自白が不貞行為の証拠になるか知りたいと悩んでいませんか?
法律的に有効な証拠かどうかの判断は、普段から慣れ親しんでいるものではなく、自白の扱いに困るといった方もいるのではないでしょうか。
他に証拠がなくても、自白だけで不貞行為の有力な証拠になることがあります。
自白を不貞行為の証拠にするために聞いておくべき内容は以下の5つです。
内容2:不貞行為が開始された時期
内容3:不貞行為をしていた頻度、回数
内容4:不貞行為をしていた場所
内容5:人工妊娠中絶の有無
もっとも、ただ漫然と話を聞いていただけでは、証拠にすることはできません。
例えば、口頭で自白を聞いていた場合、書面や録音などの形に残るものがないと、後から自白の内容を争われてしまうおそれがあるのです。
ただし、自白を証拠に残す場合にも注意が必要となります。
というのも、暴力などを用いて無理やり自白させた場合、自白の証拠能力が低下してしまい、慰謝料請求において満足のいく結果が得られないおそれがあるためです。
そのため、自白を不貞行為の証拠にするためには、適切に行動する必要があります。
今回は、自白が不貞行為の証拠となるのかを解説したうえで、自白を不貞行為の証拠にするための方法を解説していきます。
具体的には以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、自白が不貞行為の証拠になるのかよくわかるはずです。
目次
1章 自白は不貞行為の証拠になる?
不貞行為の自白は、法的措置を取る際に証拠となり得ます。
口頭ではあっても、自分の意思で自分に不利益な発言をしているため、信用性が高いと考えられるためです。
ただし、法的措置を取る際には、裁判所に提出できる形で証拠とする必要があります。
仮に、加害者が自白をしたとしても、裁判所に提出することができなければ、証拠とすることができません。
例えば、裁判で争っている際に配偶者が「そんなことは言っていない」などと意見を翻したり、言っていた内容を変えてくることもあります。
客観的に見ることができる証拠がない状態でこうなってしまうと、言った、言わないの水掛け論になってしまうため、慰謝料請求を認めてもらえなくなる可能性もあります。
実は、加害者から不貞の自白を引き出したのに、これを証拠化することを怠ってしまう方が非常に多いのです。
そのため、自白された記憶を話すだけではなく、第三者が後からでも自白を聞いて判断できるような形で残しておく必要があります。
2章 不貞行為の証拠にするために自白で聞いておくべき内容5つ
口頭で浮気をしましたと言われるだけでは、不貞行為の証拠としては強くありません。
不貞行為の自白だと思っていても、実はそうではなかった、という場合も存在します。
不貞行為とは、婚姻関係にある夫婦が配偶者以外と肉体関係を持つことをいいます。
例えば、キスやハグ、手をつなぐ、デートをする、食事をするといった行為だけで、肉体関係を伴っていない場合は不貞行為にはならないのです。
ここでは、不貞行為の証拠にするために、自白で聞いておくべき内容を一緒に確認していきましょう。
確認するべき内容は、以下の5つです。
内容2:肉体関係をもった時期
内容3:不貞行為をしていた頻度、回数
内容4:不貞行為をしていた場所
内容5:人工妊娠中絶の有無
それでは順番に解説していきます。
2-1 内容1:不倫相手の情報(氏名・年齢・住所・勤務先・既婚か独身かなど)
確認するべき内容の1つ目は、不倫相手の情報になります。
配偶者から自白を獲得する場合には、不倫相手のフルネームや住所を聞き出すことが重要となります。
意識して聞き出さないと、配偶者が自白する際に、不倫相手のことを話さないで行為だけを自白される場合があります。
不倫相手を守るために極力不倫相手のことは言わないようにする人も多いのです。
不倫相手の情報がわからないと、不倫相手に対する慰謝料請求が難航してしまいます。
また、不倫相手ではなく、配偶者に慰謝料を請求する場合であっても、不倫の具体的な内容や態様を特定する必要がありますので、不倫相手が誰であるかということは重要となります。
そのため、法的手段を検討していてもいなくても、不倫相手の情報を聞いておくべきなのです。
2-2 内容2:肉体関係をもった時期
2つ目の内容は、肉体関係をもった時期です。
まず、浮気や不倫などの言葉ではなく、肉体関係をもったことを具体的に聞けるといいでしょう。
後から、「一緒に食事に行ったから、それが不倫だと思っていた」などと言われてしまうと、不貞行為があったことを立証できない可能性があるためです。
そのうえで、肉体関係をもったのが、「いつ」であるかを確認しましょう。
