譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)について知りたいと悩んでいませんか?
債権譲渡などの譲渡行為には大きな民法改正があり、契約書にどのように定めるべきか判断に迷うといった会社もあるのではないでしょうか。
譲渡禁止条項とは、契約上の権利義務を第三者に譲渡することを禁止する旨の条項をいいます。
契約書には以下のように定められることがあります。
甲及び乙は、相手方の書面による事前の承諾がない限り、本契約によって生じた契約上の地位を移転し、又は本契約によって生じた自己の権利義務の全部若しくは一部を、第三者に譲渡し、若しくは第三者の担保に供してはならない。
契約を締結するかの判断においては相手方の支払能力や業務遂行能力などが重要な考慮要素となります。
しかし、自社の知らないところで第三者に譲渡されると、契約の相手方を選んだ意味を失ってしまうのです。
例えば、相手方のノウハウを見込んで契約を締結したにもかかわらず、知らないところで第三者に譲渡されていたというのでは契約を締結した目的を達成できません。
こうした事態を避けるために譲渡禁止条項を定め、譲渡によるリスクを減少させるのです。
実は、どのような相手かが重要な契約であるのに、契約書上に譲渡禁止条項が規定されていない場面を目にすることがよくあります。
この記事を読んで譲渡禁止条項とは何かを理解し、契約書における適切な定め方を知っていただければと思います。
今回は、譲渡禁止条項とは何かを説明したうえで、譲渡禁止条項の契約書におけるレビューポイントを解説していきます。
具体的には以下の流れで解説していきます。
この記事を読めば、譲渡禁止条項についてよくわかるはずです。
目次
1章 譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)とは?
譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)とは、契約上の権利義務を第三者に譲渡することを禁止する旨の条項をいいます。
例えば譲渡禁止条項が定められやすい契約類型としては次のものが挙げられます。
・賃貸借契約
・ライセンス契約
・フランチャイズ契約
・事業譲渡契約など…
譲渡禁止条項がある場合、その効果として相手方の承諾がなければ譲渡禁止の対象とされた権利義務を第三者に譲渡することができなくなります。
2章 譲渡禁止条項の契約書における必要性
契約を締結するかの判断には相手方の能力が重要な考慮要素となります。
しかし、権利義務が第三者に勝手に譲渡されると、相手方を選んだ意味を失い契約の目的を達成できなくなるおそれがあるのです。
また、相手方が勝手に変更されると手続が重くなることに加え、債務者側は二重払いのリスクを負うことになります。
これらのリスクを防止するため契約書には譲渡禁止条項を定めるべき場合があります。
3章 譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)の例文(英語対応)
譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)の例文は以下のとおりです。
甲及び乙は、相手方の書面による事前の承諾がない限り、本契約によって生じた契約上の地位を移転し、又は本契約によって生じた自己の権利義務の全部若しくは一部を第三者に譲渡し、若しくは第三者の担保に供してはならない。
Neither party may, transfer convey their contractual position arising from this agreement, or assign all or part of their rights and obligations arising from this agreement to any third party, or use them as collateral, without the prior written consent other party.
(訳)
いずれの当事者も、相手方当事者の事前の書面による同意がない限り、本契約から生じる契約上の地位を譲渡し、又は本契約から生じる権利および義務の全部または一部を第三者に譲渡し、担保に供してはならない。
4章 譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)にあたりうる譲渡行為3つ
譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)の対象となる譲渡行為にあたらない場合、その譲渡は条項による規律を受けません。
譲渡禁止条項にあたりうる譲渡行為は以下のとおりです。
行為2:債務引受
行為3:契約上の地位の移転
【譲渡禁止条項にあたりうる譲渡行為】
それでは各譲渡行為について順番に解説していきます。
4-1 行為1:債権譲渡
譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)にあたる譲渡行為1個目は、債権譲渡です。
債権譲渡とは、債権の同一性を維持しながら契約によって移転させることをいいます。
契約から生じた権利を移転させることになるため、債権譲渡は譲渡行為にあたります。
民法上は以下のように規定されています。
1 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2~3 (略)
4-2 行為2:債務引受
譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)にあたる譲渡行為2個目は、債務引受です。
債務引受とは、債務を第三者に負担させることをいいます。
契約によって生じた債務が第三者に移転することになるため、義務の移転があったものとして譲渡行為にあたります。
