従業員が無断で欠勤を続けていて困っていませんか?
無断で仕事を休まれると業務に支障を来す一方で、解雇してしまうと企業としてリスクを負うことになるのではないか不安ですよね。
実務相場としては、無断欠勤が14日以上続く場合には解雇を行うことも検討することになります。
もっとも、従業員が無断欠勤をする理由は多々ありますので、「精神疾患」や「職場環境」が原因の場合には解雇が認められないこともあります。
また、「出勤の督促を怠った場合」や「就業規則上で14日を超える日数を定めている場合」にも、解雇できない可能性がありますので注意が必要です。
無断欠勤を理由とする解雇の判例は一定程度蓄積されてきていますが、欠勤の日数のみで一律に判断するのではなく、原因や経緯、生じた支障の程度等も考慮されています。
企業が無断欠勤をする従業員に対して解雇を行うにしても最終手段となりますので、正しい手順を踏んで行う必要があります。
また、従業員が無断欠勤をしている状況だと解雇を通知することも困難である場合があり、方法につき検討を要する場合があります。
実は、私が多くの人事労務の相談を受ける中でも、無断欠勤に関する相談は増えており、従業員に反省の様子が全くないような事案も目にするようになってきています。
この記事をとおして、従業員の無断欠勤に悩む経営者や人事担当者の方に、正しい対応を知っていただければ幸いです。
今回は、無断欠勤による解雇は14日以上続く場合が実務上の相場とされていることを説明したうえで、企業としての正しい対応手順4つを解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、従業員が無断欠勤を続ける場合にどのように対応すればいいのかがよくわかるはずです。
目次
1章 無断欠勤による解雇は14日以上続く場合が相場
無断欠勤による解雇は14日以上続く場合に、検討を行うのが実務相場です。
行政通達は、予告を経ずに解雇できる事案の下記の例を挙げています。
「原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合。」
実際、裁判例でも、2週間にわたる無断欠勤により懲戒解雇が有効とされています(東京地判平成12年10月27日[開隆堂出版事件])。
そのため、無断欠勤を理由とする解雇については、14日という日数が一つの相場となっているのです。
ただし、あくまでも目安なので、14日より少なくても解雇が有効とされることもありますし、14日を超えていても解雇が無効とされることもあります。
人事院は、国家公務員について、「懲戒処分の指針について(平成12年3月31日職職-68)」を定めています。
当該指針では、欠勤については以下のように規定されています。
ア 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた職員は、減給又は戒告とする。
イ 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた職員は、停職又は減給とする。
ウ 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた職員は、免職又は停職とする。
つまり、21日以上正当な理由なく欠勤した場合には解雇することがあり得る内容になっています。
そのため、公務員を参考にする場合には21日を基準とすることも考えられます。
2章 従業員が無断で欠勤する理由7つ
無断欠勤を理由とする解雇を検討するうえで、なぜ従業員が無断欠勤しているのかということは重要な事項です。
従業員が無断で欠勤する理由としては、例えば、以下の7つがあります。
理由2:体調不良・精神疾患(うつ病等)
理由3:職場環境(ハラスメント等)
理由4:業務指示や指導等が気に入らなかった
理由5:自宅で亡くなっている・事故にあっている
理由6:親族に不幸があった
理由7:刑事事件で逮捕された
それでは順番に説明していきます。
2-1 理由1:面倒くさかった・だるかった
多いのが、面倒くさかった・だるかった等での理由により、無断で欠勤する事案です。
とくに理由もなく、会社に連絡をすることもなく、欠勤する従業員が一定数います。
このように酌むべき事情がないような事案では、毅然とした対応を行うべきでしょう。
2-2 理由2:体調不良・精神疾患(うつ病等)
次に、体調不良・精神疾患(うつ病等)の理由により、欠勤をするという事案が多いです。
とくに、昨今、うつ病、適応障害、抑うつ状態等の理由により、連絡をせずに仕事を休む例が増えてきています。
このような従業員の不調については企業としても一定の配慮を行わなければなりません。
2-3 理由3:職場環境(ハラスメント等)
