モンスター社員への対応に悩んでいませんか?
会社の雰囲気が悪くなり、他の従業員の作業効率も下がってしまうため、経営者や人事担当者にとっては大きな悩みの種ですよね。
結論としては、問題社員に対しては、以下のような対応を行っていくことになります。
対応手順2:定期面談
対応手順3:懲戒処分
対応手順4:配置転換
対応手順5:退職勧奨
対応手順6:解雇
モンスター社員を野放しにしてしまうと、他の従業員のストレスの原因にもなり、被害は拡大していってしまいますので、適切に対処しなければなりません。
他方で、対応については手順を踏んで行っていく必要があり、手順を守らないと相当性を超える対応であるとして、紛争化するリスクがあります。
また、モンスター社員に対して上手に対応するためには、それぞれの問題社員の特徴を理解したうえで、ポイントをおさえて行っていくことが肝要となります。
モンスター社員に対してどのような対応を行ったかということは、紛争になった場合を見越して、記録しておくようにしましょう。
実は、近年、このようなモンスター社員が増加しており、私が日々たくさんの労働問題の相談を受ける中でも助言を行うことが増えてきています。
モンスター社員への対応については企業規模が大きくなってくると必然的に生じてくる課題であり、避けてとおることはできません。
この記事をとおして、モンスター社員への正しい対応を知っていただければと思います。
今回は、モンスター社員への対応6つと野放しの重大なリスクを解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めばモンスター社員へどう対応したらいいのかがよくわかるはずです。
目次
1章 モンスター社員(問題社員)への対応手順6つ
モンスター社員がいる場合には、適切に対応しなければならず、野放しにしてはいけません。
なぜなら、第2章で説明するとおり、モンスター社員を野放しにすると、被害は拡大していってしまうためです。
他方で、対応については手順を踏んで行っていく必要があり、手順を守らないと相当性を超える対応であるとして、紛争化するリスクがあります。
具体的には、モンスター社員への対応手順は以下のとおりです。
対応手順2:定期面談
対応手順3:懲戒処分
対応手順4:配置転換
対応手順5:退職勧奨
対応手順6:解雇
それでは、各対応手順について詳しく説明していきます。
1-1 対応手順1:業務改善指導
モンスター社員への対応手順の1つ目は、業務改善指導です。
まずは、モンスター社員に問題点を指摘し、改善を促すことになります。
モンスター社員に問題点を認識してもらい、自ら是正する機会を与えるためです。
例えば、禍根を残さぬよう穏当に口頭で指摘することから始めるといいでしょう。
口頭による指導で改善されない場合には、メールなどで指摘し、最終的には書面による指導を検討することになります。
1-2 対応手順2:定期面談
モンスター社員への対応手順の2つ目は、定期面談です。
定期的に状況を確認し社員との間で認識を共有することにより、改善の実効性を高めます。
例えば、1ヶ月程度の期間で定期的に面談を設定します。
当該期間における改善状況を報告してもらい、また会社側で気になる点や改善してほしい点などがあれば指摘します。
次回の面談日までの課題などを設定することで、より効果は高まるでしょう。
1-3 対応手順3:懲戒処分
モンスター社員への対応手順の3つ目は、懲戒処分です。
業務改善指導や定期面談を経ても改善が見込めないようであれば、懲戒処分を検討することになります。
懲戒処分を行うことで反省を促し、企業秩序を維持します。
具体的には、戒告や譴責などの軽い処分を行い、それでも改善しない場合には減給や降格などの重い処分を検討していきます。
ただし、懲戒解雇は最終手段となりますので、この段階ではまだ行いません。
1-4 対応手順4:配置転換
モンスター社員への対応手順の4つ目は、配置転換です。
なぜなら、モンスター社員の問題によっては、職種を変えたり、勤務場所を変えたりすることによって、解決する可能性もあるためです。
例えば、モンスター社員の問題が特定の上司や部下に対するものである場合には、当該部下や上司とかかわらないような職種や勤務場所にすることが考えられます。
また、モンスター社員の問題が顧客に対するものであれば、顧客に接することのないような職種に変更することが考えられます。
1-5 対応手順5:退職勧奨
モンスター社員への対応手順の5つ目は、退職勧奨です。
上記のような各手順を尽くしても解決しない場合には、退職してもらうことを検討することになります。
もっとも、退職してもらうと言っても、解雇は会社にとってもリスクとなりますし、労働者にとっても不利益が大きいです。
例えば、解雇が無効となった場合には、解雇後の賃金を後から遡って支払わなければいけなくなります。数年分の賃金を支払わなければならなくなる場合もあります。
他方で、労働者も解雇を争っている期間の地位や生活が不安定になりますし、再就職の際にも前職の退職理由を説明しにくくキャリアに傷がついてしまいます。
そのため、まずは任意に退職するように促した方がいいでしょう。
1-6 対応手順6:解雇
モンスター社員への対応手順の6つ目は、解雇です。