あなたが結婚する前であれば不貞行為とはならない可能性がありますし、どの程度の期間肉体関係を継続したのかということは慰謝料の金額にもかかわってくるためです。
2-3 内容3:不貞行為をしていた頻度、回数
3つ目の内容は、不貞行為をしていた頻度、回数です。
初めて関係を持ってから、どのくらいの頻度で不貞行為を行い、それは合計何回程度なのかが分かれば、さらに言い逃れをすることは難しくなります。
また、頻度や回数については、慰謝料の金額にも関わってきます。
そのため不貞行為の頻度と回数を確認しておくことで、より詳細な不貞の状況を知ることができます。
2-4 内容4:不貞行為をしていた場所
4つ目の内容は、不貞行為をしていた場所です。
これは不貞行為の状況を詳細に把握することで、より確実な証拠とすることを目的としています。
また、稀にですが、自宅で不貞行為を行う人も存在します。
ホテルなどといった外で行うよりも圧倒的に見つかるリスクの高い方法ですが、金銭的な理由や背徳感などのためにする人がいるのも事実です。
自宅で不貞行為をされていた場合に受ける衝撃や怒り、悲しみは計り知れません。
ですが、この精神的苦痛は慰謝料の増額要因にもなるのです。
既に不貞行為に及んでいるという自白が得られていて、法的手段を検討しているなら、確認することでより多くの慰謝料を請求できる可能性があります。
2-5 内容5:人工妊娠中絶の有無
5つ目の内容は、人工妊娠中絶の有無です。
これは、不貞行為の存在を強く推測できる要素となるため、確認しておくことをおすすめします。
例えば、自分とは性交渉をしていないのに、妻が人工妊娠中絶をしていた事実があった場合、他者との不貞行為を強く推測させる要素となります。
また、配偶者が男性であっても、不倫相手が人工妊娠中絶をしていることがあります。
配偶者との不貞行為で妊娠していた場合、不倫相手が配偶者に中絶費用の支払を依頼している場合があります。
この場合、配偶者と不倫相手の不貞行為を推測できる要素となるのです。
配偶者は不貞行為を自白しても、不倫相手が認めないことがあります。
そのような際には、配偶者の自白と中絶費用の支払いの証拠を共に提出すれば、不倫相手が不貞行為を行ったという証拠にもなります。
そのため、人工妊娠中絶の有無を確認する必要があるのです。
3章 自白は不貞行為の証拠として不十分?慰謝料請求を確実にするための方法2つ
第1章で説明したように自白は口頭で聞いた記憶を話すだけでは証拠としては不十分です。
ここでは、自白を不貞行為の証拠として、慰謝料請求を確実にするための方法を一緒に確認していきましょう。
具体的な方法は、以下の2つです。
方法2:他の証拠も集めておく
それでは順番に解説していきます。
3-1 方法1:形の残るものに記録する
慰謝料請求を確実にするための方法の1つ目は、形に残るものに記録することです。
記憶を頼りに口頭で自白された内容を証言するだけでは、裁判の際に証言を変えられてしまう可能性があることに関しては既に説明しました。
まずは証言を変えられても、証拠として扱うことができるようにするための手段を確認していきましょう。
具体的な手段は以下の3つです。
手段2:録音する
手段3:録画する
それでは順番に解説していきます。
3-1-1 手段1:書面で残す
自白を証拠にする手段の1つ目は、書面で残すことです。
自白を証拠とする場合、書面で残すのが最も効果的です。
会話になってしまう録音や録画とは異なり、書面で残すことで曖昧なニュアンスがなくなり、誰が見ても同じ判断がしやすくなります。
相手からの反論を許さないために、曖昧な表現は避け、詳細に、明確に記載するようにしましょう。
記載しておくべき内容は以下の通りです。
・初めて不貞行為に及んだ日、場所
・その後不貞行為を行った日、場所
・不貞行為の経緯、内容
・(自白者が不倫相手だった場合)自分と配偶者の婚姻関係を知っていたか
・書面を記載した日付、自白者の署名、押印
この内容が網羅されていれば、不貞行為の証拠として強力となります。
自白者が配偶者で、離婚等を検討していない場合は以下の内容も記載することもあります。
・取り決めが破られた場合の対応
この書面を、紛失や配偶者による破棄などに備えて、カメラ等で撮影した上で、紙とデジタル媒体で保管しておくと安心です。
また、稀にですが署名と押印があっても、偽造だと反論されたり、脅されて書かされた、などと反論されることがあります。
そのため、反論の余地を残さないために、録音や録画も併せて行っておくと効果的です。
3-1-2 手段2:録音する
自白を証拠にする手段の2つ目は、録音することです。