職場環境の問題点を理由に欠勤する従業員も増えてきています。
よくあるのはハラスメントや労働基準法違反などです。
出勤できないような原因が企業側にある場合には、企業としてもこのような原因を取り除くための配慮をしなければなりません。
2-4 理由4:業務指示や指導等が気に入らなかった
気に入らない業務指示や指導等がされたとの理由により、出勤しなくなる従業員がいます。
自身家の若手従業員が上司に反発するケース、課長や部長が役員等からの指示が現場のルールと異なる反発するケースなどがあります。
いずれにせよ、無断欠勤を正当化する理由にはなりませんので、企業としては毅然とした態度で臨むことになります。
2-5 理由5:自宅で亡くなっている・事故にあっている
自宅で亡くなっている・事故にあっているということも有り得ます。
音信不通となり回答がない場合には、自宅に様子を見に行ったり、身元保証人や親族に確認の連絡をしたりすることも検討しましょう。
2-6 理由6:親族に不幸があった
親族に不幸があったことによるショックにより、連絡を忘れたまま仕事に出勤していないという場合もあります。
従業員の気持ちもわかりますが、企業としては、最低限、仕事を休む旨の連絡は行うように求めるべきです。
また、いつまで仕事を休むのか等の目途が立たないと、業務の予定も立てられません。
そのため、「忌引き休暇・慶弔休暇」や「有給の残日数」を説明するなどして、制度の中で対応するようにしましょう。
2-7 理由7:刑事事件で逮捕された
従業員が刑事事件で逮捕されていた場合、警察署にいて外部に連絡できないということがあります。
企業は、親族や弁護士などを通じて、逮捕されている状況を知らされることになるケースが多いです。
面会に行き、復帰の目途や意向を確認する事が多いです
また、起訴に至った場合の休職制度が就業規則上定められているか等を確認しておきます。
3章 14日以上の無断欠勤でも解雇できないケース5つ
従業員が14日以上無断欠勤をしても、解雇できないケースがあります。
無断欠勤を理由とする解雇の有効性は、欠勤の日数のみで一律に判断するのではなく、原因や経緯、生じた支障の程度等も考慮されるためです。
例えば、14日以上の無断欠勤でも解雇できない可能性があるケースとしては、以下の5つがあります。
ケース2:精神疾患の場合
ケース3:企業側に原因がある場合
ケース4:業務に支障が生じていない場合
ケース5:就業規則で14日を超える日数を定めている場合
それでは、各ケースについて順番に説明していきます。
3-1 ケース1:督促を怠った場合
14日以上の無断欠勤でも解雇できないケースの1つ目は、督促を怠った場合です。
従業員が無断で欠勤した場合において、企業側から出勤するように求める連絡をしていない場合には、解雇が無効とされるリスクがあります。
行政通達でも、解雇予告が不要とされているのは、14日以上の無断欠勤に加えて、従業員が督促にも応じなかった場合とされています。
例えば、通知書やメール、電話等の複数の方法で、何度か従業員に対して、出社を求めたうえで、写真や録音等をとるなど督促をした証拠を残しておきましょう。
3-2 ケース2:精神疾患の場合
14日以上の無断欠勤でも解雇できないケースの2つ目は、精神疾患の場合です。
精神疾患により欠勤を続けている労働者に対しては、①精神科医による健康診断を実施する、②必要な場合は治療を勧めた上で休職等の処分を検討する、③その後の経過を見るといった配慮をしなければなりません。
上記配慮をせずに解雇をすると、企業の対応として適切とはいえないとして、解雇が無効とされるリスクがあります。
3-3 ケース3:企業側に原因がある場合
14日以上の無断欠勤でも解雇できないケースの3つ目は、企業側に原因がある場合です。
労働者側の責任を問いえるのは、企業側に原因がなかった場合、又は、労働者側が欠勤しないことを選択可能であった場合とされています。
例えば、職場環境に問題があり、従業員が出勤することが難しい場合には、無断欠勤を理由とする解雇は認められないことがあります。
3-4 ケース4:業務に支障が生じていない場合
14日以上の無断欠勤でも解雇できないケースの4つ目は、業務に支障が生じない場合です。
学校の長期休み中の教師などでは、業務への支障が少ないことを理由に、14日の無断欠勤では解雇は認められない可能性があります。
3-5 ケース5:就業規則で14日を超える日数を定めている場合
14日以上の無断欠勤でも解雇できないケースの5つ目は、就業規則における解雇事由として14日を超える日数を定めている場合です。
就業規則は従業員の労働条件の最低基準を画するものです。
