契約業務について知りたいと悩んでいませんか?
契約によるトラブルを避けるためにも、契約業務の内容は把握しておきたいところです。
契約業務とは、企業や個人間で行われる契約に関するすべての業務を意味します。
例えば、契約業務に該当する業務としては以下のようなものが挙げられます。
・契約審査
・契約交渉
・契約締結
・契約管理など…
契約業務は企業法務の役割と重なる部分があり、企業活動を行ううえで重要な意味をもちます。
契約業務は、主に予防法務としての役割を果たし、トラブル発生のリスクを抑えることができるのです。
しかし、契約業務はただこなせばいいというわけではなく、業務フローは常に最新の状態となるよう整備していく必要があります。
実は、一度業務フローを構築した後は、業務フローには特に手を入れていなかったということがあります。
その結果、契約書の細かい条項を見落としてしまい、大きな損害を被ってしまったということもあるのです。
この記事をとおして、契約業務をどのように整備していけばいいのか知っていただければと思います。
今回は、契約業務とは何かを解説したうえで、契約業務を円滑にするための注意点について解説していきます。
具体的には、以下の流れで解説していきます。
この記事を読めば、契約業務を遂行するうえでの注意点がよくわかるはずです。
目次
1章 契約業務とは?
契約業務とは、企業や個人間で行われる契約に関するすべての業務を意味します。
契約業務は、主に企業法務における予防法務としての役割を果たし、企業活動において重要な意味を有します。
しかし、契約書の作成やレビューには専門的知識が必要になることもあり、契約業務の遂行には相応の知識と経験が求められます。
こうした理由から、契約業務は企業の法務部が担当することが多くなっています。
これに対して、法務部を置いていない企業では、例えば以下のような形式で契約業務を行っていることがあります。
契約ライフサイクルマネジメントとは、契約の締結から終了までに至る一連のプロセスを効率的に管理し、最適化する取り組みをいいます。
契約業務には様々な工程があるため、各工程が適切に運用されなければ企業活動の効率にも支障を及ぼすおそれがあります。
そのため、安全に契約業務を効率化したい場合、契約ライフサイクルマネジメントを実施していくことが重要になります。
契約ライフサイクルマネジメントの足掛かりになる方法としては、リーガルテックというものがあります。
リーガルテックとは、契約業務のみならず広く法律業務を効率化するためのITサービスやツールをいいます。
例えば、AIが契約書を自動でレビューするサービスや、契約書をオンラインで管理することができるサービス等があります。
2章 契約業務の重要性
契約業務は、複数の工程からなり各工程が重要な役割を果たします。
例えば、契約管理が徹底されていても、契約審査が不十分だと自社に不利な条項によって大きな損害が発生してしまうことがあります。
一連の契約業務を徹底することがトラブルの予防に繋がり、契約によるリスクを抑えることができるのです。
また、契約業務は予防的な側面だけでなく、戦略的な側面からも捉えることができます。
というのも、契約には企業意思を反映させることができるためです。
例えば、企業の経営方針を契約の条項へと反映させ、企業活動を促進させるといったこともできます。
そのため、契約業務は予防的・戦略的側面を併せ持ち、企業活動において重要な役割を果たすのです。
企業法務の3つの役割については以下の記事で詳しく解説しています。
3章 契約業務のフロー5つ
契約業務を効率化するためには、まずは一般的な業務フローを把握する必要があります。
契約業務の一般的な業務フローは以下のとおりです。
フロー2:契約審査
フロー3:契約交渉
フロー4:契約締結
フロー5:契約管理(契約保全業務)
それでは各フローについて順番に解説していきます。
3-1 フロー1:契約審査の依頼
契約業務のフロー1つ目は、契約審査の依頼です。
契約審査は、他部門から契約書の作成やレビューの依頼を受けて始まることが多い傾向にあります。
契約審査の依頼は契約業務の端緒になり、契約業務全体を効率化するうえで重要な意味をもちます。
例えば、以下のような点に注意して効率化していくことが考えられます。
・依頼方法の明確化(ex.口頭、電話、メール等)
・依頼ルートと方法を周知する
3-2 フロー2:契約審査
契約業務のフロー2つ目は、契約審査です。
契約審査とは、企業が締結した契約をチェックすることをいいます。
契約審査の業務で多いのは、契約書の内容を審査することです。
