企業法務について知りたいと悩んでいませんか?
企業法務の仕事が可視化されるのは紛争の発生後であり、普段の企業活動ではあまり重要性を感じていないという企業もあるのではないでしょうか。
企業法務とは、企業の法律的業務への取り組みをいい、具体的には以下のようなものを意味します。
【企業法務の役割】
企業法務は、事後的な解決策だけでなく事前の予防策や経営方針に関するサポートも行っているのです。
このように、企業法務は企業活動の根幹にも関わる重要な業務であり、会社経営においても重要な役割を果たします。
しかし、企業法務の重要性ゆえに、これを怠ってしまった場合のリスクは大きなものになります。
例えば、時間的余裕がなく契約書をチェックしなかった場合、自社に不利な条項が含まれていたため損失を被るといったことが考えられます。
実は、契約書のチェック等のように、事前の予防策が企業の効率的運営に繋がることがあるにもかかわらず、あまり重要視されていないように感じます。
この記事を読んで、企業法務の重要性について知っていただければと思います。
今回は、企業法務とは何かを説明したえで、企業法務を弁護士に相談するメリットについて解説していきます。
具体的には以下の流れで解説していきます。
この記事を読めば、企業法務についてよくわかるはずです。
目次
1章 企業法務とは?企業法務の役割3つ
企業法務は、事後的な対処だけでなく事前の予防という観点からも重要な役割を果たします。
企業法務の役割は以下のとおりです。
役割2:戦略法務
役割3:臨床法務
【企業法務の役割】
それでは各役割について順番に解説していきます。
1-1 役割1:予防法務
企業法務の役割1つ目は、予防法務です。
予防法務とは、企業の紛争を回避するためにあらかじめ対処する業務のことをいいます。
例えば、予防法務の仕事内容としては以下のものが挙げられます。
・社内規定の作成
・労務管理
・知的財産の管理
・株主総会対策など…
予防法務を怠ると紛争発生のリスクが高まり、実際に紛争が発生すればこれに対処しなければいけません。
紛争の対処に人員を割かなければならず、企業の運営や発展に人員を割くことが難しくなります。
そのため、予防法務は紛争を防止するだけでなく、企業の効率的運営を確保することにも繋がるのです。
1-2 役割2:戦略法務
企業法務の役割2つ目は、戦略法務です。
戦略法務とは、法的知識を用いて経営戦略をサポートする業務をいいます。
事前の対策を行う予防法務とは異なり、会社の意向が法律に適合するように実現することが戦略法務の主な仕事になります。
例えば、戦略法務の仕事内容としては以下のものが挙げられます。
・M&A
・海外進出のサポートなど…
しかし、戦略法務に決まった業務はなく、会社の意向次第で業務の内容が変化することも考えられます。
このように戦略法務は会社経営に寄与し、その発展に貢献する重要な業務といえます。
1-3 役割3:臨床法務
企業法務の役割3つ目は、臨床法務です。
臨床法務とは、実際に発生した紛争を解決するために対処する業務をいいます。
予防法務や戦略法務のような事前の対策とは異なり、臨床法務は有事における事後的な対処策になります。
例えば、臨床法務の仕事内容として以下のものが挙げられます。
・クレーム対応
・行政処分や行政指導への対応など…
このように臨床法務はトラブルによるリスクを食い止め、会社に損失が生じるのを防ぐことが主な業務です。
2章 企業法務の仕事内容7つ|企業法務に関する法律
企業法務の仕事は特定の分野に限られず、幅広い分野の知識が求められます。
例えば、企業法務の仕事内容としては以下のものが挙げられます。
仕事2:契約業務(総合的)
仕事3:会社運営・コーポレートガバナンス・M&A(会社法)
仕事4:労務管理や労働問題(労基法等)
仕事5:知的財産権(著作権等)
仕事6:債権管理や債権回収(民事系)
仕事7:コンプライアンス遵守(景表法や特商法等)
それでは各仕事内容について順番に解説していきます。
2-1 仕事1:法律相談(総合的)
企業法務の仕事内容1つ目は、法律相談です。
法律相談は、企業とのやり取りを通じて企業が抱える法的問題点を発見し問題解決へと繋げるものです。
企業が抱える法的な問題は特定の分野に限られず、法律に関する総合的な知識が求められることになります。
2-2 仕事2:契約業務(総合的)
企業法務の仕事内容2つ目は、契約業務です。
契約業務は、企業が行う取引のリスクを軽減する業務をいいます。
例えば、契約書作成や契約書レビューなどが契約業務にあたります。
企業が行う取引は民法上の契約に限られず、ライセンス契約や国際売買契約など様々な法律が関係してきます。
