目は、弁護士に相談することです。
慰謝料請求への対応は、事実を法的根拠とどのように関連付けるかは専門的知識や経験が必要となり、自分で行うことが難しい部分もあります。
また、交渉でした行為は後から撤回できないこともあり慎重にしなければならない反面で、回答期限が付されていることもあり対応に迅速さが求められることもあります。
そのため、自分だけで減額交渉するのではなく、早い段階で弁護士に相談して適切な対応をしていくことが望ましいです。
弁護士を選ぶポイントについては以下の記事で詳しく解説しています。
6章 慰謝料の減額交渉はリバティ・ベル法律事務所にお任せ
慰謝料の減額交渉については、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。
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7章 まとめ
今回は、不倫(浮気)が犯罪にあたるのかを説明したうえで、不倫を理由として慰謝料請求された場合の対処法について解説しました。
この記事の要点をまとめると、以下の通りです。
・姦通罪は廃止されたため不倫(浮気)は犯罪にあたらない。
・不倫(浮気)に関連した犯罪と逮捕されるケースは以下の6つです。
ケース1:不倫した側:不同意性交罪にあたる場合
ケース2:不倫した側:重婚にあたる場合
ケース3:不倫された側:名誉棄損に当たる場合
ケース4:不倫された側:住居侵入罪に当たる場合
ケース5:不倫された側:不正アクセス禁止法に違反する場合
ケース6:不倫された側:ストーカー規制法に違反する場合
・不倫(浮気)は民事上の不法行為として慰謝料請求の対象になる。
・不倫(浮気)で慰謝料請求された場合の対処法は以下の3つです。
対処法1:慰謝料請求の内容を確認する
対処法2:減額交渉をする
対処法3:弁護士に相談する(おすすめ!)
この記事が、不倫が犯罪にあたるのか悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
不倫が犯罪になるかについては、法ナビ離婚の以下の記事でも詳しく解説されていますので読んでみてください。
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