録音することでも、不貞行為の事実が第三者に分かるようになるため、自白を証拠にすることができます。
録音の手段としては、ボイスレコーダー、スマートフォン、Apple watchなど、様々な方法があります。
ボイスレコーダーに関しても、通常のシンプルな物から、ボールペン型の物、書き起こし機能が付いている物など、様々です。
こだわりがなければシンプルな物、費用をかけたくなければスマートフォン等を使用しましょう。
例えば、録音の方法やおすすめのボイスレコーダーは、以下の記事でわかりやすくまとめられています。
3-1-3 手段3:録画する
自白証拠にする手段の3つ目は、録画することです。
書面、録音だけでも十分に証拠になりますが、録画の場合の利点は、周囲の状況や相手の表情なども併せて記録することができる点にあります。
先程も説明しましたが、稀なことではありますが、書面が偽造されたものであるという主張や、録音の声が自分ではないといった主張、脅されて書いたなどといった主張をされることがあります。
しかし、録画していれば、その自白者や書面の記載者が本人であることが分かりますし、表情などを見れば脅して書かされたわけではないことは分かるため、その証拠にもなります。
なので、一切の反論を許さないためには、録画までしておくといいでしょう。
3-2 方法2:他の証拠も集めておく
慰謝料請求を確実にするための方法の2つ目は、他の証拠も集めておくことです
自白だけでも基本的には十分ですが、記憶違いや意図的な嘘によって自白書に書かれた日や証言した日にアリバイが出てくる可能性があります。
そうなってしまうと、自白書や自白の信頼性自体が揺らいでしまう可能性があります。
このような事態を防ぐために、自白で得られた不貞行為に関する事実の裏付けとなる証拠を集めることが重要になります。
配偶者本人が自白している状況であれば、配偶者自身に提示させると良いでしょう。
例えば、配偶者の手帳に記載されていた予定であったり、LINEなどの連絡手段として用いていた媒体でのやり取りで、その日に不貞行為があったことの裏付けを得ることができるかもしれません。
もちろん、全ての日付にこのような裏付けを得ることは難しいでしょう。
しかし、可能な限り裏付けを取っておくと、自白の信用性が一層高まります。
不貞行為に関する証拠については、以下の記事で詳しく解説しています。
4章 不貞行為に関する自白を証拠にするための注意点3つ
自白を証拠にするためには、いくつかの注意点があります。
注意点を守っていないと、証拠として認められないケースがあるので注意が必要です。
注意点は、以下の3つです。
注意点2:自白の信用性を争われる可能性がある
注意点3:当事者以外からの証言は証拠になりづらい
それでは、順番に解説していきます。
4-1 注意点1:自白を強制しない
注意点の1つ目は、自白を強制しないことです。
自白を強制させる行為は、自白した内容の信憑性がなくなってしまうため、証拠として認められない可能性が高くなります。
例えば、以下のような行為を行うと自白の強制に当たります。
・傷害:暴行の結果、怪我を負わせること
・脅迫:殺す、職場に言う、ネットに公開するなど言う
・強要:暴行、脅迫によって無理やり自白させる
これらのような手段を用いていた場合、反対に訴えられる可能性もあります。
自白を聞き出すことができても、強制していては意味がありません。
怒りなどの感情も分かりますが、まずは落ち着いて、冷静に話すことが重要です。
興奮して怒鳴っていたりすると、内容によってはそれで強制されたと主張されてしまう場合があります。
4-2 注意点2:自白の信用性を争われる可能性がある
注意点の2つ目は、自白の信用性を争われる可能性があることです。
自白が裁判で証拠として扱われたとしても、それだけでは安心はできません。
自白は基本的に証拠としての価値が高いと考えられています。
しかし、自白した後に、不貞行為の存在を配偶者や不倫相手が否定したくなった場合は、自白の証拠能力や、その内容が証明できるのかを争ってくるのです。
自白の信用性に影響を与える事情としては、以下のような項目が挙げられます。
・自白をした経緯
・自白をする際の状況
・自白した日の配偶者、不倫相手の体調、判断能力
・自白の内容と自白以外の証拠の内容との齟齬
・否定した内容の方が、信用性が高い
警察による取り調べ等で、問題として挙げられる内容を思い浮かべてもらえると分かりやすいと思います。
とはいっても、基本的に一度自白したことを、後日なかったことにするというのは非常に難しいことになります。
自白の信用性を低下させるために、その時の自分が通常の状態ではなかった証拠を提示しなければいけないのは相手になります。