そのため、契約業務では総合的な法的知識が求められることになります。
2-3 仕事3:会社運営・コーポレートガバナンス・M&A(会社法)
企業法務の仕事内容3つ目は、会社運営・コーポレートガバナンス・M&Aです。
会社運営やコーポレートガバナンスは、企業活動の適正さを内部機関の観点から確保する業務です。
M&Aにおいてはデューデリジェンスなどが行われ、そのリスクを適切に評価する業務が行われます。
これらは会社法分野に深く関係しており、主に会社法の知識が求められることになります。
2-4 仕事4:労務管理や労働問題(労基法等)
企業法務の仕事内容4つ目は、労務管理や労働問題です。
従業員とのトラブルに関して、労働環境の整備や労働紛争の解決に取り組む業務をいいます。
例えば、就業規則の作成はトラブルの予防として、未払いの残業代請求への対応は紛争解決への対応として挙げられます。
労務管理や労働問題には以下のような法律が関係してきます。
・労働基準法
・労働組合法
・労働安全衛生法
2-5 仕事5:知的財産権(著作権等)
企業法務の仕事内容5つ目は、知的財産権です。
知的財産権は、企業の利益を確保するため知的財産に関するトラブルを解決するための業務をいいます。
例えば、自社の知的財産権が他社に無断で利用されていた場合の対応などがこれにあたります。
こうした事後的な対応だけでなく、事前の予防策として商標の登録なども行うことがあります。
知的財産権には以下のような法律が関係してきます。
・商標法
・意匠法
・特許法
2-6 仕事6:債権管理や債権回収(民事系)
企業法務の仕事内容6つ目は、債権管理や債権回収です。
債権管理等は、自社が有する債権について未払いがあればこれを回収する業務をいいます。
例えば、履行期限が来ていない段階でも債権の回収時期を適切に管理したり、履行がなければすぐに対応できるようにしておくことが主な業務になります。
債権管理等には以下のような法律が関係してきます。
・消費者契約法
・商法
・会社法
・民事訴訟法
・民事執行法など…
2-7 仕事7:コンプライアンス遵守(景表法や特商法等)
企業法務の仕事内容7つ目は、コンプライアンス遵守です。
企業活動に関係する各種法律を守るための業務をいいます。
例えば、社員のコンプライアンス意識向上のためのマニュアル作成や、企業活動のコンプライアンスチェックなどがこれにあたります。
コンプライアンス遵守には以下のような法律が関係してきます。
・独占禁止法
・下請法
・特定商取引法
・個人情報保護法
・宅地建物取引業法など…
3章 企業法務に求められやすい資格6つ
企業法務には法的知識やスキルが求められますが、特定の資格がその能力を証明するための有力な手段になることもあります。
企業法務に求められやすい資格は以下のとおりです。
資格2:司法書士
資格3:行政書士
資格4:弁理士
資格5:社会保険労務士
資格6:知的財産管理技能士
それでは各資格について順番に解説していきます。
3-1 資格1:弁護士
企業法務に求められやすい資格1つ目は、弁護士です。
弁護士は、訴訟事件や一般の法律事務など広範な法律業務を行うことができる資格です。
他の資格とは異なり職務範囲に限定がなく、実際に発生した法的な紛争に関して交渉や訴訟手続の委任を受けることもできます。
例えば、企業法務にも用いることができる弁護士の仕事内容としては以下のものが挙げられます。
・人事労務
・契約、取引
・訴訟、紛争解決
・顧問弁護士
・債権回収
・不祥事、クレーム対応など…
最近では企業内弁護士の割合は増加傾向にあり、企業法務に求められやすい資格といえます。
3-2 資格2:司法書士
企業法務に求められやすい資格2つ目は、司法書士です。
司法書士は、登記や供託手続などの業務を行うことができる資格です。
訴訟対応については制限があり、140万円以下の事件については交渉や訴訟手続の委任を受けることができます。
3-3 資格3:行政書士
企業法務に求められやすい資格3つ目は、行政書士です。
行政書士は、官公署に提出する許認可等の書類の作成などの業務を行うことができる資格です。
企業の取引では契約書が作成されることが多く、行政書士の書類作成能力は企業法務に求められやすい資格といえます。
3-4 資格4:弁理士
企業法務に求められやすい資格4つ目は、弁理士です。
弁理士は、知的財産権の申請や、知的財産権の侵害に対する紛争解決を行うことができる資格です。
企業活動は知的財産権と密接に関連しているため、弁理士は企業法務において求められやすい資格といえます。
3-5 資格5:社会保険労務士
企業法務に求められやすい資格5つ目は、社会保険労務士です。
