クーリング・オフの対策について知りたいと悩んでいませんか?
せっかく契約を締結したのに、解除はされてしまうのではないかと不安になりますよね。
クーリング・オフとは、契約を締結しても一定期間内であれば契約の解除等ができる制度をいいます。
これは、消費者救済のために設けられた制度であり、非常に強力な効果を有しています。
しかし、クーリング・オフはしっかり対策すれば、予期せず解除されてしまう可能性を減らすことができます。
例えば、クーリング・オフの有効の対策としては以下の3つが挙げられます。
対策2:正確な説明を心掛ける/契約書を作成する
対策3:書面の交付
実は、対策が不十分ために解除されてしまい、大きな損害を被ってしまうといったこともあるのです。
この記事を通して、クーリング・オフの有効な対策について知っていただければと思います。
今回は、クーリング・オフとは何かを説明した上で、法律上有効な対策とNGな対策をそれぞれ解説していきます。
具体的には、以下の流れで解説していきます。
この記事を読めば、クーリング・オフをどのように対策すべきかよくわかるはずです。
目次
1章 クーリング・オフとは?|解除の条件
クーリング・オフとは、契約を締結しても一定期間内であれば契約の解除等ができる制度をいいます。
クーリング・オフによる解除の条件は以下の通りです。
②解除可能な期間内であること
③解除する旨の通知
解除可能な期間は取引によって異なるため、どの類型にあたるのかを見極めることが重要です。
2章 企業のNGなクーリング・オフ対策2つ
その場しのぎの対策では、かえってクーリング・オフが認められやすくなる場合があります。
企業のNGなクーリング・オフ対策は以下の2つです。
NG対策2:不実の説明等
それでは、各NG対策について順番に解説していきます。
2-1 NG対策1:クーリング・オフを排除する特約
企業のNGなクーリング・オフ対策1つ目は、クーリング・オフを排除する特約です。
民法上、契約内容をどのようにするかは当事者の自由とされています。
しかし、特定商取引法は、クーリング・オフを排除する特約は無効になるとしています。
1 …書面又は電磁的記録によりその売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回又はその売買契約若しくは役務提供契約の解除を行うことができる。
2~7 (略)
8 前各項の規定に反する特約で申込者等に不利なものは、無効とする。
そのため、特約でクーリング・オフを排除しても、その特約に意味はなく、期間内であればクーリング・オフによる解除が認められることになります。
2-2 NG対策2:不実の説明等
企業のNGなクーリング・オフ対策2つ目は、不実の説明等です。
特定商取引法は、訪問販売等にあたって業者側の禁止行為を定めています。
具体的には、契約の勧誘に際して、クーリング・オフを妨げるために以下の事項に関する不実の説明を禁止しています(特商法6条等)。
・商品や権利の価格または役務の対価
・商品や権利の代金または権利移転時期等
・クーリング・オフに関する事項(解除の可否等)
・顧客等が契約の締結を必要とする事情
・その他契約に関する事項で判断に影響を及ぼす重要なもの
これらの事項について不実の説明をすると、期間が経過していてもクーリング・オフによる解除が可能になります。
そのため、不実の説明はかえって企業側の立場を危うくすることになるため、絶対にしないようにしましょう。
また、以上のような事項について、故意に事実を説明しないことも禁止行為とされていることにも注意すべきです。
3章 企業が取るべきクーリング・オフ対策3つ
予期しない解除を避けるには、法律の規定に従って適切に対策を講じる必要があります。
企業が取るべきクーリング・オフ対策は以下の3つです。
取るべき対策2:正確な契約書を作成する
取るべき対策3:書面の交付
それでは、各対策について順番に解説していきます。
3-1 取るべき対策1:クーリング・オフの対象取引か確認する
企業が取るべきクーリング・オフ対策1つ目は、クーリング・オフの対象取引か確認することです。
クーリング・オフの対象になる取引を扱っていなければ、対策をしても意味がありません。
クーリング・オフの対象になる取引は以下のとおりです。
これらの取引に該当する場合には、クーリング・オフの対策をすることが重要です。
3-2 取るべき対策2:正確な契約書を作成する
企業が取るべきクーリング・オフ対策2つ目は、正確な契約書を作成することです。
クーリング・オフの対象取引では、以下の内容を定めた書面を相手方に交付しなければなりません(特定商取引法4条等)。
・商品の代金、支払時期、支払方法
・商品の引渡時期
・事業者の氏名、住所、電話番号、代表者の氏名
・契約の申込者又は担当者の氏名
・契約の申込み又は締結の日付
・商品名等(商標、型式、数量、製造業者等)
・契約不適合責任の定めがあればその旨
・契約の解除に関する定めがあればその旨
・特約があればその旨
他に、書面の形式面からは以下の事項に気を付ける必要があります。
・クーリング・オフに関する事項も赤枠の中に赤字で記載(特商法施行規則7条6項等)
・書面の文字は8ポイント以上であること(特商法施行規則6条3項等)
以上の内容を定めていないような書面の不備があると、たとえクーリング・オフの期間が経過していても、契約を解除されてしまうおそれがあります。
なぜなら、不備のある書面を交付しても、法定書面を交付したことにはならず、クーリング・オフ期間が進行しないためです。
実際、商品名・数量・価格等の記載に不備のある書面を交付した事例では、契約から7ヶ月経過していても、クーリング・オフによる解除を認めています(東京地判平11.7.8)。
このように予期しない解除を減らすためにも、正確な契約書を作成しましょう。
3-3 取るべき対策3:書面の交付
企業が取るべきクーリング・オフ対策3つ目は、書面の交付です。
先に見たように、記載に重大が不備ある場合等には、クーリング・オフの期間は進行しません。
しかし、いつまでもクーリング・オフができる状態だと、法律関係が不安定になってしまいます。
こうした事態を避けるため、正確な契約書を作成し、書面を再交付する必要があります。
この場合、書面の再交付があった時点から、クーリング・オフの期間が進行することになります。
なお、記載に重大な不備がある場合、従業員による説明にも誤りが含まれている可能性が高く、不実の告知にあたる可能性があります。
不実の告知がある場合、書面の再交付と説明があった時から、クーリング・オフの期間は進行を始めることになります(特定商取引法9条1項但書等)。
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5章 まとめ
以上の通り、今回は、クーリング・オフとは何かを説明した上で、法律上有効な対策とNGな対策をそれぞれ解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
・クーリング・オフとは、契約を締結しても一定期間内であれば契約の解除等ができる制度をいいます。
・企業のNGなクーリング・オフ対策は以下の2つです。
NG対策1:クーリング・オフを排除する特約
NG対策2:不実の説明等
・企業が取るべきクーリング・オフ対策は以下の3です。
取るべき対策1:クーリング・オフの対象取引か確認する
取るべき対策2:正確な契約書を作成する
取るべき対策3:書面の交付
この記事が、クーリング・オフの対策について知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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