食事は不貞行為にあたらない!慰謝料請求への対処法3つを簡単に解説

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弁護士 籾山 善臣

リバティ・ベル法律事務所|神奈川県弁護士会所属
取扱分野は、浮気・不倫問題、離婚問題、労働問題等。
【連載・執筆等】幻冬舎ゴールドオンライン、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他
【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日

食事が不貞行為にあたるか知りたいと悩んでいませんか?

友人と食事をしていただけなのに、高額の慰謝料を請求されてしまうと納得できませんよね。

結論としては、食事をしただけでは不貞行為にはあたりません

なぜなら、不貞行為となるには肉体関係が必要となるためです。単に食事していたにすぎないときは、肉体関係がないので不貞行為とはいえません

例えば、あなたが異性の友人と2人っきりで食事をしていたとしても、それは不貞行為ではないのです。

ただし、あなたとその友人との間にに食事以上の関係、つまり肉体関係がある場合には不貞行為となります。

更に、実際には、不貞行為の直接的な証拠があることは少なく、状況次第では一緒に食事をしていた事実から肉体関係があったと誤った判断をされてしまうリスクもあります

法律ではどのような場合に不貞行為となり慰謝料の支払いをしなければならないのかを知ることで、誤解されてしまった場合にも不要な慰謝料を支払わずに済みます

今回は、食事が不貞行為にあたるかどうかについてわかりやすく解説していきます。

具体的には、以下の流れで説明していきます。

この記事を読めば、食事だけでは不貞行為にはあたらず、慰謝料を支払わなくていいことがよくわかるはずです。

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1章 食事は不貞行為にあたらない!|不貞行為とは

食事をしただけでは不貞行為にはあたりません

なぜなら、不貞行為といえるには肉体関係が必要となるためです。異性と二人で食事をしただけでは肉体関係があったとはいえず、不貞行為にはあたりません。

例えば、異性との食事をした場合や家に出入りした場合、手を繋いだ場合には、肉体関係があったとまではいえないので、それだけでは不貞行為とはなりません。

判例は、不貞行為の内容について以下のように説明しています。

最高裁第一小法廷昭和48年11月15日[判タ303号141頁]
「配偶者ある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいうのであって、この場合、相手方の自由な意思に基づくものであるか否かは問わないものと解する」

2章 食事をしただけとの言い訳が通じないケース2つ

異性と2人で食事をしている状況次第では、肉体関係があったと判断されてしまうこともあります。

不貞行為については密室で行われることが多いため、直接的な証拠が少なく状況証拠から肉体関係があったことを証明していくことも珍しくないためです。

例えば、以下のようなケースでは、食事をしただけとの言い訳が通じないことがあります。

ケース1:異性の家で食事
ケース2:ホテルの部屋で食事

それでは各ケースについて順番に解説していきます。

2―1 ケース1:異性の家で食事

食事をしただけとの言い訳が通じないケースの1つ目は、異性の家で食事をしたケースです

なぜなら、異性の家で食事をした場合、滞在時間や出入りの回数などから、経験則的に不貞行為があったと認定されることがあるためです。

例えば、あなたが異性の家に入り、数時間の間滞在していたとしましょう。それ以前にも、何度かその家を訪れたことがある場合には、相当程度親密な間柄にあることがうかがえます。

あんたが食事をしていただけと説明したとしても、簡単には信じてもらえないでしょう。

そのため、滞在時間が長い場合や出入りの回数が多い場合には、単に食事をしていただけという言い訳は通じないことがあるのです。

2-2 ケース2:ホテルの部屋で食事

食事をしただけとの言い訳が通じないケースの2つ目は、ホテルの部屋で食事をしたケースです。

なぜなら、ホテルの部屋で異性と2人の場合、経験則的に不貞行為があったと認定されやすいためです

例えば、あなたの配偶者がホテルで異性と2人で食事をしていた場合、配偶者が単に食事をしていただけと言い訳をしても納得することは難しいでしょう。

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3章 異性との食事と不貞行為の判例3つ

実際に、異性との食事があったことから、不貞行為を推認できるかどうかを判断した判例がいくつかあります。

例えば、以下の3つの判例が挙げられます。

判例1:配偶者を含めた3人で食事をした事案【不貞行為を推認できない】
判例2:不貞相手とその親族と食事に行っていた事案【不貞行為を推認できる】
判例3:お互いの自宅で食事の他に親密な写真を収めていた事案【不貞行為を推認できる】