そのため、まずはしっかりと自白を記録に残し、裏取りを取るなどして、反論に対する対策を立てておきましょう。
4-3 注意点3:当事者以外からの証言は証拠になりづらい
注意点の3つ目は、当事者以外からの証言は証拠になりづらいということです。
当事者以外というのは、配偶者や不倫相手以外の友人や知人などがこれに当たります。
しかし、そもそも自白とは、当事者である配偶者や不倫相手が「不貞行為をしました」と認めることを指します。
つまり、当事者以外からの話はただの証言であって、自白ではないのです。
例えば、友人や知人に、「あなたの夫(妻)が○○さんとラブホテルに行ってるのを見たよ」、「あなたの夫(妻)が不倫してるって言ってたよ」などと言われても、それは本当にあったことなのかが分からないのです。
そもそも本当の出来事なのかもわからなければ、その出来事があったとして、ホテルに入ったのは本当に配偶者だったのかなど、疑い始めればキリがありません。
つまりは、証言の信用性の問題であると言えます。
しかし、この証言が証拠として認められれば、自白としては見られなくても、自白の信用性を補強する証拠にはなります。
そのため、万が一裁判で自白の信用性を問われた場合は、裁判で証言してもらうことで自白の信用性を補強する一助となります。
5章 不貞行為の自白に関するよくある質問
ここでは不貞行為の自白に関するよくある質問を解説していきます。
よくある質問は、以下の通りです。
質問2:自白による慰謝料への影響は
それでは各質問について解説していきます。
5-1 質問1:自白だけで慰謝料請求は可能か
自白だけでも慰謝料を請求することは可能です。
ただし、自白を裁判所に提出するためには証拠化しておく必要があります。
また、その自白が不貞行為を本当に認めているか等争いになる場合がありますので、より確実に慰謝料を獲得するためには、先ほど説明したような内容に注意して聞き出すようにしましょう。
5-2 質問2:自白による慰謝料への影響は
自白が慰謝料に影響するかどうかは、状況次第です。
不貞行為による慰謝料は、夫婦関係が破綻したことによる精神的苦痛がどの程度かをもとに算出されています。
精神的苦痛の度合いを決まった金額に換算することは非常に難しいため、状況によって判断されているのです。
自白が慰謝料に影響するかどうかも、この精神的苦痛の度合いに影響してきます。
例えば、以下のような状況では慰謝料が高く請求できる場合があります。
・不貞行為が原因で夫婦関係が破綻し、心療内科へ通う必要が生じてしまった場合
他方で、以下のような状況では慰謝料が減額される場合があります。
・不倫相手との不貞行為が継続的ではない、一度だけだったなど、期間が短い場合
あくまで一例であり、高額になるか、減額になるかも、他の要素も加味した上で判断になるため、状況によるということに注意してください。
不貞行為の慰謝料の相場については、以下の記事で詳しく解説しています。
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7章 まとめ
今回は不貞行為の自白が証拠になるのかについて説明した上で、証拠にする方法や、注意点などについて解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下の通りです。
・自白は不貞行為の証拠になる
・不貞行為の証拠にする自白で聞いておくべき内容は以下の5つです。
内容1:不倫相手の情報
内容2:不貞行為が開始された時期
内容3:不貞行為をしていた頻度、回数
内容4:不貞行為をしていた場所
内容5:人工妊娠中絶の有無
・慰謝料請求を確実にするための方法は以下の2つです。
方法1:形の残るものに記録する
手段1:書面で残す
手段2:録音する
手段3:録画する
方法2:他の証拠も集めておく
・不貞行為に関する自白を証拠にするための注意点は以下の3つです。
注意点1:自白を強制しない
注意点2:自白の信用性を争われる可能性がある
注意点3:当事者以外からの証言は証拠になりづらい
・不貞行為の自白に関するよくある質問は以下の2つです。
質問1:自白だけで慰謝料請求は可能です。
質問2:自白による慰謝料への影響があるかは状況によります。
この記事が、不貞行為の自白が証拠になるのか悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので、読んでみてください。
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