そのため、就業規則で定めた日数を下回る段階では、解雇の合理的な理由がないと判断される可能性があります。
4章 無断欠勤を理由とする解雇の判例4つ
無断欠勤を理由とする解雇の裁判例については、一定程度蓄積されてきています。
判例は、無断欠勤を理由とする解雇の有効性につき、以下のような事情を検討して判断する傾向にあります。
・業務への支障の有無・程度
・使用者からの注意・指導・教育の状況、使用者側の管理体制
・本人の改善の見込み、反省の度合い
・本人の過去の非行歴、勤務成績
・先例の存否、同種事例に対する処分の均衡
例えば、以下の4つの裁判例が参考になります。
・東京地判平成12年10月27日[開隆堂出版事件]
・福岡高判昭和50年5月12日労判230号54頁[紫苑タクシー事件]
・仙台地決平成2年9月21日[栴檀学園事件]
・最二小判平24.4.27労判1055号5頁[日本ヒューレット・パッカード事件]
それでは、これらの判例を順番に解説していきます。
4-1 東京地判平成12年10月27日[開隆堂出版事件]
事前の届け出なく、かつ、欠勤の理由や期間、居所も明らかにしないまま、2週間にわたって欠勤した事案について、懲戒解雇が有効とされました。
4-2 福岡高判昭和50年5月12日労判230号54頁[紫苑タクシー事件]
3か月の無断欠勤を理由に懲戒解雇された事案につき、懲戒解雇が無効とされました。
会社代表者による暴行が原因であったことが考慮されています。
裁判所は、「およそ懲戒は、使用者が一方的に課することのできる労働者に対する不利益処分であるから、懲戒事由は使用者の責に帰することのできない事由によって発生し、又は労働者がこれを侵さない選択の自由があるのにあえて犯した企業秩序紊乱行為でなければなら」ないと判示しています。
4-3 仙台地決平成2年9月21日[栴檀学園事件]
約1か月の無断欠勤を理由に懲戒解雇された事案について、懲戒解雇が無効とされました。
当該従業員は大学教員であったところ、欠勤は春休み時で講義もなく、大学の業務に支障を来さなかった等の事情が考慮されています。
4-4 最二小判平24年4月27日労判1055号5頁[日本ヒューレット・パッカード事件]
有給休暇を全て取得した約40日間にわたり欠勤を続けたことを理由に諭旨解雇された事案について、諭旨解雇が無効とされました。
当該判例は、精神的な不調のために欠勤を続けていると認められる労働者に対しては、①精神科医による健康診断を実施するなどした上で、②必要な場合は治療を勧めた上で休職等の処分を検討し、③その後の経過を見るなどの対応を採るべきであるとしました。
そのうえで、このような対応を採ることなく、その欠勤を正当な理由なく無断でされたものとして諭旨退職の懲戒処分の措置を執ることは、精神的な不調を抱える労働者に対する使用者の対応としては適切なものとはいい難いとしています。
5章 従業員の無断欠勤への対応手順4つ|解雇は最終手段
従業員が無断欠勤した場合には、正しい手順で対応していく必要があります。
解雇は最終手段であり手順を誤ると、解雇が無効とされるリスクが増大することになります。
具体的には、無断欠勤へは以下の手順で対応していくことになります。
手順2:督促をする
手順3:退職勧奨をする
手順4:解雇する
それでは順番に説明していきます。
5-1 手順1:欠勤理由を確認する
無断欠勤への対応手順の1つ目は、欠勤理由を確認することです。
第2章でみたように理由によっては配慮が必要な場合があるためです。
「体調不良や精神疾患」の場合には診断書等の裏付けを提出するように求めましょう。
また、企業側に原因があるとの理由の場合には、ヒアリング調査等を行いましょう。
5-2 手順2:督促をする
無断欠勤への対応手順の2つ目は、督促をすることです。
従業員の無断欠勤をしている場合でも、企業からの督促がない場合には解雇の有効性に疑義が生じることがあります。
通知書やメール、電話等の複数の方法で、何度か従業員に対して、出社を求めたうえで、写真や録音等をとるなど督促をした証拠を残しておきましょう。
5-3 手順3:退職勧奨をする
無断欠勤への対応手順の3つ目は、退職勧奨をすることです。
解雇をする前に自主的に退職することを促すことで、紛争リスクを下げることができます。
退職勧奨の仕方については、以下の記事で詳しく解説しています。
5-4 手順4:解雇する
無断欠勤への対応手順の4つ目は、解雇をすることです。
上記のような手段を尽くしても解決が困難である場合には、最終的に解雇を行うことを検討することになります。
14日以上続く無断欠勤をしていて、督促にも応じない場合には、解雇予告除外認定を受けることで、解雇予告をせずに解雇できます。
なお、実際に解雇を行う前に、弁護士に相談しておいた方がいいでしょう。