それでは1つずつ紹介していきますので一緒に見ていきましょう。

3-1 判例1:配偶者を含めた3人で食事をした事案【不貞行為を推認できない】

AさんとBさんが婚姻していて、BさんがCさんを食事に誘ってCさんを含めた3人で食事に行った事案について、

裁判所は、連絡内容や食事後のやり取りから親密さが窺えるものの、不貞行為があったと推認することはできないと判断しています。

判例は以下のように説明しています。

東京地判令和3年7月30日D1-Law判例体系[29065639]
「昼食を誘うため、「了解、では空港に迎えに行って、ランチして、さらにゆっくりしましょう」とメールで送信し、原告妻は、「やった^_^(後略)」、「10時前に着く〓を予約しました(中略)誕生日お祝いしてくださいね〓」とメールで返信した。」
「被告と原告妻は、同年5月17日午後6時47分頃から、ホテルCを出て、同ホテルに隣接するT2階の「レストランaa」に入店し、夕食を共にした。…なお、被告と原告妻は、ホテルCからレストランへの往復の際も、手をつないだり腕組みをしたりすることはなかった。」
「間接事実とされるそれ以前の一連の連絡や出来事については、前記認定事実を踏まえても、被告と原告妻との間に、研究者及び友人として比較的親密な交流関係があったということはできるものの、その域を超えて、被告と原告妻との間に性的行為としての不貞行為があったとまで推認することは困難である。」

3-2 判例2:不貞相手とその親族と食事に行っていた事案【不貞行為を推認できる】

AさんはBさんと婚姻していながら、Cさんとその親とともに食事に行っていた事案について、

裁判所は、相手とその親族を含めて親密な関係を築いていたことや配偶者との別居の時期を踏まえると、配偶者との別居前に不貞行為にあったことを推認できると判断しています。

判例は以下のように説明しています。

東京地判令和3年4月20日D1-Law判例体系[29064523]
「原告及び被告Y1は、平成29年3月に本件別居に至っているところ、同年夏頃には、被告Y2が、被告Y1の自宅において上半身裸の状態で子ら及び被告Y1と過ごすことや、被告Y1及び子らとともに宿泊付きで出かけることがあり、子らも含めて被告らが親密な関係にあったと認められる。令和元年8月9日には、被告Y2は、被告Y1及びその母と食事し、その後、少なくとも午後11時頃まで被告Y1の自宅で被告Y1及びその母と過ごしており、被告Y1の母も含めて被告らが親密な関係にあったと認められる。」
「このような、子ら及び被告Y1の母を含む被告らの関係や、被告Y1が原告と本件別居に至った時期も考慮すると、被告らは、本件別居前から不貞関係にあったと強く推認される。」

3-3 判例3:お互いの自宅で食事の他に親密な写真を収めていた事案【不貞行為を推認できる】

AさんはBさんと婚姻していながらCさんのお互いの自宅で複数回飲食を共にし、親密さが窺える写真を撮っていた事案について、

裁判所は、自宅において食事を共にしていたことだけではなく、多数回買い物をしていたことや自宅においてデートしていたこと、親密な行為を繰り返し写真に収めていたことから不貞行為を推認できると判断しています。

この判例からは、多数回、自宅において食事を共にしていたことに加えて、買い物やデート、写真など性行為を含む親密な男女でなければ通常行わない行為があったと認められるような場合には、不貞行為が推認されることがわかります。

判例は以下のように説明しています。

東京地判令和2年9月24日D1-Law判例体系[29061128]
「被告が同年6月1日から同年8月末日までの間に、多数回、Aと会って飲食や買い物を共にし、被告又はAの自宅で食事を共にする等していたことが認められる。…被告は、平成30年6月1日から同年8月末日までの間、多数回、外出のほか互いの自宅においてデートを重ねていたものであることから、相当に親密な関係であったことが推認される。」
「また、被告は、同年6月22日以降、Aの自宅において…親密な行為を繰り返し写真に収めていたものであるところ、自宅において、男女が、二人きりでの上記のような親密な接触行為等を写真に収める行為は、性行為を含む親密な関係を有する男女でなければ通常行わない行為であることからは、同行為を写真に収めた当時において、被告とAが不貞関係にあったことが強く推認される。」