上記各対応手順を尽くしても難しい場合には、やむを得ないために解雇を行うことを検討することになります。
ただし、解雇は非常にリスクの大きい行為であるため、解雇する前に十分に証拠を集めておく必要がありますし、解雇理由についても慎重に吟味しなければなりません。
解雇する前に人事労務問題に力を入れている弁護士に相談するようにしましょう。
2章 モンスター社員(問題社員)を野放しにした場合の重大なリスク3つ
モンスター社員を野放しにした場合には、会社に重大なリスクが生じることになります。
野放しにすることにより被害は波及し、より深刻化していきます。
例えば、モンスター社員を野放しにした場合のリスクとしては、以下のようなものがあります。
リスク2:生産性の低下
リスク3:企業秩序の崩壊
それでは各リスクについて順番に説明していきます。
2-1 リスク1:他の従業員のストレス
モンスター社員を野放しにした場合のリスクの1つ目は、他の従業員のストレスになることです。
モンスター社員が暴言を吐いたり、理不尽な発言をしたりすることにより、他の従業員にも心理的負荷が生じます。
例えば、業務の注意をしたらハラスメントだと言われたり、業務を指示したら文句を言われたりするなどです。
このような状況が続くと他の従業員が体調不良により休職してしまったり、退職を申し出てきたりといった事態に発展していきます。
企業は労働者の安全に配慮する必要がありますので、他の従業員の心理的負荷が生じるような事情がある場合には、これを取り除かなければなりません。
最終的には、企業の安全配慮義務違反といった問題、紛争リスクに繋がっていきます。
2-2 リスク2:生産性の低下
モンスター社員を野放しにした場合のリスクの2つ目は、生産性の低下です。
なぜなら、モンスター社員に気を使わなければならず、円滑なコミュニケーションが阻害されるためです。
例えば、本来はモンスター社員が担当している業務であっても、話しかけると文句を言われたり、嫌な顔をされたりするので、自分で行わざるを得ないようなことがあります。
このような状況が続くと作業効率が悪くなり、生産性が低下することになります。
2-3 リスク3:企業秩序の崩壊
モンスター社員を野放しにした場合のリスクの3つ目は、企業秩序の崩壊です。
モンスター社員の勝手なふるまいを許していては、そのような態度をとってもよいものと勘違いされてしまいます。
例えば、モンスター社員が遅刻や欠勤、居眠り、サボりを繰り返していても、何のお咎めもなければ、自分も同じことをしてもいいのだと感じてしまいます。
また、従業員に対して指導をしようにも、他の人は許されるのになぜ自分だけ許されないのかとの不満が生じます。
このような状況が続くと、真面目に働かなくてもいいような雰囲気となってしまい、他の従業員の士気にもかかわります。
3章 種類別!モンスター社員(問題社員)への対応のポイント
モンスター社員に対して上手に対応するためには、それぞれの問題社員の特徴を理解したうえで、ポイントをおさえて行っていくことが肝要となります。
モンスター社員にも種類がありますので一筋縄にはいきません。
例えば、モンスター社員には以下のような種類がありますが、それぞれ対処のポイントがあります。
・わがまま社員への対応
・被害妄想社員への対応
・モンスター部下への対応
それでは、それぞれ順番に説明していきます。
3-1 クレーマー社員への対応
クレーマー社員とは、すぐにハラスメントだと言ったり、些細なことにこだわったりして、文句をつけてくる社員のことです。
正当な言い分であれば耳を傾けなければなりませんが、文句をつけること自体を目的としているような事例も散見されます。
ひとつひとつの文句に正面から反論していては業務が進まなくなってしまう場合もありますので注意が必要です。
意見としては承ったが、会社としての指示はこうであると毅然と伝えるようにしましょう。
3-2 わがまま社員への対応
わがまま社員とは、その仕事はやりたくないと言ったり、自分のやりたいようにさせてほしいと言ったり、自分本位な考えの社員のことです。
確かに、主体性や積極性は重要なことであり自分からこのような仕事をやらせてほしいなどとアピールする分には問題ないでしょう。
しかし、仕事は協調性やチームワークが求めることもあり、自分のやりたいようにだけすることはできません。
メールなどの形に残る方法で業務を指示するようにし、当該社員から自分本位な発言が出るようであれば、その仕事を割り振った理由を説明しましょう。
上記の状況が繰り返されるようであれば、自分本位な考え方では困る旨を伝え、業務改善指導等を行うことを検討します。
3-3 被害妄想社員への対応
被害妄想社員とは、自分が嫌われていることが原因で、評価が低い、悪口を言われている等の勘違いをしている社員のことです。
企業としては、とくに当該社員に対して嫌がらせ等をする目的はなく、通常どおりに業務を評価しているような場合でも、このような問題が生じます。
このような問題が生じる原因には、当該社員のパーソナリティに問題があることも多いですが、特定の上司との間で対立が生じている等のエピソードが存在することもあります。
経営者又は人事担当者としては、当該評価や処分、措置等の理由、必要性を説明することになります。
なお、実際に特定の社員から嫌がらせ等を受けているといった具体的なエピソードがでてきた場合には、これについては事実確認を行う必要があります。