無断欠勤を理由とする解雇につき、普通解雇とするか、懲戒解雇とするか悩まれる企業も多いでしょう。
無断欠勤の場合には、規律の維持等の観点から懲戒解雇を選択する企業が多いですが、従業員へのデメリットが大きいので紛争のリスクは大きくなります。
例えば、懲戒解雇を行ったうえで、紛争となった場合には、予備的に普通解雇も行っておくなどによって、リスクを減らしておくことが考えられます。
また、懲戒解雇を行う場合には、解雇の前に弁明の機会を付与することが必要となりますので、注意しましょう。
企業が懲戒解雇を行うデメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
6章 無断欠勤による解雇を通知する方法|解雇通知書の文例付き
無断欠勤をする従業員を解雇する場合には、以下のような解雇通知書を送ることになります。
解雇通知書(無断欠勤)のダウンロードはこちら |
解雇通知書については、以下の記事で詳しく解説しています。
もっとも、無断欠勤の場合には、従業員が出勤してきていないため、解雇通知書を交付する方法についても検討が必要となります。
例えば、無断欠勤中の従業員に対して解雇通知書を交付する方法としては、以下の4つがあります。
方法2:レターパックライト又は特定記録郵便により送る
方法3:メールにPDFデータを添付する
方法4:自宅まで赴き手渡しする方法
それでは各方法について順番に説明していきます。
6-1 方法1:内容証明郵便を送る
まず、解雇通知書を内容証明郵便で送る方法を検討しましょう。
内容証明郵便を送付する際には、配達証明もつけます。
これによって、送付した文書の内容と当該従業員が受領したことを証明することができます。
内容証明郵便とは、一般書留郵便物の内容文書について証明するサービスです。謄本が自分の手元にも残ります。
以下の日本郵便のウェブページから簡単に送付することができます。
ただし、内容証明郵便については直接手渡しにより交付されるため、受取を拒絶されたり、留守で再配達の依頼がされなかったりすることがあります。
6-2 方法2:レターパックライト又は特定記録郵便により送る
次に、レターパック又は特定記録郵便により送る方法が考えられます。
これらの方法については、直接手渡しではなく、ポスト投函の方法により郵送されますので、受取を拒絶されたり、再配達の依頼がなく保管期間が経過したりする心配もありません。
他方で、追跡機能が付いていますので、控えた追跡番号によって、当該従業員のもとに配達されたかどうかをWEB上から確認する事ができます。
以下の日本郵便のウェブページから簡単に追跡することができます。この画面を印刷して証拠にします。
郵便追跡サービス – 日本郵便 (japanpost.jp)
ただし、送った文書の内容については記録に残らないので、自分でコピーを取ったり、送付状況の写真を撮ったりして、証拠化することになります。
6-3 方法3:メールにPDFデータを添付する
次に、メールにPDFデータを添付する方法が考えられます。
この方法であれば、どのような文書を添付したかが記録として残ることになります。
もっとも、従業員から受領の返信がない可能性が想定され、その場合には従業員に届いているのかが不明となります。
また、住所に直接配達される郵便物に比べて、メールの場合には「確認していなかった」、「そのアドレスはもう使っていない」等の反論がされやすくなります。
そのため、方法2と方法3については、両者を併せて行うことで、双方の弱みを補うことが考えられます。
6-4 方法4:自宅まで赴き手渡しする
最後に自宅まで赴き手渡しする方法が考えられます。
方法1を行った場合に、「あて所に尋ね当たりません」等により郵便を届けることができなかった場合には、現地の確認と合わせて、手渡しすることも考えられます。
手渡しする場合には、交付の事実と内容が証拠に残らないので、事前にコピーをとっておくとともに、受領書を持参し交付時にサインしてもらうようにしましょう。
就業規則に一定期間行方不明の場合には自動退職として扱う条項を入れておくことも、検討しましょう。
従業員が音信不通となり、住所に行っても誰もいないような場合には、解雇の通知を行うことが困難となることがあります。
そのような場合には、裁判所をとおした公示による意思表示を検討しなければならないことがあります。
しかし、公示による意思表示には手間とコストがかかります。
そのため、一定期間行方不明の従業員については、自然退職となる条項を入れておくことで、解雇の意思表示なく退職処理を可能とする工夫を行う企業が増えています。
7章 無断欠勤による解雇と離職票の記載方法|失業保険の取り扱い