契約書は契約締結後に具体的な法的効力をもつので、慎重な審査が求められるためです。
例えば、契約当事者双方が利益を得ようとする場合、契約書の審査は以下のような事項に注意して審査することがあります。
・契約内容が明確になっているか
・リスク回避の内容が妥当なものか
・責任等に偏りがあることについて合理的な理由があるか
契約書の基本的な条項の例文については、以下の記事で詳しく解説しています。
また、契約審査においては契約書の審査に重点が置かれがちですが、契約自体の審査も行う必要があります。
というのも、契約自体にリスクがある場合、契約書の審査を徹底してもリスクを減らすことが難しいためです。
契約自体のチェック方法としては、例えば以下のようなものがあります。
・公開情報の分析
・専門家やコンサルタントの意見
・信用調査機関によるレポート
そのため、契約審査では契約そのものと契約書の双方を審査していくことが重要になります。
3-3 フロー3:契約交渉
契約業務のフロー3つ目は、契約交渉です。
契約交渉とは、相手方と契約内容を協議し、契約条件に対する認識を共通化することをいいます。
契約交渉の段階では契約書がドラフトの状態にあるため、契約審査と契約交渉が繰り返し行われることが多い傾向にあります。
繰り返していく中で共通認識が形成され、双方が納得すれば契約書が完成します。
契約交渉では以下の点を意識して進めていくといいでしょう。
・妥協点を探すこと
・即答はしないこと
3-4 フロー4:契約締結
契約業務のフロー4つ目は、契約締結です。
契約締結とは、契約交渉で形成した共通認識について当事者が合意することをいいます。
契約締結の方法には、以下のような方法があります。
・電子契約
・メール
・FAX
(・口頭)
企業が用いる方法として多いものは、書面と電子契約です。
書面の場合、例えば以下のような流れで契約を締結することがあります。
②印刷・製本(収入印紙の貼り付け)
③記名押印または署名捺印
④相手方へ送付
⑤契約書の保管
⑥契約締結
他方で、電子契約の場合には以下のような流れで契約を締結することがあります。
②電子契約システム上に契約書をアップロードする
③電子契約システム上で署名依頼を送信する
④電子契約書をシステム上で保管する
⑤契約締結
電子契約は、印紙税が不要とされていることや、契約書の管理が紙媒体と比べて簡単であることがメリットとして挙げられます。
3-5 フロー5:契約管理
契約業務のフロー5つ目は、契約管理です。
契約管理は、締結した契約を適切に保管することをいいます。
例えば、作成した契約書をいつでも取り出せる状態にしておくことは、契約管理にあたります。
契約管理は、リスク管理や業務効率の観点から重要とされています。
というのも、トラブルが発生した際には契約書の内容を確認する必要があり、容易に検索できるシステムが構築されていれば、迅速な対応が可能になるためです。
これは業務効率の側面にも妥当し、検索の容易さは業務をよりスムーズなものにすることができます。
契約書の保管方法には以下のような方法があります。
4章 契約業務を円滑にするための注意点5つ
契約業務は業務フローを構築したら完成というわけではなく、円滑にするために最適化していく必要があります。
契約業務を円滑にするための注意点は以下のとおりです。
注意点2:部門の連携を密にする
注意点3:法改正などの情報共有
注意点4:契約管理を徹底する
注意点5:従業員への教育
それでは各注意点について順番に解説していきます。
4-1 注意点1:業務フローの整備
契約業務を円滑にするための注意点1つ目は、業務フローの整備です。
市場環境が変化しやすいことや、組織変更などにより業務フローの変更が必要になることがあります。
こうした事態に対応するために、業務フローは継続的な見直しと更新が求められるのです。
そのため、業務フローは一度作ったら終わりではなく、常に最新の状態になるよう整備していく必要があります。
4-2 注意点2:部門の連携を密にする
契約業務を円滑にするための注意点2つ目は、部門の連携を密にすることです。
契約は法的な問題であり法務部門だけの問題ではなく、企業が全体として抱えるべき問題です。
というのも、法務部門だけが契約業務にあたっても、実際に実行する営業部門等との連携がなければ、企業の目的や戦略を契約に反映させることが難しいためです。
つまり、契約審査を適切に行うことができず、契約によるリスクが大きくなってしまうのです。
そのため、契約業務を円滑にするには他部門との連携が重要といえます。