3-4 モンスター部下への対応
モンスター部下とは、上司に対して、馬鹿にしたり、無視したりといった反抗的な態度をとる社員のことです。
自信過剰な新人や大手から転職してきた中途社員、年上やお局の部下などは、このような問題が生じやすいです。
特定の上司との相性が悪く、配置を変えたら問題が解消することもあります。
また、上司の側に問題があることもありますので、双方から事情をヒアリングし、原因を分析することが大切です。
4章 モンスター社員(問題社員)への対応記録をつける
モンスター社員への対応を行うにあたり重要なことは、対応記録を付けることです。
なぜなら、対応記録をつけておかなければ、モンスター社員の問題行動、及び、業務改善の機会を与えていたこと、解雇回避努力をしたことを証明することが難しいためです。
つまり、証拠がない場合には、問題行動やこれに対する各対応がなかったこととして扱われてしまうリスクがあります。
具体的には、以下のような対応記録を付けていきます。
問題行動及び指導記録を作成する際のポイントは、日時、場所、内容を具体的に記載することです。
具体的に記載しないと何を問題行動としているのか、いかなる事実を指しているのかが分からないと反論されるためです。
また、気まぐれに記載するのではなく、日常的に問題行動や業務指導の度に記録をしていきます。
併せて、客観的な証拠(メールや写真、動画、録音)等も記録しておくといいでしょう。
その他、業務改善指導書や定期面談の際の議事録若しくは報告書なども証拠となります。
5章 モンスター社員(問題社員)への対応に悩んだら弁護士へ相談すべき
モンスター社員への対応に悩んだら弁護士へ相談すべきです。
モンスター社員を野放しにしてはリスクが生じ、反対に過度な対応をすると相当性を逸脱することになります。
そのため、事案ごとに適切な対応を検討する必要があり、紛争になった場合も見据えて十分な準備をしておく必要があります。
人事労務問題に強い弁護士に相談することで、裁判例の傾向や裁判実務に照らし、適切な対応や証拠の収集を助言してもらうことができます。
早い段階から相談を得ることにより法的なリスクを格段に抑えることができるのです。
そのため、モンスター社員への対応については、紛争になる前に人事労務問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。
6章 モンスター社員(問題社員)との付き合い方
モンスター社員との付き合い方は、毅然とした態度で、かつ、冷静に対応していくことが必要です。
モンスター社員は、弱気な態度をとる者に対して攻撃的な対応をしてくる傾向にあります。そのため、毅然とした態度で接する必要があります。
また、モンスター社員に対して、熱くなってしまったり、感情的な対応をしてしまったりすることも不適切です。ハラスメントなどとの反論を招くためです。強い言葉を使わず冷静に淡々と正当性を説明しましょう。
モンスター社員との付き合い方は、企業規模が大きくなってくると必然的に生じてくる課題であり、避けてとおることはできません。
適切な距離感や接し方を見つけられるといいでしょう。
7章 モンスター社員への対応はリバティ・ベル法律事務所にお任せ
モンスター社員への対応はリバティ・ベル法律事務所にお任せください。
モンスター社員の問題は良好な職場環境や職場秩序を維持するために、状況に応じた適切な対応をする必要があります。
弁護士であれば誰でも良いというわけではなく、人事労務問題に力を入れている弁護士を探すことが重要となります。
リバティ・ベル法律事務所では、人事労務問題に圧倒的な知識とノウハウを有しており、これまでの経験をもとに最善の解決をご提案いたします。
リバティ・ベル法律事務所は、全国対応・オンライン相談可能で、最短即日でこの分野に注力している弁護士と相談することが可能です。
相談料は1時間まで1万円(消費税別)となっておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
8章 まとめ
以上のとおり、今回は、モンスター社員への対応6つと野放しの重大なリスクを解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
・モンスター社員への対応手順は以下のとおりです。
対応手順1:業務改善指導
対応手順2:定期面談
対応手順3:懲戒処分
対応手順4:配置転換
対応手順5:退職勧奨
対応手順6:解雇
・モンスター社員を野放しにした場合のリスクとしては、以下のようなものがあります。
リスク1:他の従業員のストレス
リスク2:生産性の低下
リスク3:企業秩序の崩壊
・モンスター社員への対応を行うにあたり重要なことは、対応記録を付けることです。
・モンスター社員への対応に悩んだら弁護士へ相談すべきです。
・モンスター社員との付き合い方は、毅然とした態度で、かつ、冷静に対応していくことが必要です。
この記事がモンスター社員への対応に悩んでいる経営者や人事担当者の方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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