債務引受には以下の種類があります。
・免責的債務引受:従来の債務者は債務を免れ引受人のみが債務を負担する
民法上は以下のように規定されています。
1 併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担する。
2 併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。
3 併存的債務引受は、債務者と引受人となる者との契約によってもすることができる。この場合において、併存的債務引受は、債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力を生ずる。
4 前項の規定によってする併存的債務引受は、第三者のためにする契約に関する規定に従う。
1 免責的債務引受の引受人は債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担し、債務者は自己の債務を免れる。
2 免責的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。この場合において、免責的債務引受は、債権者が債務者に対してその契約をした旨を通知した時に、その効力を生ずる。
3 免責的債務引受は、債務者と引受人となる者が契約をし、債権者が引受人となる者に対して承諾をすることによってもすることができる。
4-3 行為3:契約上の地位の移転
譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)にあたる譲渡行為3個目は、契約上の地位の移転です。
契約上の地位の移転とは、契約から生じた権利義務を第三者に移転することをいいます。
移転される権利義務には債権債務のいずれもが含まれるため、双務契約などでは債権譲渡と債務引受の両方の側面を有しています。
例えば、売買契約を締結した場合、買主と売主にはそれぞれ以下の権利義務が発生します。
・売主:代金支払請求権、目的物引渡債務
買主が第三者に権利義務を移転すると、第三者は代金債務と目的物引渡請求権の両方を負担することになるのです。
それだけでなく、第三者が当事者となるので解除権や取消権も獲得することになります。
このように契約上の地位の移転は権利義務の移転を伴うので譲渡行為にあたります。
民法上は以下のように規定されています。
契約の当事者の一方が第三者との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をした場合において、その契約の相手方がその譲渡を承諾したときは、契約上の地位は、その第三者に移転する。
事業譲渡とは、事業の全部又は重要な一部を第三者に移転することをいいます。
しかし、事業譲渡契約によって当然に債権債務が移転するわけではなく、移転の有無は契約内容によって左右されます。
事業譲渡が譲渡行為にあたるかは、譲渡禁止条項によって譲渡が禁止されている債権債務が移転する旨を定めているか否かによって判断することになります。
COC条項(Change of Control)とは、支配権の変動に備えて定められる権利義務に関するルールをいいます。
契約締結後に支配権の変動があり、実質的に当時者の変更があったのと同様の結果を生じる場合があります。
例えば、相手会社が自社と競業関係にある会社と提携した場合や、敵対的な支配権の変動を行った場合が挙げられます。
このような事態に備えて通知義務や解除義務を定めておき、契約を継続すべきか判断する機会を確保するためにCOC条項が設けられるのです。
契約書には以下のように定められることがあります。
甲が、組織再編行為を行った場合および甲の株主が全議決権の2分の1を超えて変動した場合等、甲の支配権に実質的な変動があった場合には、乙は本契約を解除することができる。
1 甲が、次の各号に定める行為を行う場合、乙に対して事前に書面で通知をしなければならない。
(1)組織再編行為
(2)株主を全議決権の2分の1を超えて変動させる行為
(3)その他、実質的に支配権を変動させる行為
2 甲が、前項の通知を怠った場合、乙は何らの催告なく本契約を解除することができる。
なお、特別決議においては決議要件が3分の2以上とされていることから、特別決議が必要な取引の場合には拒否権をもちうる3分の1を超えた議決権の変動を支配権の変動とすることもあります。
5章 譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)に違反した譲渡の効力
譲渡禁止条項に違反して譲渡がされた場合、行為毎にその取扱いが異なります。
譲渡禁止条項に違反した譲渡の効力が問題となるのは以下の行為です。
効力2:債務引受
効力3:契約上の地位の移転
【譲渡禁止条項に違反した譲渡の効力】
それでは各効力について順番に解説していきます。
5-1 効力1:債権譲渡
譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)に違反した譲渡の効力1個目は、債権譲渡です。
譲渡禁止条項に違反した債権の譲渡でも原則として有効とされています。
しかし、第三者が譲渡禁止について悪意重過失であれば債務者は債務の履行を拒み、譲渡人に弁済し又は供託所に供託することができます。
1 (略)
2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
3 前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。
4 前項の規定は、債務者が債務を履行しない場合において、同項に規定する第三者が相当の期間を定めて譲渡人への履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、その債務者については、適用しない。