解雇については、原則として、会社都合退職となります。
ただし、無断欠勤が14日以上継続して督促に応じず、解雇予告除外認定を受けた場合には、重大な就業規則違反として、失業保険上の離職理由も重責解雇とすることが多いです。
重責解雇の場合には、自己都合退職として扱われることになります。
重責解雇については、以下の記事で分かりやすく解説されています。
8章 無断欠勤中の給与の取扱い|ノーワークノーペイで支払不要
無断欠勤をした日の給与については、原則として、支払いは不要です。
ノーワークノーペイの原則により、従業員が働かなければ給与も発生しないためです。
ただし、例外的に、従業員が出勤できなかった理由が企業側にある場合には、債権者の責めに帰すべき事由(民法536条2項)として、支払いが必要となることがあります。
なお、従業員が無断欠勤をした場合でも、これまで出勤していた日の分の給与については、当然支払わなければなりません。
9章 無断欠勤した従業員への損害賠償請求
無断欠勤が従業員の故意または重大な過失によるものである場合には、損害賠償を請求できることがあります。
債務不履行または不法行為となり得るためです。
損害賠償をするためには、損害金額の証拠を残しておく必要があります。
・取引先に支払うことになった違約金
・当該従業員が保管していたデータ等を復旧するための費用等
ただし、企業側から従業員への高額な損害賠償請求については、認められにくい傾向にあります。
企業から従業員に対する損害賠償請求については、以下の記事で詳しく解説しています。
10章 無断欠勤社員への対応はリバティ・ベル法律事務所にお任せ!
無断欠勤社員への対応は、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。
解雇を含む問題社員への対応は専門性の高い分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
解雇した場合の見通しを分析したうえで、事前に準備を行い、極力リスクを減らしたうえで、紛争が顕在化した場合には適切に対処していく必要があります。
リバティ・ベル法律事務所では、解雇や退職勧奨をはじめとした人事労務に力を入れており、圧倒的な知識とノウハウを蓄積しています。
リバティ・ベル法律事務所は、全国対応・オンライン相談可能で、最短即日でこの分野に注力している弁護士と相談することが可能です。
相談料は1時間まで1万円(消費税別)となっておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
11章 まとめ
以上のとおり、今回は、無断欠勤による解雇は14日以上続く場合が実務上の相場とされていることを説明したうえで、企業としての正しい対応手順4つを解説しました。
この記事の要点を簡単に整理するといかのとおりです。
・無断欠勤による解雇は14日以上続く場合に、検討を行うのが実務相場です。
・従業員が無断で欠勤する理由としては、例えば、以下の7つがあります。
理由1:面倒くさかった・だるかった
理由2:体調不良・精神疾患(うつ病等)
理由3:職場環境(ハラスメント等)
理由4:業務指示や指導等が気に入らなかった
理由5:自宅で亡くなっている・事故にあっている
理由6:親族に不幸があった
理由7:刑事事件で逮捕された
・14日以上の無断欠勤でも解雇できない可能性があるケースとしては、以下の5つがあります。
ケース1:督促を怠った場合
ケース2:精神疾患の場合
ケース3:企業側に原因がある場合
ケース4:業務に支障が生じていない場合
ケース5:就業規則で14日を超える日数を定めている場合
・無断欠勤へは以下の手順で対応していくことになります。
手順1:欠勤理由を確認する
手順2:督促をする
手順3:退職勧奨をする
手順4:解雇する
無断欠勤中の従業員に対して解雇通知書を交付する方法としては、以下の4つがあります。
方法1:内容証明郵便を送る
方法2:レターパックライト又は特定記録郵便により送る
方法3:メールにPDFデータを添付する
方法4:自宅まで赴き手渡しする方法
・無断欠勤が14日以上継続して督促に応じず、解雇予告除外認定を受けた場合には、重大な就業規則違反として、失業保険上の離職理由も重責解雇とすることが多いです。
・無断欠勤をした日の給与については、原則として、支払いは不要です。
・無断欠勤が従業員の故意または重大な過失によるものである場合には、損害賠償を請求できることがあります。
この記事が無断欠勤を続ける従業員への対応に悩んでいる経営者や人事担当者の方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
コメント