社会保険労務士は、企業の労務管理や社会保険に関する相談と指導を行うことができる資格です。
働き方改革の影響によって就業規則等の見直しを考える企業が増加傾向にあり、社会保険労務士は企業法務に求められやすい資格といえます。
3-6 資格6:知的財産管理技能士
企業法務に求められやすい資格6つ目は、知的財産管理技能士です。
知的財産管理技能士は、知的財産の管理や運用を行うことができる資格です。
仕事内容は弁理士と近く、知的財産権が重要視されやすい企業では求められやすい資格といえます。
4章 企業法務を弁護士に相談するメリット3つ
企業法務に求められやすい資格は弁護士に限られませんが、弁護士に相談することで得られるメリットがあるのも事実です。
企業法務を弁護士に相談するメリットは以下のとおりです。
メリット2:迅速なトラブルへの対応が期待できる
メリット3:最新の法的知見を得られる
それでは各メリットについて順番に解説していきます。
4-1 メリット1:契約書や社内規定の作成を依頼できる
企業法務を弁護士に相談するメリット1つ目は、契約書や社内規定の作成を依頼できることです。
契約書や社内規定は当事者の権利義務を定めるものであり、予防法務に該当します。
紛争リスクを最小限に抑えるには法的知識だけでなく、実務経験など多角的な知識が求められ高度の専門性が要求されます。
例えば、品質保証をどの程度にするのかは商品の品質によって異なり、慎重な判断が求められます。
そのため、企業法務を弁護士に相談するメリットとして、契約書や社内規定の作成を依頼できることが挙げられます。
契約書の作成については以下の記事で詳しく解説しています。
4-2 メリット2:迅速なトラブルへの対応が期待できる
企業法務を弁護士に相談するメリット2つ目は、迅速なトラブルへの対応が期待できることです。
企業におけるトラブルでは迅速な対応が求められることもあります。
弁護士との相談は通常は予約が必要になりますが、企業内弁護士や顧問弁護士であれば優先的な対応をしてもらうことができます。
特に、企業内弁護士や顧問弁護士は企業の内情を把握していることもあり、早さだけでなく適切な解決も期待できます。
そのため、企業法務を弁護士に相談するメリットとして、適切かつ迅速なトラブルへの対応を期待できることが挙げられます。
4-3 メリット3:最新の法的知見を得られる
企業法務を弁護士に相談するメリット3つ目は、最新の法的知見を得られることです。
法律は移り変わるものであり、企業もそれに合わせて情報をアップデートする必要があります。
しかし、法改正などによる影響を考慮することは難しく、企業のみによる調査には限界があります。
弁護士は最新の情報に触れる機会が多く、弁護士との相談を通じて企業が受ける影響を知ることができます。
そのため、企業法務を弁護士に相談するメリットとして、最新の法的知見が得られることが挙げられます。
5章 企業法務の弁護士と相談したい!企業法務に強い弁護士(法律事務所)を探す方法3つ
弁護士にも専門の分野があり、得意な分野は弁護士によって異なります。
企業法務に強い弁護士を探す方法は以下のとおりです。
方法2:書籍の出版者
方法3:知り合いからの紹介
それでは各方法について順番に解説していきます。
5-1 方法1:インターネット
企業法務に強い弁護士(法律事務所)を探す方法1つ目は、インターネットです。
インターネット上にホームページを作成している弁護士も多く、弁護士を探しやすい環境が整っています。
ホームページには弁護士の専門分野や実績などが記載されていることもあり、企業に適した弁護士が選ぶことができます。
最近では、Zoomを利用した相談を実施している弁護士もいるので、弁護士を探す方法としてインターネットを利用する企業も増えています。
そのため、インターネットは企業法務に強い弁護士を探す方法として適しています。
リバティ・ベル法律事務所の取扱い分野や解決実績については以下のページに記載しています。
5-2 方法2:書籍の出版者
企業法務に強い弁護士(法律事務所)を探す方法2つ目は、書籍の出版者です。
弁護士の中には書籍を出版している方もいます。
書籍の出版はその分野に精通していなければ難しく、書籍を出版している弁護士はその分野に関して専門性があるといえます。
そのため、企業法務に強い弁護士を探す方法として書籍の出版者を見ることが挙げられます。
5-3 方法3:知り合いからの紹介
企業法務に強い弁護士(法律事務所)を探す方法3つ目は、知り合いからの紹介です。
知り合いからの紹介は、紹介者から弁護士に相談した感想を聞くことができるなど、生の声を聞ける点がメリットとして挙げられます。