1 債務者は、譲渡制限の意思表示がされた金銭の給付を目的とする債権が譲渡されたときは、その債権の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託することができる。
2~3 (略)
5-2 効力2:債務引受
譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)に違反した譲渡の効力2個目は、債務引受です。
債務者と引受人の間における債務引受は、債権者の承諾がなければ効力を生じないとされています。
1~2 (略)
3 併存的債務引受は、債務者と引受人となる者との契約によってもすることができる。この場合において、併存的債務引受は、債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力を生ずる。
4 (略)
1~2 (略)
3 免責的債務引受は、債務者と引受人となる者が契約をし、債権者が引受人となる者に対して承諾をすることによってもすることができる。
債務の譲渡を禁止する条項がある場合、債務引き受けは、債権者の意思に反することになり、無効となります。
ただし、個別に債権者の承諾を得ることができれば、有効となります。
5-3 効力3:契約上の地位の移転
譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)に違反した譲渡の効力3個目は、契約上の地位の移転です。
契約上の地位の移転はその効力が発生するために相手方の承諾が必要とされています。
契約の当事者の一方が第三者との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をした場合において、その契約の相手方がその譲渡を承諾したときは、契約上の地位は、その第三者に移転する。
これは契約上の地位の移転には債務の移転も含まれており、債権者の承諾が必要となるためです(最判昭和30年9月29日)。
そうすると、相手方の承諾がない契約上の地位の移転は、効力を生じないということになります。
契約上の地位の譲渡を禁止する条項がある場合、契約上の地位の移転は、相手方の意思に反して無効となります。
ただし、個別に相手方の承諾を得ることができれば、有効となります。
6章 譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)と民法改正
2020年の債権法改正により、譲渡行為に対する規律にも変更が生じています。
民法改正の影響を受ける譲渡禁止条項に関する譲渡行為は以下のとおりです。
民法改正2:債務引受
民法改正3:契約上の地位の移転
それでは各改正点について順番に解説していきます。
6-1 民法改正1:債権譲渡
譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)と民法改正の1個目は、債権譲渡です。
債権譲渡の主な改正点は以下のとおりです。
・譲渡制限特約に悪意重過失の第三者には債務の履行を拒むことができる(民法466条3項)
・譲渡制限特約が付された債権が譲渡された場合に債務者は供託することができる(民法466の2)
改正前の民法においては、譲渡禁止特約が付された債権の譲渡は無効とするが、第三者が善意無重過失の第三者には特約を対抗できないとされていました。
しかし、取引の安定性を確保するため第三者の主観にかかわらず譲渡は有効とされるようになったのです。
原則として有効となった改正民法下においても譲渡禁止特約を設ける意味はあります。
というのも、譲渡禁止特約に悪意重過失の第三者には履行を拒むことができるため、二重払いの危険を回避できるためです。
このような利点を踏まえ、改正民法下において譲渡禁止条項を契約書に設けることが一般的とされています。
6-2 民法改正2:債務引受
譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)と民法改正の2個目は、債務引受です。
債務引受についても改正がありましたが、内容について大きな変更点はありません。
というのも、改正前の民法には債務引受について明文を定めたものがなく、改正民法で従来のルールを明文で定めたためです。
明文になったことで要件や効果が明らかとなりましたが、改正による影響は限定的なものであり従来の譲渡禁止条項から大きな変更は不要だと考えられます。
6-3 民法改正3:契約上の地位の移転
譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)と民法改正の3個目は、契約上の地位の移転です。
契約上の地位の移転も民法改正による影響を受けています。
これは従来の判例法理を明文として定めたことで法的な不確定性が除去されたためです。
契約上の地位の移転は従来の取扱いから大きな変更点はなく、改正による影響は限定的であり従来の譲渡禁止条項から大きな変更は不要だと考えられます。
7章 譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)のレビューポイント3つ
譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)はその内容が適切でなければ有効に機能させることはできません。
譲渡禁止条項のレビューポイントは以下のとおりです。
レビューポイント2:譲渡禁止の主体
レビューポイント3:承諾の方法
それでは各レビューポイントについて順番に解説していきます。
7-1 レビューポイント1:債権債務の内容
譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)のレビューポイント1個目は、債権債務の内容です。
甲及び乙は、相手方の書面による事前の承諾がない限り、本契約によって生じた契約上の地位を移転し、又は本契約によって生じた自己の権利義務の全部若しくは一部を第三者に譲渡し、若しくは第三者の担保に供してはならない。