4章 食事をしただけで慰謝料請求された場合の対処法3つ

あなたが異性の友人と食事をしていただけなのに、その友人の配偶者が誤解をして、あなたに対して慰謝料を請求してくることがあります

不貞行為は直接的な証拠がないことも多いため、不貞行為があったはずだとの思い込みによって請求されてしまうことがあるためです。

これまで見てきたとおり、不貞行為は状況証拠だけから認定されてしまうこともあるため、真実に反して慰謝料の支払いを命じられてしまわないようにするためには、適切に対処していく必要があります

具体的には、食事をしただけで慰謝料請求された場合の対処法は以下のとおりです。

対処法1:食事をしただけと伝える
対処法2:安易に支払をしない
対処法3:弁護士に相談

それでは各対処法について順番に説明していきます。

4-1 対処法1:食事をしただけと伝える

食事をしただけで慰謝料請求された場合の対処法の1つ目は、食事をしただけと伝えることです。

なぜなら、不貞行為があったといえるには肉体関係が必要となるので、単に食事をしていたにすぎない場合は不貞行為あたらないからです。

例えば、あなたが異性と食事をしていただけであるにもかかわらず、配偶者が食事を理由に慰謝料を請求してきたとしましょう。

この場合にあなたがまずすべき対応は、不貞行為には及んでいないこと、すなわち食事をしていただけということを請求者に伝えることになります。

4-2 対処法2:安易に慰謝料の支払をしない

食事をしただけで慰謝料請求された場合の対処法の2つ目は、安易に支払をしないことです。

なぜなら、最初に通知書に記載してある金額は、適正な金額よりも高額であることが多く、一度支払をしてしまうと返してもらうことは難しいからです。

例えば、適正な慰謝料金額が50万円の事案であっても、通知書には300万円の慰謝料を請求すると記載してある場合があります。

すぐに慰謝料の振り込みをしてしまうと、支払う必要のなかった250万円についても、返ってこない可能性が高いのです。

そのため、慰謝料については振り込みをする前、必ず適正な金額を確認するようにしましょう

上手な減額交渉の方法については以下の記事で詳しく解説しています。

4-3 対処法3:弁護士に相談

食事をしただけで慰謝料請求された場合の対処法の3つ目は、弁護士に相談することです。

なぜなら、弁護士に相談した場合、紛争の拡大予防に関するアドバイスがもらえたり、その場で弁護士に交渉を依頼することもできるからです。

不貞行為をされた側は、感情が高ぶっていることが多く、自分で直接慰謝料の減額交渉をしようとすると、高圧的な態度をとられてしまうことがあります。

また、慰謝料請求における交渉は、慰謝料請求者と直接会ってしまうと、その場で請求者に有利な合意書を渡されて、これにサインするまでは返さないなどと言われることもあります。

そのため、慰謝料の減額交渉の場面では、弁護士に相談して対応を考えることが望ましいといえるでしょう。

最高の弁護士を選ぶポイントについては以下の記事で詳しく解説しています。

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5章 慰謝料の減額交渉はリバティ・ベル法律事務所にお任せ

慰謝料の減額交渉については、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。

慰謝料の減額交渉については、複数の事情がある中から適切に取捨選択をして主張していく必要があります。

また、慰謝料の減額交渉については、交渉力の格差が獲得金額に大きく影響してきます

リバティ・ベル法律事務所では、慰謝料の減額交渉について圧倒的な知識とノウハウを蓄積しておりますので、あなたの最善の解決をサポートします

リバティ・ベル法律事務所では、慰謝料の減額交渉に関して、「初回相談無料」を採用していますので、少ない負担で気軽にご相談できる環境を整えています。

慰謝料の減額交渉に悩んでいる方は、一人で抱え込まずにお気軽にご相談ください。


6章 まとめ

今回は、食事が不貞行為にあたるか・食事を言い訳にできないケース、判例、食事を理由に慰謝料請求された場合の対処法を解説しました。

この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。

まとめ

・食事自体は不貞行為にはあたりません。

・食事をしただけとの言い訳が通じないケースとしては、例えば以下の2つがあります。
ケース1:異性の家で食事をした場合
ケース2:ホテルの部屋で食事をした場合

・食事をしただけなのに、慰謝料を請求されてしまった場合には、以下の方法により対処しましょう。
対処法1:食事をしただけと伝えること
対処法2:安易に支払をしないこと
対処法3:弁護士に相談すること

この記事が、異性との食事が不貞行為にあたるか知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。

以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。

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