紹介者が信頼できる相手であれば、紹介された弁護士の信頼性も高まります。
そのため、知り合いからの紹介は企業法務に強い弁護士を探す方法として挙げられます。
企業内弁護士とは、企業に雇用されている弁護士をいいます。
他方で、顧問弁護士とは、法律事務所に所属しながら企業と顧問契約を締結した弁護士をいいます。
両者の業務範囲に大きな違いはなく、主に企業の法律問題全般を担当することになります。
企業内弁護士と顧問弁護士のいずれを選択するかは、企業規模やコスト等を考慮して判断することが重要です。
6章 企業法務における弁護士費用
弁護士費用は法律事務所によって異なり、事前の確認が費用を安く抑えるためのコツにもなります。
企業法務における弁護士費用は以下のとおりです。
弁護士費用2:タイムチャージ制
それでは各弁護士費用について順番に解説していきます。
6-1 弁護士費用1:月額顧問制
企業法務における弁護士費用の1つ目は、月額顧問制です。
月額顧問制とは、毎月(毎年)定額の費用を支払うことにより、日常的に生じる問題に関して、法的なサービスを提供するものです。
顧問料の相場は、月額5万円/年額60万円程度とされています。
顧問料は安ければいいというわけではなく、料金によって受けられるサービスが異なり、企業規模やサービスの内容を考慮して判断する必要があります。
リバティ・ベル法律事務所の弁護士費用は以下のようになっています。
6-2 弁護士費用2:タイムチャージ制
企業法務における弁護士費用の2つ目は、タイムチャージ制です。
タイムチャージ制とは、タイムチャージによって生じた時間分の費用が発生する制度をいいます。
タイムチャージ制は顧問料と両立することもあり、顧問料の範囲を超えた相談についてはタイムチャージを採用している事務所もあります。
ただし、相談量が多い場合には割高になるリスクあることや、発生する金額の予測が難しくなるというデメリットがあります。
7章 企業法務に関する相談はリバティ・ベル法律事務所にお任せ
企業法務に関する相談は、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。
人事労務を含む企業法務への対応は専門性の高い分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
リバティ・ベル法律事務所では、企業法務について圧倒的な知識とノウハウを蓄積しており、貴社の法律的業務への取り組みを適切にサポートすることができます。
具体的には、リバティ・ベル法律事務所では、解雇や退職勧奨をはじめとした人事労務、及び契約書の作成やレビューなど幅広い企業法務の分野のサービスを提供しています。
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8章 まとめ
以上のとおり、今回は、企業法務とは何かを説明したえで、企業法務を弁護士に相談するメリットについて解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
・企業法務とは、企業の法律的業務への取り組みをいいます。
・企業法務の役割は以下の3つです。
役割1:予防法務
役割2:戦略法務
役割3:臨床法務
・企業法務の仕事内容は以下の7つです。
仕事1:法律相談(総合的)
仕事2:契約業務(総合的)
仕事3:会社運営・コーポレートガバナンス・M&A(会社法)
仕事4:労務管理や労働問題(労基法等)
仕事5:知的財産権(著作権等)
仕事6:債権管理や債権回収(民事系)
仕事7:コンプライアンス遵守(景表法や特商法等)
・企業法務に求められやすい資格は以下の6つです。
資格1:弁護士
資格2:司法書士
資格3:行政書士
資格4:弁理士
資格5:社会保険労務士
資格6:知的財産管理技能士
・企業法務を弁護士に相談するメリットは以下の3つです。
メリット1:契約書や社内規定の作成を依頼できる
メリット2:迅速なトラブルへの対応が期待できる
メリット3:最新の法的知見を得られる
・企業法務に強い弁護士(法律事務所)を探す方法以下の3つです。
方法1:インターネット
方法2:書籍の出版者
方法3:知り合いからの紹介
・企業法務における弁護士費用は以下の2つです。
弁護士費用1:月額顧問制
弁護士費用2:タイムチャージ制
この記事が企業法務について知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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