具体的には、定期的にミーティングを開催するなど、意思疎通を図りやすい状況を作ることが望ましいです。
4-3 注意点3:法改正などの情報共有
契約業務を円滑にするための注意点3つ目は、法改正などの情報共有です。
法律は改正されることが多く、中には業務フローに影響を及ぼすこともあります。
例えば、法改正によって既存の契約書のテンプレートに見直しの必要が生じた場合などが挙げられます。
法改正など最新の情報を共有しておくことは、企業内における認識のズレを減らすことができます。
また、企業外との関係である契約交渉においても、正確な情報があればスムーズなやり取りを期待することができます。
そのため、法改正などの情報を共有することは、契約業務を円滑に行ううえで重要といえます。
情報共有の具体的な実施方法については、例えば以下のものが考えられます。
・情報を共有しやすいシステムを構築する(データベース作成等)
・外部専門家を活用する(セミナーや研修等)
4-4 注意点4:契約管理を徹底する
契約業務を円滑にするための注意点4つ目は、契約管理を徹底することです。
契約の内容は契約締結後にも確認する機会があります。
例えば、契約を履行するときやトラブルが発生した場合などが挙げられます。
こうした場合に契約書をすぐに確認できなければ、納期に遅れてしまったりトラブルの解決方針を立てることが難しくなってしまいます。
そのため、契約業務を円滑にするためには、契約管理を徹底することが重要です。
具体的には、契約管理には以下のような方法があります。
・契約管理システムを利用する
・契約管理マニュアルを作成する
4-5 注意点5:従業員への教育
契約業務を円滑にするための注意点5つ目は、従業員への教育です。
契約交渉においては、相手企業を信頼することができるか調査を行うことがあります。
例えば、大規模な取引の場合や長期的な取引の場合には、信頼関係を確保するためにコンプライアンスチェックを行うことがあります。
この場合に疑いが生じてしまうと、契約締結までの時間が遅れてしまうおそれがあります。
こうした事態を避けるために、従業員へのコンプライアンス教育を徹底し、信頼関係を構築しやすい状況を作ることが望ましいです。
そのため、契約業務を円滑にするためには、従業員への教育が重要になります。
具体的には、従業員への教育には以下のような方法があります。
・研修やセミナーを実施する
・ワークショップやグループディスカッションを実施する
5章 契約業務に関する相談はリバティ・ベル法律事務所にお任せ
契約業務に関する相談は、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。
契約業務は専門性の高い分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
リバティ・ベル法律事務所では、契約業務について圧倒的な知識とノウハウを蓄積しており、貴社の法律的業務への取り組みを適切にサポートすることができます。
具体的には、リバティ・ベル法律事務所では、予防法務をはじめとした企業法務一般、及び契約書の作成やレビューなど幅広い契約業務の分野のサービスを提供しています。
→企業法務の取扱い分野に関するリバティ・ベル法律事務所のサポートはこちら
オンライン面談やお電話等を利用して遠方の方でも、スピーディな対応が可能です。
契約業務に悩んでいる方は、リバティ・ベル法律事務所にお気軽にご相談ください。
6章 まとめ
以上のとおり、今回は、契約業務とは何かを解説したうえで、契約業務を円滑にするための注意点について解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
・契約業務とは、企業や個人間で行われる契約に関するすべての業務を意味します。
・契約業務は、トラブルの予防だけでなく企業の目的を契約に反映させるという戦略的な側面を併せもち、企業活動において重要な役割を果たす。
・契約業務のフローは以下の5つです。
フロー1:契約審査の依頼
フロー2:契約審査
フロー3:契約交渉
フロー4:契約締結
フロー5:契約管理(契約保全業務)
・契約業務を円滑にするための注意点は以下の5つです。
注意点1:業務フローの整備
注意点2:部門の連携を密にする
注意点3:法改正などの情報共有
注意点4:契約管理を徹底する
注意点5:従業員への教育
この記事が契約業務について知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
コメント