削除。
譲渡禁止条項の対象となった債権債務については、権利行使等が制限されるため債権者に重大な影響を及ぼすことがあります。
というのも、相手方の資力に不安がある場合等には、契約によって発生した債権を担保として用いることがあります。
この場合に譲渡禁止条項があると、担保の方法に制限が発生し債権回収の機会を失うおそれがあるためです。
債権者としては、譲渡禁止による不利益を避けるために譲渡禁止条項自体を削除するということが考えられます。
他方で、債務者としては債権が譲渡されることによって生じる二重弁済の危険を避けるため、譲渡禁止条項を設けておくことが考えられます。
7-2 レビューポイント2:譲渡禁止の主体
譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)のレビューポイント2個目は、債権譲渡の禁止主体です。
甲及び乙は、相手方の書面による事前の承諾がない限り、本契約によって生じた契約上の地位を移転し、又は本契約によって生じた自己の権利義務の全部若しくは一部を第三者に譲渡し、若しくは第三者の担保に供してはならない。
甲は、相手方の書面による事前の承諾がない限り、本契約によって生じた契約上の地位を移転し、又は本契約によって生じた自己の権利義務の全部若しくは一部を第三者に譲渡し、若しくは第三者の担保に供してはならない。
譲渡禁止の主体によっては譲渡禁止条項を定めた意味が失われてしまうことがあります。
例えば、賃貸借契約を締結した場合に譲渡禁止の主体を賃借人だけにすると、賃貸人が目的物を譲渡した際には賃借人は新賃貸人とのトラブル発生のリスクを負います。
賃貸借契約では当事者間の信頼関係が重視される側面もあり、賃借人側にも賃貸人の譲渡を禁止する実益があるのです。
ただし、契約の性質によってはいずれか一方にのみ譲渡禁止を課すことが適切な場合もあります。
譲渡禁止主体の主体をどのように定めるかは、契約の実態から判断することが重要となります。
7-3 レビューポイント3:承諾の方法
譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)のレビューポイント3個目は、承諾の方法です。
甲及び乙は、相手方の書面による事前の承諾がない限り、本契約によって生じた契約上の地位を移転し、又は本契約によって生じた自己の権利義務の全部若しくは一部を第三者に譲渡し、若しくは第三者の担保に供してはならない。
甲及び乙は、相手方の書面による事前の承諾がない限り、本契約によって生じた契約上の地位を移転し、又は本契約によって生じた自己の権利義務の全部若しくは一部を第三者に譲渡し、若しくは第三者の担保に供してはならない。ただし、相手方は正当な理由がない限り承諾を拒むことはできないものとする。
承諾の方法は、書面による事前の承諾を定めることが一般的とされています。
というのも、口頭による承諾や事後的な承諾は譲渡後に紛争へと発展するリスクが高いためです。
しかし、譲渡できることが期待される取引において絶対に事前の承諾が必要とすると、相手方が不当に承諾を拒絶している場合に損害を被るおそれがあります。
こうした事態を避けるため承諾の拒絶について制限を設けることがあります。
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9章 まとめ
以上のとおり、今回は、譲渡禁止条項とは何かを説明したうえで、譲渡禁止条項の契約書におけるレビューポイントを解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
・譲渡禁止条項とは、契約上の権利義務を第三者に譲渡することを禁止する旨の条項をいいます。
・譲渡禁止条項は、契約達成・手続の簡易化・二重払いの回避の観点から契約書に定めるべき場合がある。
・譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)の例文は以下のとおりです。
甲及び乙は、相手方の書面による事前の承諾がない限り、本契約によって生じた契約上の地位を移転し、又は本契約によって生じた自己の権利義務の全部若しくは一部を、第三者に譲渡し、若しくは第三者の担保に供してはならない。
・譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)にあたる譲渡行為として以下のものが挙げられます。
行為1:債権譲渡
行為2:債務引受
行為3:契約上の地位の移転
・譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)に違反した譲渡の効力は以下のとおりです。
効力1:債権譲渡は原則有効だが第三者が特約につき悪意重過失であれば債務者は履行を拒むことができる。
効力2:債務引受は債務者と引受人間でされたときは債権者の承諾がなければ効力を生じない。
効力3:契約上の地位の移転は債権者の承諾がなければ効力を生じない。
・譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)と民法改正の関係は以下のとおりです。
民法改正1:債権譲渡は原則有効だが特約につき悪意重過失の第三者には対抗できる。
民法改正2:債務引受は従来の取扱いが明文化されたにとどまる。
民法改正3:契約上の地位の移転は従来の取扱いが明文化されたにとどまる。
・譲渡禁止条項(譲渡禁止特約)のレビューポイントは以下の3つです。
レビューポイント1:債権債務の内容
レビューポイント2:譲渡禁止の主体
レビューポイント3:承諾の方法
この記事が譲渡禁止条項について知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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